タイムマネジメントとは?時間管理を効果的に行い生産性を向上する方法とコツ
この資源を何に使うかによって成果は大きく変わってきます。
本コラムでは成果につながるタイムマネジメントの取り組み方をお伝えいたします。
タイムマネジメントの定義と本質
ビジネスにおけるタイムマネジメントは、「自身の仕事のやり方・進め方を管理すること」と定義することができます。
タイムマネジメントと聞くと、その目的を「時間を管理すること」ととらえる人もいますが、その本質は「自分自身の仕事をコントロールする」ことにあります。
タイムマネジメントに取り組む際は、この定義と本質をおさえておきましょう。
タイムマネジメントの必要性と目的
では、そもそもタイムマネジメントはなぜ必要なのでしょうか?その必要性を考えるに当たり、まずタイムマネジメントの目的を整理したいと思います。
タイムマネジメントの目的は、ずばり仕事において「成果を上げること」です。もう少し詳しく言うと、「成果を上げるための仕事に注力できるようになること」と表すことができます。
「成果を上げるための仕事に注力できるようになる」ためには、「自分自身の仕事をコントロールする」ことが重要であり、それを実現するためにはタイムマネジメント力が必要なのです。もし、タイムマネジメント力が低い、すなわち「自分自身の仕事をコントロールできない」と、
- 「仕事内容を勘違いして無駄な作業をしてしまう」
- 「段取りができず、業務が回らない」
- 「仕事に追われている、仕事に振り回されている」
反対に、タイムマネジメント力が高い、すなわち「自分自身の仕事をコントロールできている」と、
- 「自身に期待されている成果を出すために、十分に時間を使うことができる」
- 「担当業務を効率よく行える」
- 「自分がいつ、何をするか自分でコントロールができる」
という状態が実現でき、余裕をもって仕事にあたることができます。
日々の仕事に振り回されず、適切な仕事に適切な時間を使うことで成果を上げられるようになるには、タイムマネジメント力を高めることが必要不可欠なのです。
このような理由から、タイムマネジメントはかねてより重要視されていますが、昨今、「働き方改革」を背景にその注目度はますます高まっています。「働き方改革」では、目的の1つに仕事の生産性向上が挙げられています。これは、「少子高齢化に伴う労働力人口の減少」や、「育児や介護との両立など、働き方のニーズ多様化」という現状を受け、長時間労働を前提とした働き方の見直しが求められているということです。
しかし、それは単純に残業時間を減らすということではなく、時間当たりの生産性を高める必要があるということです。より短い時間で成果を出すことが求められており、それを実現するために、タイムマネジメントが重要視されているのです。
タイムマネジメントのメリット
タイムマネジメントの定義やその必要性、目的はご理解いただけたと思います。ここからは、タイムマネジメントによって得られるメリットや、適切なタイムマネジメントを行うための方法やコツについてお伝えしていきます。
まずは、タイムマネジメントを行うことで得られるメリットから確認していきましょう。タイムマネジメントのメリットは数多く、短期的・中長期的という観点で分けると、次のようにまとめることができます。
短期的なメリット
- 仕事の効率化を通して、仕事の「処理能力」が向上する
- 仕事の効率化により、新たなことに取り組む時間を捻出できるようなる
中長期的なメリット
- 新たに捻出される時間を使って、独自性の高い仕事へ特化し、自分自身の仕事領域を確立することができる
- 新たに捻出される時間を使って、自らの知識・スキルを磨き、より高い価値を発揮できるようになる
- 上記を通じてより高いレベルで仕事を行えるようになる
自分自身の仕事の処理能力を上げるといった、短期的なメリットを享受することは非常に重要ですが、その観点だけではタイムマネジメントの最終的な目的である「成果を上げる」ことまではつながりません。
