【管理職意識調査(部下へのフィードバック編)】管理職のジレンマが明らかに!| ニュースリリース |人材育成・社員研修
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2023.10.05
ニュースリリース お知らせ累計13,000社400万人以上の組織開発・人材開発を支援する株式会社ラーニングエージェンシー(本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、2023年6月19日~8月31日の期間で484名の管理職を対象に「管理職意識調査」を実施しました。今回は第1弾として「部下へのフィードバックの実態」に関する分析結果を公表いたします。
背景
近年の管理職はプレイヤーとマネジメントの二足の草鞋を履きながら、ビジネス環境や社会情勢の変化に臨機応変に対応をすることが求められ、役割は複雑化・高度化していると言われています。中でも、人材の定着や、多様化する人材の育成といったマネジメントの取り組みは、難易度が増しており、多くの管理職の悩みとなっています。当社が2023年に実施した調査*1において、人事担当者が最も注力して取り組みたい育成対象として「既任管理職」が最上位になりました。これらの状況からも、いま多くの企業が管理職の強化を必要不可欠と考えていることがわかります。
*1人事部の実態調査(社員の育成編)https://www.all-different.co.jp/topics/20230126調査結果の概要
- ・ 管理職としての悩み、半数以上が「部下育成」と回答し最多の結果に
- ・ 9割以上の管理職が、部下の態度・ふるまい・発言などを普段から気に留めていると回答
- ・ 部下の現状の業務領域や改善すべき課題は、半数以上の管理職が把握。一方、キャリア思考や業務に関わるプライベートの状況まで把握している管理職は2割以下
- ・ 部下の課題を感じる場面、6割以上が「部下の業務の進め方など行動面を見たとき」と回答
- ・ フィードバックする際、7割以上の管理職が「部下に成長してもらいたい」と願う
- ・ 約6割の管理職がフィードバックを躊躇。「部下の反応が不安」「適切な伝え方がわからない」ことが理由の上位に
- ・ 部下への評価に対する自身の課題「ひとりひとり十分に時間をとることができていない」がトップに
調査結果の詳細
1. 管理職としての悩み、半数以上が「部下育成」と回答し最多の結果に
まず初めに、部下を持つ管理職484名に対し、管理職としてどのような悩みがあるかを質問しました。 結果、「部下育成」が54.3%と最も高い割合となりました。次に、「人事評価・フィードバック」が33.1%、「チーム・部門の運営」が26.0%と続きました。(図1)
以前当社で実施した人事担当者向けの調査結果*2でも、人事担当者が抱く管理職の課題として、「部下育成」が最も高い割合となりましたが、管理職自身も同様の悩みを抱えていることが明らかとなりました。
*2 人事部の実態調査(社員の育成編)https://www.all-different.co.jp/topics/202301262. 9割以上の管理職が、部下の態度・ふるまい・発言などを普段から気に留めていると回答
管理職の最大の悩みである「部下育成」では、部下へのフィードバックが必要不可欠です。 フィードバックをするにも、部下のことをよく観察し、知る必要があります。そこで、管理職が部下の態度・ふるまい・発言などに、どれほど普段から気に留めているか質問しました。
結果、93.4%の管理職が、部下の態度・ふるまい・発言などを普段から気に留めているという結果となりました。(図2)3. 部下の現状の業務領域や改善すべき課題は、半数以上の管理職が把握。一方、キャリア思考や業務に関わるプライベートの状況まで把握している管理職は2割以下
次に、部下のことをどの程度理解しているか質問したところ、6割以上の管理職が「部下の現状の業務領域(64.0%)」を理解していると回答。「改善すべき課題や短所(54.3%)」「部下の言葉・行動における特徴及び変化 (50.8%)」が続きました。半数以上の管理職が、部下の現状業務における行動面や改善すべき課題点を把握していることがわかります。
一方、「部下のキャリア思考(16.9%)」「求める人材像に近づくために任せるべき業務領域(18.6%)」「業務に影響のある部下のプライベートな状況(19.4%)」の項目は2割未満と少ない結果となり、部下の将来のことやプライベートの状況までは踏み込んでいない実態も明らかとなりました。(図3)4. 部下の課題を感じる場面、6割以上が「部下の業務の進め方など行動面を見たとき」と回答
