ハラスメントとは?定義・種類・原因・対策を簡単にわかりやすく解説
ハラスメントとは、簡単にいえば「いじめや嫌がらせ」によって被害者の就業環境を悪化させる行為のこと。近年、ハラスメントを予防する取り組みが義務化され、ハラスメント対策に注目が集まっています。
本コラムでは、ハラスメントの定義や種類、ハラスメントが起こる要因について解説。あわせて、ハラスメントが組織に与える影響やリスク、ハラスメント対策のポイントをお伝えします。
ハラスメントとは
ハラスメント(harassment)とは、相手に不快感を与える「いじめや嫌がらせ」によって、被害者の就業環境を悪化させる行為全般のことです。暴力などの身体的な行為のみならず、暴言や無視といった精神的なダメージを与える行為もハラスメントにあたります。
ハラスメントはその原因によって様々な種類に分けられ、現在は50種類以上のハラスメントが存在するといわれています。
ハラスメントは、職場の人間関係の悪化、生産性の低下、休職・離職や企業のイメージダウンによる人材不足を招くため、決して軽視できる問題ではありません。国も職場におけるハラスメントを問題視しており、法改正によってハラスメント対策を義務化しました。
ハラスメント関連の法律と厚生労働省による発表
ハラスメントに関する主な法律には、以下のようなものがあります。
- 労働施策総合推進法
- 男女雇用機会均等法
- 育児・介護休業法
労働施策総合推進法は、通称「パワハラ防止法」と呼ばれており、パワーハラスメント防止対策の強化を目的に2020年に改正されました。大企業は2020年6月から、中小企業は2022年4月から、パワーハラスメント防止に向けた取り組みが義務化されました。
男女雇用機会均等法は、雇用における男女の均等な機会と待遇を確保するもの。性別による差別を禁止し、職場でのセクシャルハラスメント、妊娠・出産に関するハラスメントなどの防止措置を義務付けています。
育児・介護休業法は、従業員が育児や介護と仕事を両立しやすいよう、事業主が様々な施策を行うことを定めた法律です。育児休業等を理由とする不利益な取り扱いを禁止するとともに、近年の改正で育児休業等のハラスメント防止対策が義務化されました。
厚生労働省は、これらの法律を通じて職場におけるハラスメント防止対策を推進し、労働者の権利の保護と健全な職場環境の整備を目指しています。
*参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」職場ハラスメントの種類一覧
ハラスメントとは何かを具体的にイメージするには、職場における主なハラスメントの種類を確認するとよいでしょう。代表的なハラスメントの定義と例を簡単にご紹介します。
パワハラ(パワーハラスメント)
パワハラ(パワーハラスメント)とは、職場における優位な立場を利用して、業務に必要な範囲を超えて従業員の就業環境を悪化させることです。
具体的なパワハラの例には、
- 理不尽な内容で特定の人物を叱責し続ける
- 業務に必要な情報を共有しない
- 本人の能力を大きく超える(または大きく下回る)業務のみを割り当てる
などがあります。
パワハラというと、「上司から部下」または「先輩から後輩」といった、立場が上の者から下の者に行われる行為をイメージする方も多いでしょう。しかし、他部署から異動してきた上司に対して、嫌がらせを行う「逆パワハラ(逆パワーハラスメント)」や、同僚や部下が集団で嫌がらせを行うケースもあります。
セクハラ(セクシャルハラスメント)
セクハラ(セクシャルハラスメント)とは、職場において従業員本人の意に反する性的な言動により、就業環境を悪化させる行為のことです。
厚生労働省のポータルサイト「あかるい職場応援団」にある例によれば、
- 性的な内容のうわさを流す
- 性的な冗談を言う
- 食事やデートにしつこく誘う
- 必要なく身体に触れる
- 性的な事実関係を尋ねる
といった言動がセクハラに該当します。
被害者の性別や性的指向、性自認は関係ありません。そのため、同性同士でも、相手の意に反する言動であれば、セクハラと認定されるケースがあります。
モラハラ(モラルハラスメント)
モラハラ(モラルハラスメント)は身体的なダメージではなく、言葉や態度により相手に継続して精神的な苦痛を与える行為です。
