【中堅社員の意識調査(効果的な成長支援の取り組み編)】600人の中堅社員が成長に役に立ったと感じるポイント 「職場の雰囲気・文化」が全年次で第1位| ニュースリリース |人材育成・社員研修

“ 【中堅社員の意識調査(効果的な成長支援の取り組み編)】600人の中堅社員が成長に役に立ったと感じるポイント 「職場の雰囲気・文化」が全年次で第1位

累計13,000社400万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー 所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、社会人5~11年目の役職がついていない中堅社員*1600人に対し、2023年9月に直面している困難やその乗り越え方に関して意識調査を行いました。

背景

外部環境の変化や競争の激しい昨今、組織が継続的に成長するためには「人」の成長が必要不可欠です。新入社員や管理職、次期管理職の育成に力を入れている企業は多いですが、社会人5年目から35歳前後の中堅社員は、既に経験豊富で自立していると判断され、指導や育成に対する優先度が下がり、いわゆる「育成の空白地帯」となっているケースが多く見受けられます。こうした状況も要因の一つとなり、まさにこれから活躍が期待できる中堅社員が離職してしまう、という課題をよく伺います。当社にも「中堅社員の離職を予防したい」「マネージャーなど次のステージに進んでもらいたいが、知識・スキルの習得が十分にできていない」「中堅社員の適切な育成がわからない」といったお悩みの声が日々寄せられています。

そこで、課題解決のヒントを探るべく、2月15日に公表した第1弾*2では、中堅社員が直面する「壁」が変遷するターニングポイントを明らかにしました。今回は、中堅社員の成長に役に立つ会社の支援や取り組みについて、中堅社員の時期を前期・中期・後期*3に分け、調査・分析をしていきます。

  • *1 当レポートでは社会人5年目以降35歳未満の役職がついていない社員を指し、「ミドルキャリア」とも記載
  • *2 中堅社員の意識調査(直面する壁 TOP3)
  • *3 当社で実施した調査*2より、ミドルキャリアが直面している困難(壁)にはターニングポイントがあり、このターニングポイントを軸にミドルキャリアを前期(6年目まで)、中期(9年目まで)、後期(10年目以降)と3つの期に分類

調査結果の概要

  • ● ミドルキャリアが成長の役に立ったと感じること、トップは「職場の雰囲気・文化」
  • ● ミドルキャリア前期では「表彰制度」、中期・後期では「職場の雰囲気・文化」「上司からのサポート」「仕事内容」が成長の役に立ったと感じる結果に
概要

調査結果の詳細

1.   ミドルキャリアが成長の役に立ったと感じること、トップは「職場の雰囲気・文化」

本調査では、ミドルキャリアに対し、会社のどのような点が自身の成長に役に立ったと感じているかを調査するため、「自分の成長に役に立ったと感じる会社の良いところ」を、上司・先輩のサポート、OJT制度・メンター制度など、16の項目から回答してもらいました。

結果、「職場の雰囲気・文化」が27.5%と最も高い割合となりました。次に、「先輩からのサポート」が19.5%、「上司からのサポート」が18.3%と続きました。一方、社内FA制度、社内公募制度、メンター制度、目標管理制度など、制度面の項目は低い結果となりました。(図1)

図1

2.   ミドルキャリア前期では「表彰制度」、中期・後期では「職場の雰囲気・文化」「上司からのサポート」「仕事内容」が成長の役に立ったと感じる結果に

当社が前回発表した調査結果*2では、ミドルキャリアが直面している困難(壁)にはターニングポイントがあり、このターニングポイントを軸にミドルキャリアを前期(6年目まで)、中期(9年目まで)、後期(10年目以降)と3つの期に分類しました。今回の調査項目「自身の成長に役に立ったと感じること」についても、前期・中期・後期で回答結果に違いが見られるのか確認していきましょう。

結果、前期では「職場の雰囲気・文化」が21.8%と最も高く、次に「先輩からのサポート」が18.8%、「表彰制度」が15.9%と続きました。 中期では、「職場の雰囲気・文化」が29.6%と高く、次に「上司からのサポート」が19.2%、「先輩からのサポート」「配属先の仕事内容」が17.2%と続きました。

後期では、「職場の雰囲気・文化」が30.0%、「先輩からのサポート」が22.0%、「上司からのサポート」が21.6%と続きました。

前期・中期・後期を比較すると、各期間でトップとなった「職場の雰囲気・文化」は特に中期・後期に回答が増加し、前期よりも7ポイント以上高くなりました。また、「上司からのサポート」「配属先の仕事内容」は、年次が上がるにつれて割合が高くなることも分かりました。一方、「表彰制度」は前期では15.9%と高い割合になったものの、中期・後期になると7ポイント以上減少する結果となりました。(図2)

図2

ここからは、前期・中期・後期の中で、社会人歴別に違いがあるか、さらに詳しく見ていきましょう。

ミドルキャリア 前期(社会人5年目~6年目)

