総務の仕事|業務内容や必要なスキルについて解説
今回は、そんな総務の仕事内容や必要スキル、役立つ資格、キャリアパスなどを解説します。
総務とは
ここでは、総務の概要について紹介します。
会社運営に関係する事務的業務を担う部署
総務は会社運営に必要な、あらゆる業務に関わる部署です。事務用品の発注や書類の作成にはじまり、来客対応、社内イベントの運営など、担当業務は多岐にわたります。維持管理、社員との円滑なコミュニケーション、トラブル対応など、マルチな能力が求められます。
会社の規模や業種によって業務範囲はさまざま
総務の仕事は、会社の規模や業種によって大きく異なります。中小企業やスタートアップ企業など人員が限られている組織では、経理や人事、労務、法務なども総務が受け持つことが少なくありません。
一方で、企業の規模が大きくなると、管理するものも必然的に増えるため、単一業務のボリュームが増します。
総務と労務の違いは?
総務が「会社全体の事務的業務」を担っているのに対し、労務は「従業員の労働環境に関する業務」に特化しています。労務の仕事は勤怠管理や給与計算、社会保険手続き、就業規則管理など、従業員の働き方や休み方に関する業務です。
総務が担う3つの役割
総務の代表的な業務を大きく3つに分類してご紹介します。
1.会社の窓口としての業務
総務は代表電話やメール、来客など、さまざまな用件に対応し、会社の窓口としての役割を担っています。受け付けた案件を担当部署に引き継ぐ、会社宛の郵便物を部署ごとに仕分けるなど、社内の窓口としての役目もあります。社内外の慶弔には、会社を代表して挨拶状や花などを手配するのも総務の仕事です。
2.会社で使用するモノや設備の管理
会社で使用する消耗品や備品、設備などを管理するのも総務の仕事です。ボールペンやクリップ、コピー用紙、トナー、名刺などの細かなモノから、OA機器や社用車にいたるまで管理の対象物は多岐にわたります。社屋や倉庫、社宅、福利厚生施設など、会社で使用する不動産も総務が管理します。
3.株主総会などイベントの企画・運営
総務にとって最も大きな仕事の一つが株主総会の企画・運営です。株主に向けた招集通知の作成・発送にはじまり、会場の予約や設営、当日配布する資料の作成・印刷手配など、抜かりない準備が必要です。当日は会場案内や受付を担当することもあり、終了まで気が抜けません。
社内向けのイベント運営も行います。入社式や納会、リクリエーション、社員旅行など、年間を通して行われるイベントに対し、予算策定、会場手配、社員への告知、当日のアテンドや進行など、さまざまな役割をこなします。
総務に必要なスキル
総務は社内のあらゆる業務に関わります。幅広い知識が必要であるとともに、複数の業務を並行して行う能力が欠かせません。予期せぬ業務が発生する可能性もあるため、対応力も必要です。ここでは、 総務の仕事に就きたい方に向けて、必要とされるスキルをまとめました。
基本的なビジネスマナー
総務は社内外のあらゆる立場の人と接する機会があります。そのため、ビジネスシーンにふさわしい言葉遣いや応対、名刺交換の仕方など、基本的なビジネスマナーを身につけておくことが必要です。直接応対する場合はもちろん、電話やメールなど顔が見えない状況でも、相手の立場に留意した適切な応対が求められます。
基礎的なITスキル
総務では、資料作成や備品管理など、コンピューターを使用した業務が多くあります。社内文書だけでなくフォーマットが指定されている公的書類なども作成するので、WordやExcelなど、基本的なOfficeツールの運用スキルは必須といえます。
人事や経理の知識
会社の規模によって、総務担当者が人事や経理業務を兼任することがあります。その場合は、勤怠管理や給与計算、社会保険、内規作成など労務の知識が役立ちます。また、経理の業務を行うには、会社のお金の流れが分かる簿記の知識があると重宝されるでしょう。
コミュニケーション力
総務は社内外のさまざまな人とやり取りすることが多いため、柔軟なコミュニケーション力が求められます。相手の話をよく聞いて把握し、お互いの条件をもとに調整する役割があります。備品や設備の管理、イベント運営、協力会社との信頼関係の構築など、総務のすべての業務は円滑なコミュニケーションの上に成り立つといえるでしょう。
スケジュール管理能力
総務の仕事は多岐にわたるため、スケジュール管理能力は大切なスキルの1つです。個別の仕事に注力しすぎて、他の仕事が期限までに終わらないという状況は避けなければなりません。仕事の優先順位をしっかり見極め、正確に処理することが求められます。
ITやネットワークの知識
総務が社内のITインフラを管理するケースも珍しくありません。ちょっとしたPCトラブルへの対応から、会社によってはサーバーの保守管理を担当することもあるので、ITやネットワークに関する知識があると重宝されるでしょう。
