リスケ(リスケジュール)とは?意味とリスケ依頼の手順・例文

published公開日:2024.05.31
リスケ(リスケジュール)とは?意味とリスケ依頼の手順・例文
目次

「リスケ」はリスケジュールの略語。ビジネスでは日程変更や仕様変更などの意味で用いられます。しかし、上司や顧客に対する使い方には要注意。

本コラムでは、リスケの意味やリスケ依頼の連絡手順やマナー、例文とともに、適切な伝え方をご紹介します。

リスケとは

はじめに、「リスケ」という言葉の意味を確認しましょう。多くの場合は「日程変更」を意味しますが、業界や状況によっては別の意味で使われることもあります。

リスケは何の略?意味と言い換え

リスケは、「リスケジュール」という言葉の略語です。「リ」は英語の接頭語で「再び」というニュアンス。そのため、直訳すれば「再びスケジュールする」となります。日本語でわかりやすくいえば、「スケジュールを変更する」「予定を再調整する」などです。

多くの場合は、会議や打ち合わせ、飲み会などの日程変更の文脈で使われますが、金融業界やIT系プロジェクト、受発注に関する文脈では、少し異なった意味合いになります。詳しくは、次の項目で見ていきましょう。

なお、リスケという言葉は、比較的カジュアルな表現です。ビジネスシーンでそのまま使うと、相手に対して失礼になることがありますので、注意してください。

特に上司など目上の人や顧客、取引先などに日程変更をお願いする場合は、「リスケしてください」ではなく、「日程の変更をお願いできないでしょうか」などと伝えるほうが適切です。

リスケの言い換えには、他にも

  • スケジュール調整
  • 日程調整
  • 日時変更
  • 予定の前倒し(本来の予定より前に実施する場合)
  • 予定の後ろ倒し(本来の予定より後に実施する場合)

などがあります。

リスケの対義語と英語での表現

リスケの対義語は、「オンスケ」。英語の「オンスケジュール」に由来する略語です。

リスケもオンスケも、このままの言い方は和製英語であり、英語ネイティブの人には通じません。日本語ネイティブでも、世代によっては通じないでしょう。そうした場合は、略さずに伝えるか、言い換え表現を用いて伝えましょう。

英語の場合は、略す前の「reschedule」「on schedule」をそのまま使えます。

ビジネスシーンにおけるリスケの種類と使い方

リスケを使った表現には、例えば次のようなものがあります。

「来週の会議、リスケをお願いします」
「今度の飲み会は来週にリスケになったよ」
「新しい要望が出たので、デザインをリスケします」

基本的な表現の形として、「Aはリスケでお願いします」「Aが〜〜(理由)でリスケになって、Cになったよ」などと覚えておくとよいでしょう。

実は、一般的なビジネスシーンであっても、リスケにはいくつかの種類があります。使われる場面によって微妙にニュアンスが異なりますので、混同しないよう気をつけてください。

主な種類は、「日時変更」「仕様変更」「発注数・納期変更」の3つです。

【3種類のリスケ】

リスケの意味 ニュアンスや使用場面
日時変更 「次の会議はリスケです」など最も多いパターンで、関係者が集まる機会の日時変更を意味する
仕様変更 「先方からの要望で、デザインがリスケになりました」などプロジェクトや商品開発などで、仕様変更、機能追加などが発生した場合に使われる
発注数・納期変更 「停電でラインが止まってしまったので発注数か納期のリスケが必要だ」など商品の受発注や納期について検討する際に使われ、納品数や期日の変更を意味する

金融業界におけるリスケ

金融業界で使われるリスケは、「返済条件の変更」という意味になります。使われるのは、当面の間、返済する月額金額を減らすケースなどです。企業が何らかの理由で借入金を予定通りに返済できなくなった場合に実施されます。

返済条件変更としてのリスケのメリットは、返済を一定の期間、猶予してもらうことで、経営を立て直す余裕が出ることです。何とか資金を集めようとして高金利な借り入れをする必要もなくなりますし、金融機関から不良債権として扱われる可能性も抑えられます。

しかし、リスケ期間は長くても1年だけ。その間に立て直しができなかったり、金融機関へ提出した経営改善計画の8割ほどを達成できていなければ、リスケの更新・延長ができず、不良債権扱いとなるでしょう。

金融業界におけるリスケは、経営危機に直結する重大な言葉なのです。

本コラムでは、金融に関わるリスケではなく、あくまでビジネスの一般的な場面におけるリスケを扱います。

リスケと似た言葉「キャンセル」「ドタキャン」「ペンディング」との違い

リスケと似た言葉に、「キャンセル」「ドタキャン」「ペンディング」などがあります。いずれも予定が変わることを意味しますが、次の機会があるか否かの点で異なります。

キャンセル、ドタキャンとリスケの違い

まず、キャンセルという言葉は「取り消し」という意味です。そのため、「予定をキャンセルする」と言った場合、「予定を取り消す」ことを意味します。ドタキャンは、「土壇場キャンセル」の略語ですので、「直前で予定を取り消す」という意味になります。

