スピーチを成功させる4つのコツ|求められる準備と訓練

published公開日:2024.03.21
スピーチを成功させる4つのコツ|求められる準備と訓練
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ビジネスの場でスピーチを求められて、内心慌てた経験がある方は多いのではないでしょうか。本番で頭が真っ白になってしまい、苦手意識を強めた方もいるかもしれません。

本コラムでは、スピーチがうまくいかない理由や成功させるための4つのコツ、必要な準備、使えるアイデア等を解説します。

スピーチがうまくいかない3つの理由

ビジネスシーンでは、会社の朝礼や辞令のあいさつなどでスピーチを求められることがあります。

多くの方の前で緊張してしまう、話がうまくまとまらない、せっかく覚えた内容を忘れてしまうなど、悩みは人それぞれ。本番で思うような発表ができず、ますます苦手意識を強めた方もいるでしょう。

そこで、スピーチがうまくいかない主な理由3つについて、まずは確認していきましょう。

そもそも人前で話す経験が少ない

1つめの理由は、人前で話す経験の少なさです。日本人の多くは、人前で話す訓練をあまり受けていないため、スピーチを苦手に感じる傾向があります。

学校の授業を思い出してみてください。先生が教壇に立って話し、生徒は黙って授業を聞くというスタイルが中心ではありませんでしたか。積極的に質問したり、人前で自分の考えを話したりする機会が少なく、「先生から質問されても一言答えるだけ」という場面が多かったのではないでしょうか。

一方、例えばアメリカでは、幼稚園や小学校の頃から日常的に「話す」レッスンが行われています。最近楽しかったことや印象深かったことをみんなの前で発表する“share time”や、季節やテーマに沿って発表する“show and tell”など、人前で話す機会が授業で多く取り入れられているのです。

外国出身の話し手を見ると、人前で話す際にとても堂々として見えます。それは、幼い頃からの訓練によって身についたスキルといえるでしょう。

準備や練習が不足している

2つめの理由は、準備や練習の不足です。

どんなに話し上手な方でも、ぶっつけ本番で完璧なスピーチを行うことは至難の業。大切なスピーチであればあるほど、どんなことを伝えたいのかを明らかにし、話の内容や構成を考えておかなければなりません。その場で考えながら話しはじめれば、聞き手にとってわかりづらい話の順序や表現になってしまうでしょう。

元NHKキャスターでスピーチコンサルタントの矢野香氏によると、「スピーチの準備は『本番の10倍』が目安」とのこと。つまり、3分のスピーチなら30分の準備が求められる計算です。

スピーチで失敗した時に十分な準備や練習ができていたでしょうか。これを毎回振り返ることで、うまくなるヒントがきっと見えてきます。

完璧にやろうとしすぎている

3つめは、完璧主義です。完璧にやろうとしすぎることも、スピーチがうまくいかない要因。人前で完璧に振る舞おうとするほど緊張し、ミスしてはいけないと強く思うほど、かえってミスを誘発しやすくなるものだからです。

これには、練習した原稿の通りに、一言一句間違えずに話そうとすることも含まれます。文章を読み上げることに夢中で棒読みになってしまえば、言葉に感情が乗りづらくなり、目線も聴衆に向けられません。聞き手は早々に飽きてしまうでしょう。

スピーチではすべてを完璧にやろうとしすぎず、その“目的”を意識することがポイントです。朝礼であれば「場を温める」「チームの一体感を強める」こと、昇進のあいさつなら「感謝の気持ちや意気込みを伝える」ことが目的です。

スピーチの目的をしっかりとおさえることで、話すべき内容や取るべき振る舞いが自ずと見えてくるでしょう。

スピーチの前にしておきたい準備と注意点

では、スピーチのために、どのような準備を行うべきでしょうか。具体的には3つのステップで考えます。注意点とあわせて、ポイントをご紹介します。

(1)話したいテーマと内容をまとめる

まずは、スピーチで話したいテーマを決め、そのテーマに沿って内容をまとめます。

スピーチにどのくらいの内容を盛り込むかは、与えられた時間から決めなければなりません。一般的には、1分あたり300字で計算します。3分間のスピーチなら900字、5分間なら1500字ということです。Wordなどのワープロソフトに箇条書きで内容を書き出し、字数を確認するとよいでしょう。

なお、次の項目で述べるように、スピーチには「導入」と「結論」「まとめ」の部分も必要です。内容を箇条書きする際に、これらの文字数も考慮すると、よりまとめやすくなります。

