【社会人2年目~4年目社員の意識調査(仕事の量・質・難易度編)】簡単すぎる仕事・飽きを感じる仕事、社会人4年目で「離職意向」が高まる結果に| ニュースリリース |人材育成・社員研修

“ 「育成の空白地帯」ともいわれる「中堅社員」600名が回答! つまずくターニングポイントが明らかに!

累計13,000社400万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー 所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は、社会人2~4年目の900人に対し、2023年8月に直面している困難や不安(壁)に関して意識調査を行いました。前回までの調査レポート*1では直面する困難や不安(壁)の実態やリーダーシップ発揮経験と壁の捉え方の関係性について分析しました。今回は仕事の難易度や量など、若手社員が直面している仕事の内容について調査・分析します。

背景

市場ニーズや外部環境の変化に伴い、社員が組織から期待されることは大きく変化しています。当社で実施した調査*2によると、一般社員に期待されていることの中身は、10年前と現在とで大きく異なる結果となりました。例えば、下記の図の通り、10年前は「定型的な業務を確実に遂行する」「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する」ことが求められていましたが、現在は「非定形的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」「自ら現場で判断し、行動する」ことが求められるようになりました。

概要

こうした、主体性や自立自走の姿勢を若手社員に求める企業も増えてきています。しかし、非定型的な業務に対して、自らの役割に基づきやるべき事を判断し、行動するのは難易度の高い仕事です。そうした難易度の高い仕事が求められることを、若手社員本人はどう捉えているのでしょうか。若手社員の早期離職やモチベーション低下が問題となる昨今の実情を踏まえ、2~4年目社員の「仕事への向き合い方」を調査しました。


調査結果の概要

  • ● 「仕事の飽き」、前年に続き社会人2年目が最も実感する結果に
  • ● 仕事の難しさの壁、年次が上がるにつれ「不安」増加。社会人3年目は「期待に応えよう」「負けたくない」と前向きに立ち向かう傾向も
  • ● 仕事が簡単である壁、社会人2年目・3年目は「楽しもう・期待に応えよう」と感じる一方、4年目では「不満」が増える結果に
  • ● 仕事の量が多い壁、年次が上がるにつれ「大変」と感じる割合が高まるが、「期待に応えよう」と感じる割合も増加
  • ● 仕事の飽きの壁、社会人2年目では「不満・不安・我慢」が上位を占め、社会人4年目で「会社を辞めたくなった」が急激に高まる

調査結果の詳細

1.   「仕事の飽き」、前年に続き社会人2年目が最も実感する結果に

今回の調査結果では、社会人2~4年目の若手社員が直面している「仕事に関する壁」について、社会人2~4年目の若手社員がどのような捉え方をしているか、調査・分析しました。

まず、仕事の壁に直面したことがあるかという問いに対して、「とてもよくある」「たまにある」と回答した割合を抽出した図が(図1)となります。

仕事の難易度について、仕事が難しすぎる・求められる役割が高すぎることが「とてもよくある」「たまにある」と回答した割合は、社会人2年目が38.3%、社会人3年目が36.0%、社会人4年目が39.7%となりました。一方、仕事が簡単すぎる・求められる役割が低すぎることが「とてもよくある」「たまにある」と回答した割合は、2年目が25.4%、3年目は21.3%、4年目21.4%となりました。仕事の難易度では、年次関係なく簡単な仕事をアサインされるよりも難しい仕事をアサインされる方が、壁を感じる割合が高いことがわかります。

次に、仕事の量が多いと感じる割合を比較しました。結果、社会人2年目は40.7%、社会人3年目は42.0%、社会人4年目は46.3%となり、年次があがるにつれ、仕事の量の多さに壁を感じていることが判明しました。

最後に、仕事が飽きた、つまらないと感じた割合を比較すると、社会人2年目は42.4%、社会人3年目は38.0%、社会人4年目は40.0%となりました。前年の調査結果*3でも、社会人2年目が仕事に対して最も飽きを感じていることがわかり、今回も同様の結果となりました。(図1)

*3 2022年若手社員の意識調査 社会人2~4年目の壁【TOP3編】
図1

2.   仕事の難しさの壁、年次が上がるにつれ「不安」増加。社会人3年目は「期待に応えよう」「負けたくない」と前向きに立ち向かう傾向も

ここからは、若手社員がそれぞれの「壁」をどのように捉えたか、詳しく見ていきましょう。

まずは、仕事を進めるにあたり仕事が難しすぎる・求められる役割が高すぎると感じた社員が、その状況をどのように捉えたか、年次別に比較しました。

社会人2年目は「不安に感じた」と回答した割合が30.4%、次に「成長の機会と感じた」が24.3%、「大変と感じた」が20.0%となりました。 社会人3年目は「不安に感じた」と回答した割合が31.5%、次に「成長の機会と感じた」が25.9%、「期待に応えようと感じた」が25.0%となりました。
社会人4年目は、「不安に感じた」と回答した割合が38.7%、次に「成長の機会と感じた」が26.9%、「大変と感じた」が23.5%となりました。

