アサインとは?ビジネス上の意味や例文、言い換え表現などを解説

update更新日:2025.02.13 published公開日:2023.12.06
アサインとは?ビジネス上の意味や例文、言い換え表現などを解説
目次

ビジネスシーンで頻繁に耳にする「アサイン」という言葉。元々の意味は「任命する」「割り当てる」といったものですが、実は複数の意味を持つため、使うタイミングや使いどころをおさえていないと、相手に正しく伝わらないかもしれません。

本コラムでは、アサインの意味やビジネスシーンごとの使い方・例文などを解説します。ITやコンサルなど業界特有の意味や、言い換え表現なども紹介しますので参考にしてください。

アサインとは何か?基本的な意味と定義

アサインは英語の「assign」を語源とする言葉で、「任命する」「割り当てる」などの意味を持ちます。

最近では、ビジネス上でよく用いられますが、業界やシーンによっては意味や使い方が異なるため注意が必要な言葉です。

アサインの語源、ビジネスでの意味について解説します。

アサインの英語の語源と意味

アサインは英語の「assign」を語源としています。元々の英語の動詞には以下のような意味があります。*

  • 割り当てる
  • あてがう
  • 与える
  • 当てる
  • 選任する
  • 選定する
  • 配属する
  • 任命する
  • 命じる
  • 指定する

「assign」の名詞形は「assignment」で、「任命」や「割り当て」などの意味のほか、「宿題」や「課題」「(財産などの)譲渡」といった意味でも使われる言葉です。

*参考:Weblio英和辞書

アサインのビジネス上の意味と使い方

アサインはビジネス上では、「任命する」「割り当てる」といった意味で使われます。人事では人を対象としており、人を別の場所に配属する際にアサインという言葉を使用することが多いでしょう。

ビジネスシーンで使用する際の主な意味は以下の通りです。

  • 業務を割り当てる
  • 別の部署に配属する
  • 部長や課長などの役職に任命する

また、部屋や席を割り当てる、空間やスペースを提供する場合にも使われます。

英語の「assign」に「命じる」「あてがう」といったニュアンスがあるように、一般的には上司や経営者など、目上の立場の人が部下に対して使う言葉です。上司やクライアントなどに対してアサインという言葉を使うのはできるだけ避けた方がよいでしょう。

ただし、後から説明するように、例えばホテルの部屋や飛行機の席などを割り当てる場合にもアサインという言葉が使われますから、このようなときには「アサインさせていただく」などといった表現も使用されます。

このように、アサインという言葉は、文脈によって意味やニュアンスが変わってくるため、使いどころに注意が必要なのです。

場合によってはアサインという言葉を使わず、日本語に置き換えたほうが伝わりやすい場合もあります。アサインの言い換え表現や類義語などは後ほど詳しく説明しますので、シーンや目的に応じて使い分けましょう。

アサインの対義語

アサインの対義語には以下のような言葉があります。

  • アンアサイン
  • リリース
  • 外す
  • 解雇・解任する
  • 取り下げる
  • 異動する

「割り当てから外す」という意味でアンアサインという言葉がありますが、あまり使われていません。日本語で言うなら、「外す」「解雇する・解任する」のほうが一般的でしょう。

リリースには「開放する」という意味があり、業務の途中だけでなく役割を果たしたタイミングでも使われます。また、中途で業務を白紙に戻すような場合には「取り下げる」、人事上の言葉としては「異動する」などが、アサインの対義語として使われます。

ビジネスシーンでのアサインの使い方と例文

アサインはビジネスにおいてプロジェクトやタスクの担当者を割り当てる場面でよく使われます。しかし、その使い方や注意点を理解せずに使用すると誤解が生じるリスクがあるので注意が必要です。