(2)構成を考えて原稿やメモを作る

内容が決まったら、次に「どの順番で話すか」「どのような流れにするか」を考えて、スピーチ原稿やメモを作成しましょう。短いスピーチなら、全文を原稿で作成して丸暗記しても構いません。長いスピーチの場合は、構成と内容を箇条書きでメモする程度にして、それをもとに話す練習を重ねるやり方がおすすめです。

そして、スピーチの構成にはいくつかの型があります。代表的かつ汎用性が高い型は、「起承転結」と「PREP法」です。目的に応じて使い分けたり組み合わせたりしてみてください。

エピソードを話す場合は「起承転結」

「誰が・いつ・どこで・何をした」というエピソードを紹介する場合は、「起承転結」という物語の型を使うと便利です。家族や友人、ペット、自分の経験を紹介する際に有効です。

「起」は話のイントロ。聞き手の関心をひくために、よく知られている時事ニュースや時候の話題に触れたり、「○○を知っていますか?」のような問いかけをしたり、あるいはエピソードの主人公となる人物を簡単に説明します。

「承」は話のビルドアップです。メインとなる登場人物の性格や能力、場所や状況の説明など、聞き手が理解を深められる情報を提供します。

そして次の「転」では、「承」の情報と比較して意外性のある話題や展開を述べます。これにより、聞き手の関心をさらに引きつけ、その人物や状況への理解をいっそう深められます。

最後の「結」は、スピーチのまとめ部分です。物語の結末・内容のまとめ・教訓など、それまで伝えてきたことから引き出されることを一般化して述べると、聞き手に「なるほど」と思ってもらえるでしょう。最後は前向きな一言で締めくくると好印象です。

情報を共有する場合は「PREP法」

聞き手との情報共有を目的にスピーチを行う場合、PREP法と呼ばれる型がおすすめ。以下の4つの要素で構成される型です。

【PREP法】

  • Point(結論)…導入と一番伝えたい情報や気づきの提示
  • Reason(理由)…結論に至った理由や根拠、データなどの提示
  • Example(具体例)…聞き手の理解度を上げるための事例やニュース、たとえ話などの提供
  • Point(結論)…一番伝えたい情報や気づきの再提示

PREP法はプレゼンテーションやビジネス文書などで広く活用されているため、馴染みのある方もいるはず。普段仕事で使っている型の流用が可能で、汎用性が高い点にメリットがあります。

例えば、ベストセラーなど話題になっている本の紹介をする場合、最初のPointでは、「最近、○○という本が話題になっていることをご存じでしょうか」などの問いかけを行い、「私も読んでみたところ、△△という気づきがありました」など、自分が得た学びや共有したい情報を伝えます。

次のReasonでは、「なぜ私がそう考えたかというと…」や「こういうことになるのは、××が理由です」「これには、□□というデータがあります」など、理由や根拠、データなどを述べます。Pointにきちんとつながる情報を提示することで、聞き手の納得感を高められます。

Exampleは、さらに聞き手の理解を深めるために提供する事例やニュース、たとえ話などです。「AだからBである」という、それまで提示した因果関係や相関関係を反映した具体例を提示することで、すでにある程度理解している聞き手はさらに理解を深め、首をかしげていた聞き手も「ああ、そうか」と感じやすくなるでしょう。

その上で、最後に再びPointを提示します。最初に述べた情報を繰り返し述べることになりますが、可能であれば、少しリフレーズすると魅力が高まります。

短いスピーチは「双括型」

与えられた時間が1分間など短い場合は、Exampleを省いて双括型(結論・理由・結論)の形にすることもできます。具体例を探す必要がないため、PREP法よりも気軽に活用できるでしょう。

逆に、双括型で原稿を作り始めたものの、「規定の時間で話すには文字数が足りない」「スピーチを長くしたい」と感じられる場合は、PREP法に切り替える手もあります。

スピーチを長くするにはPREP法+起承転結

40分のスピーチなど、かなり長い時間のスピーチを行う場合、情報提供や解説などを中心とするPREP法だけでは聴衆が飽きてしまう可能性が高くなります。

聞き手の興味を引くようにするには、PREP法の大きな枠組みを使いつつも、その中に小さなPREPを入れたり、エピソードとして起承転結を入れたりするとよいでしょう。

例えば、自社のマーケティング戦略と実績についてスピーチを行う場合、

  • P…自社のマーケティング戦略①〜③と対応する実績①〜③の概要
    (ア)R①…そのマーケティング戦略①をとった根拠
    E①…戦略①に対応する実績①に至る経緯(起承転結)
    (イ)R②…そのマーケティング戦略②をとった根拠
    E②…戦略②に対応する実績②に至る経緯(起承転結)
    (ウ)R③…そのマーケティング戦略③をとった根拠
    E③…戦略③に対応する実績③に至る経緯(起承転結)
  • P…自社のマーケティング戦略と対応する実績の概要、気づきや学びのまとめ