年次別に比較すると、回答が最も多く集まったのは全年次共通で「不安に感じた」であり、さらに年次が高まるにつれて、その不安が高まる傾向にあることがわかりました。同様に、「成長の機会と感じた」と回答する割合も年次があがるにつれ、高くなりました。興味深い点では、社会人3年目は「期待に応えようと感じた」「負けたくない・乗り越えたいと感じた」とポジティブに回答する割合が他年次より高く、難しい仕事に対して前向きに立ち向かおうとする姿勢が見受けられました。(図2)

図2

3.   仕事が簡単である壁、社会人2年目・3年目は「楽しもう・期待に応えよう」と感じる一方、4年目では「不満」が増える結果に

次に、仕事を進めるにあたり、仕事が簡単すぎる・求められる役割が低すぎると感じた社員が、その状況をどのように捉えたか、年次別に比較しました。

社会人2年目は「この経験を楽しもうと感じた」が34.2%、次に「期待に応えようと感じた」が23.7%となり、上位2項目がポジティブな回答となりました。
社会人3年目は「この経験を楽しもうと感じた」が23.4%と最大となり、次に「期待に応えようと感じた」「負けたくない・乗り越えたいと感じた」が同等の割合で21.9%となりました。
社会人4年目は「この経験を楽しもうと感じた」が28.1%と最大となり、次に「不満を抱いた」が26.6%、「期待に応えようと感じた」が25.0%と続きました。

年次別に比較をすると、社会人2年目、3年目は仕事が簡単なことに対して「楽しもう」「期待に応えよう」とポジティブに捉える傾向にあるのに対し、社会人4年目では「不満」の割合が高まりました。(図3)

図3

4.   仕事の量が多い壁、年次が上がるにつれ「大変」と感じる割合が高まるが、「期待に応えよう」と感じる割合も増加

続いて、仕事の量が多すぎると感じた社員が、その状況をどのように捉えたか、各年次別に比較しました。

結果、社会人2年目は「大変と感じた」と回答した割合が23.0%となり、次に「期待に応えようと感じた」「不満を抱いた」が19.7%と続きました。
社会人3年目は「大変と感じた」が31.7%、「期待に応えようと感じた」が24.6%、「負けたくない・乗り越えたいと感じた」「成長の機会と感じた」が22.2%と同等の割合となりました。
社会人4年目は「大変と感じた」が31.7%、「期待に応えようと感じた」が23.7%、「成長の機会と感じた」が21.6%と続きました。

年次別に比較をすると、全年次で「大変」「期待に応えよう」「成長の機会」と感じる割合が高く、特に社会人3年目・4年目ではポジティブな回答が多くなりました。(図4)

図4

5.   仕事の飽きの壁、社会人2年目では「不満・不安・我慢」が上位を占め、社会人4年目で「会社を辞めたくなった」が急激に高まる

最後に、仕事を進めるにあたり仕事が飽きた、つまらないと感じたことのある社員が、その状況をどのように捉えたか、年次別に比較しました。

社会人2年目は「不満を抱いた」が22.8%、次に「不安に感じた」が22.0%、「我慢した」が20.5%と続きました。
社会人3年目は「我慢した」が27.2%、「不満を抱いた」が22.8%、「会社を辞めたくなった」が18.4%と続きました。
社会人4年目は「不満を抱いた」が26.7%、「会社を辞めたくなった」が25.8%、「我慢した」が22.5%と続きました。

年次別に比較をすると、「仕事の飽き」は、社会人2年目では「不満」「不安」「我慢」が高い割合となり、社会人3年目では「我慢」「不満」のほかに「会社を辞めたくなる」が3位に浮上。社会人4年目では「不満」「会社を辞めたくなった」がさらに高くなり、特に「会社を辞めたくなる」は他年次に比べ7ポイント以上高くなる結果となりました。年次が上がるにつれ、我慢や不満が離職意向につながっていく傾向が見受けられました。(図5)

図5

仕事が飽きた、つまらないと感じたことがある社員は、どのような場面でそのように感じているか、質問したところ、社会人2年目では「いつも同じ業務をやっている」と回答した割合が23.6%と最も高くなり、次に「役割が変わらない」「メンバーが変わらない」が18.9%と続きました。
社会人3年目では、「役割が変わらない」が23.7%とトップとなり、次に「いつも同じ業務をやっている」が22.8%と続きました。
社会人4年目では、「いつも同じ業務をやっている」が30.8%となり、次に「新しい知識・スキルが身につかない」が23.3%と続きました。

年次で比較をすると、社会人2年目、3年目では業務内容や役割が変わらないことに対して飽きやつまらなさを感じており、社会人4年目になると同じ業務が続き、知識やスキルが身についていないことに対する飽きやつまらなさを実感していることがわかりました。(図6) (図5)

図6

まとめ

今回の調査では、仕事の難易度や量など、社会人2~4年目の若手社員が直面する仕事の壁(困難やつまずき)について分析しました。結果、社会人2年目から4年目の若手社員は、困難への捉え方に微妙な違いがあることがわかりました。

