労務管理とは?具体的な仕事内容や労務管理システム導入のメリット、資格などをわかりやすく解説

published公開日:2024.11.05
労務管理とは?具体的な仕事内容や労務管理システム導入のメリット、資格などをわかりやすく解説
目次

労務管理とは、従業員の労働状況や職場環境を管理することです。適切な労務管理は、従業員にとって働きやすい職場となるだけでなく、組織の労働生産性を高めることにつながります。

本コラムでは、労務管理の具体的な仕事内容や労務管理システム導入のメリット、労務管理に関する国家資格などについて解説します。労務管理の全体像を理解し、自社の労働環境の改善、労働生産性の向上につなげていきましょう。

労務管理とは

まずは労務管理の目的や、労務管理とセットで語られやすい「勤怠管理」や「人事」との違いを解説していきます。

労務管理の目的

労務管理とは、企業や組織においての雇用、労働条件、福利厚生、労働環境などを総合的に管理する仕事です。その目的は、労働者の働きやすさを向上させ、企業の生産性を高めることです。労働者と企業の双方にとって良好な労働環境を構築するという重要な役割を担っています。

労務管理と勤怠管理の違い

労務管理とセットで語られやすい言葉の一つに「勤怠管理」があります。労務管理と勤怠管理の違いは何でしょうか。

労務管理は、従業員の労働について幅広い記録・管理を行う業務です。労働時間や休暇取得などの管理、職場の安全衛生管理など、あらゆる面から従業員にとって働きやすい環境を整えることが労務管理の役割です。

一方、勤怠管理とは労務管理の一部であり、特に労働者の出勤・退勤、労働時間、休憩時間、休暇、残業などの管理を行う業務です。

労務管理が企業全体における従業員の労働について包括的に管理するのに対し、勤怠管理はその中でも日々の労働時間や出勤記録の適正な管理に焦点を当てていると理解するとよいでしょう。

労務と人事の違い

「人事労務」といった具合に、労務とセットで語られることの多い言葉として「人事」もあります。小規模な企業では、1名の従業員が人事と労務を兼任して担当している場合もあるでしょう。人事と労務はどちらも従業員のサポートを行う仕事です。しかし、厳密にいえば、その業務範囲には違いがあります。

人事は、経営戦略に基づき、人材の獲得、育成、評価、配置などを行う仕事です。戦略的に人材を活用していくことで、企業が掲げる目標・目的の達成を目指します。

一方、労務は、従業員の労働について記録や管理を行ったり、従業員の働く環境を整えたりすることが仕事です。勤怠管理や給与計算、社会保険の手続きなど、人事と比べると、事務手続きが中心となります。

まとめると、人事は組織の人材戦略に重点を置いており、労務は労働環境の整備や労使関係の業務に重点を置いているという違いがあります。

関連コラム:「人事とは何か?仕事内容と年収、必要な適性ややりがい」

労務管理の仕事内容一覧

次に、労務管理の具体的な仕事内容を見ていきましょう。

労務管理の仕事内容には、大きく分類して以下のようなものがあります。

  • 雇用に関する手続き:入社、退職、休職の手続き
  • 法定帳簿の作成・管理
  • 就業規則の作成・届出・管理
  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 社会保険の手続き
  • 労働環境の管理:安全衛生管理、従業員の健康管理、職場環境の整備、ハラスメント対策

以降の項目では、労務管理に含まれる業務について、それぞれ詳しく解説します。

雇用に関する手続き

従業員の採用から退職まで、雇用には様々な手続き業務が発生します。ここでは、「入社」「退職」「休職」に分けて、労務管理の仕事内容をご紹介します。

入社手続き

新しい従業員を採用する際は、企業と労働者の間で「雇用契約」を結びます。雇用契約書や労働条件通知書、あるいは両者を一体化した「労働条件通知書兼雇用契約書」にて労働条件を明示しなければなりません。

雇用契約は、正社員の雇用だけではなく、契約社員やパート・アルバイトといった非正規従業員の雇用時、契約更新時にも締結が必要です。

雇用契約を結んだあとは、社会保険や雇用保険の手続きに関する仕事が発生します。正規社員でも非正規社員でも、条件を満たしていれば社会保険や雇用保険に加入させなければなりません。社会保険や雇用保険の手続きの詳細については後述します。

また常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し健康診断を行うか、3カ月以内に健康診断を行ったことを証明する書類を提出させる必要もあります(労働安全衛生規則第43条)。