- 周りに聞こえるよう過剰に叱責する
- 特定の人に対して無視や舌打ちをする
などがモラハラに該当します。
パワハラと混同しやすいですが、モラハラは職場の立場や優位性を問わず、相手に屈辱的な言葉を浴びせる行為全般を指します。
モラハラは、身体的な暴力ではないため、周囲に気づかれにくいという点が問題視されています。
マタハラ・パタハラ(マタニティハラスメント・パタニティハラスメント)
マタハラ(マタニティハラスメント)やパタハラ(パタニティハラスメント)は、妊娠・出産やそれに伴う休業の利用、育児休業や時短勤務制度の利用に関する言動によって、従業員の就業環境を害することです。
- 産休・育休制度や時短勤務などの利用を拒否する
- 育児を行う従業員に対して嫌味を言ったり解雇を示唆したりする
などの行為が主な例です。
マタハラやパタハラでは、会社の休業制度や時短勤務制度などを活用する際に不利益を被るケースを想像する方も多いかもしれません。しかし、
「妊娠で職場に迷惑をかけるから辞めればいいのに」
「忙しい時期の妊娠なんて信じられない」
などの発言もマタハラやパタハラにあたりますので、注意が必要です。
カスハラ(カスタマーハラスメント)
カスハラ(カスタマーハラスメント)とは、顧客や取引先が企業の商品やサービスに対して行う理不尽なクレームや言動のこと。顧客の要求内容に妥当性がなかったり、妥当性があったとしても求める対応手段が常識の範囲を超えたりする場合は、通常のクレームではなくカスハラとみなされます。
例えば、
- 企業に落ち度のない、顧客都合による返金要求を行う
- 暴言を浴びせる
- 土下座を要求する
- 1時間以上にわたり店員を拘束する
- 差別的な言動や性的な言動を行う
などの行為は、カスハラです。
もちろん、改善要求の理由と内容に妥当性があれば、カスハラにはあたりません。正当なクレームとカスハラを見極めやすくするには、企業側で事前に対応マニュアルなどの策定を行うとよいでしょう。
*参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル」新しい職場ハラスメントの種類一覧
近年、社会の変化や働き方の多様化に伴い、これまでにない種類のハラスメントが認識されるようになってきました。法令では明確に定義・規制されていない場合でも、職場環境を悪化させる可能性があるとの懸念が高まっています。
以下に、新たな職場ハラスメントの分類をご紹介します。
【新たな職場ハラスメント一覧】
ハラスメントの種類 | 概要 |
---|---|
レイハラ (レイシャルハラスメント) |
人種や国籍に基づく差別や嫌がらせ行為。外国人労働者の増加に伴い、問題が顕在化している |
ロジハラ (ロジカルハラスメント) |
論理的思考を強要し、相手に精神的苦痛や不快感を与える行為 |
フキハラ (不機嫌ハラスメント) |
不機嫌な態度で、周囲に不快感や過度な緊張感を与える行為 |
ため息ハラスメント | 頻繁なため息で周囲に不快感を与える行為。不機嫌ハラスメント(フキハラ)の一種としても認識されている。加害者は無意識に行っているケースも多いのが特徴 |
エイハラ (エイジハラスメント) |
年齢を理由とした差別や嫌がらせ行為。高齢者や若年層が対象となることがある |
ジェンハラ (ジェンダーハラスメント) |
性別を理由とした差別や嫌がらせ行為。性別によって評価や扱いを変える、役割を決めつけるなど。LGBTQに関する差別も含む |
スメハラ (スメルハラスメント) |
体臭や口臭、香水などの強い香りや匂いで周囲に不快感を与える行為。加害者に悪意がなく、無自覚であることが多い |
音ハラスメント | キーボードを強く叩く音やボールペンをノックする音など、周囲が不快に感じる音を出し続ける行為。サウンドハラスメントとも呼ばれる |
テクハラ (テクノロジーハラスメント) |
ITスキルなど、技術的な知識の差を利用した嫌がらせ行為 |
リモハラ (リモートハラスメント) |
リモートワーク環境での嫌がらせや不適切な行為。オンライン会議での不適切な言動なども含まれる |
ジタハラ (時短ハラスメント) |
