報連相の重要性と習慣化させるための3つのポイント

published公開日:2022.02.24
報連相の重要性と習慣化させるための3つのポイント
目次
「報連相」は、新入社員がなるべく早く身につけるべきコミュニケーションスキルの1つです。しかし、近年は対面コミュニケーションが減ったことで、「きちんと報連相がされていない」と感じる管理職の方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、新入社員にどのように報連相を習慣化させればよいのか、そのポイントと実践法をご紹介します。

まずは基本!報連相とは?

報連相とは、仕事をスムーズに進めるために必要なコミュニケーションスキルのこと。報告・連絡・相談を組み合わせた造語です。まずは報連相の3つについて、定義を確認しましょう。

報告

定義:任された仕事の進捗や結果を伝えること
報告とは、仕事の進捗や結果を伝えることです。報告というと、仕事上の問題や課題、ミスなどを伝えるというイメージが先行し、ネガティブな印象を抱く新入社員は少なくありません。もちろん、問題が起こった場合はスムーズに解決する必要があるため、早期の報告が必須ですが、仕事で成果を出した・進捗が順調であるといったポジティブな内容を伝えることも報告に含まれます。

連絡

定義:仕事上の情報や事実を関係者に共有すること
連絡とは、情報を共有することです。たとえば、業務の注意事項やスケジュール、会議の資料の共有などがあります。相手に「知っていてほしいこと」を伝えるのが連絡ですので、相手に伝わっていなければ意味がありません。「相手がちゃんと聞いていないのが悪い」というように、言った言わない問題が生じやすい側面があるため、連絡相手にきちんと伝わったかどうかまで確認することが重要です。

相談

定義:仕事で発生した疑問や問題に対し周囲に意見やアドバイスを求めること
相談とは、仕事に関して誰かに意見やアドバイスを求めることです。職場の雰囲気によって、相談の頻度は大きく異なります。相談しにくい雰囲気や人間関係では、新入社員が自己判断で仕事を進めてしまったり、悩みを抱えたまま離職してしまったりするケースが見られます。そうなると大きな問題に発展する可能性があるでしょう。より相談しやすいよう、慣れるまでは上司や先輩から声かけを行う、また「この業務のことなら〇〇さん」と、ケースと相談先を伝えておくと、より相談しやすくなります。

新卒に伝えたい報連相の目的

新入社員に「報連相は何のために行うのか」と聞かれたら、どう答えればよいのでしょうか。あらためて、報連相を行う目的について振り返ってみましょう。

(1)仕事をスムーズに進めるため

1つめの目的は、仕事をスムーズに進めるためです。業務の進捗や成果の報告、業務遂行における連絡、そして課題が生じた際の相談。これらのうち、どれが不足しても業務遂行に支障が出ます。任せた仕事の進捗が遅れているのに報告や相談がない場合、上司が気づいたときには手遅れとなり、納期の超過、成果物が要件を満たさない仕上がりになる、また予定していた会議が開催できないなど、様々なトラブルに発展する恐れがあります。

新入社員が仕事に慣れないうちは、報連相の不足は起こり得るでしょう。しかし、そのまま放置しては部署全体の生産性低下につながります。仕事をスムーズに進めるには、報連相をきちんとできるように重点的にトレーニングさせるとよいでしょう。

(2)評価を上げるため

2つめの目的は、社会人としての評価を上げるためです。報連相はビジネスパーソンとしての基本スキル。これをしっかりとできるようになれば、信頼できる人・安心して仕事を任せられる人という評価を得られます。報連相を全くせずに、自己判断のみで仕事を行い、全てうまく行くことは稀です。

大きなミスをせずにきちんと成果物までつなげるには、要件や納期、業務を進めるためのコミュニケーションが必要です。事前に連絡や相談ができれば、それだけでビジネスパーソンとしての誠実さを示すことになり、他者からの信頼につながります。ポイントは、仕事の結果の良し悪しではなく、自分のミスや進捗遅れを隠さずに伝えられるかどうか。報連相は、ビジネスパーソンとしての姿勢を見せる部分でもあるのです。

報連相を習慣化させる3つのポイント

報連相はビジネスパーソンにとって基本となるスキルです。一見簡単なように見えるかもしれませんが、実は意外と難しく、社会人歴が長くても苦戦している人もいます。新入社員が早期に身につけられるよう、以下の3つのポイントを意識しながら習慣化をサポートしてあげましょう。