といった構成が考えられます。

(3)スピーチの練習をする

いよいよ、実際に話す練習です。今回は、丸暗記をする場合の原稿の暗記方法と、メモを活用する場合の練習方法をご紹介します。

原稿を丸暗記する場合

原稿を丸暗記する場合は、原稿を繰り返し読み上げたあとで、1段落ずつ暗唱していきましょう。このとき、制限時間内に話すような練習は、まだ不要です。内容の暗記を優先し、暗唱できなかった部分にマーカーを引くなどして、覚えていない部分を少しずつなくしていきます。

全てを覚えられたら、与えられた時間内に終えられるよう、話すスピードを調整してください。その際、話し方の抑揚や間(ま)などを工夫し、スピーチの場のイメージトレーニングも行うと、棒読み感のない魅力的なスピーチになるでしょう。

メモを使う場合

丸暗記ではなくメモを見ながら話す場合、メモにはスピーチのアウトラインやネタを思い出しやすいキーワードを書いておきます。1枚の紙に一覧として書く人もいれば、複数のカードを使う人もいます。カードを使う場合は、めくる際にスピーチが止まりやすくなるため、話しながらカードをめくれるようにする練習も必要です。

メモやカードを使ったスピーチの練習では、それらの情報を見ながら、実際に自分が滞りなく話せるようにしていきます。きちんと話せているかどうかは、自分の声を録音してチェックするとよいでしょう。詰まってしまった部分、うまく話せなかった部分については、メモを追加して、流れを思い出しやすくします。

一通り話せるようになったら、丸暗記の場合と同様、スピーチの時間を意識したスピード調整、抑揚の工夫などを行い、他の人にも聞いてもらってください。

注意点:日頃からスピーチネタを収集することが大切

スピーチのネタはいきなり降ってくるわけではありません。急なスピーチの依頼に対応できるよう、日頃からテーマやネタについて、アンテナを張っておくことが大切です。

それには、自社業界の動向はもちろん、新聞やテレビ、SNSで話題になっている事柄、職場での話題などに広く目を向けることがおすすめ。気になった単語をメモしておき、すき間時間などに軽くリサーチするクセをつけておくと、いざという時に困りません。

スピーチを成功させる5つのコツとテクニック

基本的な練習方法以外に、以下で紹介するようなテクニックも使えると、より魅力的なスピーチになります。これらは、スピーチのうまい方が実践している「スピーチを成功させるコツ」。ぜひ意識してみてください。

話のテーマ・内容を明確にする

スピーチを成功させるには、何よりもまず話のテーマを明確にすることが肝心です。

スピーチの場や求められるテーマに合う話題を1つ決め、そのテーマに沿って内容を肉付けしていきましょう。テーマを無視して、あれもこれもと詰め込んでも、聞き手にはなかなか伝わりません。逆に疲れさせてしまったり、飽きられたりしてしまいます。

テーマや内容を決める際は、聴衆はどのような人々であり、どのような目的で自分が話すのかも重要です。職場の人が聞くのであれば、社内の内輪ネタやカジュアルな表現も受け入れられるでしょう。しかし、社外の人が聞く場合は、その話の文脈や表現の適切さをうまく飲み込めない可能性が高くなります。場合によっては失礼なスピーチになってしまうかもしれません。

こうした点を意識しながら内容を明確にすることで、「話の途中で脱線する」「最終的に何が言いたいのかわからない」といったような、残念なスピーチを回避することができます。

手の位置・視線・身振り手振りも練習する

スピーチの際、聴衆にとって話す人の姿勢が気になることがあります。一方で、話し手にとって無理のある姿勢では緊張が高まってしまい、うまく話せません。

聴衆からだらしなく見えない姿勢、聞き手を引きつける動作に明確な正解はありませんが、次のポイントを意識すると悪い印象を与えません。

手の位置はおへその前

手の位置については、おへその前で組む方法以外に、体の横に自然に下ろす方法もあります。後者の場合で気をつけることは、手をぶらぶらと揺らさないこと。人の視線は動いているものに向きやすく、話の内容と関係のない動きは、聞き手の集中力を妨げてしまいます。