関連コラム:「雇用とは?雇用契約書などのポイントや使える助成金一覧」

退職手続き

従業員の退職時にも、労務管理の仕事が発生します。具体的には、退職届の受理、給与の精算、社会保険・雇用保険の資格喪失、積立金などの金品の返還、貸与品などの回収、源泉徴収票・離職票などの送付といった手続きが必要です。

退職手続きが遅れると、企業側には、本来納付しなくてもよかった社会保険料の支払いが発生したり、従業員側にとっては、失業給付の受給開始が遅れたりといった不利益が生じる可能性があります。退職手続きはなるべく迅速に行いましょう。

休職手続き

休職とは、労働者が自己都合によって長期間仕事を休むことです。従業員が休職する際にも、様々な手続き業務が発生します。

例えば、従業員が私傷病で休職する際は、医師の診断書を提出してもらったり、休職のスケジュールの擦り合わせ、復帰に向けてのフォローを行ったりといった業務が必要です。

関連コラム:「休職とは?種類や条件、給与や手当について徹底解説」

関連コラム:「復職に必要な対応とは?休職者の職場復帰支援の注意点」

法定4帳簿の作成・管理

労務管理では、「法定帳簿」の作成・管理も仕事内容に含まれます。「法定帳簿」とは、企業が労働基準法にしたがって作成・管理しなければならない帳簿のこと。これらは労働基準法違反とならないよう、労働者の情報、労働条件、労働時間、賃金などを適正に記録・管理するために使われます。

こうした帳簿をきちんと整備しておくことは、労使間のトラブル防止や早期解決においても重要です。

帳簿の保存年限はいずれも3年間。年次有給休暇管理簿を除き、規定に違反した場合は罰則が適用されることもあります。

各帳簿の特徴や記載する事項は、以下の通りです。

労働者名簿(労働基準法第107条)

労働者名簿は、従業員の情報をまとめた名簿です。従業員一人ひとりについて、次の項目を記録します。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務
  • 雇入年月日
  • 退職年月日およびその事由(解雇の場合はその理由)
  • 死亡の年月日およびその原因

労働者名簿は労働者の死亡、退職または解雇の日から起算して3年間の保存が必要です。労働者の退職後、すぐにデータを消してしまわないように気をつけましょう。

賃金台帳(労働基準法第108条)

賃金台帳は、従業員への賃金の支払い状況をまとめた帳簿です。従業員一人ひとりについて、以下の項目を記録します。

  • 氏名
  • 性別
  • 賃金計算期間
  • 労働日数
  • 労働時間数(深夜・休日・残業時間を含む)
  • 基本給および手当額
  • 賃金控除額

出勤簿(労働基準法第109条)

出勤簿は、従業員一人ひとりの出勤状況について、次の項目を記録したものです。

  • 氏名
  • 出勤日
  • 出勤日ごとの始業・終業時間
  • 休憩時間
  • 残業時間

年次有給休暇管理簿(労働基準法 施行規則第24条の7)

年次有給休暇管理簿は、平成31年4月から法定帳簿に追加された新しい帳簿です。従業員一人ひとりについて、以下の項目を記録します。

  • 氏名
  • 有給休暇の付与日(基準日)
  • 有給休暇の取得日
  • 従業員が取得できる有給休暇の日数

また計画的付与や、使用者の時季指定の規定により有給休暇を与えた場合も、その旨を記録しましょう。

関連コラム:「有給休暇|取得義務の日数や付与の基準とは」

就業規則の作成・届出・管理

就業規則の作成や届出、管理も労務管理の仕事の一つです。就業規則とは、企業が従業員に対して労働条件や職場のルール、義務、権利など定めた規則です。常時10名以上の従業員を雇用している企業の場合、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る義務があります(労働基準法第89条)。

就業規則を作成・変更する際には、労働者代表の意見を聴取し、届け出には聴取した意見を記した書面を添付しなければなりません(労働基準法第90条)。

就業規則を作成したあとは、見やすい場所へ掲示する、職場に備え付ける、書面で配布する、社内ネットワークで閲覧可能にするなどの方法で、労働者に対して内容を周知することも必要です(労働基準法第106条)。

勤怠管理

法定帳簿の作成・管理とともに重要な仕事が、勤怠管理です。

勤怠管理は、従業員の日々の勤怠情報を管理する業務。タイムカードや勤怠システムなどによって記録された情報を基に、出勤日数や休暇日数、残業時間などのデータを取りまとめます。法定帳簿の作成に必要な情報の記録・管理を行う業務といえるでしょう。