ここではアサインのビジネスシーンでの使い方や例文、さらにメールでの使用例について解説します。

ビジネスシーンでの使い方

ビジネスシーンでは、アサインは主に次のような場面で使用されます。

シーン 例文
プロジェクトの割り当て 「〇〇プロジェクトに△△さんをアサインします」
緊急対応の割り振り 「至急、この業務を〇〇さんにアサインしてください」
定期的なタスクの担当者指定 「毎月の報告書作成業務はAさんにアサインしています」

ビジネスシーンにおけるアサインは、一般的に上司から部下に対して使う言葉です。基本的に、上司がアサインする側であり、部下がされる側であると覚えておきましょう。

アサインの基本例文:プロジェクトやタスクの割り当て

アサインは、タスクやプロジェクトの担当者を割り当てる際に使われます。

例えば、「〇〇さんにこのプロジェクトをアサインします」のように用いられ、担当者の明確化に役立ちます。

また、文書化された指示やメールでの連絡でも、「〇〇業務をAさんにアサインしました」と表現することで、誰がどの役割を持つかが明確になるでしょう。タスクやプロジェクトを分担する場合、アサインという表現で責任の範囲を明確にでき、担当者自身も自分の業務がはっきり理解できるため、業務効率が向上します。

メールでのアサインの使用例と注意点

メールでアサインを伝える際には、誤解を避けるために明確な表現を心がけることが重要です。

例えば、「〇〇プロジェクトのタスクBについては、△△さんにアサインいたしました」と具体的に記載すると、受信者も自分が担当すべき業務を理解しやすくなります。

また、メールでアサインという言葉を使う際には、カジュアルな表現ではなく、ビジネスライクな言葉を選び、丁寧な表現を心がけましょう。

メール例文:件名:プロジェクト業務アサインのお知らせ

〇〇プロジェクトチーム 各位

お疲れ様です。このたび、〇〇プロジェクトの新規タスクを以下の通りアサインいたしました。

タスク:マーケティング資料作成 担当者:△△様

以上、確認のほどよろしくお願いいたします。

アサインの際は、このように具体的に担当者とタスク内容を記載し、明確に伝えることが大切です。

アサインに関連するビジネス用語

ビジネス上では、アサインに関連した言葉として「ジョブアサインメント」「ストレッチアサインメント」「ダブルアサインメント」など様々な言葉があります。

ジョブアサインメントは、言葉の通り「仕事を割り当てる」という意味です。組織の目標達成のため、仕事を割り振る際に使われます。管理職やマネージャーは、部下の能力やモチベーションなどに配慮して適切かつ効果的にジョブアサインメントをすることが重要です。最近では、管理職やリーダーに必要なスキルとして「ジョブアサインメントスキル」や「ジョブアサインメントモデル」といった言葉も使用されています。

ストレッチアサインメントは、現在の実力では達成が難しいと思われるポジションに、あえて任命することで人材の成長を促すメソッドです。別名「タフアサインメント」とも呼ばれています。現状では困難な業務に対応させて、部下に成長してもらうことが実施の目的です。

ダブルアサインメントは、1つの業務に対して2人の担当者を配置することです。仕事の属人化を防ぐ目的で取り入れられています。仕事の属人化とは、1人の担当者しか仕事の全容を把握しておらず、担当者が不在の状況になると業務を続行できなくなることをいいます。

業界別アサインの使い方:IT、コンサル、ホテル業界など

アサインの使われ方は業界によっても異なります。

特にIT、コンサル、ホテルや飛行機などの旅行業界では、アサインは独自の意味や用法で使われていることがあるので注意しましょう。

ここでは、IT、コンサル、旅行業界でのアサインの意味について解説します。

IT業界でのアサインの意味と具体例

IT業界でのアサインは、主に「キーアサイン」と「プロジェクトアサイン」の2つの意味で使われます。

キーアサインとは、PCのキーボードに独自の機能を割り当てることです。例えば、特定のボタンにショートカットを割り当てられていることを「〇〇キーに××のショートカット機能がアサインされている」といいます。転じて、ソフトやアプリ自体に機能を付加するような場合にも使うことがあります。