社会人5年目は「同僚」の存在、社会人6年目は「上司」の存在が成長に役立った

まずは、前期に含まれる社会人5年目、6年目の結果を見ていきましょう。

社会人5年目では、「職場の雰囲気・文化(16.7%)」と「同僚からの刺激(16.7%)」が最も高い割合となり、特に「同僚からの刺激」は社会人6年目よりも7.2ポイント高くなりました。

社会人6年目では、「職場の雰囲気・文化」が28.4%と最も高く、次に「先輩からのサポート」が25.7%と続きました。特徴的な点としては、「OJT制度」が社会人5年目では12.5%だったものの、社会人6年目では2.7%と大きく減少する結果となりました。

また、「表彰制度」については5年目・6年目ともに15%以上となり、後述の中期、後期と比較すると高い結果になりました。(図3)

図3

ミドルキャリア 中期(社会人7年目~9年目)

社会人7年目以降は、年次が上がるにつれ「職場の雰囲気・文化」「上司・先輩」からのサポートが成長 の役に立ったと回答する割合が高まる。一方「同僚からの刺激」は低下傾向に

次に、社会人7年目、8年目、9年目を見ていきましょう。

社会人7年目から9年目も共通して「職場の雰囲気・文化」と回答する割合が高くなりました。こちらの割合は、社会人5年目から増加し続けており、年次が上がるにつれて影響力が増していることがわかります。「上司からのサポート」の割合も、社会人7年目は15.6%、8年目は19.0%、9年目23.3%と、こちらも年次が上がるにつれて高くなりました。さらに、「配属先の仕事内容」「先輩からのサポート」も社会人7年目から増加傾向にあることも特徴としてあげられます。

一方、「同僚からの刺激」は、社会人7年目の15.6%から減少傾向にあることもわかりました。(図4)

図4

ミドルキャリア 後期(社会人10年目以降)

成長の役に立ったこと、他年次に比べ社会人10年目は「上司・先輩のサポート」が最も低い割合となり、社会人11年目以降は「職場の雰囲気・文化」「上司・先輩のサポート」が役に立ったという回答が全年次で最大の結果に

最後に、社会人10年目、11年目以降を見ていきましょう。

社会人10年目では、「職場の雰囲気・文化」が20.6%と最も高くなり、次に「従業員意識調査(17.5%)」「配属先の仕事内容(15.9%)」が続きました。特徴的な点としては、「上司からのサポート」「先輩からのサポート」が前期・中期も含む全年次と比較しても9.5%と最も低くなったことが挙げられます。

社会人11年目以降では「職場の雰囲気・文化」が33.5%と最大の割合となり、この割合は全年次の中で最も高い割合になりました。次に、「先輩からのサポート(26.8%)」「上司からのサポート(26.2%)」と続き、この割合も全年次の中で最大の割合となりました。「同僚からの刺激」では、社会人9年目までは減少傾向にあったものの、社会人10年目以降はまた増加傾向にあることも注目すべき点と言えるでしょう。(図5)

図5

まとめ

本調査より、ミドルキャリアが自身の成長に役に立つと感じる会社の支援・取り組みとして、「職場の雰囲気・文化」が最も多いことがわかりました。さらに、前回の調査*2で明らかになったターニングポイントを軸に、ミドルキャリアを前期(6年目まで)、中期(9年目まで)、後期(10年目以降)の3期で比較・分析した結果、会社の支援・取り組みと中堅社員の成長との影響度合いは年次別に濃淡があることもわかりました。改めて、前期・中期・後期それぞれの特徴を振り返ってみましょう。

まず、ミドルキャリアの前期では、全年次と同様に「職場の雰囲気・文化」が最大の割合となりましたが、中期・後期よりは低い結果となりました。他の期間と比較して「表彰制度」をあげる割合が高い点も特徴的です。また、5年目と6年目の中でも、5年目では「同僚からの刺激」が成長の役に立ったと回答する割合が高くなりましたが、社会人6年目になると「先輩からのサポート」へとシフトした、という変化も見られました。ミドルキャリアの前期は、若手社員という括りから脱し、自立への道を進み始めている年次といえます。だからこそ「表彰制度」など自身の成果を評価される場や、邁進している同僚の存在がモチベーションに繋がりやすいと言えるでしょう。また、前回の調査結果*2からも、自身の「知識・スキルへの不安」に対して5年目では「楽しもう」という気持ちがあったものの、6年目になると「不安」が高まる結果も出ています。そのような背景からも、年次が高まるにつれ不安を解消するために「先輩のサポート」を頼りにする傾向にあることが推察できるでしょう。

ミドルキャリアの中期では「職場の雰囲気・文化」が引き続き成長の助けになっていることに加えて、年次があがるにつれ、上司や先輩からのサポートがさらに増加する傾向がわかりました。さらに、「配属先の仕事内容」の割合が一定数出てきているのも特徴的です。ミドルキャリアの中期は、業務内容が変わらないことや、仕事が評価されないことが不安につながりやすくなる時期です。だからこそ、「仕事内容」に対してやりがいを抱き、自身のキャリアとのつながりを見出せる人は、成長実感を得やすくなっていることが推察できます。