経営陣や管理職が従業員に対して、必要な対策を講じずに一方的に労働時間の短縮を強要する行為。従業員の負担増加につながる可能性がある |
ソーハラ (ソーシャルメディアハラスメント) |
SNSを利用した嫌がらせや不適切な行為。プライベートと仕事の境界が曖昧になりやすい現代社会で問題となっている |
認知度が低いハラスメントであっても、職場環境や従業員の心身の健康に与える影響は決して小さくありません。企業はこのような新たな課題にも注目し、適切な対策を講じる必要があります。
ハラスメントが起こる原因
ハラスメントの加害者は、自分の発言や行動がハラスメントであると認識していない場合がほとんどです。多くの場合、その原因はハラスメントに対する知識不足です。
また、ハラスメントに関する知識自体はあっても、相手の立場から考えることを疎かにしたために、相手にとって働きにくい環境にしてしまうケースもあります。簡潔にいえば「誤ったコミュニケーションをしている」ケースです。
それぞれのケースをもう少し詳しく見ていきましょう。
ハラスメントに対する知識不足
ハラスメントに対する知識が不足している場合、自分でも知らないうちに相手を傷つけてしまうことがあります。
パワハラやセクハラなどの言葉をよく耳にしていても、具体的にどのような言動がそれにあたるのかを常に明確に把握している人ばかりではありません。ハラスメントの具体的な例や、ハラスメントと見なされる基準を知らなければ、「ついうっかり」ハラスメントをしてしまう場面も多く発生するでしょう。
また、ハラスメントの知識がないことが原因となり、「自分と同僚の間にハラスメントはない」と思い込んでしまう恐れもあります。
ハラスメントを予防するには、経営層や従業員それぞれを対象とするハラスメント研修などを通じて、しっかりとした知識を得ることが先決です。
誤ったコミュニケーションを取っている
相手との適切なコミュニケーションの取り方を知らなかったりスキル不足だったりすることも、ハラスメントの原因となり得ます。
コミュニケーションで何を不快に思うかは人それぞれ。相手の価値観を知っていれば「これは言ってはいけない」と判断できますが、知らないまま自分本位にコミュニケーションを続ければ、相手に苦痛を与えてしまう恐れがあります。
「従来のやり方だから」「自分がこのように指導を受けたから」と、相手に配慮しない一方的な発言や行動を行えば、ハラスメントに発展しかねません。
ハラスメントを防ぐには、何よりもお互いを尊重し合うことが大切です。働き方や価値観が多様化している現在、相手の働き方や価値観を尊重できる適切なコミュニケーションの取り方を、組織全体で学ばなければなりません。
アンコンシャス・バイアスによるもの
最近よく指摘されるハラスメントの原因として、アンコンシャス・バイアスもあります。アンコンシャス・バイアスとは、自分が意識していない先入観や固定観念により、偏った視点を持って相手に接してしまうこと。簡単にいえば、無自覚な偏見がハラスメントの原因になり得るということです。
例えば、次のような言葉や考え方に触れたことはありませんか。
「お茶くみは女性の仕事」
「男は育児より仕事に集中するべきだ」
「男性がしっかり働いてこそ、女性は家庭を守れる」
「男は論理的、女は感情的に考える」
こうした偏見を持っていると、
- 男性に育児休業を取得させない
- 特定の社員に雑用ばかり任せてしまう
- 当該業務に適した人材がいるのに性別などを理由に選択肢に入らない
といった無自覚なハラスメントを引き起こす恐れがあります。
アンコンシャス・バイアスは、育ってきた環境や経験から生じるため、簡単には取り除けません。無意識の偏見によるハラスメントを予防するには、「誰にでも何かしらの偏見はある」という前提を持ち、今の価値観を学んで自らを振り返る必要があります。
ハラスメントの影響やリスク
ハラスメントの定義でも述べたように、ハラスメントが発生すると就業環境に悪影響を与えます。その責任を問われるのは、直接ハラスメントを行った人物だけではありません。「労働者が働きやすい職場環境を整備できていない」として、企業も責任を問われます。
なぜハラスメント対策が必要なのか、改めて主な影響やリスクを確認しましょう。
企業が法的責任を問われる可能性がある