プロジェクトアサインは、プロジェクトの担当や配属を意味します。IT業界では、プロジェクト単位で業務を行うことが多いため、頻繁に使用されます。

コンサル業界におけるアサインの使用方法

コンサルティングファームでも「プロジェクトアサイン」の意味でアサインという言葉がよく使用されます。

IT業界と同じく、コンサルティング業界ではプロジェクト単位で業務を行うことが多いからです。特に、大きなコンサルティングファームでは、上司が担当を割り振るのではなく、プロジェクトごとにメンバーを募集してメンバーが自発的に応募する形態をとっているため、案件の担当が決まることをアサインと表現します。*

*参考:ASSIGNメディア|コンサルタントの案件へのアサインメントの流れとは

ホテル・旅行業界でのアサインとは?

ホテルや飛行機など旅行業界では、アサインは独自の意味をもって使われています。

ホテルでアサインといえば宿泊客に客室を割り当てるという意味です。同じように、飛行機でフライト直前に座席を割り当てることを「シートアサイン」と呼びます。予約や受付時ではなく、チェックイン時など宿泊やフライトの直前に、実際の部屋や席を決定するプロセスを指すのが特徴です。*

*参考:ena(イーナ)の海外旅行用語集

アサインの代替表現:言い換えと類義語一覧

アサインは便利な言葉ですが、業界やシーンによって意味や使い方が異なるため、状況に応じて使い分けることが必要です。

意味が不明瞭な場合や、状況的に適切かどうか判断が難しい場合などは、代替表現を使うとよいでしょう。

ここでは、アサインの言い換えや類義語にどんなものがあるかを解説します。

「割り当てる」「任命する」などの日本語表現

アサインを「1つの仕事を複数人で分担しておこう」といった意味で使うなら、「割り当てる」と言い換えるとよいでしょう。「割り当てる」は、仕事や責任などを適切な人に配分する行為を意味します。例えば「各メンバーに役割を割り当てる」というように使われ、組織やタスク分担が必要な場面で多く使用されます。

役職を任せるときは「任命する」が適切です。「任命する」は、組織内で特定の役割を持つ地位に人を配置する際に使われます。例えば「新規プロジェクトリーダーに任命する」といった表現です。

状況に応じて「アサイン」と同様の役割で活用することで、より相手に伝わりやすくなるでしょう。

「配属する」「担当する」などの使い分け

アサインは「配属する」や「担当する」という表現でも置き換え可能です。

「配属する」は、特定の部署やチームに配置する意味で使われるため、入社後の所属決定や異動の際によく用いられます。一方で「担当する」は、特定の業務や役割に責任を持たせるときに使用される言葉で、具体的な業務割り当てに適しています。例えば「Aプロジェクトの担当を任される」といった形です。

アサインの代替として場面に合った言葉を選ぶことで、コミュニケーションがより明確になるでしょう。

ジョイン、アサインメントとの違い

アサインと似た言葉に、「ジョイン」や「アサインメント」があります。

ジョインは「参加する」「加入する」といった意味で使われ、新しいプロジェクトやチームに加わる際に用いられます。希望者を募って参加してもらう場合は、ジョインを使う方が一般的です。ただし、既に説明したように、コンサルティング業界などでは、自ら応募する場合にも「アサインする」といった表現を使います。

アサインとアサインメントの違いは品詞です。アサインメントは名詞、アサインは動詞という違いがあります。アサインメントは「割り当てられた任務」や「課題」を意味します。プロジェクトやタスクで具体的に割り当てられた仕事そのものを指すため、「新しいアサインメントが与えられる」というように、業務内容そのものに言及したい場合に使われます。

