若手社員教育を成功に導く方法 -絶対に身につけるべきポイントとは-
最近の若手社員の特徴
「若手社員」という場合、一般的には入社1年目から3年目くらいまでの社員を指します。本コラムでも同等の対象を想定して述べていきます。
管理職や教育担当者の皆さまの中には、若手社員との世代間ギャップから、どのように指導したらいいのかわからない...などとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。若手に限らず、社員教育を効果的に進めていくためには、何より相手への理解が不可欠です。まずは最近の若手社員の特徴から確認していきましょう。
(1)指示されたことはできるが、それ以上のことはできない
ひと昔前と比べ、上司や先輩の指示に対して忠実な働きをする若手社員が増えたと感じている方も多いでしょう。仕事を忠実にこなす。裏を返せばこれは、指示されたことはできるが、指示以上のことを自ら考え、また自ら動くことが苦手な若手社員が多くなっているということです。
(2)失敗を恐れている
インターネットが普及した今、多くの人がネットから情報を得ています。特に最近の若手社員は、物心ついた頃からインターネットに触れているため、上の世代よりもその傾向が顕著です。インターネットの特徴は、手軽に情報が得られること。
そのため最近の若手社員は、新たなことに取り組むときや何か問題が発生したとき、自分で考えたり行動したりするよりも前に、「まずはネットで正解を調べる」癖がついています。それ故、多くの若手社員が、「失敗は恥ずかしい」「失敗したら怒られるかもしれない」など、失敗を必要以上に恐れているようです。
(3)プライベート重視
世間では、年々プライベートを重要視する価値観が広まってきています。最近の若手社員は特にその傾向が強く、仕事で成果を上げて出世することよりも、プライベートを充実させていくことに価値を感じているようです。この新入社員の意識調査※1の結果からも、「プライベート重視型」の新人・若手社員が年々増加傾向にあることが明らかになっています。プライベート時間を自己研鑽などに使う若手社員も多数いますが、プライベート時間はあくまでも自分自身の"楽しみの時間"と捉える傾向も強まっているようです。
これを裏付ける調査として、当社が毎年行っている新入社員の意識調査があります。最新版はこちらからご覧ください。
※1新人・若手社員の成長が二極化!?意識調査をもとに、新人・若手社員の育成ポイントを分析しました|リサーチ|人材育成・社員研修
最近の若手社員の特徴を3つにまとめましたが、ご自身の感覚と比べていかがでしょうか。もちろん人によって差はありますが、これらの全体傾向をつかんだうえで、世代に即した教育を実施していくことが大切です。
若手社員教育の現状と課題
では実際に、どのような若手社員教育が行われているのでしょうか。若手社員の教育施策として真っ先に思いつくのが、1年目の社員に対する研修、特に入社直後の新入社員研修だと思います。新入社員研修は、中堅社員や管理職などを対象とした研修と比べ実施率が高く、上述したような世代の特徴を踏まえ、毎年研修内容を見直している企業も多くいらっしゃいます。
また、新入社員研修後の取り組みとしては、上司や先輩が実際の業務を通じて指導する「OJT」を実施するのが一般的です。しかし、令和元年の厚生労働省の調査※2によると、新入社員研修の実施率は75.4%という結果に対して、「計画的なOJT」を実施できている企業は、56.5%に留まっています。この調査結果から、新入社員研修後の取り組みについては、十分に整備が出来ていない、現場任せになっている、そんな企業がまだまだ多いことが分かります。
※2厚生労働省 令和2年5月26日発行「令和元年度『能力開発基本調査』」
これでは、新入社員研修などで「熱いうちに鉄を打った」としても、教育の効果は最大化できません。新入社員研修後も、
継続的かつ計画的に、そして世代の特徴をとらえた教育を実施してこそ、効果は最大化できるのです。
では、どのように若手社員教育を実施していくべきなのか、ここからは若手社員教育のキーワードである"習慣化"の観点から考えていきます。
習慣には一度身につけるとその習慣を変えることが困難だという特徴があります。不適切な習慣を一度身につけてしまうと、それを変えるためには、本人も育成する側にも大きな負荷がかかります。
例えば、新聞を全く読まない習慣がついてしまっている社会人歴数十年の社員に、新聞を毎日読む習慣を身につけさせることは、相当な困難を伴うことは想像に難くありません。
若手社員教育の成功のポイントは習慣化
冒頭でもお伝えした通り、若手社員の教育は「鉄は熱いうちに打つ」ことが大切であり、「入社3年目までが勝負」とさえ言われています。その理由を紐解く鍵は、ずばり「習慣化」。