そこで重要になるのが、仕事の効率化によって得られる新たな時間の使い方です。仕事の効率化による「処理能力の向上」が実現できれば、以前よりも使うことのできる時間が増えるはず。その増えた時間を、「対処ではなく改善・改革へつながる仕事」「自分のキャリア上、今後必要となる仕事」「社内で自分自身が確立したい仕事」といった、「重要だが緊急ではない仕事」へ振り分けることで、中長期的なメリットが得やすくなります。
目まぐるしく変化するビジネス環境に対応するには、目の前の仕事を「こなす」「処理する」だけでなく、自分自身の仕事領域をしっかり確立することが必要です。
タイムマネジメントの方法・コツ
続いて、具体的なタイムマネジメントの方法やコツをお伝えします。
タイムマネジメントは、以下の手順に沿って進めていきます。
- (1)仕事の洗い出しをする(仕事の見える化)
- (2)工数を確認する(ズレの見える化)
- (3)重要・緊急マトリクスに当てはめる(重要度の見える化)
- (4)(3)の結果から「捨てる」「任せる」「効率化する」
- (5)(1)~(4)によって空いた時間を処理ではなく改善・改革に使う
順番に見ていきましょう。
(1)仕事の洗い出しをする(仕事の見える化)
まず、ご自身が普段どんな仕事を行っているかを洗い出します。仕事の洗い出しの目的は、自分が日々「どんな仕事」に「どれだけ時間を使っているのか」を把握することです。忙しい日々を過ごしていると、意外と自分が行っている仕事を把握できていないことが多いもの。しかしその状態では、タイムマネジメントの第一歩である仕事の「効率化」、すなわち適切な仕事に適切な時間を使うことができません。そのため、仕事の効率化を検討できる状態にするために、仕事の洗い出し=見える化が必要なのです。
仕事を洗い出す方法は、まず1週間分の仕事を思いつく限り書き出し、一覧を作成します。形式は自由ですが、後で追記・修正をすることを考慮し、手書きよりもパソコンなどで作成するのがお勧めです。
その後、それぞれの仕事にどのくらいの時間を費やしているか、自分が想定している時間をおおよそで構わないので記入します。ここでのポイントは、仕事の内容だけでなく、仕事のフローも詳しく書き出すこと。フローを見える化することで、自分の仕事における関係者も見えてきます。
1週間分の仕事を洗い出したら、月次で行っている仕事も同じ手順で記入していきます。これで1カ月分の自分の仕事を見える化することができます。
(2)工数を確認する(ズレの見える化)
この工程での目的は、(1)で洗い出したそれぞれの仕事について、「自分が想定している仕事にかかる時間」と、「実際に仕事に使っている時間」のズレを可視化することです。それにより、実際に自分が「本来注力すべき仕事(成果を出す仕事)に時間を割けているのか」「優先して効率化を検討すべき業務は何か」などを明確にすることができます。
具体的には、まず(1)で作成した一覧をもとに実際に業務を行っていきます。そして、1週間仕事を行いながら、(1)で作成した一覧に仕事内容やそれぞれの仕事にかかった時間を追記し、修正していきます。その結果、手元の一覧には時間の予実が完成します。実際に予実を確認すると、想定より時間を使っている仕事や、逆に時間を使っていない仕事が見えてきます。このズレを見えるようすることが、この工程でのポイントです。
(3)重要・緊急マトリクスに当てはめる(重要度の見える化)
次に行うのが重要・緊急マトリクスへの振り分けです。
自分の仕事において「本当は何に一番時間をかけるべきなのか」、反対に「自分が時間をかけるべきではない(「捨てる」「任せる」「効率化する」)仕事は何か」を明確にするためです。
このマトリクスでは、業務を重要度と緊急度の2軸を使い、自身の仕事を4象限に分けていきます。重要度を測る尺度は「成果につながる業務かどうか」、緊急度を測る尺度は「納期が近いかどうか」です。
この条件に照らし合わせて、それぞれの業務をマトリクス配置していくと、以下のように分類することができます。
A:重要かつ緊急な仕事 例 ・締め切りの迫った提案書の作成など、 締め切り直前のタスク ・クレーム対応 ・お客さまからの重要な問い合わせ ・システムトラブルへの対応 |
B:重要かつ緊急ではない仕事 例 ・スキルアップのための自己研鑽 ・業務改善のためのツールの情報収集 ・社員の教育 ・健康維持のための取り組み |