リスケとの違いは、本来の予定を「変更する」か「取り消す」かの違いです。リスケは次の機会が具体的に想定されているのに対し、キャンセルやドタキャンは予定そのものがなくなります。

会議の例でいえば、「会議をリスケします」では別日に開催することになりますが、「会議をキャンセルします」では、今後その会議は実施されません。

ペンディングとリスケの違い

キャンセルやドタキャンほど耳にする機会は多くないかもしれませんが、ペンディングという言葉も、予定の変更を意味する言葉です。具体的には、「保留する」ことを指します。キャンセルのような取り消すニュアンスはありませんので、一度ペンディングになった会議でも、いつか開催されると考えて構いません。

リスケとペンディングの違いは、予定変更後の具体的な代替案があるかどうかです。多くの場合、リスケでは依頼と同時に代替日案や希望条件を伝えますので、変更後の予定が比較的はっきりしています。

一方、ペンディングでは具体的な代替案は特に求められません。ただ保留するだけですので、別途、変更後の予定を決める必要があります。

リスケ(日程変更)が生じる5つの理由

リスケは、自分が依頼することもあれば、依頼されることもあるでしょう。リスケ依頼を受けたとき、「自分との予定は、相手に優先度を下げられているのではないか」と思うこともあるかもしれません。

そこで、リスケ(日程変更)が生じる主な5つの理由をご紹介します。

(1)体調不良・ケガ

比較的多い理由の1つが、担当者の体調不良やケガです。「体調を崩してしまい」「担当者が事故にあってしまい」などと伝えます。

やむを得ない事情ですので、基本的にはそのまま先方に伝えても構わないでしょう。ただ、体調不良やケガの度合いによっては、リスケの必要性を疑われることもあります。

(2)仕事上の急用・電車の遅延

2つめは、「急な出張が入ってしまった」「電車が遅延して予定の時刻に間に合わない」などの理由です。これらもやむを得ないことですので、基本的に正直に伝えて構いません。

ただ、出張や交通機関の遅延を都合のいい嘘として多用すると、事実確認が入ることもあります。

出張など他の業務を理由とする場合は、先方が「優先度を下げられた」と感じ、信頼関係が損なわれるリスクもあるでしょう。

(3)プライベートな事情

3つめは、プライベートな事情でのリスケです。様々なケースがあり、その事情を優先する基準も相手や状況によって変化します。

育児中や介護中の従業員の場合、家族の体調・ケガなどで急遽対応が必要になる場合があるでしょう。忌引などで仕事を休まなければならないケースもあります。

同じ境遇にある人同士であれば「仕方ない」と思えることでも、そうでない場合は「それだけの理由で?」と思われるかもしれません。

一般的には「家庭の事情で」とし、忌引の場合は「身内に不幸があり」などの伝え方をすると無難です。

(4)リソース不足・準備不足

4つめは、人手や時間などの不足、準備不足によるリスケです。これらの理由は、基本的にスキル不足や怠慢であると見なされますので、極力避けましょう。

特に重要な会議や打ち合わせ、社外との予定などでは、こうした理由によるリスケは信頼関係を大きく損ない、その後の取引にも悪影響を与えます。

リソースや準備不足によってリスケにつながる恐れが発生したら、すぐに人員の補充や他メンバーによるサポートを求めることが重要です。

(5)約束の軽視

5つめは、そもそも守るつもりがない約束として予定を承認したというケースです。

通常の会議や打ち合わせでは生じにくいパターンですが、度重なる営業を受け、やり過ごすために軽い気持ちでアポイントメントを承諾する場合があります。その後、「リスケ」と称して、約束をうやむやにするのです。

リスケされた側には大きな悪印象が残ります。今後取引の可能性がある相手に対しては、決して行わないようにしましょう。

リスケ依頼の連絡手順と例文

実際にリスケの依頼を行う際は、大まかな連絡手順を把握しておくと相手側を煩わせずに済みます。今回は、最も多いパターンである会議や面談などの日程変更を依頼するケースを想定し、基本的な表現や伝え方を例文とともにご紹介します。

リスケ依頼の手順と流れ

リスケの依頼は、日程変更などの必要が生じた時点で行いましょう。多くの場合、以下のような流れになります。

【リスケの流れ】

  1. 1. 日程変更などの必要性が生じる
  2. 2. 自分の予定を確認し、代替日案を3つ用意する
  3. 3. 例文などを活用しながら、伝え方を検討する
  4. 4. 相手に伝える(メール・電話・対面)
  5. 5. 相手から代替日が送られてくる(または断られる)
  6. 6. お礼の連絡をする(またはお詫びの連絡をする、メール・電話・対面)
  7. 7. 予定変更後、対面した際に、改めてお礼を伝える

リスケ依頼のメール件名・例文

リスケは一度決まった予定を自分の都合で変更してもらう行為ですので、先方に対して失礼のないようにしなければなりません。それには、既にビジネスシーンで活用されているテンプレートや例文を土台にして、伝え方を検討するとよいでしょう。

