ビジネスメール返信のマナーとは?知らないとまずい送信方法や書き方



ビジネスシーン返信には、意外と知られていないマナーやルールがあります。迅速で丁寧な対応が与える印象を変えるため、基本的なマナーを心得ておくことが大切です。
本コラムでは、ビジネスメール返信のマナーや、基本となる送信方法、書き方、例文などをご紹介します。
ビジネスメール返信の4つのマナー
ビジネスメールでは、迅速かつ適切な返信が重要です。ここでは、ビジネスメール返信の基本となるマナーを4つご紹介します。
- (1)24時間以内に返信する
- (2)「Re:」はそのまま残す
- (3)元のメールを適切に引用する
- (4)CCで受信した場合は返信しない
注意点を踏まえて、順に見ていきましょう。
(1)24時間以内に返信する
受信したメールは早めに、できれば24時間以内に返信します。すぐに返信できない場合は、「メールを受領しました。後ほど改めてご連絡いたします」のように、受信した旨を伝えましょう。具体的な回答の期日も添えると、さらに丁寧です。
メールを放置すると、誠意がない印象を与える可能性があるため、注意が必要です。日本ビジネスメール協会が実施した「ビジネスメール実態調査2024」では、「7割近い人が、1日(24時間)以内に返信がこないと遅いと感じる」と回答しています。返信の遅れでビジネスチャンスを逃さないよう、迅速な対応を心がけましょう。
*参考:日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2024」
(2)「Re:」はそのまま残す
返信メールの件名に記載される「Re:」は、返信メールであることが一目でわかる役割があります。諸説ありますが、「Re:」はRegarding(〜に関して)やReply(返信)と解釈されることが一般的です。
そのため、基本的には「Re:」を残し、件名は変更せずに返信するのがマナーです。同じ案件のやり取りでは、件名を統一することでスムーズな対応が可能となります。
ただし、何度もメールをやり取りしていると返信した回数だけ「Re:」が続き、件名が読みにくくなることがあります。その際は、「Re:」を1つだけ残して、他は削除するなど調整しても問題ありません。
(3)元のメールを適切に引用する
元のメールを引用する際は「>」の記号を使用します。複数の質問がある場合は、必要な部分を引用して回答することで、わかりやすく表示できます。
<引用の例>
>期限までに間に合いそうですか?
はい。予定通り完了できる見込みです。
(4)CCで受信した場合は返信しない
CCとしてメールを受信した場合、基本的には目を通すだけで問題ありません。担当者同士のやり取りを乱さないよう、不要な返信は避けるのがマナーです。メールの送信者や他の受信者も「特に必要がなければ、返信は不要」という認識でいることがほとんどです。
ただし、次のような場合は返信しましょう。
- 自分宛の質問がある
- 担当者が不在の際に代理で返信する
CCから返信する場合は、「CCから失礼します」といった一言を添えると丁寧です。
ビジネスメール返信はどこまで必要か
ビジネスメールのやり取りをどのタイミングで終了するべきか、誰もが一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。ここでは、ビジネスメールに対してどこまで返信が必要かを具体的に解説します。
お礼メールでやり取りを完了する
ビジネスメールのやり取りは、お礼のメールで完了することが一般的です。相手からお礼メールを受け取った場合、それがやり取り終了の目安となり、追加で返信する必要はありません。
社内では、上司からの「確認しました」や「ありがとう」という連絡を受けた時点で、基本的にはやり取りが終了します。
一方、社外とのやり取りでは、仕事を受注した側がお礼メールを送って、完了するケースもあります。例えば、取引先から「ありがとうございました」と連絡があった場合、以下のように返信するとより丁寧な印象を与えられるでしょう。
<例>
こちらこそありがとうございました。
ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。
締めの文言で終了する
次のような締めの文言が入っている場合も、やり取り終了の目安と考えてよいでしょう。
- ご不明点がございましたらご連絡ください。
- 何かございましたら、ご遠慮なくお知らせください。
- 必要があればこちらからご連絡いたします。
- ご返信には及びません。
目的が果たされている場合、やり取りを続けると相手の負担になることがあります。必要なやり取りが完了した場合は、そのまま終了して問題ありません。
ビジネスメールの基本的な送信方法
ビジネスメールでは、マナーを守り、正確でわかりやすいコミュニケーションが重要です。本文の内容だけでなく、宛先や送信時間など細かな点にも配慮することで、スムーズなやり取りができます。
ここでは、以下の5つのポイントを解説します。
- (1)TO・CC・BCCを正しく使う
- (2)添付ファイルの扱いに配慮する
- (3)署名を表記する
- (4)誤字脱字・ミスがないかチェックする
