ビジネスマナーとは?相手目線に立ちビジネスを円滑に進めるために
本コラムではビジネスマナーの重要性、種類、身につける方法など、社会人として成長していくために押さえておきたい「ビジネスマナーの基本」をお伝えします。
ビジネスマナーとは
社会人にビジネスマナーが求められるのはなぜ?
ビジネスマナーは社会人にとって最も基本的なスキルであり、社会人ならできて当然と考えられているスキルでもあります。ビジネスマナーは入社直後の新入社員に研修で取り扱うことが多いテーマであるため、ビジネスパーソンが社会に出てまず身につける必要のあるスキルだと言えます。それではなぜ、ビジネスマナーは習得しなければならないのでしょうか。
ビジネスマナーが求められる理由は「相手に不快な思いをさせず、良好な人間関係を築くため」です。
ビジネスでは、必ず顧客や上司、同僚といった「相手」が存在します。適切なビジネスマナーを習得し、実践できている場合は、関わった相手に良い印象を与え、良好な関係性を築くことにつながります。仕事を進めやすくするためにも、相手への「気を遣う気持ち」を表すビジネスマナーを正しく身につけましょう。
ビジネスマナーを習得していないことで起こるリスク
それでは、適切なビジネスマナーを習得できていない場合どうなるのでしょうか。 習得できていないと個人への印象のみならず、所属している部署や組織、企業全体への悪印象につながります。
例えば、あなたがA社へ訪問しているとします。社内ですれちがったA社の社員が、こちらをちらっと見るだけで一切挨拶をしなかったとしたら、どう感じますか。感じ方は人それぞれですが「A社の社員は感じ悪いな」と悪印象を抱き、極端に言えば「A社とあまり仕事したくないな」と思ってしまうこともあるかもしれません。 このように相手目線で見ると、従業員一人ひとりは会社・組織の代表なのです。
そのため、自分が適切なビジネスマナーを習得できないことによって、上司・同僚だけでなく、組織や会社全体にも迷惑がかかることを理解しておくことが大切です。 社内外問わず、協働者との関係性悪化やクレーム、契約破棄などのトラブルを未然に防ぐためにもビジネスマナーは必要なスキルなのです。
ですが、ビジネスマナーの形式ばかりにとらわれるのは逆効果です。そもそもマナーとは「相手への気遣いを行動に表したもの」です。マナーの形式や手順にこだわり、相手への気遣いという本来の目的が果たされなければ、かえって相手に悪い印象を与えることになりかねません。
例えば、あなたが購入したばかりの電化製品が動かず、サポートセンターに電話をかけていることを想像してください。
応対したカスタマーサポートの社員が、ビジネスマナー研修のような手順通りの受け答えを徹底するあまり、丁寧ではあるがなかなか自分の要望を伝えることができなかった場合、どのように感じるでしょうか。
マナーが守られているので失礼な態度ではありませんが、良い印象も持ちにくいのではないでしょうか。マナーを重要視しすぎて、相手の状態を汲み取れていないことは結果として気遣いが欠けていることにつながります。
形式にとらわれすぎず、時には臨機応変に対応することもビジネスマナーの本質なのです。
これだけは身につけておきたい!6つの基本的なビジネスマナー
続いて、社会人が最低限身につけておきたい基本的なビジネスマナー6つについてご紹介します。
ひとつ質問です。第一印象がどれだけの時間で形成されるかご存知ですか。
第一印象は、出会って3~5秒で形成されると言われています。たった3~5秒で、印象やイメージは決まってしまうのです。
心理学者のメラビアンの研究によると、第一印象を決定づける要因は言語情報7%、聴覚情報38%、視覚情報55%であると言われています。つまり、話す内容よりも声のトーンや発声(聴覚情報)、身だしなみや笑顔(視覚情報)によって第一印象は形成されるのです。
聴覚・視覚情報を改善することによって、より良い印象を相手に与えることができます。
以上のことを踏まえて、基本的なビジネスマナー6つについて考えてみましょう。
1.身だしなみ
