【新入社員意識調査(業界別編・製造業)】製造業の新入社員、6年連続”安定志向” 7割以上が「今の会社で働き続けたい」と回答| ニュースリリース |人材育成・社員研修

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累計13,000社400万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー 所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は2024年3月28日~4月30日、2024年入社の新入社員4,761人を対象に「新入社員意識調査」を行いました。本レポートでは、製造業の新入社員の仕事への向き合い方について、調査・分析した結果を公表いたします。

背景

製造業界は近年、新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーンの寸断や半導体の不足により、生産を縮小するなど大きな影響を受けました。さらに、少子高齢化が加速する日本では、人手不足や技術継承による問題、システムのレガシー化、DXの遅れが生じている実情もあります。かつて「ものづくり大国」と言われていた日本も、国際市場における競争力の低下が懸念されています。

このような変革期にある製造業へ入社をした、“アフターコロナ第1世代”の今年の新入社員は、どのような価値観やキャリア志向を持っているのでしょうか。

【参考】2024年4月22日公開 新入社員意識調査(速報値版)https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240422.pdf

調査結果の概要

  • ● 仕事で成し遂げたいこと「安定した生活を送りたい」が69.5%で過去最高に
  • ● 「今の会社で働き続けたい」他業種より16.2ポイント高く、7割以上が回答
  • ● 将来のキャリア志向「専門性を極めたい」がトップ 4人に1人は「志向なく、楽しく仕事したい」
  • ● スキルアップのための取り組み「特に何もしていない」過去最高で4割超
  • ● 今後スキルアップのために取り組みたいこと、「仕事を通じたスキルアップ」が6割超
  • ● 成長のために必要なもの「成功体験」「事後フィードバック」が過去最高に
概要

調査結果の詳細

1.   スキルアップのための取り組み「特に何もしていない」過去最高で4割超

はじめに、製造業の新入社員に、これからの仕事で何を成し遂げたいのか質問したところ、「安定した生活を送りたい」が1位で69.5%となり、製造業を除く全業種(以下、『他業種』と記載)と比較すると4.8ポイント高い結果となりました(図1)。製造業における「安定した生活を送りたい」の割合は、毎年6割超えで1位の回答項目であり、安定志向の高さが特徴としてあげられます。中でも今年は過去最高の割合となり、例年以上に「安定した生活を送りたい」と思う新入社員の割合が高まっていることがわかります。(図2)

図1
図2

2.   「今の会社で働き続けたい」他業種より16.2ポイント高く、7割以上が回答

安定志向の高い製造業の新入社員に、入社した企業で働き続けたいか質問したところ、「できれば今の会社で働き続けたい」が74.4%となり、他業種より16.2ポイント高い割合となりました。一方、「そのうち転職したい」は8.3%で、他業種より6.4ポイント低い結果となり、今の会社での勤続意向が高いことがわかりました。(図3)

図3

3.    将来のキャリア志向「専門性を極めたい」がトップ 4人に1人は「志向なく、楽しく仕事したい」

転職意向が低く、安定志向の高さがみられる製造業の新入社員は、どのようなキャリアを描きたいのでしょうか。将来担いたい役割について聞いたところ、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい<専門家>」が最も多く、28.1%でした。 一方、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」と回答した割合が25.6%で、他業種より3.5ポイント高く、製造業の新入社員の4人に1人が「キャリア志向がない」という結果となりました。(図4)

図4

4.   スキルアップのための取り組み「特に何もしていない」過去最高で4割超

将来、「専門家」としてのキャリアを歩みたいと考えている新入社員が最も多いことがわかりましたが、スキルアップのために取り組んでいることはあるのでしょうか。結果、回答時点では「特に何もしていない」が43.4%で、他業種よりも10ポイント以上高い回答割合となりました(図5)。この割合は、過去5年間の調査結果と比較すると最高となり、初めて4割を超えました(図6)。

図5
図6

5.   今後スキルアップのために取り組みたいこと、「仕事を通じたスキルアップ」が6割超

現時点でスキルアップの取り組みをしていない割合が、他業種より高い実情が明らかとなりましたが、これからスキルアップのために取り組みたいことは何か聞いたところ、「会社での仕事を通じてスキルアップを図っていきたい」が63.3%で最も多く、仕事の経験から自己成長をしていきたいという考えを持っていることがわかりました。(図7)

図7

6.   成長のために必要なもの「成功体験」「事後フィードバック」が過去最高に

仕事を通じたスキルアップを望んでいることがわかりましたが、具体的にどのような要素が成長に必要だと考えているのか質問しました。結果、「仕事を通じた成功体験」が67.1%、「仕事を通じた失敗体験」が57.7%、「上司や先輩からの事後のフィードバック」が56.9%、「振り返りの習慣」が43.6%という順序になりました。

経年の傾向を見ると、「仕事を通じた成功体験」は5年連続で高まっており、5年前と比較すると8.0ポイント高い割合となりました。「上司や先輩からの事後のフィードバック」は、昨年より4.9ポイント増加し、過去最高の割合となりました。一方で「仕事を通じた失敗体験」と「振り返りの習慣」は減少傾向が見られ、昨年よりそれぞれ8.2ポイント、0.8ポイント縮小し、ともに5年間で最も低い結果となりました。(図8)