- (5)営業時間内に送信する
順に見ていきましょう。
(1)TO・CC・BCCを正しく使う
ビジネスメールで起こりやすいミスの1つが宛先設定です。TO・CC・BCCの役割を正しく理解し、使い分けることが重要です。以下の表で、それぞれの役割と特徴を確認しましょう。
宛先 | 役割・特徴 |
---|---|
TO |
|
CC |
|
BCC |
|
CCに設定したアドレスは受信者全員に表示されるため、注意が必要です。プライバシーへの配慮が必要な場合は、BCCを活用してメールアドレスを非表示にするなど、TO・CC・BCCの使い分けを意識し、適切に宛先を設定しましょう。
(2)添付ファイルの扱いに配慮する
ファイルを添付する際は、相手への配慮が必要です。容量が大きすぎたり、特殊な形式のファイルを使ったりすると、受信者がファイルを開けない可能性があります。ファイルは一般的な形式を選び、必要に応じて圧縮するなど、相手の負担を軽減しましょう。
また、ファイル名や添付ファイルがあることを件名や本文に明記し、添付ファイルの存在をわかりやすく伝えます。相手が添付ファイルの存在を見落とすことなく、スムーズに確認できます。
(3)署名を表記する
本文の最後には署名を入れましょう。誰からのメールかが一目でわかり、急ぎの対応が必要な場合も、連絡先がすぐに確認できます。
一般的に、署名には次の情報を入れます。
- 会社名
- 部署名
- 名前
- 住所
- 電話&FAX番号
- メールアドレス
- WebサイトのURL
具体的な署名の例は以下の通りです。
<署名の例>
株式会社〇〇
営業部□□課
佐藤次郎 Jiro Satoh
〒000-0000 東京都〇〇区0-0-0
TEL: 03-0000-0000 FAX: 03-0000-0000
Email: satoh@△△.co.jp
URL: https://△△.co.jp/
(4)誤字脱字・ミスがないかチェックする
ビジネスメールの誤字脱字や記載ミスは、相手に悪い印象を与え、信頼を損ねる原因になります。特に、宛先のミスは情報漏洩のリスクを伴うため、注意が必要です。送信前に以下の項目をチェックしましょう。
- 送信先アドレス
- 相手の名前・部署名
- 件名
- 本文
声に出して読み返すことで、思わぬ誤りに気づくことがあります。また、テンプレートの活用も有効です。
(5)営業時間内に送信する
メールは営業時間内に送信するのが基本的なマナーです。営業時間外に送信すると、相手の退勤時間を妨げたり、プライベートの時間に負担をかけたりする可能性があります。どうしても業務時間外に送る場合は、「業務時間外に失礼いたします」など、一言添えるとよいでしょう。
また、送信予約機能を使えば、翌朝の出勤時間に届くよう設定できます。相手に配慮し、スムーズなコミュニケーションを心がけましょう。
伝わりやすいビジネスメールの書き方
ビジネスメールを作成する際は、「誰に何を伝えるか」を整理し、誤解のないわかりやすい文章を書く必要があります。基本的な書き方のポイントとして、以下のような点が挙げられます。
- 件名と本文は簡潔にまとめる
- 見やすさと読みやすさを意識する
- 正しい日本語を使う
1つずつ確認していきましょう。
件名と本文は簡潔にまとめる
件名や本文は簡潔にまとめ、要点を示します。忙しい相手でもすぐに理解できるよう、以下を意識しましょう。
- 件名:冒頭に【重要】【御礼】【ご質問】などのキーワードを使い、優先度を明示する
- 挨拶:挨拶と名乗りは簡単に済ませる
- 本文:結論を冒頭に書き、何についてのメールか先に伝える
見やすさと読みやすさを意識する
メールは開いてすぐに内容を把握できるよう、見やすく読みやすいことが重要です。以下を意識して書きましょう。
- 適宜改行し、1行20~30文字程度、最大40文字以内にする
- 2~4行ごとに1行あけ、視認性を高める
- 複数の情報は箇条書きにする
- 項目ごとに間隔をあける
正しい日本語を使う
ビジネスシーンでは、正しくわかりやすい日本語を使うことが重要です。以下のポイントをおさえて、誤解のないやり取りを目指しましょう。
- 主語と述語を明確にする
- 専門用語や曖昧な表現を避ける
- 1文50文字以内で書く
- 正しい敬語を使う
1つずつ詳しく解説します。
主語と述語を明確にする
主語と述語がはっきりしない文章は、相手に誤解を与えやすくなります。「誰が、何を、どうするか」をしっかり示しましょう。
専門用語や曖昧な表現を避ける
曖昧な表現や専門用語は相手を混乱させる原因になります。誰でも理解しやすい一般的な言葉を使い、伝わりやすさを意識しましょう。また、ビジネスメールでは顔文字の使用は避けたほうがよいでしょう。
1文50文字以内で書く
1文は50文字以内を目安に簡潔に書きます。長くなる場合は2文に分けるなど工夫しましょう。
正しい敬語を使う
敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)を正しく使うことが重要です。
- 尊敬語:相手を高めて敬意を表す(例:ご覧になる)
- 謙譲語:自分の立場を下げて相手への敬意を示す(例:拝見する)
- 丁寧語:丁寧な表現(例:見ます)