第一に、職場でハラスメントが発生すると、直接ハラスメントを行った加害者はもちろん、加害者が所属する企業も責任を問われる可能性があります。
労働安全衛生法において、企業には「職場における労働者の安全と健康の確保」「快適な職場環境の形成促進」が求められています。また、冒頭で述べたように、近年改正された労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法でも、ハラスメント対策が企業に義務づけられました。
そのため、職場でハラスメント行為を認識しながら対策を取らずにいれば、企業側も法律違反として責任を追及されるでしょう。
さらに、「ハラスメントを放置した会社」として世間に広まってしまえば、企業全体のイメージダウンにもつながり、業績悪化を招く恐れがあります。
コンプライアンスや社会的評価の観点から見て、ハラスメント対策は「やらなければならない」取り組みなのです。
職場環境が悪化し、生産性低下を招く
ハラスメントは、従業員の心身や職場の雰囲気に悪影響を及ぼします。これにより、被害者はもとより、周囲の従業員もモチベーションを維持しにくくなるでしょう。
モチベーションの低下は、作業効率の悪化やミスの増加につながります。加害者となっている相手の指示に従い続けることは精神的苦痛を引き起こしますし、ハラスメントが放置されれば部署や会社全体への不信感にもつながります。そうなれば、従業員エンゲージメントも低下し、会社の業績を下げてしまうでしょう。
さらに、ハラスメントが発生すると、ハラスメント対策の担当者は被害者をフォローしつつ状況の調査や環境改善を行わなければなりません。当然、ハラスメント当事者だけでなく周囲の従業員へのヒアリングも行われます。それぞれの従業員が担当業務に使える時間が減り、職場環境への不安も高まるでしょう。
このように、ハラスメントの発生は、当事者と周囲の従業員、ひいては会社全体の生産性を低下させる恐れがあるのです。
離職者が増加し、人材不足に陥る
ハラスメントを受けた被害者は、会社に居づらくなるだけでなく、適応障害やうつ病などで休職・退職せざるを得ない状況になる場合があります。被害者にとって職場は恐れや不安の多い場所となり、働くうえで重要な心理的安全性を確保できないからです。心身に負った傷を癒やすための時間も必要です。
また、あまりに多くのハラスメントが発生すれば、ハラスメント対策担当者が疲弊してしまいます。直接的には被害にあっていない従業員も、雰囲気の悪い職場環境を嫌って離職してしまうかもしれません。
ハラスメントは、多くの従業員に心身の過大な負担を与えます。本来発揮できるはずの能力を発揮しにくい環境では、せっかく採用した人材も流出してしまうでしょう。社会的信頼の低下により、求人を出しても応募者が来ないといった事態も考えられます。
ハラスメントの発生・放置は、百害あって一利無しと考えるべきです。
ハラスメント予防のための対策例
では、具体的にどのようなハラスメント対策を行えばよいのでしょうか。企業におけるハラスメント予防に有効な方法はいくつかありますが、今回はその中から3つご紹介します。
適切なハラスメント対策を講じ、能力を発揮しやすい職場環境の維持に努めましょう。
ハラスメントに関する社内規定を定める
ハラスメントを予防するには、企業が明確な方針やルールを設け、周知する必要があります。
具体的には、ハラスメントの内容や、ハラスメントを行ってはいけないことを従業員に伝えるとともに、ハラスメントの加害者に対してどのような措置をとるか、その方針や対処の内容を就業規則などに規定しましょう。
企業のトップから全社的に取り組むべき課題であると伝えることで、ハラスメント予防に対する従業員の意識を高めることが重要です。ハラスメント防止を伝えるパンフレットや社内報には、会社としての方針以外にも、ハラスメント発生の原因や背景、利用できる制度なども記載するとよいでしょう。
労働者を対象としたハラスメント研修の実施
ハラスメントの問題では、誰もが加害者になる可能性があります。しかし、「だから仕方ない」と放置してはいけません。ハラスメントが起こる原因をもとに、どうすればハラスメントを予防できるか、研修などで繰り返し伝えていきましょう。職位に応じて内容を調整すると、それぞれの従業員がより身近な問題として取り組みやすくなります。