続いて、管理職はどんな時に部下の課題を感じるのか、その場面を質問したところ、「部下の業務の進め方など、行動面を見た時」と回答した管理職が65.9%と最多の割合に。次に「部下の発言を確認した時(43.4%)」「部下の制作物、成果物を確認した時(39.9%)」と続きました。管理職が、部下の課題を感じるのは、業務の進め方や発言など部下の行動面を見た時であることがわかりました。(図4)
5. フィードバックする際、7割以上の管理職が「部下に成長してもらいたい」と願う
では、部下の課題に気づいた管理職は、フィードバックをする際どのような気持ちで臨んでいるのか、質問してみました。
結果、7割以上の管理職が「部下に成長してほしいと願う気持ち(70.9%)」と回答し、多くの管理職が部下の成長を願っていることが明らかとなりました。次に、「部下の思考や行動に関心を持つ気持ち(44.4%)」、「部下と思考や行動の基準を擦り合わせたいと思う気持ち(40.7%)」と続きました。(図5)6. 約6割の管理職がフィードバックを躊躇。「部下の反応が不安」「適切な伝え方がわからない」ことが理由の上位に
これまでの結果で7割以上の管理職が部下の成長を願っていることがわかりましたが、部下にフィードバックすることができずに躊躇してしまうケースも見受けられ、約6割もの管理職が「部下にフィードバックすることを躊躇したことがある」と回答しました。(図6)
フィードバックすることを躊躇する最大の理由は「部下の反応に対して、不安があるから(39.9%)」でした。次に、「適切な伝え方がわからなかったから(37.0%)」「自分が本当に正しいか自信がなかったから(29.0%)」と続きました。多くの管理職が自身のフィードバックスキルに対し、自信がないと感じている傾向が見受けられました。(図7)
7. 部下への評価に対する自身の課題「ひとりひとり十分に時間をとることができていない」がトップに
次に、部下を評価をする際、評価者として自分自身にどのような課題があると思うか質問しました。結果、「ひとりひとり十分に時間をとることができていない(28.7%)」「評価期間全体で評価せず、直近の状況に引きずられてしまう(26.2%)」「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう(23.1%)」が回答の上位を占める結果となりました。(図8)
まとめ
役割や業務が高度化する中で、会社の中核を担う管理職は今、何に悩んでいるのかを明らかにすべく、管理職の実態調査を行いました。結果、半数以上の管理職が「部下育成」に課題を抱えている結果となりました。第1弾の今回は、部下育成には欠かせないフィードバックに焦点をあて、その実態について調査結果をまとめました。
調査結果では、9割以上の管理職が、部下の態度や振る舞い・発言に普段から注意を払っており、改善すべき課題として、「部下の業務の進め方など、行動面を見た時」「部下の発言を確認した時」などが挙げられました。課題をフィードバックする際には、7割以上の管理職が「部下の成長を願っている」ことも明らかになり、部下育成に積極的に取り組もうという姿勢も感じられました。
一方で、「部下へのフィードバックを躊躇する」という回答が6割にのぼりました。「躊躇」の背景には「部下の反応が不安」「適切な伝え方がわからない」と部下への「遠慮」が多く見受けられました。また、8割以上の管理職が、部下の将来像や業務に関わるプライベートの状況までは踏み込んでおらず、近年ニュースなどで取り上げられるハラスメント問題への意識が、部下と接する際の「躊躇」に繋がっている可能性も考えられます。考察
株式会社ラーニングエージェンシー
組織開発コンサルティング本部 開発室 室長
根本博之
大阪支社の立上に参画し、営業リーダーとして支社年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。コンサルタントとして営業活動と講師業務にて、年間100~150社ほど担当する傍ら、社内能力開発・組織開発部門の責任者として活動。調査結果から、部下の表面的な態度や言動には気を配っているものの、部下の内面、例えばキャリア志向にはなかなか踏み込めていない等の管理職の悩みが浮かび上がりました。また、管理職が部下に対してフィードバックを躊躇する主な要因として、「部下からの反応が不安」や「適切な伝え方がわからない」という問題もあります。
管理職がこれらの課題を解決するためには、フィードバックを含めたコミュニケーションの根幹を支えるスキル(バイタルスキル)の体得が不可欠です。