また、「ご覧になられましたでしょうか」といった表現は、二重敬語に当たります。過剰な表現は、相手に不快感を与える可能性があるため避けましょう。「~させていただく」は「~させてもらう」の謙譲語で誤りではありませんが、文化庁の「敬語の指針」でも誤用が多いと指摘されており、使用時には注意が必要です。
ビジネスメールの基本やマナーをおさえることで、相手に誤解を与えず、スムーズなやり取りが可能になります。さらに実践的に学びたい方には、ALL DIFFERENTが提供する新入社員や若手社員向けの研修がおすすめです。現場で役立つスキルを基礎から学べます。
ビジネスメール返信の例文
ビジネスシーンでは、円滑なコミュニケーションのため、丁寧なメール対応が求められます。ここでは、様々なシーンにおけるビジネスメールの返信例をご紹介します。返信内容によって異なるポイントをおさえ、相手に配慮した対応を心がけましょう。
問い合わせに対する返信
問い合わせに対する返信では、迅速かつ丁寧な対応が重要です。
<例>
件名 Re:X製品の生産再開予定について
本文
〇〇株式会社
第一営業部
田中 太郎様
平素は大変お世話になっております。
株式会社△△ 開発本部の佐藤 次郎です。
このたびは、弊社のX製品についてお問い合わせいただき誠にありがとうございます。
>X製品の生産再開の予定はありますか?
大変恐れ入りますが、現時点では、X製品の生産再開の予定はございません。
後継製品であるY製品について、詳しい説明をご希望の場合は、営業担当がご案内いたします。
ご希望の日程をお知らせいただければ幸いです。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
(署名)
日程調整に対する返信
日程調整では、候補日を箇条書きにするなど明確に提示し、相手が選びやすいよう配慮しましょう。
<例>
件名 Re:打ち合わせの日程について
〇〇株式会社
営業部 田中 太郎様
お世話になっております。ご連絡ありがとうございます。
>打ち合わせの日程、いつがご都合よろしいでしょうか?
以下の候補日をご提案いたします。
- 1. 12月11日(水)10:00〜12:00
- 2. 12月13日(金)終日
- 3. 12月17日(火)15:00〜17:00
ご都合の良い日時をご指定いただければ幸いです。
難しい場合は再調整いたしますので、お知らせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(署名)
謝罪に対する返信
取引先などから謝罪のメールを受け取った場合は、相手の誠意を受け止め、今後の関係性に配慮した返信を心がけましょう。
<例>
件名 Re:納品遅延のお詫びについて
〇〇株式会社
田中 太郎様
お世話になっております。
ご連絡ありがとうございます。
このたびは、ご丁寧なご報告とお詫びのメールをいただき、ありがとうございます。
ご提示いただいた納品予定日(12月17日)で問題ございません。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
(署名)
異動のお知らせに対する返信
異動のお知らせに返信する場合は、これまでの関係に感謝を示し、新たなポジションでの活躍を祝う表現を意識します。
<例>
件名 Re:異動のご連絡
〇〇株式会社
営業部 山田 花子様
お世話になっております。株式会社△△の佐藤です。
このたびはご異動のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
これまで多大なるご指導を賜り、心より感謝申し上げます。
新天地でのさらなるご活躍をお祈りいたします。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
(署名)
お客さまからの問い合わせに対する返信
顧客からの問い合わせに返信する際は、所属を明らかにし、丁寧でわかりやすい説明を心がけます。簡潔な説明を意識しましょう。
<例>
件名 Re:年末年始の営業時間の確認について
田中 花子様
いつもご利用いただき、誠にありがとうございます。
△△株式会社の佐藤太郎と申します。
年末年始の営業時間について、お問い合わせいただき、ありがとうございます。
12月30日から1月3日までは、下記の時間で営業いたします。
- ・平日 10:00~16:00
- ・土日祝日 休業
ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
(署名)
信頼されるビジネスメール返信を心がけよう
メールの返信1つで信頼を失うこともあれば、逆に信頼を築くこともできます。社外、社内の関係者から信頼を得るためには、社員一人ひとりがビジネスメールのマナーを習得して実践することが重要です。
しかし、自発的な学びや先輩社員からの指導だけでは、習得レベルに差が出やすくなります。この差を減らし、短期間で対応力を高めるためには、入社時にビジネスメールの基本やマナーを学ぶ研修の活用がおすすめです。
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