また、胸の位置で腕を組む仕草は、「拒否」や聴衆との距離、あるいは威圧的な態度を感じさせますので、避けるほうがよいでしょう。

視線は聴衆に

視線は、原則として聴衆の目に向けます。目を見ることが苦手な人は、口元でもよいでしょう。

そして、1文話したら別の人を見て、次の1文を話します。これは「ワンセンテンス・ワンパーソン」という話法です。視線を別の聞き手に移していくため気まずい思いをせずに済みます。

「どうしても聞き手の目や口元を見ると緊張してしまう」という人は、聴衆の後ろ側にある壁や物を見ましょう。

身振り手振りは内容とリンクさせて

身振り手振りについては、スピーチの内容とリンクさせると効果的です。

例えば、

  • 「大きな会場でした」と言うときは両手を大きく広げる
  • 「とても小さなポイントですが」と言うときは人差し指と親指で小さな物を持つような仕草をする

といった具合です。

ただ、身振り手振りをやり過ぎるとスピーチの邪魔になってしまいます。強調したい部分、聞き手の関心を引けそうな部分などに限定して使うとよいでしょう。

文と文のあいだに間(ま)をとる

スピーチに緊張はつきもの。そして、緊張するとつい早口になってしまいがちです。早口で話すと、聞き手がついていけなくなり、せっかく魅力的な内容であっても伝わりにくくなってしまいます。

そこで意識したいのが、文と文のあいだの間(ま)です。

基本的には、「1つのことを言い終えたら一拍の間を置く」ことを意識して話しましょう。こうすることで、自然に話すスピードを少し落とすことができます。聞き取りやすくなると同時に、聞き手が内容を受け止めて、共感したり思考したりする時間的余裕を与えることができるでしょう。

間をとることが難しいと感じる場合は、冒頭の一言だけでも意識してみてください。例えば、「みなさんは○○を知っていますか?」といったように問いかけ、そのあとで一度息を吸って吐きます。問いかけに対して聞き手が「知っている/知らない」といった反応をする時間的余裕ができますので、聞き手を自然に巻き込むことができるでしょう。

具体的な数字やエピソードを取り入れる

良いスピーチは、聞き手の想像や共感を喚起するものです。聞き手が内容を理解し、イメージしやすいように、具体的な数字やエピソードを取り入れながら話してみましょう。

例えば、メジャーリーグで活躍する日本人選手の話題なら、「昨日○○選手が活躍しました。すごいと思いました」という抽象的な内容から一歩踏み出し、数字を取り入れた表現にしてみます。

「昨日○○選手が△本目のホームランを打ちました。これはメジャーリーグ150年の歴史の中で、最速ペースの記録です」

などです。具体的な数字やこれまでの他の選手との比較が入ることで、その活躍ぶりをより具体的にイメージしやすくなります。

「○○選手は人柄もいい」という内容についても、

「○○選手は、試合前や試合中にもすすんでグラウンドのごみ拾いをしている」

「ロッカールームの整理整頓を欠かさない」

などのエピソードを交えることで、ぐっとイメージが湧きやすくなり、その後に伝えたい内容にもつなげやすくなるでしょう。

場の雰囲気に慣れる・他者からのフィードバックをもらう

スピーチは、聞き手がいて初めて成り立つものです。そのため、練習においても他の人からのアドバイスやフィードバックがとても重要です。

スピーチにおいて、場の雰囲気に慣れることは重要でありながら難しいこと。実際に人前で話す経験や場の雰囲気への慣れは、スピーチ本番を経ることでしか蓄積されません。だからこそ、練習の段階でも他者の協力を仰ぎ、模擬的なスピーチの場を増やすことが大切なのです。

練習の際に他者にチェックしてもらう具体的なポイントは、

  • 声の聞き取りやすさ(声の大きさ・スピード)
  • 展開のわかりやすさ(構成・内容の順番)
  • 内容のわかりやすさ(表現やエピソード等の適切さ)
  • 視線や身振り手振り