身だしなみは相手に良い印象を与えるためには重要な要素となります。特にビジネスシーンでは第一印象が重視されるため、"見た目"は非常に重要です。出会った瞬間から良い印象を与えて、相手と良好な関係を築きましょう。
身だしなみで最も重要視する要素は「清潔感」です。TPOを考えながら、業界や仕事に合わせて身だしなみを整えることが大事です。
身だしなみを指導する際のポイント
- 良い例と悪い例を、イラストや写真を用いて説明する
- ペアを作り、相互チェックを実施させ、改善点を指摘させ合う
2.姿勢・お辞儀
身だしなみに加えて、姿勢やお辞儀も第一印象に大きな影響力があります。また、お辞儀や姿勢は初対面の時だけでなく、日々の報連相や挨拶などでも必要な機会は多くなります。必要な時だけではなく、常に良い状態でいられるように日々の習慣づけが必要です。姿勢は背筋を伸ばして胸を張り、かかとがついた状態を保つことがポイントとなります。
基本姿勢のポイント<立つ時の姿勢>
- (1)背筋を伸ばす
- (2)胸を張る
- (3)手は足の横にまっすぐ添える、またはへそのあたりで重ねる
- (4)かかとをつける
お辞儀は頭を下げる角度によって意味が変わります。会釈は15°、敬礼は30°、最敬礼は45°となります。寸分の狂いもなくお辞儀をする、ということに意味はありませんが、求められるお辞儀は場面によって変わります。
例えば、社長の前では最敬礼を使っても、上司の前で最敬礼をする必要はありません。お辞儀をする相手やシーンによって適切なお辞儀ができているようになりましょう。
姿勢、お辞儀を身につけさせる際のポイント
- 適切な姿勢、お辞儀のポイントを繰り返し練習させる
- 新入社員に実演させ、フィードバックを与える
3.挨拶
挨拶は相手に良い印象を与え、良い関係を構築するために欠かせないものです。身につけるべきビジネスマナーの第一歩として、挨拶を重要視している会社は非常に多く存在します。
皆さんは、朝出社した際に挨拶はされていますか?挨拶とは、「自分の心を開くことで、相手に心を開いてもらう行為」です。社内外問わず、挨拶は相手との信頼関係を築くための大事な行為なのです。
前述の通り、第一印象は出会って3~5秒で形成されます。以下のポイントをおさえて、挨拶をしてみましょう。
正しい挨拶のポイント
- (1)姿勢を正す:胸を張り、背筋を伸ばした姿勢にする
- (2)発声をよくする:大きな声でハキハキと話す
- (3)表情を笑顔にする(口角を上げる):相手の顔を見て、口角を上げて話す
挨拶を指導する際のポイント
- 適切な挨拶のポイントを繰り返し練習させる
- 新入社員に実演させ、フィードバックを与える
なお、相手よりも先に自分から挨拶をすることも心がけましょう。挨拶は、相手の存在を認める行為ともいわれています。挨拶をしないことは、相手の存在を無視しているのと同じと思われてしまいます。
4.言葉遣い
ビジネスの世界では、相手への敬意を表す手段として丁寧語、尊敬語、謙譲語を使い分けることが必要になります。基本は丁寧語を使用し、上司など目上の方に対して、相手を高めて敬意を払う場合は尊敬語、自分や自分側を低めることで相手を高める場合は謙譲語を使用します。各敬語の基本表現を覚え、適切な場面で適切な表現ができるようになっていることが、理想の姿です。
言葉遣いを指導する際のポイント
- 日々の文面をチェックし、フィードバックを与える
5.名刺交換
適切な名刺交換ができない場合、相手に不信感を与えてしまうことになるため、手順やポイントはしっかり押さえておきましょう。 前提として、名刺はその人の顔・分身だと思いましょう。名刺を粗雑に扱うことは、相手を粗雑に扱うことと同義となり、敬意の欠けた行為になります。
名刺交換の流れ
- (1)名刺入れをスムーズに取り出す
- (2)右手に名刺、左手に名刺入れを持つ*指でロゴや名前を隠さないようにする
- (3)相手の目を見て、正式な会社名と名前を名乗る*立場が下の人から名乗るようにする
- (4)「よろしくお願いします」と互いに挨拶をする
- (5)挨拶をしながら相手の名刺入れの上に名刺をまっすぐ差し出す*大きく上から置くと失礼になる
