プレゼンテーション|相手の心に届くプレゼンテーションのコツ
本コラムでは、成果につながるプレゼンテーションの「事前準備」と「話し方」、明日から使えるプレゼンテーション上達のコツを多数ご紹介します。
なぜあなたのプレゼンテーションは相手の心に届かないのか?
プレゼンが終わるや否や、お客様から拍手とお褒めの言葉が浴びせられる。Apple が新商品の発表をするたびに見られる光景です。一度でも良いから、こんなプレゼンをしてみたいものです。
でも、現実はそううまくはいかず、「以上で弊社からのプレゼンテーションを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました」と締めくくっても、誰も手元の資料から顔を上げてくれず眠そうな顔をしている、という経験をされた方も多いことでしょう。
相手の心に響く上手なプレゼンと、眠気を誘うプレゼン。この違いはなぜ生まれるのでしょうか?
先に結論を言えば、
『拍手をもらえる人は相手の課題や問題点を想定し、その解決を自社サービスがお手伝いできることを伝えようとしている』
『顔を上げてもらえない人は、自社サービスや商品のスペックなど、一方的に自分たちが伝えたいことだけを説明しようとしている 』
という違いがあるのです。
プレゼンテーション終了時に、相手にこちらの想いが伝わっていないな、刺さっていないな、と感じる方はまず、「ご自身のプレゼンが、お客様の抱えるどんな課題に刺さるのか」が明確になっているか、という点を見直してみてください。
これはプレゼンテーションの場に限らず、営業現場でも同じです。相手の課題を聞き出して、それならば弊社サービスがお役に立てるかもしれません、と言えるのが営業マン。
自社のサービスのスペックや商品知識などをただ早口で話すだけなのが説明マン、と言われています。
プレゼンや営業が上手な人は、「相手の立場で考える」のに長けているのですね。
プレゼンテーションの語源はプレゼント
少し前に、iPhoneのCMで「そう、iPhoneならね」と流れていたのを覚えていますか?実際は少しだけ違って、「そう、iPhone以外ではね」(英語ではOnly on the iPhone.)」なのですが、このメッセージの本意は、「あなたの生活をより豊かにできますよ。iPhoneを使いさえすればね」ということです。
iPhoneが出るまでの携帯電話は、「持ち運びができる電話機」でしかありませんでしたが、AppleはiPhoneを「持っていることが喜びやステータスになる。自慢できる。ゲームもできて音楽も聴けるもの」と定義し開発をしました。あなたの生活をより豊かにすることができるiPhoneをついにお届けできるようになりました!というように、プレゼンテーションは、話を聞く人にとってその話自体がプレゼントになることが理想なのです。
つまらないプレゼンをする人は、用意した資料かパワポの投影画像をひたすら見ながら、顔を上げず、対象者の目を見ることなく、ひたすらスペックや前モデルとの違いを読み上げ続けます。これは相手にプレゼントを贈っていることになるでしょうか?