具体的には、以下のような項目を記録・管理します。

項目 記録・管理の目的
出勤・退勤時間の記録 労働時間を把握するため
休憩時間の記録 労働基準法に定められた休憩時間を確保するため
休日・休暇の管理 休日や年次有給休暇、産前産後休業、育児休業、介護休業などを管理するため
時間外労働・深夜労働の記録 所定労働時間を超える時間外労働や深夜労働を正確に記録し、適切な割増賃金を支払えるように備えるため
欠勤・遅刻・早退の記録 欠勤・遅刻・早退の日時について正確に把握するため

勤怠管理を行う目的は、労働基準法における労働時間や休日に関する規定を遵守できているかを確認することです。また、従業員一人ひとりの労働時間の管理は、従業員の心身の健康状態に対する定期的なチェックにもつながるでしょう。

こうした適切な勤怠管理は、労働者の働きやすい環境づくりと企業の健全な経営の両立に欠かせません。

関連コラム:「残業時間の定義は?36協定・過労死ライン・削減アイデア」

給与計算・年末調整

給与計算も、労務管理の中で非常に重要な業務です。基本給のほか、時間外労働・休日労働・深夜労働に対する賃金の割増、各種手当(住宅手当、通勤手当、家族手当など)、税金や社会保険料などの控除額などを計算し、従業員それぞれの手取り額を算出します。

また、賞与の計算や年末調整なども行います。

正確な給与計算は、従業員が安心して働くための必須条件。賃金支払いに関するコンプライアンスのためにも、ミスのない仕事が求められます。

関連コラム:「サービス残業は違法!法律と罰則、防止対策のポイント」

社会保険の手続き

健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険などの社会保険に関する業務も労務管理の仕事の一つです。

従業員の入退社時には、雇用保険や健康保険、厚生年金の資格取得や資格喪失に関する届出を行います。雇用保険については、従業員の退職時に資格喪失届と併せて離職証明書の提出も求められます。

従業員の出産や育児に際しては、産前産後休業や育児休業に関する届出も必要です。これにより、企業側も従業員側もともに社会保険料の免除を受けられたり、雇用保険から育児休業給付金が従業員へ支給されたりします。

また、労働災害が発生したときには労災保険の給付請求を行わなければなりません。

社会保険の手続きには、様々な法律や制度が関わってきます。加入条件や保険料など、詳しくは以下のコラムもご覧ください。

関連コラム:「雇用保険の加入条件は?事業者の手続きとメリット・デメリット」

関連コラム:「厚生年金|加入条件や保険料、受給資格をわかりやすく解説」

関連コラム:「育休とは|期間や条件、育児休業と育児休暇の違い」

労働環境の管理

以上のような情報の記録・管理、賃金などの計算以外にも、労務管理には重要な仕事があります。これまでも言及してきた「労働環境」の管理です。主に労働安全衛生法に基づいて、労働者の職場での安全と健康を守ります。

具体的には、安全衛生管理、従業員の健康管理、職場環境の整備、ハラスメント対策といった業務があります。

安全衛生管理

安全衛生管理とは、労働者の安全で健康に働ける職場環境づくりを目指す業務です。具体的には、安全衛生委員会の設置と定期的な開催、安全衛生教育(避難訓練や応急処置講習など)の実施などがあります。

労働安全衛生法には、事業の規模や業種、事業内容によって、取るべき安全衛生管理体制や、従業員へ必要な安全衛生教育が細かく定められています。これに基づき、労務管理担当者は、必要な管理者や産業医の選任、安全衛生委員会の設置・運営、安全衛生教育などを行わなければなりません。

また、万が一、事業場内で労働者が負傷などにより休業したり死亡したりした場合は、それが労働災害に該当するかどうかにかかわらず、「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出しなければなりません。

*参考:厚生労働省 京都労働局・労働基準監督署「事業場における安全衛生管理体制のあらまし」

従業員の健康管理

労働安全衛生法では、全ての企業に対して年1回以上の定期的な健康診断を義務づけています。定期健康診断の具体的な項目は年齢・性別などを基準に細かく定められており、従業員の業務内容によっては、他の健康診断の実施も求められます(特定業務従事者の健康診断、海外派遣労働者の健康診断、給食従業員の検便など)。