総務の仕事に役立つ資格
総務の仕事をする上で必須の資格はありません。しかし、総務の業務は広範囲にわたるため、持っていると役立つ資格は多数あります。こちらでご紹介する資格を強みに、キャリアパスを形成することもできるので、参考にしてみてください。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
MOSはMicrosoft Office Specialistの略で、一般的な会社でよく使用されるOfficeソフトの操作スキルを証明する資格です。Word・Excel・PowerPoint・Access・Outlookの5つの科目があり、それぞれのソフトを実際に操作する実技試験が行われます。
WordとExcelは、一般レベルと上級レベル(エキスパート)の2つのレベルがあります。一般レベルでは基本的な操作が出題され、難易度は中程度。上級レベル(エキスパート)は高度な機能について理解している必要があり、難易度が上がります。
資格取得に向けて勉強することにより、実務でも役立つ力が身につくでしょう。
第一種・第二種衛生管理者
第一種・第二種衛生管理者は、衛生管理者として業務にあたる際に必要な国家資格です。労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者を選任する必要があります。衛生管理者は職場の衛生上の管理や労働者の健康維持、労働災害防止などの職務を担います。
第一種と第二種の違いは選任できる業務の範囲にあります。第一種衛生管理者は農林畜水産業、鉱業、建設業などの有害業務を含むすべての業種に対応可能で、第二種衛生管理者は有害業務を含まない業種のみに選任できます。
日商簿記検定
日商簿記検定は、経理や会計に関する知識を証明する資格です。会計に関する基礎知識はもちろん、貸借対照表や損益計算書など、財務諸表についても学ぶため、IR情報や決算書を扱う総務の業務でも役立ちます。また、2級以上の知識があれば、経理としての実務も担うことができるでしょう。
社会保険労務士(社労士)
社会保険労務士(社労士)は、労働基準法や労働者災害補償保険法、雇用保険法、労務管理、社会保険などに関する知識を証明する国家資格です。令和5年8月に実施された社会保険労務士試験の合格率は6.4%と、難易度は高めですが、総務や人事労務領域でキャリアを積みたい人にとっては、取得する価値のある資格といえます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題を診断したり、助言を行ったりする専門家の国家資格です。企業の財務・労務・生産・販売など、経営全般にわたって調査分析を行うスキルが身につくため、経営陣に近い思考でアドバイスできます。合格率5%前後と難易度は高めですが、企業経営について横断的視野で思考できる能力は、キャリアアップにも役立つでしょう。
総務に向いているのはこんな人
総務の仕事に向いている人の特徴についてご紹介します。
協調性がある人
総務は、社内外と連携したり、調整したりを繰り返しながら業務を行います。多くの人とコミュニケーションを取る機会があるので、一人で黙々と作業したい人より、周りの人と協力しながら仕事を進めたい人に向いています。
サポートすることが好きな人
社員が気持ちよくスムーズに仕事ができるようサポートするのも、総務の役割です。売上をあげるなど、目に見える成果は残しにくく、どちらかといえば「裏方」ですが、会社になくてはならない仕事です。人の役に立つことが好きな人や、人の役に立つことが好きな人はやりがいを感じられるでしょう。「気が利くね」とよく言われるなど、細かいことに気が付く人も適性があるといえます。
マルチタスクが管理できる人
総務の仕事は多岐にわたるため、いくつもの業務を並行して担当することも多いでしょう。そのためマルチタスクの管理が得意な人や物事の優先順位を見極められる人は、総務の仕事に向いているといえます。
総務のキャリアパス
総務のキャリアパスにはさまざまな選択肢がありますが、ここでは大きく2つに分けてご紹介します。
バックオフィス業務を極める
総務で幅広い業務を担当することにより、バックオフィスに関するマルチなスキルが身につきます。経験を積めば、管理部門でマネジメントを任される可能性もあるでしょう。人事や労務など、特定領域の専門性を高めることで、業務が細分化された大企業へ転職し、キャリアアップを図ることも可能でしょう。
戦略総務で活躍する
近年では、「戦略総務」という考え方が広まりつつあり、企業の課題を総務の視点から洗い出し、解決につなげる取組みが注目されています。戦略総務は業務の効率化や労働環境改善などの具体的施策を能動的に提案して、企業の継続的な成長をサポートするのが仕事です。従来のルーチン化した業務だけにとどまらない活躍ができます。