(1)質より量で習慣化を促す

報連相で最も悩むポイントが、タイミングや内容です。報連相をしやすくするには、「小さな悩みや課題でもいいから、必要だと思ったタイミングで」と新入社員に繰り返し伝えましょう。こうすることで、報連相をしやすい環境を整えるのです。

ここでのポイントは、質よりも量とスピードです。回数をこなして報連相を「当たり前」にしていけば、質は自ずとついてくるからです。初めから質の高い報連相を求めるのは難易度が高いので、まずは、伝えてもらいやすい状況を作りつつ、量とスピードを意識させてください。

(2)報連相をしたことを褒めて行動を促す

ミスの報告がなかなか上がってこない場合、そこには新入社員の「怒られるのが嫌だ」という心理があるかもしれません。しかし、ミスが放置されれば、後々大きなトラブルに発展しかねません。ミスの報告が漏れなく素早く上がってくるようにするには、第一に報連相してくれたことを褒めましょう。トラブルの大小に関わらず、「自分の評価が下がるのではないか」という葛藤を乗り越えて報連相したことに対して、「伝えてくれてありがとう」と言ってあげてください。「怒られない」という安心感が、報連相のハードルをグッと下げてくれるはずです。ただし、トラブルの報告の場合は、その原因を特定し、改善するよう指導しましょう。その際に、感情的に言うのではなく、落ち着いて分析・検討することがポイントです。

(3)報連相を仕組み化する

習慣化は本人や周りの「意思」だけでは達成しにくいものです。そこで、報連相せざるをえない仕組みを作ることが3つ目のポイントになります。

仕組みとして一般的なのは、日報でしょう。日報に記載する項目に報連相を盛り込み、日々の業務を新入社員自身で振り返り、その日にあった出来事や今後どうしたいかなどを記載してもらってください。日報を見た先輩や上司はアドバイスや指導を行い、本人にフィードバックしてあげましょう。

その他、口頭や対面では時間が合わない、リモートワーク中であるといった場合は、ビジネスチャットツールを使う方法もあります。時間を決めて進捗報告をしてもらう、タスク機能を使って連絡してもらうなども可能です。

報連相に使える手段を増やしてルールづくりを行い、仕組みによる報連相の習慣化を進めましょう。

リモートワーク下での報連相のポイント2つ

企業によっては、リモートワークを実施しているところもあるでしょう。画面を通してやり取りをするリモートワークでは、出社時の報連相とは少し異なる点を意識する必要があります。

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(1)報連相のルールを作る

社会人1年目の新入社員は、報連相の重要性を理解したとしても、すぐに実践できるとは限りません。「こんな内容を相談してもいいのか」と戸惑ったり報告のタイミングを逃してしまったりする方も多くいます。

そこで、報連相のタイミングをつかみやすいよう『何を』『誰に』『いつ』『どのように』伝えるか、具体的なルールを定めて共有することが1つ目のポイントとなります。

例えば

  • 定期的な報連相の例:「業務報告を」「山田課長に」「毎日18時までに」「メールで」伝える
  • 業務上の都度の例:「担当案件に関する進捗を」「佐藤先輩に」「毎週火曜・木曜の9時から9時30分の間に」「Web会議で」伝える
のような形が考えられるでしょう。

<実践アドバイス>
テレワーク下での報連相の手段として、電話、Web会議、メール、チャットなどがあります。それぞれの特徴に応じた手段を選ぶことも伝えておきましょう。

たとえば、以下のようなルールが考えられます。

  • 電話:当日中の見積もり依頼や資料の用意など、素早い対応が求められるもの
  • メールやチャット:来週以降の話(一旦メールやチャットで連絡して、改めてWeb会議を申請するなど)
  • Web会議:重要な検討が必要なもの
また、言われなくても当たり前にできる状態にステップアップさせるため、下記の取り組み例のように徐々に自主的な報連相ができるようサポートしてあげてください。

報連相を身につけさせるためのステップ(例)

Step1(4~5月):報連相の必要性と正しい報連相のやり方を理解させる
取り組み:日報を記入+OJT担当者とのミーティングを毎朝実施

Step2(6~9月):報連相のタイミング・やり方に関してフィードバックする
取り組み:日報を記入+OJT担当者とのミーティングを週に2~3回実施

Step3(10月以降):定期的な場を減らしつつ、本人が主体的に報連相をできているか確認する
取り組み:業務報告は週報を記入+OJT担当者とのミーティングを隔週で実施

