ロジカルシンキング(論理的思考力)の鍛え方とは ?メリットやフレームワークについて
自身はもちろん、社員にもロジカルシンキングのスキルを鍛えてもらうためには何をすればよいのでしょうか。
本コラムでは、ロジカルシンキングとはそもそも何か、身につけるメリット・デメリット、思考を鍛えられるフレームワーク、ロジカルシンキングが身につくALL DIFFERENT株式会社の研修などをご紹介します。
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングは、「Logical」と「Thinking」を合わせた、和製英語です。「筋道の通った考え方や説明」「主張や意見の根拠が明確であること」と定義されています。
また、経済同友会が2014年実施した「企業の採用と教育に関するアンケート調査」※では、面接段階で重視する能力の1位にあげられています。他のビジネススキルを発揮するための前提条件でもあり、新人や若手社員のうちから、鍛えておきたい基本的スキルです。
ロジカルシンキングを鍛えるメリット
ビジネスシーンでのコミュニケーション向上
ロジカルシンキングが身につくと、物事の本質を捉えることができます。そのため、異なる業種間や立場でのやりとりも円滑に行えるのがメリットです。
例えば、自部署内でのみ通じる言葉や業務フローがあり、それが他部署には通じないとします。そんな時、自分たちだけの共通言語・やり方に固執してしまっては、業務の遂行に支障が出るでしょう。しかし、ロジカルシンキングのスキルがあれば、自部署で行っていることを本質的・客観的に捉えて他部署へスムーズに伝えられます。
社内はもちろん、社外でのやりとりでも同様です。
問題を解決するスキルがつく
ビジネスとは、課題の抽出と解決で成り立っていると言っても過言ではありません。新しい商品やサービスを生み出すのはもちろん、日々の業務効率化もビジネスパーソンにとっては命題です。
ロジカルシンキングが身につくと表面化している問題に着目し、そこから考えられる原因の仮説を立て、それぞれの解決策を仮定。そして、問題の解決を目指すことができるようになります。
仮説ではうまくいったことが、実際にはあまり効果が得られないこともあるでしょう。そんな時も論理的に考えて何が失敗だったのか、次に活かせる手はあるかなどを考えられるようになります。
生産性の向上
ロジカルシンキングが身につくと適切な課題の抽出と改善ができます。結果として生産性の向上が期待できます。
また、達成すべき目標に対して、どのように仕事を組み立てていけばよいか考える力も、ロジカルシンキングの1つです。
例えば、「仕事が遅い」部下がいたとします。本人に「仕事を効率化してスピードを上げてくれ」と伝えていますが、なかなか結果が出ません。何故かというと、具体的にどんな課題があるかが見えていないためです。「仕事が遅い」と一口にいっても、作業スピードが遅いのか、本人のキャパシティを超えた業務量なのか、指示を出す側に問題があるのかはわかりません。
ロジカルシンキングを活かし、問題を探り、適切な課題抽出ができれば、仕事のスピードが改善されるので生産性は向上するでしょう。
ロジカルシンキング(論理的思考力)を鍛える方法
思考を言語化する癖をつける
ロジカルシンキングを鍛えるために、自分自身の考えを言葉で説明してみましょう。
その際は曖昧な言葉は使用しないようにします。
数的な根拠を加えるよう意識すると、より具体的になるのでおすすめです。
思考をとどめずに説明すると、時に相手から客観的な意見をもらう場合もあるでしょう。
また、自分の考え方のクセを知れば、「そうならないためにはどうするか」と、より思考を深められます。
日本は、ハイコンテクスト文化の国です。「場の空気を読む」「察する」が美学とされてきました。
しかし、グローバル化している現代のビジネスシーンにおいては、具体的な言葉で伝えることが大切です。
演繹法や帰納法を用いてみる
演繹法や帰納法は、推論の方法であり、ロジカルシンキングの一種。演繹法は、多数の既知の事実を前提とし、結論や個別的命題を見つける思考法です。
対して、帰納法では、数々の経験的事実から、同一の傾向を抽出して、結論や普遍的命題に持っていきます。
両者とも課題解決のフレームワークとして、ビジネスシーンで活用されています。業務に取り組む際には、演繹法や帰納法を用いて仮説を立てる癖をつけてみましょう。
ゼロベース思考・ファクトベース思考で考える
ゼロベース思考は、過去の経験や知識をいったん白紙にして自由に考える思考法です。従来の成功手法で思ったような成果が出ない時に用いて、新たなアイデアを創造します。
ファクトベース思考とは、正確に把握された事実を元に考える方法。数値化されたデータを基に考える、具体的な事象・情報を収集整理して考えます。説得力のある手法ですが、時間と手間がかかることが、デメリットです。 どちらも、本来の目的に立ち返って「本当に必要なことは何か」を掴む必要があることから、ロジカルシンキングを鍛えるのに適した思考法と言えます。
ロジカルシンキングの代表的なフレームワーク