フィードバックやコミュニケーションに関連するバイタルスキルの一例として、わかりやすく伝える力だけでなく、適切な情報を収集するための傾聴力や内容を誤解なく理解するためのビジネス読解力、部下に気づきを促す質問力や原因・要因を分析する論理的思考力などが挙げられます。フィードバックは複数のバイタルスキルの総合結晶であるため、「フィードバック」についての認識が抽象的なものに留まってしまうと、表面的なテクニックの習得に終始しがちです。部下のキャリア志向やより踏み込んだ情報を把握するためのコミュニケーションにも同様のことが言えます。
部下に対する効果的なフィードバックやコミュニケーションを実現するために、管理職はまず自身のバイタルスキルに関する適切な自己認識を醸成することから始めるべきです。その上でフィードバックやコミュニケーションを構成する一つ一つのスキルを着実に体得していくことを推奨いたします。
調査概要
調査対象者 当社が提供する管理職向け研修の受講者 調査時期 2023年6月19日~8月31日 調査方法 Web・マークシート記入式でのアンケート調査 サンプル数 484人 属性 (1)業種
情報通信業 106人(21.9%)
製造業 96人(19.8%)
卸売業,小売業 56人(11.6%)
サービス業(他に分類されないもの) 56人(11.6%)
建設業 29人(6.0%)
不動産業,物品賃貸業 20人(4.1%)
学術研究,専門,技術サービス業 20人(4.1%)
運輸業,郵便業 15人(3.1%)
電気,ガス,熱供給,水道業 13人(2.7%)
金融業,保険業 13人(2.7%)
生活関連サービス業,娯楽業 7人(1.4%)
宿泊業,飲食サービス業 6人(1.2%)
複合サービス事業 6人(1.2%)
教育,学習支援業 3人(0.6%)
医療,福祉 2人(0.4%)
その他 36人(7.4%)(2)企業規模
1~50人 56人(11.6%)
51~100人 101人(20.9%)
101~300人 198人(40.9%)
301~1,000人 97人(20.0%)
1,001~5,000人 27人(5.6%)
5,001人~ 4人(0.8%)
分からない 1人(0.2%)
*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「管理職意識調査(部下へのフィードバック実態編)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
株式会社ラーニングエージェンシー
当社は組織開発・人材開発を手掛けるコンサルティング企業です。設立以来、人と組織の成長を支援する業界初*の特許取得込のサービスを多数開発・提供。「LEARNING」の可能性を探求し続け、「人と組織の未来創り」を真にリードできる伴走者、ラーニングコアパートナー®として、お客様に長く貢献してまいります。
〈主なサービス〉
定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic®」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live®」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge®」/転職支援サービス「Biz JOURNEY®」
10万人以上が受検するビジネススキル診断テスト 「Biz SCORE Basic®」
*Biz CAMPUS Basic、Mobile Knowledge(For Freshers)は東京商工リサーチ調べ、Biz SCORE Basicはシタシオンジャパン調べラーニングイノベーション総合研究所
ラーニングエージェンシーの研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所(以下、LI総研)は、人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っています。LI総研はデータに基づいた最適な解決策もご提供し、お客様の組織開発をサポートしています。
代表取締役社長 眞﨑 大輔 事業内容 人材育成・教育研修 本社所在地 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー18F URL www.all-different.co.jp お知らせ一覧
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