具体的な研修内容は、ハラスメントの種類によって異なります。セクシャルハラスメントでは、定義や判断基準、例とともに、セクシャルハラスメントの被害者が陥りやすい状況と、「ハラスメントは会社の問題である」ことを伝えるとよいでしょう。
パワーハラスメントの場合は、定義や判断基準において、以下のような分類をもとに説明すると理解しやすくなります。
- 身体的・精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大もしくは過少な要求
- 個の侵害
裁判例として1億円を超える損害賠償の支払いが命じられたものもあるため、そうした事例を使ってパワハラが従業員や会社に与える損害を理解してもらいましょう。管理職が自らのハラスメント防止を講じる必要があると認識してもらうことも重要です。
ハラスメント相談窓口の設置
ハラスメントを予防するためのルールづくりや周知・啓発とともに行うべき取り組みに、ハラスメント相談窓口の設置もあります。ハラスメント被害や、ハラスメント発生が疑われる状況について相談しやすい環境を整えることで、早期対応が可能となります。
相談窓口設置に当たって具体的に行うことは、相談対応担当者の選定と相談体制の構築です。どのような手段で相談ができるのか、相談に対してどのような対応を行うのかなどを事前に決めておきましょう。相談窓口の担当者と人事部の連携も重要です。
相談窓口の社内設置が難しければ、外部機関に委託することもできます。窓口を設置したら、従業員に周知しましょう。
人によっては、「ハラスメントの被害にあっていることを打ち明けると事態が悪化するのでは」と不安を抱える場合があります。そのため、プライバシーに配慮すること、相談することでの不利益な取り扱いは発生しないことなども事前に周知してください。
相談窓口の担当者も、ハラスメントに関する知識が必須です。ALL DIFFERENTでは、職場のハラスメントに多いセクハラ・パワハラの基礎知識や対応方法を学べるハラスメント研修をご提供しています。指導とパワハラの違い、雑談とセクハラの境界線を考える実践的な内容となっていますので、職場環境の改善にお役立ていただけます。
ハラスメントが起きたときの対応例
ハラスメント予防の啓発や対策の周知、相談への対応を行っていても、ハラスメントは起きてしまうかもしれません。もしハラスメントが発生した場合、被害者の気持ちに寄り添いながら建設的な解決に向けた対応が必要です。
主な流れや対応のポイントは、次の通りです。
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(1)相談対応と状況把握
- 相談者が安心して話せる状況・手段で話を傾聴し、主張内容と要望を的確に把握する
- プライバシーを確保したうえで、対面・電話・メール・社内イントラネットなど、相談しやすい方法を提供する
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(2)メンタルヘルスケアの実施
- 必要に応じて、相談者のメンタルヘルス不調への相談対応を行う
- 産業医や専門家と連携し、適切なケアを提供する
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(3)事実関係の調査
- 被害者と加害者の双方から、迅速かつ正確に事実関係を確認する
- 必要に応じて第三者からも事実関係を聴取する
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(4)対応方針の決定と実行
- 調査結果に基づき、適切な対応方針を決定する
- 対応に時間がかかる場合は、その理由や必要な期間などを相談者に伝える
-
(5)加害者への対応
- 就業規則などの規定に基づき、加害者に対して懲戒などの必要な措置を講じる
-
(6)再発防止策の実施
- 職場におけるハラスメントに関する会社の方針、ルールを改めて周知・啓発する
- 再発防止のための具体的な対策を実施する
ハラスメント対応は、被害者の保護と職場環境の改善を最優先に、公平かつ迅速に行うことが重要です。決して事態を軽んじることなく、相談者に寄り添いながら状況改善に取り組んでいきましょう。