健康診断の実施にあたって労務管理担当者が行うのは、健康診断を受診対象となる従業員への日程の通知、結果の受け取りと保管、従業員本人への結果の通知などです。診断結果によっては、医師などから意見を聞くといった対応も必要です。常時50名以上の労働者を雇用している場合は、定期健康診断の結果を所轄の労働基準監督署へ提出しましょう。

常時50名以上の労働者を使用する事業者には、1年ごとに「ストレスチェック」を実施する義務もあります。厚生労働省が公開しているマニュアルやツールを活用しながら従業員の心の健康も守りましょう。

*参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう ~労働者の健康確保のために~」

*参考:厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」

職場環境の整備

安全衛生管理以外にも、職場環境の整備・改善が求められる場合があります。具体的には、適切な照明、温度、音響環境に気を配った快適なオフィス空間の提供、デスクや作業機器の配置改善、休憩スペースの充実などです。

職場における適切な照明の明るさや、温度、休養室の要件などは、厚生労働省が労働衛生基準として定めています。労務管理担当者は自社の現状と労働衛生基準を照らし合わせながら、労働者の意見なども取り入れて、職場環境を整備していかなければなりません。

*参考:厚生労働省「ご存知ですか?職場における労働衛生基準が変わりました」

ハラスメント対策

ハラスメントとは、いじめや嫌がらせによって被害者の就業環境を悪化させる行為のことです。

労働施策総合推進法の改正により、職場におけるパワーハラスメント対策が大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月から義務化されました。

併せて、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法においても、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントの規定があり、2020年には防止対策の強化を求める改正が行われました。

労務管理担当者はこれらの法律にのっとり、適切なハラスメント対策を講じていく必要があります。

関連コラム:「ハラスメントとは何か?定義・種類・起こる原因・対策」

*参考:厚生労働省「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」

労務管理システム導入のメリット

ここまで労務管理の仕事内容について詳しく見てきました。労務管理はいわゆる裏方部門であるとはいえ、その仕事内容はとても複雑で、深い知識や正確性が必要となるものです。

労務管理システムは、こういった労務管理の複雑な業務をサポートしてくれます。

労務管理システムとは、労働基準法などの重要な法令にしたがって、法定帳簿の管理、労働契約の管理、従業員の勤怠管理、給与計算、年末調整などを効率的に行うためのツールです。

労務管理システムの導入には以下のようなメリットがあります。

自動化による時間の節約
  • 勤怠管理、給与計算、休暇管理などの業務を自動化することで、人事担当者の負担を軽減し、作業時間を大幅に短縮できる
データの一元管理
  • 従業員に関するデータを一元的に管理することで、情報の検索や更新が迅速かつ正確に行える
正確性の向上
  • 自動計算やシステム内のチェック機能により、手作業で発生しがちなミスを防止し、正確なデータ処理が可能になる
コンプライアンスの向上
  • 労働基準法をはじめとする労働法規に基づく処理が自動的に行われるため、法規制を遵守できる
コスト削減
  • 労務管理業務の効率化により、人件費を削減できる
  • デジタル化によって紙の使用量を減らし、印刷や保管にかかる費用を削減できる
従業員満足度の向上
  • 従業員が自身の勤怠情報や給与明細をオンラインで確認できるため、透明性が向上し、従業員の満足度が高まる
  • 休暇申請や勤怠修正などの手続きをオンラインで行えるため、処理が迅速に行われ、従業員の利便性が向上する
データ分析と意思決定の支援
  • 勤怠状況や給与データのレポートを簡単に作成でき、経営層に対する報告や意思決定の材料として活用できる

このように労務管理システムを導入することで、多くのメリットを享受できます。企業全体のパフォーマンスと競争力を向上させるためにも、労務管理システムの導入はおすすめです。

労務管理に関する国家資格・民間資格

最後に、労務管理に関する資格をご紹介します。

ミスのない労務管理の仕事には豊富な実務経験はもとより、法律に関する深い知識も必要不可欠です。そういった労務管理スキルを習得・証明するには、資格の取得が有効な手段の一つでしょう。

今回は、国家資格である「社労士(社会保険労務士)」「衛生管理者」を中心にご紹介します。

社労士(社会保険労務士)

社労士(社会保険労務士)は、企業の労務管理や社会保険手続きの専門家の国家資格です。

企業が労働者を雇用すると社会保険の手続きをしなければなりません。しかし、規模の小さな会社では人手が足りなかったり、労務管理に関する知識のある人材がいなかったりして困るケースがあるでしょう。大企業でも、従業員が多いことによる悩みが生まれます。