(2)他者の目を意識させる

2つ目のポイントは、他者の目を意識させることです。

オフィスワークと比べてリモートワーク下では、上司、先輩、同僚といった他者の目が格段に減ります。そのため、一人きりで仕事をしているような孤独感や他の社員との壁が生じやすくなります。「この程度の悩みを相談していいのかな」「同期はできているだろうし、こんなことは相談できない」などの不安から、報連相ができない状況に陥っているケースがあり得るのです。

こうした孤独感や不安を軽減するためにも、「先輩や上司は、ちゃんと見ている」「必要ならサポートする」という他者の目を意識してもらい、新入社員に安心感を与えましょう。これによって相談しやすい雰囲気が醸成され、気兼ねなく報連相してくれるようになります。

<実践アドバイス>
「ちゃんと見ている」と伝えるには、「業務状況の見える化」と「フィードバック」の2つが大切です。

業務状況の見える化

新入社員の業務状況を上司・先輩が確認できる状態する

・OutlookやGoogle カレンダーなどのツールに予定を入れる

・業務管理ツールに仕事の進捗を入力する

・コミュニケーションツールを使って雑談したり在席状況を可視化したりするなど

上司・先輩の状況も見える化する

・新入社員も話しかけるタイミングがつかみやすくする

フィードバック

任せた仕事や課題に対してきちんとフィードバックすると、より他者の目に意識を向けられます。ただ、カメラオフのWeb会議や電話のような直接顔を合わせない方法でのフィードバックは、新入社員の反応が見えづらいので、可能な限り、お互いに顔が見える状況でフィードバックすることを優先してください。

適切なフィードバックを行うためには、管理職・上司は、以下手順を押さえましょう。

  • Step1:伝える内容を事前に整理しておく
  • Step2:フィードバック前に「今回の仕事をやってみてどうだったか」を尋ねる
  • Step3:フィードバックを行い、理解を促す
  • Step4:フィードバック後に「今後取り組めそうな課題はあったか」を確認する

意図的に質問し、相手の反応・感情に配慮しながらフィードバックすることが重要です。より効果的なフィードバック方法については、掲載中のコラム成果を上げている上司が『フィードバック』時にやっている5つのことで詳しく紹介していますので、そちらもご覧ください。

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上司が気を付けるべきポイント

ここまで、報連相の定義や実践的な側面をお伝えしてきました。一方、報連相は心理的ハードルが高いものであり、コミュニケーション不足の環境下では、おろそかにされやすい面があるのも事実です。一朝一夕でできるようになるものではありません。

報連相の習慣化にあたっては、管理職は「報連相をする/しない」という二元論で考えないことが重要です。まずは報連相をしやすい環境づくりから始め、少しずつステップアップしていくイメージでサポートしてあげてください。

新入社員は、社会人経験が浅く、ビジネスパーソンのセオリーを知りません。会社独自のルールやマナーについても、教えなければ気づけない面が多々あり、経験豊富な管理職との間には大きなギャップがあることを忘れないようにしましょう。

報連相の必要性や重要性、習慣化の指導は、そのギャップを加味したうえで、新入社員が「自分のことや立場を理解したうえで指導してくれている」と感じられるやり方が大切で、きちんと見てもらっているとわかれば、自発的に応えようとしてくれます。

報連相は学んで身につけるスキルである

今回のコラムでは、報連相の重要性や習慣化のアイデアをご紹介しました。報連相の習慣化には環境づくりが大切なこと、ステップアップしながら身につけていく必要があることをあらためて実感いただけたかと思います。新入社員が安心して報連相ができるようになるように、上司や先輩の方は、見守っていること、必要な時はしっかりサポートすることを繰り返し伝えてあげてください。

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『体感型』報連相研修2<報告・相談編>はこちら

また、報連相を行う際は、話し手・聴き手としてのマナー、オンライン上での入退室のマナーなど、さまざまなビジネスマナーが求められます。報連相に限らず、会議や打ち合わせやお客様との商談でも必要になるでしょう。報連相の習慣を身につけさせると同時に、ビジネスマナーも学ばせたい場合は、当社がご提供するビジネスマナー研修がおすすめです。
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