今回ご紹介する例文はメール用のものですが、本文自体は電話連絡や対面での説明にも応用できます。

【リスケ依頼のメール例文】

件名の例 【重要】○月○日お打ち合わせ 日程変更のお願い
本文の例

株式会社○○(先方の企業名)
△△様(先方の担当者名)

お世話になっております。□□株式会社の××です。
○月○日(○)の○時に予定しておりますお打ち合わせにつきまして、日程の変更をお願いしたくご連絡を差し上げました。

時間を確保していただいたにもかかわらず、誠に申し訳ございません。
〜〜(理由)のため、お伺いすることが難しくなってしまいました。

ご多用のところ恐れ入りますが、下記の日程での変更をご検討いただくことは可能でしょうか。

【代替日案】
○月○日(○)○時〜○時
○月○日(○)○時〜○時
○月○日(○)○時〜○時

上記が難しい場合は、△△様のご都合のよい日程をいくつかお知らせいただけますと幸いです。

このたびはご迷惑をおかけしますこと、重ねてお詫び申し上げます。
ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

□□株式会社
××

社内の人に対してリスケ依頼をする場合は、相手方の企業名や自分の社名のところを自社の部署名に変更するとともに、書き出しの「お世話になっております」の代わりに「お疲れ様です」とするとよいでしょう。

リスケ(日程変更)時のマナーと注意点

リスケを依頼するにあたり、上司など目上の人や顧客・取引先に対して「リスケをお願いします」と言ってはならないことは、既に述べました。これ以外にも、先方に対して失礼のないよう、いくつかのことに気をつけなければなりません。

そこで、最後に基本的なリスケのマナーと注意点を見ていきましょう。

  1. 1. リスケは早めに連絡する
  2. 2. 直前のリスケはメールと電話で伝える
  3. 3. 相手が納得する理由とお詫びの言葉を伝える
  4. 4. 代替案は複数日程を用意し、相手の希望を優先する
  5. 5. リスケ後の予定を守り、何回もリスケしない

(1)リスケは早めに連絡する

何らかの理由でリスケしなければならない場合、それがわかった時点で相手に連絡を入れましょう。連絡が遅れるほど、相手が調整や準備に使える時間が減ってしまい、かける迷惑も大きくなってしまいます。

社内であればメールやチャット、より確実を期すなら対面でのリスケ依頼が必要。相手が社外の人であれば、メールと電話で連絡するのが基本です。

メールと電話のどちらを優先するかは、相手との信頼関係や業界によって異なるかもしれません。礼儀を重んじる場合は、電話で連絡してから確認の意味でメールを送ります。効率を重んじる場合はメールで連絡をしてから、より確実に伝えるために電話連絡をするとよいでしょう。

メールだけでリスケ依頼と返信、日程の変更が完了し、効率を重視する関係性であれば、電話連絡を省略することもできます。

(2)直前のリスケはメールと電話で伝える

予定日の直前に日程変更を行う場合は、電話とメールでの連絡が必須です。

メールのみの連絡では予定日までに相手が気づかず、「ドタキャンされた」と誤解してしまうかもしれません。
必ずリスケのお願いを電話でも行い、確実に予定変更があるという認識をもってもらいましょう。

また、電話での連絡には、テキストのみの連絡よりもお詫びの気持ちをより伝えやすいというメリットもあります。

(3)相手が納得する理由とお詫びの言葉を伝える

リスケをする際は、相手が納得する理由と、ていねいなお詫びの言葉を伝えましょう。

リスケされる側になるとわかることですが、理由も伝えられず一方的にリスケされると、相手に対してかなり悪い印象を抱きやすくなります。そうした悪印象を少しでも軽減できるよう、リスケせざるを得ないと納得できるような理由をきちんと伝えましょう。

ただ、どのような理由でも正直に話せばいいというわけでもありません。相手を不快にさせるような理由でのリスケは極力避けてください。

迷惑をかけてしまっていることを認識し、誠意をもって謝罪の気持ちを伝えることが大切です。

(4)代替案は複数日程を用意し、相手の希望を優先する

リスケの代替案は、リスケされる側のスケジュールが優先されます。何度も日程調整をしなくて済むよう、リスケを依頼する側の代替日案は一応伝えますが、都合が合わない場合に優先されるのは相手方のスケジュールです。

依頼する側が、一方的に自分の都合だけで日時を決めてしまえば、勝手な行為を重ねることになり、「自己中心的な人」と見られてしまうでしょう。今後の交渉や打ち合わせでも、あまり信用されなくなってしまいます。

そうした好ましくない事態を避けるため、相手の都合を無視しないよう気をつけましょう。

(5)リスケ後の予定を守り、何回もリスケしない

繰り返しになりますが、リスケは好ましいことではありません。自分の都合で相手の予定を変更させ、調整や準備の時間を再度とってもらうことになるからです。

そのため、「リスケ依頼は1回限り」とすることが重要です。

相手の迷惑になるということ以外にも、何度もリスケをしていると「結局いつ実施するのか」という認識や情報が混乱しやすくなります。“言った言わない問題”が発生すれば、関係悪化は必至です。

良好で発展的な関係性を構築・維持できるよう、なるべくリスケをせずに済むようなスケジュールで調整しましょう。