5W1H
5W1Hは、「When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)したのか?」を表し、ビジネス上の主要な要素を分解する際に用いられます。
5W1Hを押さえると、必要な情報の道筋を立てて整理できます。When、Where、Who、Whatを先に確認すると、 Why、Howにつなげることができ、問題解決にも使用できます。
PDCA
「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」の頭文字で、P→D→C→Aの順に行います。
業務遂行プロセスを分解する際に用いられ、継続的な業務改善の手法として使われます。
1周したら、次のP(計画)の際に実施した内容を振り返って、改善していきます。日本では、1950年代頃から、生産現場における品質管理に取り入れられ、現在では業種を問わず広く活用されています。
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3C・5C分析
3Cは、市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字をとったもの。
事業や商品のターゲットとなる市場環境を分析する際に用いるフレームワークです。
3C分析の目的は、3つの観点から、ビジネスのKSF(key success factor=成功要因)を見つけることです。その結果、事業の進行方向が明確になります。
最近では、中間顧客(Customer)、地域社会(Community)を加えた5C分析も、主流になっています。
PEST(ペスト)分析
PESTは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの視点から、企業取り巻く「マクロ環境」を分析するフレームワーク。世の中全体の変化である「マクロ環境」を分析することで、事業戦略などの課題を発見できます。情報収集・整理したうえで、予測を立てるところまでがPESTの目的です。
MECE(ミーシー)
MECEとは、Mutually(相互に)、Exclusive(重複せず)、Collectively(全体に)、Exhaustive(漏れがない)の頭文字をとったものです。ロジカルシンキングのベースとなる考え方であり、「漏れなくダブりなく、全体を網羅すること」を意味します。
ある課題に対して行うアクションに漏れがあれば、課題解決が遅れたり頓挫したりといったリスクがあります。
行動にダブりがあると、無駄にリソースを割いてしまうでしょう。
課題の抽出や解決策を出したあとは、MECEを意識して漏れやダブりのないようにしましょう。スマートフォンのメモや紙などに書き出して可視化すると、よりわかりやすくなります。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、さまざまな問題の原因や解決法を見つけるための課題解決のフレームワークです。問題をツリー状やピラミッド状の図に分解したもので、言葉ではなく、視覚的に情報を整理する際に用いられます。
ポイントは、順序だてて図にしていくこと。「課題→解決案→やるべき行動」のように、ロジックがつながっていることが前提です。同様に、図で考えを整理するマインドマップがありますが、発想を波紋のように自由に書き込んでいく点がロジックツリーとは異なります。
ロジックツリーの利点は、物事を視覚的に整理するため、問題を取り巻く全体像を掴みやすいこと。
また、図にまとまっているので、MECEの「漏れなくダブりなく」を意識しやすいのもメリットです。
ロジカルシンキングを鍛えたい方におすすめのロジカルシンキング研修
ALL DIFFERENT株式会社のロジカルシンキング研修は、実践的な内容で、受講者満足度も93%と非常に高い評価をいただいています。また、複数の研修を組み合わせて受講いただくと、それぞれに求められるスキルを効果的に拡充することも可能です。
【基礎】ロジカルシンキング研修
『【基礎】ロジカルシンキング研修』は、自分の考えがうまくまとまらない・上司に報告してもうまく伝わらないなど、思考力に自信が持てない、または、思考力を高めたい社員に向けた研修です。ロジカルシンキングを実践しているが、自分の思考力のレベルや改善点などについてフィードバックを受けたい社員にもおすすめです。
自社で研修・フィードバックできるリソースがない場合にもぜひご活用ください。研修を通じて「誰が聞いても前後の流れがつながっている話」を組み立てるスキルが身につきます。
論理的思考力ブラッシュアップ研修<前編・後編>
『論理的思考力ブラッシュアップ研修<前編・後編>』は、「【基礎】ロジカルシンキング」や「【実践】ロジカルシンキング」を受講済みの方に、さらに高い論理的思考力を身につけていただくための研修です。
前編では思考法やフレームワークの振り返りを行って宿題を設定。後編では、宿題の答え合わせや新たなケーススタディを学び、論理的に考える力を鍛えます。