こういった場合に仕事を依頼できるのが社労士です。社会保険関係の手続きや帳簿などの作成を「業」として、すなわち報酬をもらって行うことができるのは社労士だけ。これらの業務を社労士の「独占業務」と呼びます。

社労士の具体的な業務には以下に示す「1号業務」「2号業務」「3号業務」「補佐人業務」がありますが、このうち「1号業務」「2号業務」が独占業務です。

業務 内容 具体例
1号業務 社会保険関係の申請書の作成や提出代行、事務代理を行う
  • 健康保険や厚生年金保険の算定届や月額変更届の作成・提出代行
  • 労働保険の年度更新手続き
  • 健康保険の傷病手当金や出産手当金などの給付申請手続き
2号業務 帳簿等書類の作成を行う
  • 就業規則、賃金規程、退職金規程などの作成・届出
  • 労使協定の作成・届出
  • 労働者名簿や賃金台帳の作成
3号業務 労務関係のコンサルティング業務を行う
  • 企業の人事や労務に関する相談にのり、企業の実情に合わせたアドバイス
補佐人業務 補佐人として裁判に出廷する
  • 労使間のトラブルで訴訟になった場合、社労士が「補佐人」として、弁護士とともに出廷し陳述することが可能

社内に労務管理を担当する適当な人材がいない場合は、社労士に依頼して労務管理業務を行ってもらうのも効果的な方法の一つです。

衛生管理者

衛生管理者とは、職場環境の衛生管理や労働者の健康管理などの専門家であることを示す国家資格です。衛生管理者の主要業務には、労働者の健康障害を防止するための作業環境の調査・管理、健康管理、労働衛生教育の実施、健康の保持増進措置などがあります。

衛生管理者資格には、全ての業種で衛生管理者になることができる「第一種衛生管理者」と、有害業務と関連の少ない業種のみで衛生管理者になることができる「第二種衛生管理者」の2種類があります。

常時50名以上の労働者を雇用する企業は、業種に問わず労働安全衛生法に定められている基準にしたがって、一定数以上の衛生管理者を選任しなければなりません。そして、衛生管理者を選任した場合は、遅滞なく労働基準監督署に報告する必要があります。

衛生管理者は毎週1回以上、担当する作業場をチェックします。設備、作業方法、衛生状態が従業員にとって有害であると考えられるときは、直ちに、必要な改善などを講じなければなりません。

従業員数の増加や、既に従事している衛生管理者の退職などに備えて、自社の労務管理担当者に衛生管理者資格の取得を推奨するとよいでしょう。

*参考:厚生労働省「衛生管理者について教えて下さい。」

*参考:公益財団法人 安全衛生技術試験協会「受験資格(第一種衛生管理者・第二種衛生管理者)」

安全衛生推進者(衛生推進者)

安全衛生推進者(衛生推進者)は、労働安全衛生法に基づいて、小規模事業所における安全と健康の管理を推進するための業務を行う従業員です。

常時雇用する労働者が50名未満の場合、先述した衛生管理者の選任義務はありません。また、特定の業種で常時雇用する労働者が50名以上の場合に選任義務がある「安全管理者」についても、労働者が50名未満の場合は選任の必要はありません。

しかし、衛生管理者や安全管理者の選任が不要な事業場であっても、使用する労働者が10名以上50名未満の事業場では、この「安全衛生推進者」(安全管理者の選任が不要な業種では衛生推進者)の選任が義務づけられています。

安全衛生推進者(衛生推進者)自体は資格の名称ではありませんが、選任されるには一定の実務経験・学歴・資格を持った者か、所定の安全衛生推進者養成講習を受けた者である必要があります。

なお、選任した安全衛生推進者(衛生推進者)について労働基準監督署への報告は不要です。しかし、その氏名を作業場のわかりやすい場所に掲示するなどの方法により、他の労働者に周知しなければなりません。

*参考:厚生労働省「安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。」

労務管理士

労務管理士は、一般社団法人「日本人材育成協会」が認定する、労務管理に関するスキルを証明する民間資格です。社労士(社会保険労務士)と名称は似ていますが、労務管理士は国家資格ではなく、社労士の独占業務を行うこともできません。

労務管理士資格を取得するには、日本人材育成協会が実施する公開認定講座や通信講座を受講して認定試験に合格するか、実務経験の証明と課題論文を提出して書類審査をクリアする必要があります。

*参考:一般社団法人 日本人材育成協会「労務管理士受験方法」