「今日は御業界、そして御社が数十年にわたって抱えてこられた課題を解決できるサービスをご提案させていただきます。ポイントは3つあります。1つ目は・・・」というイントロから始まるプレゼンを、相手の目を順番に見ながらゆっくりと行えば、相手もきっと興味を持ってくださるでしょう。
相手に伝わるプレゼンテーションのコツ|事前準備
では、相手に伝わるプレゼンテーション を行うための事前準備について考えてみましょう。プレゼン前の準備には大きく5種類あります。
- 1. 「相手は誰か」「課題は何か」の想定
- 2. 「結論」と「根拠」の準備
- 3. 「モノ」の準備
- 4. 「ロープレ」の実施
- 5. 「100本ノック」の実施
1. 「相手は誰か」「課題は何か」の想定
プレゼン対象者が、決裁権を持つ取締役なのか現場のリーダーなのかで、直面している課題はまったく異なります。
対象者が経営陣ならば、売上アップやコストダウン、会社の成長につながる話をメインに行い、対象者が現場リーダーならば、現場を円滑に回せることや生産性が上がるなどの話をするなど、同じ商品・サービスをプレゼンする場合でも、聞き手が違えば訴求するポイントも変わってくるからです。
2. 「結論」と「根拠」の準備
対象者によって異なりますが、プレゼンは最初のインパクト(自分たちの課題を解決してくれるといった期待を持たせてくれる)、と最後の締め方(最初に感じた期待は間違っていなかったと感じさせてくれる)で相手の心証が全く変わってきます。対象者の抱える課題に合わせた、提案=結論をしっかりと決め、プレゼンの最初と最後に2回、サンドイッチ方式で結論を言い切る準備をしましょう。
プレゼンテーションにおいて、最初に結論から話す方法は"PREP法"と呼ばれています。
結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、結論(Point)順で話を進めるというものです。
例えば顧客管理システムのプレゼンテーションで考えると、
結論:弊社の顧客管理システムを導入していただくと、貴社の3つの課題を解決できます。
理由:5つの便利な機能があるからです。
具体例:例えば、商談内容を音声で入力ができ、入力時間が今までよりも半分になります。
結論:よって、貴社の3つの課題を解決できます。
という話の展開になります。
PREP法と聞くと難しいように感じるかもしれませんが、上記のように結論から話し始めて最後に改めて結論を言ったほうが、相手に話が伝わりやすくなりそうだ、ということはご理解いただけるかと思います。
3. 「モノ」の準備
配布資料の印刷、資料を投影するためのプロジェクター・スクリーン、レーザーポインター、サンプル品など、「物」として用意できるものを準備しましょう。
4. 「ロープレ」の実施
ぶっつけ本番でプレゼンがうまくいくことは決してありません。資料にはない情報をどのタイミングで、どのように話すのか。またその情報を話すことは聴衆にどのような効果をもたらすのか、といったこともロープレを通じて検証しましょう。
5. 「100本ノック」の実施
自身で行ったプレゼンロープレを動画で撮り、何度も見返しながら100回ロープレを繰り返す覚悟で、徹底的にプレゼンの練習をしましょう。 スティーブ・ジョブズ氏でさえ、プレゼンの前に何度も何度も練習をしていたそうです。
2. でお伝えした「結論」を最初と最後にしっかりと自信を持って言いきれているか 、また自信をもって伝えているその結論の根拠は、客観的に見ておかしくないか?を確認することが重要です。
相手に伝わるプレゼンテーションのコツ|話し方
では次に、上手なプレゼンテーションを行うための話し方についてお伝えします。先ほども例に出した「顧客管理システムをA社に導入してもらうため」のプレゼンテーションをイメージしてみましょう。
上手なプレゼンテーションを行うための話し方にはポイントが3つあります。
- 1. 結論を最初と最後に言う
- 2. 難しい言葉、専門用語は使わない
- 3. 話すスピードと声の大きさを意図的に変える
1. 結論を最初と最後に言う
プレゼンの成否は、準備2. でお話した結論をどれだけ相手に刺さるように伝えられるか、にかかってきます。プレゼン冒頭で結論から言い、プレゼンの結びで再度結論をお伝えすることで、相手にインパクトを与えましょう。
2. 難しい言葉、専門用語は使わない
事前準備1. でもお伝えしましたが、プレゼンの対象者によって、課題や話すべき内容は変わってきます。また、現場の方にしか理解していただけないような専門用語は、経営者には聞きなじみがないので、使わないほうが無難です。
「弊社のCRMはリージョンフィットなので、シームレスかつホリゾンタルにお使いいただけます」など、相手が理解できない言葉を使った瞬間に、相手の聞く耳は閉じてしまいます。
3. 話すスピードと声の大きさを意図的に変える
スティーブ・ジョブズ氏でも孫正義氏でも、プレゼンを聞いていると非常にゆっくり話す場面と、早口でまくしたてる場面とがあります。結論など重要なことは、大きな声でゆっくりと、途中の開発秘話などの物語的な部分は少し早めに話すなど、話すスピードと声の大きさ、表情などを調整することで、相手の心に刺さるプレゼンテーションができるようになります。
いかがでしょうか?プレゼンテーションを成功させるためには「相手の立場で考えること」と「結論から話すこと」が一番のポイントです。
「ご自身や部下のプレゼンテーション力を向上させたい」という方はぜひこちらの研修にご参加ください。