C:重要ではないが緊急な仕事 例 ・重要ではない電話やメールへの対応 ・突然の来客への対応 ・突発的に発生する社内の依頼・問い合わせ |
D:重要でも緊急でもない仕事 例 ・誰も使用していない資料の定期的な更新 ・形骸化した定例の会議 ・ネットサーフィン ・業務に関係のない世間話 |
(4)上記C、D業務を「捨てる」「任せる」「効率化」する
この段階まで来ると、自分自身の仕事の中でも「成果につながる仕事」と「そうではない仕事」が見えてきます。成果につながらない仕事である可能性が高いのが、上記Cの「重要ではないが緊急な仕事」とDの「重要でも緊急でもない仕事」です。この2種類の仕事に対してまず行うべきことは、「捨てることはできるか」を検討することです。どんなにうまく効率化しても、「捨てる」ことに勝る効率化はありません。捨てられる仕事は、思い切って捨ててしまうことが大切です。
「捨てる」の次は「任せる」です。成果にはつながらないが、誰かがやらなければならない仕事は必ず存在します。その仕事を整理するのに有効になのが、「任せる」という考え方です。ここでいう「任せる」とは、「他の人への仕事の移管」と「システムなどによる自動化」という2つの側面から考えることを意味します。もし、他の人へ仕事を移管する場合には、「仕事の丸投げ」や「押し付け合い」にならないよう十分な配慮が必要です。
「捨てる」「任せる」を検討しても残る仕事に関しては、効率化を検討します。効率化を検討するためには、まず残った仕事のフローを明確にし、重複する工程や不要な工程がないかを洗い出すことが必要です。
また、「効率化」を行う際の重要なポイントは、「手軽で、効率化のインパクトが大きい取り組み」を選択することです。いくら効率化が期待できても、取り入れること自体に多大な時間がかかる場合は、本末転倒なので注意が必要です。
(5)(1)~(4)によって空いた時間を処理ではなく改善・改革に使う
タイムマネジメントを行うことで「短期的なメリット」と「中長期的なメリット」が得られることは先述したとおりです。この短期的なメリットを生み出すための工程が(1)~(4)、そして(1)~(4)の取り組みにより捻出された時間を、今後の成果につながる仕事、すなわちBの「重要かつ緊急ではない仕事」に充当していくことで、「中長期的なメリット」を享受することができます。
ここでのポイントは、この先自分が仕事の成果を大きくするために、何をするべきかという観点で、「対処ではなく改善・改革へつながる仕事」「自分のキャリア上、今後必要となる仕事」「社内で自分自身が確立したい仕事」への取り組みと、それらに関する知識・スキルを身につけることに時間を充てることです。その積み重ねによって、今の仕事をより高いレベルで行うことができるようになり、それが「成果を上げる」というタイムマネジメントの最終的な目的を達成することにつながるのです。
まとめ
今回のコラムでは、タイムマネジメントの必要性や目的、タイムマネジメントを行うコツなどをお伝えしました。そのポイントは、大きく次の4つにまとめることができます。
- (1)タイムマネジメントの目的は、仕事の生産性を向上させ、最終的に「成果を上げること」である
- (2)タイムマネジメントは、日々の仕事の「見える化」から始める
- (3)重要度の低い仕事は「捨てる」「任せる」「効率化」する
- (4)今の仕事を高いレベルで行うために必要なことに時間を使う
この4つを意識しながら仕事に取り組むことで、仕事の生産性が向上し、成果を上げられるようになっていきます。しかし、急に「タイムマネジメントに取り組んでください」と言われても、きっかけがないとなかなか始められないもの。当社では、仕事の進め方の基本や、仕事の進捗管理、覚悟のタイムマネジメントなど、タイムマネジメント力を高めるために役立つ研修を多数開催していますので、研修で第一歩を踏み出すことも一手です。また、すでに取り組んでいる方は、自身のできていない点を見つける、そんな使い方もしていただけます。外部の研修もうまく活用しながらタイムマネジメント力の向上を目指し、その先にある「成果」の獲得につなげていきましょう。
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