どのような習慣が身についているかによって、仕事の仕方も仕事に対する意識も大きく変わります。若手社員のうちにいかに適切な習慣を身につけることができるかが、その後の社会人人生を決めるといっても過言ではないのです。
ここで言う「習慣化」とは、強く意識しなくても特定の行動ができるようになる状態のことを指します。例えば、仕事で失敗したときに、「振り返りを行い、どこに問題があったかを考える」という習慣が身についている社員と、「何か言われるまで放っておく」という習慣が身についてしまっている社員とでは、自ずと成長の度合いも変わってきます。
良い習慣であろうと悪い習慣であろうと、習慣というものは一度身についてしまうと、そう簡単に変えることはできません。不適切な習慣が身についてしまうと、それを変えるためには、本人も教育する側にも大きな負荷がかかってしまいます。
そのため、まだ社会人としての適切な習慣も不適切な習慣も身についていない"まっさら"な時期に、適切な習慣を身につけさせることができるかが、若手社員の成長を左右するのです。
どのような習慣を身につけさせるか
習慣化の大切さはご理解いただけたと思います。では、若手社員にはどのような習慣が求められるのでしょうか。
社会人として身につけたい習慣には、仕事を進めるための習慣、コミュニケーションに関する習慣、考え方の習慣など色々なものが挙げられます。どれも身につける必要があるものですが、特に重要な習慣の一つに、自己成長するための習慣が考えられます。
社会人の成長は自己成長に依拠する比率が学生時代よりも高まります。
企業が取り組む育成施策は、どうしても業務に直結する知識やスキルの習得に偏重されがちで、それ以外の領域、つまり一般教養的な知識や汎用的な知識については、自発的に取り組まない限り、習得する機会がないケースも少なくないのです。
では、業務に直結する知識やスキルだけを身につければ、それだけで十分に業務で活躍することができるのでしょうか。
例えば豊富な商品知識を持っていても、その知識を理解しやすいように論理的に整理し、それを分かりやすく相手に伝えることができなくては、豊富な商品知識は有効に活用されません。業務に直結する専門的な知識やスキルは、それを支える汎用的な知識やスキルという土台があってこそ活きるものなのです。
さらには、汎用的な知識やスキルの習得こそ、中長期的な視点でみると個人差がつきやすく、それゆえに企業としての競争優位性の源泉となります。
企業が取り組むべき若手社員教育のテーマは多岐に渡るため、限りある資源の中で、あえて汎用的な知識やスキルの習得に注力することは難しいかもしれません。しかし、自己成長するための習慣を獲得するための支援なら、すぐにでも取り組むことができるのではないでしょうか。例えば、上司が若手社員に対し、「今日の新聞読んだ?」「あのニュースについてどう思う?」「なぜそう思ったの?」などと積極的に話しかけ、汎用的な知識やスキル習得に向けて、習慣化を促すことはできるでしょう。このように、自己成長するための習慣化を支援するという方向で考えてみると、様々な方法が見いだせるのではないでしょうか。
若手社員育成の手法
最後に、若手社員教育の手法についてご紹介します。
(1)OJT
経験豊富な職場の上司や先輩が、実際の業務を通じて若手社員に業務知識を身につけさせる育成手法です。先に、まだまだOJTの取り組みは十分に整備されていない、現場任せになっているという実態があることをお伝えしました。もし、OJTを「意図的・計画的・継続的」に実施することができれば、より若手社員教育を効果的に進めることが可能です。こちらのコラム 「OJT研修とは?意味・目的と効果的に進める方法を紹介」でOJTを計画的に実施するポイントに触れておりますので、参考になさってください。
(2)学習アプリ
「自己成長するための習慣」を身につけるには、広範な知識やスキルに対し、大きな負荷をかけることなく継続的に学べる機会を設けることが有効です。当社では、若手・中堅社員世代を対象に、1日3分で知識・スキルを獲得できる学習アプリ(Mobile Knowledge Basic)を提供しています。学習アプリを使って学んだ内容を、業務で実践することで知識の定着が加速します。学習アプリとOJTと連動させることも、若手教育の効果的な手法といえるでしょう。
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge Basic」
(3)ビジネススキル診断
また、学習アプリを使った自己学習の動機づけにビジネススキル診断もおすすめです。当社では社員一人一人の課題が一目で分かるビジネススキル診断テスト(Biz SOCRE Basic)を提供しております。ビジネススキル診断を受検することで、現状のスキルを適切に把握し、自分の課題に気づくことができます。
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