- (6)相手の目を見ながら「頂戴いたします」と言って両手で受け取った後、胸の前で相手の名刺(名前など)を確認する
名刺交換を指導する際のポイント
- ロールプレイングを行い、適切な流れを身につけさせる
- 新入社員に実演させ、フィードバックを与える
6.電話応対
電話応対は企業イメージを左右する重要な業務です。しかし新入社員の中には、友人とのコミュニケーションはほぼチャットを利用しており、知らない人と電話で話した経験がないという方も多いのではないでしょうか。そのため、ビジネスマナー研修の中でも電話応対に力を入れる会社は非常に多くあります。
ビジネスの場で自分の意図が適切に伝わらない、あるいは相手の意図を正確に把握できていないことは、仕事を進めるうえでトラブルを起こしかねません。さらに、企業の印象を下げることにもつながりかねません。
特に電話は声だけのコミュニケーションです。
声が小さく何度も聞き返す、相づちをしない、質問に対して的確な回答ができない...もしあなたが電話の向こうの相手に同じ対応をされたらどのように感じるでしょうか。
電話応対は、対面で話すよりもいっそう意識的に声の大きさや抑揚、相づちのようなリアクションに気を遣う必要があるのです。
繰り返しになりますが、相手の方から見れば、社員一人ひとりが会社・組織の代表となっています。たとえ新入社員であっても同様です。電話応対が適切にできていない従業員が一人でもいる場合、企業全体の信頼を失うことにつながります。逆に電話応対の質が高ければ顧客満足度や企業の印象向上につながるため、力を入れるべきビジネスマナーと言えます。
電話応対のポイント
- (1)明るく話す:笑顔が相手に伝わるような明るい声を心がける
- (2)丁寧に話す:対面時よりも丁寧に話し、敬語の使い間違いに気をつける
- (3)姿勢を正す:姿勢を伸ばすと声の通りが良くなる
- (4)正確に聞き取る:伝言やメモは内容の正確さが重要となるため、必ず復唱して確認する
電話応対を指導する際のポイント
- ケーススタディやロールプレイングを行い、臨機応変な対応力を身につけさせる
上記でご紹介したマナー以外にも、会議室やエレベーター・タクシーなどにおける上座・下座や、ビジネス上のメール文章の書き方などのマナーがあるため、場面に応じて習得する必要があります。
ビジネスマナーは無意識で実践できるようになることがゴール
ビジネスマナーを習得するステップ
ビジネスマナーは聞いただけ、知っているだけではなく、実践できるようになることが大事です。実践できるようになるまでには以下のステップで習得することが効果的です。
- (1)ビジネスマナーの重要性・未習得により起こるリスクを知る
- (2)正しい作法・マナーを知る
- (3)正しい作法・マナーを実践する
- (4)他者からフィードバックをもらい、自身の改善点を理解し改善する
ビジネスマナーは一朝一夕で身につけられるものではありません。また知識として知っているだけでは習得しているとは言えず、自分一人で実行すると誤ったマナーを身に付けてしまう恐れがあります。実践して他者からフィードバックをもらうことで、自分では気づけない改善点が明確になり、ビジネスマナーを習得しやすくなります。より早く正しいビジネスマナーを習得するためにも、上司や先輩、同僚のサポートが必要不可欠となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本コラムでは、ビジネスマナーに関する知識の一部をご紹介いたしました。まだまだたくさんのビジネスマナーや作法がございます。社会人としての理想の姿は、これらのビジネスマナーを無意識でできるようになることです。ビジネスマナーを身につけるには本人の努力も必要ですが、先輩社員や周りのフォロー・サポートによって定着度が変わってきます。ビジネスマナーは社会人としての価値を高めるために必要なスキルです。ぜひ会社全体でビジネスマナー定着に力を入れてみてはいかがでしょうか。
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