など。これらについて率直な感想をもらい、スピーチの質をブラッシュアップしましょう。

もちろん、朝礼などでスピーチの機会を与えられたら、積極的に取り組みましょう。できるだけ多くの経験を得られるようにしていくと上達が早くなります。

スピーチで使えるアイデア

最後に、実際にビジネスシーンで使えるスピーチネタの例をご紹介します。

ニュース・時事ネタ

新聞やテレビで取り扱われるニュースや時事的な話題は、多くの聞き手がすでに知っている情報を扱うため、より伝わりやすくなります。

具体的には、世界経済や日本経済、物価の変動、特定の業界におけるトレンドなどです。ビジネスの観点から言及できる話題をスピーチのネタとしてストックしておきましょう。

ニュースや時事ネタを扱う場合は、情報の鮮度が大切です。アップデートされていない古い情報を新しい情報のように話しても、聞き手にとっては「古い話」であり、あまり面白くありません。スピーチそのものの魅力や説得力が失われないよう気をつけてください。

なお、極端に政治的な話題は、聞き手と話し手の間に壁を作ってしまうことがあります。そうした話題が許容される場では構いませんが、それ以外の場では避けるほうが無難です。

季節のイベントや年中行事

誰もが受け入れられやすい話題は、季節のイベントや年中行事に関するネタです。これまでの人生で経験したことがある人も多いため、多くの聞き手から共感を得られるでしょう。

特に、二十四節気は毎年変わらない暦の節目。1か月の中で2回訪れるため話題に事欠きません。

例えば、「立春」「春分」「夏至」「冬至」など、よく知られているものなら、自分が経験したことや植物・気温・生活の変化などを話せます。反対に、「啓蟄(けいちつ)」や「芒種(ぼうしゅ)」など普段聞きなれない節気名は、その由来を解説することで、聞き手の知的好奇心を満たせるでしょう。

季節に絡めたイベントや年中行事の話題も同様です。お正月、節分、桃の節句、子どもの日、七夕、お月見などは、誰にとっても身近なイベント。その行事で食べるものや飾るものには地域差もありますので、調べてみると新しいネタを得られるでしょう。

子どもがいる方なら、入園・入学・進学・運動会・夏休み・遠足などのエピソードも良いテーマです。子どもの様子や気づき、一緒に取り組んだことから、ビジネスシーンに活かせる気づきを探してみてください。

自己紹介

入社時や配属時のスピーチでは、自己紹介が鉄板です。出身地や家族構成、ペット、趣味など、職場の人に共有してもよい話題で話しましょう。身の回りに関することなので、具体的な話がしやすい点も大きなメリットです。

自己紹介で自己開示を行えば新たな仲間に自分のことを知ってもらう機会となります。何が好きか、どのような特技があるのかなどが伝わり、その後のコミュニケーションに良い影響を与える可能性が高まるでしょう。

一方で、自分について話すことに夢中になりすぎて、聞き手を置いてきぼりにしないように気をつけなければなりません。自分の目線からだけで話を進めるのではなく、

「家族から○○な性格だと言われる」

「友人から△△に似ていると言われる」

など、自己紹介の中に客観的な視点を交えるなどの工夫が必要です。聞き手が知っているであろう他の情報をフックにして、自分への興味や共感を引き出すことを意識してみてください。

好きなものやペットの紹介

朝礼など、すでに見知った相手に対してスピーチを行う場合は、自己紹介を使えません。そうしたケースでは、自分のまわりの物やペットなどを紹介するという手があります。これらのネタは、新たな自己開示としても有用です。

ペットの紹介をする場合は、写真やエピソードがあると聞き手を引きつけやすくなります。話の切り口はいろいろ考えられますが、飼い犬であれば、

  • 飼い犬の写真やエピソードとその犬種の一般的な特徴を比較しながら紹介する
  • 飼い犬と自分の関係性が生活や仕事に与える影響について、エピソードを交えながら紹介する
  • 飼い犬との関係性においてPDCAを回してみて、結果を報告する

などが考えられます。

好きなものについては、映画やテレビ番組、ゲーム、書籍など、さまざまなテーマがあるでしょう。これらの中から、ビジネスシーンにふさわしいものを選び、得られた気づきや学びを日頃の業務に関連づけて紹介できると理想的です。

名言・ことわざの紹介

社会生活や仕事に関する教訓や、やりがちな失敗に対する戒めなど、示唆に富む名言・ことわざは、ビジネスのスピーチネタとして多く活用されています。そのため、本棚に一冊は、名言・ことわざ集を備えておくと大変便利です。

名言・ことわざを中心とするスピーチでは、導入部分で名言やことわざを示し、その内容をざっと解説しましょう。その上で、名言やことわざが生きる状況を具体例などで示し、現状の課題や今後の目標などにつなげます。

偉人や有名な経営者などによる金言は、多くの人にとっても聞き馴染みがあるもの。言葉の意味を受け止めやすいため、スピーチの意図も伝わりやすいでしょう。