アサインを使う際の注意点と失敗を避けるコツ

アサインという言葉は、相手やシーンに応じて適切に使うことが必要です。

最後に、アサインという言葉を使う際の注意点や、実際に部下にアサインをする際のポイントなどを解説します。

アサインという言葉を使う際の注意点

アサインには様々な意味があるため、意味を定義せずに使うと相手に伝わらない可能性があります。アサインという言葉を使う際には、言葉に含まれる意図まで相手に伝えましょう。

例えば、単に「アサインする」と言われても、ジョブアサインメントなのかストレッチアサインメントなのか判断できません。ストレッチアサインメントのつもりが、相手にジョブアサインメントとして伝われば、業務に取り組む姿勢が変わってしまいます。ただアサインと伝えるのではなく、相手に仕事を任せる理由や目的、目標まで明確に伝えることで、齟齬が生まれにくくなります。

ビジネス用語にはカタカナが多く、アサインも意味が伝わりにくい言葉の1つです。ときには日本語の代替表現や類義語を使う方が適切なケースもあります。特に、社会人経験の浅い新卒や自社の風土に慣れていない新人には、日本語に置き換えた方がよいでしょう。また、アサインは業界によって使われる意図が異なるため、他業界の人と仕事をする際には、類義語となる日本語を使用する方が無難です。相手の立場や状況を理解し、適切な言葉や表現を使うよう心がけましょう。

部下をアサインするときのポイント

部下をアサインする際には、目的を明確にして業務と育成のバランスを考えることが重要です。

以下に、部下をアサインするときのポイントを解説します。

現場の課題や改善点を洗い出す

アサインを実施するには、目的が必要です。組織が抱える課題や改善点を洗い出して、なぜアサインの必要性があるのかを明確にしましょう。

課題や改善点が曖昧なままでアサインしてしまうと、部下も何が求められているかがわからず、アサインの効果が得られません。仕事の目的や背景を部下に説明したうえで、課題や改善点を事前に共有し、どんな活躍を期待しているか伝えるようにしましょう。

成果と育成のバランスを考えたアサインをする

アサインでは、成果と育成のバランスも必要です。例えば、成果が重要視されている場合は、役割に対して得意な人材を割り当てるのがよいでしょう。成果が求められる場面で人材の育成を優先すると、目標を達成できない可能性があるためです。

しかし、既にスキルがある人材ばかりをアサインしていては、人材の育成が進まず、組織の能力を底上げできません。今は目標を達成できていても、どこかで頭打ちになってしまいます。

成果を上げることも大切ですが、人材育成とのバランスも考えてアサインしましょう。

モチベーション管理の観点を持つ

アサインするときは、能力や適性だけでなく部下のモチベーションにも注目しましょう。部下のモチベーションに対して配慮を怠ると、業務を通した成長を実感できなくなるリスクがあります。モチベーションの低下度合いによっては、離職につながるかもしれません。

例えば、モチベーションが低い部下がいるのであれば、成功体験を積める業務にアサインすることで、パフォーマンスの向上が期待できます。部下にアサインする際は、本人のモチベーションも考慮して、業務におけるパフォーマンスの向上を狙いましょう。

アサインの目標は数値で考える

アサインする目的が明確になったら、目標を設定します。その際には、具体的な数値に落とし込むことが重要です。

上層部から求められる目標と擦り合わせて、実現可能な範囲で目的や目標を設定してください。数値にすることで、アサインされた部下も何を指標にすればよいかがわかりやすくなります。

まとめ|アサインを使うときは「正しく伝わるか」を大切に

アサインは「割り当てる」「任命する」など、様々な意味合いを持つ言葉です。ビジネスシーンでよく使われますが、複数の意味をもち業界によっては独自の使われ方をしているため、多用には注意しないと認識に齟齬が出る可能性があります。相手の立場や理解度を考慮して、適切な表現や言葉を用いるのがビジネスコミュニケーションの基本です。

管理職やマネージャーは、部下の能力やモチベーションなどに配慮して効果的にアサインする能力が求められます。部下に仕事を適切にアサインできれば、目標達成や人材育成などで効果を発揮できるでしょう。

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