図8

まとめ

本調査では、2024年に製造業へ入社をした新入社員の価値観やキャリア志向を分析しました。今回の調査でも、当社が公表した過去2年の調査レポート*と同様に、他業種より安定志向が高い特徴が見られました。仕事で成し遂げたいことでは「安定した生活」が6年間のうち過去最高値となり、他業種よりも転職意向が低く、今の会社で長期的に働きたい意向も見受けられました。本調査で回答した製造業の新入社員のうち、半数以上が300名以上の大企業に所属していることからも、製造業の大手企業では長期的に安定して働くことができると考える新入社員が多く入社されていることが推察できます。

一方で、現時点でのキャリア志向は専門家がトップだったものの、4人に1人が「キャリア志向はない」と回答。また、スキルアップの取り組みは「していない」と4割が回答しており、今何ができるのか、何をすべきかわからないという新入社員の現状が垣間見えました。今後の成長のために取り組みたいことは、実際の仕事を通じた成功・失敗体験や、フィードバックが必要と回答する割合が高く、経験から着実に成長を図りたいと考える姿が浮かび上がりました。

*2022年度 新入社員意識調査(製造業編) https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20220712.pdf
2023年度 新入社員意識調査(製造業編) https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20230627_02.pdf

【製造業専門】組織開発・人材育成コンサルタントの考察

本調査より、製造業界で働く新入社員の安定を求める傾向が浮き彫りになりました。安定志向が強い製造業界では、「安心して働き続けられる職場づくり」が重要です。そのために、企業は周囲とのコミュニケーションの場を意図的に用意できるとよいでしょう。上司だけでなく、他部署の先輩、同期と気軽に話せる場づくりが新入社員の疑問の解消や組織への愛着形成の場になります。例えば、社内イベント(ランチ会、旅行、運動会等)の実施や、社史や社内報など、会話のきっかけとなるようなものを食堂や休憩室に用意するのも一つの方法です。

「キャリア志向がない」「まだ決めていない」という新入社員に対しては、キャリア形成支援が効果を発揮するでしょう。キャリア形成支援の一環として、先輩との座談会で数年後の自分をイメージさせたり、若いうちに配置転換(ジョブローテーション)を行うことも有効です。

また、「スキルアップのために特に何もしていない」の割合が過去最高となりましたが、活躍するために何を学ぶべきかわからない新入社員も多くいるでしょう。新入社員や若手が主体的に成長できる環境を作るためには、キャリアステップの明確化だけでなく、求められる知識やスキル、学び方を具体的に提示すること、正しい振り返りの習慣を身につけることも重要です。調査結果では、成長に必要な要素として「自身の振り返り」を回答する割合が減少傾向にありましたが、上司やOJT担当者の「内省支援力」を高めると同時に、改めて振り返りがどのような意味、重要性を持っているのかを伝え、自主的に成長のPDCAを回せるようサポートしていくとよいでしょう。

製造業に入社をした新入社員が「安心して働き続けられる職場」をつくるには、キャリア形成も成長も本人任せにしないことが重要です。どのように上司や組織が新入社員を支援していくのかを検討することが、新入社員の長期的な活躍に繋がるでしょう。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部 製造業チーム チームリーダー 兼 マネジャー
藤原 宏之


幅広い業界の企業約300社に対して、人材・組織開発のコンサルティング支援を実施。
研修講師として、通算700回以上登壇し、リーダーシップ・マネジメントや人事評価者育成などのテーマを担う。
現在は製造業チームの統括リーダーとして組織マネジメントや部下育成にも従事。

調査概要

調査対象者 調査対象者 当社が提供する新入社員研修に参加した2024年入社の新入社員
調査時期 2024年3月28日~2024年4月30日
調査方法 Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査
サンプル数 4,761人
属性 (1)業種
農業、林業 10人(0.2%)
漁業 3人(0.1%)
鉱業、採石業、砂利採取業 6人(0.1%)
建設業 334人(7.0%)
製造業 817人(17.2%)
電気・ガス・熱供給・水道業 90人(1.9%)
情報通信業 1090人(22.9%)
運輸業、郵便業 249人(5.2%)
卸売業、小売業 305人(6.4%)
金融業、保険業 244人(5.1%)
不動産業、物品賃貸業 209人(4.4%)
学術研究、専門・技術サービス業 217人(4.6%)
宿泊業、飲食サービス業 31人(0.7%)
生活関連サービス業、娯楽業 79人(1.7%)
教育、学習支援業 36人(0.8%)
医療、福祉 69人(1.5%)
複合サービス業 91人(1.9%)
サービス業(ほかに分類されないもの)355人(7.5%)
公務 14人(0.3%)
その他 379人(8.0%)
分からない 127人(2.7%)
BLANK 9人(0.2%)
(2)企業規模
~50名 271人(5.7%)
51名~100名 567人(11.9%)
101名~300名 1499人(31.5%)
301名~1,000名 736人(15.5%)
1,001名~5,000名 824人(17.3%)
5,001名以上 570人(12.0%)
わからない 285人(6.0%)
BLANK 14人(0.3%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査(業界別編・製造業)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所について

人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社について

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 316名(2024年4月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」
IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」
管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」
人事制度構築支援サービス「Empower HR」/経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」
転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL https://www.all-different.co.jp/corporate 
※記載されている社名、サービス名などの固有名詞は登録商標です。なお、本文および図表中において、必ずしも商標表示( (R)、TM )は付記していません。

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