ミドルキャリアの後期でも「職場の雰囲気・文化」が助けとなり、特に11年目以降は全年次の中でも最大の割合となりました。また、OJTや人事評価といった会社の制度や仕組み、周囲からのサポートが成長の役に立ったと回答する割合も高くなりました。ミドルキャリアの後期では現場の中心的なプレーヤ―でありながら管理職候補としても会社からの期待が高まり、次期管理職としての視点を持つことが求められる時期です。トランジションを迎える直前は悩みが増えるため、様々な支援を必要としていることが見受けられるでしょう。

このように、一言でミドルキャリアと言っても、効果的な成長支援のポイントは年次により違いがあること、中でも「職場の雰囲気・文化」や「上司・先輩からのサポート」は想像以上にミドルキャリアの支えになっていることがわかりました。中堅社員の育成にお悩みの企業は、これらの結果を踏まえ、社員が安心して業務に挑戦できる雰囲気や文化、環境が備わっているか、また、「育成の空白地帯」になりがちな中堅社員に対して、上司や先輩が適切にサポートできる体制が整っているかを、今一度見直してみるとよいでしょう。

ALL DIFFERENT株式会社 CLM(最高育成責任者)による考察

本調査から、「職場の雰囲気・文化」および「上司・先輩からのサポート」がミドルキャリア社員の成長に大きな影響を与えていることが明らかになりました。

ミドルキャリアの段階では、キャリアの見通しの不透明さや、職場内での役割の変化に伴う不安が顕著になりがちです。また、一人前と見なされることで、必要な支援や指導を受けにくい状況にあります。このような背景から、上司や先輩の積極的なサポートと、職場の雰囲気・文化醸成は、彼らが直面する課題を乗り越え、キャリアの次のステップへと進むために重要な要素となります。

例えば、上司や先輩の積極的なサポートには、挑戦を支援する声かけや適時適切なフィードバック、定期的なキャリア面談などがあります。また、OJTの3要素である「業務支援・内省支援・精神支援」のうち、内省支援は特に多くの企業で忘れられがちですが、ミドルキャリア社員の成長支援に非常に効果的です。

職場の雰囲気・文化を育むためには、組織全体でのコミュニケーション促進、社員の成功を称賛し共有する文化の構築などが挙げられます。これらの取り組みを通じて、社員が支援され、評価され、所属感を得ることができる職場を作ることが重要です。

企業がこれらの点に配慮し、個々の社員の成長支援環境を整えることで、ミドルキャリア社員は自らの能力を最大限に活かし、組織の持続的な成長に貢献することができるでしょう。本調査結果が、「育成の空白地帯」となりがちなミドルキャリア社員の成長・定着支援を再考する契機となることを願っております。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部 シニアマネジャー・開発室 室⾧
CLM(最高育成責任者)
根本 博之(ねもと・ひろゆき)

事業会社を経て、2010年にALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツイノベーション株式会社/株式会社ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタント業務・講師業務を通じ、年間100~150社ほどの組織開発・人材育成を支援する傍ら、社内の育成責任者としても活動。大阪支社の立ち上げに参画し、営業リーダーとして年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。日本経済新聞、NHKなどメディア出演多数。

調査概要

調査対象者 社会人5年目~11年目以降の管理職未満の就労者
調査時期 2023年9月28日~9月29日
調査方法 調査会社によるインターネット調査
サンプル数 600人(勤続5年目96人、勤続6年目74人、勤続7年目64人、勤続8年目79人、勤続9年目60人、勤続10年目63人、勤続11年目以降164人)
属性
(所属企業の業界)
製造業130人(21.7%)、医療・福祉90人(15.0%)、卸売業・小売業50人(8.3%)、公務 42人(7.0%)、情報通信業37人(6.2%)、サービス業(他に分類されないもの)37人(6.1%)、建設業28人(4.7%)、金融業・保険業25人(4.2%)、教育・学習支援業24人(4.0%)、運輸業・郵便業21人(3.5%)、生活関連サービス業・娯楽業21人(3.5%)、宿泊業・飲食サービス業19人(3.1%)、学術研究・専門・技術サービス業10人(1.7%)、農業・林業8人(1.3%)、電気・ガス・熱供給・水道業8人(1.3%)、不動産業・物品賃貸業8人(1.3%)、複合サービス事業8人(1.3%)、その他34人(5.7%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「中堅社員の意識調査(効果的な成長支援の取り組み編)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所について

人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社について

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 288名(2024年1月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」
IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」
人事制度構築支援サービス「Empower HR」/経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」
転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL www.all-different.co.jp
※記載されている社名、サービス名などの固有名詞は登録商標です。なお、本文および図表中において、必ずしも商標表示( (R)、TM )は付記していません。

【中堅社員の意識調査(効果的な成長支援の取り組み編)】600人の中堅社員が成長に役に立ったと感じるポイント 「職場の雰囲気・文化」が全年次で第1位

お知らせ一覧