仕事の難易度に関しては、難しい仕事に対してつまずきを感じやすく、特に難しい仕事の壁に関しては、年次があがるにつれて「不安」を感じる傾向にあることがわかりました。しかし、不安な気持ちだけでなく、「成長の機会」と前向きに捉える若手社員も多く、特に3年目では「期待に応えよう」「乗り越えたい」と困難に立ち向かおうとする姿勢が見受けられました。

一方、簡単すぎる業務に関しては、「楽しもう」と前向きに捉える割合が高くなったものの、4年目では「不満」が高まる結果となりました。これは仕事の飽きの壁でも似た傾向が見受けられ、4年目になると、この壁に対し離職意向を抱きやすくなることがわかりました。 仕事の量に関しては、全年次共通して「大変」と感じる割合が高いものの、3年目・4年目では「期待に応えよう」「成長機会」とポジティブな回答が集まり、不満や離職意向へはつながりにくいこともわかりました。

社会人2年目から4年目は、新人という肩書から卒業し自立への道を歩み始める時期です。今回の調査結果からは、現在の社会人2~4年目の若手社員が、新たに期待されている役割や仕事に対して不安を抱きつつも、期待に応えようと意気込む様子も見受けられました。しかし、業務内容や役割が一向に変わらず、新しい知識やスキルが身につかない状況になると、「この会社で働き続けてよいのだろうか」と離職を考え始める社員も増えることもわかり、特にその傾向は社会人4年目で表出していました。

企業側はこのような若手社員の気持ちの変遷を理解し、彼らを早期に活躍させ、長期的に定着させるためには、未経験だがこれまでの経験の延長にある業務や、達成には一定の努力が求められるような業務といった、ストレッチなアサインメントをすることが重要です。そのためには、与えようとしている課題に育成対象者が対処できる状況にあるかを慎重に見極めること、また、キャリアパスなどを提示することで、この会社で働くとどのように成長できるかなど、キャリアの広がりをイメージさせていくことが大切といえるでしょう。

調査概要

調査対象者 22~34 歳の社会人 2 年目~4 年目の就労者
調査時期 2023年8月2日~8月7日
調査方法 調査会社によるインターネット調査
サンプル数 900人(社会人2年目300人、3年目300人、4年目300人)
属性 <社会人2年目>
① 性別
男性 96名(32%)
女性 203名(67.7%)
その他 1名(0.3%)
② 所属企業の従業員数規模
1-50名 64名(21.3%)
51-100名 32名(10.7%)
101-300名 58名(19.3%)
301-1000名 54名(18%)
1001-5000名 31名(10.3%)
5001名以上 27名(9%)
わからない 34名(11.3%)
<社会人3年目>
① 性別
男性 106名(35.3%)
女性 189名(63%)
その他 5名(1.7%)
② 所属企業の従業員数規模
1-50名 63 名(21%)
51-100名 37名(12.3%)
101-300名 69名(23%)
301-1000名 33名(11%)
1001-5000名 42名(14%)
5001名以上 22名(7.3%)
わからない 34名(11.3%)
<社会人4年目>
① 性別
男性 79名(26.3%)
女性 220名(73.3%)
その他 1名(0.3%)
② 所属企業の従業員数規模
1-50名 62名(20.7%)
51-100名 33名(11%)
101-300名 43名(14.3%)
301-1000名 45名(15%)
1001-5000名 41名(13.7%)
5001名以上 38名(12.7%)
わからない 38名(12.7%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「若手社員の意識調査(仕事の量・質・難易度編)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ALL DIFFERENT株式会社 CLM(最高育成責任者)による考察

本調査結果から、若手社員が直面する仕事の難易度や量に対する認識と、それに伴う不安や不満の高まりが明らかになりました。特に、業務の単調さや過度な難易度、多量の仕事が離職意向を高めていることが示されています。この状況に対応するためには、サポート体制の構築はもちろん、鍵を握るのは「適切なストレッチアサインメント」です。

ストレッチアサインメントを適切に機能させるためには、まずは「若手社員の現在の知識・スキルの的確な把握」「若手社員と上司間での共通認識を確立するための適時適切なフィードバック」を行ない、土台を整えることが重要です。本人の知識・スキルレベルについての認識合わせをすることで、本人の過大評価/過小評価を防ぎ、若手社員は自己成長の機会としてストレッチアサインメントを受け入れやすくなります。 このアプローチにより、若手社員は仕事の壁に対して前向きな姿勢を保ちながら、自身の能力を最大限に発揮し、組織の目標達成に貢献することができるでしょう。

本調査の示す実情に対する取り組みを通じて、企業は若手社員のキャリア開発を支援し、彼らが抱える課題を共に乗り越えることで、社員の長期的な活躍と定着の基盤を築くことができるでしょう。

ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部 シニアマネジャー・開発室 室⾧
CLM(最高育成責任者)
根本 博之(ねもと・ひろゆき)

事業会社を経て、2010年にALL DIFFERENT株式会社(旧トーマツイノベーション株式会社/株式会社ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタント業務・講師業務を通じ、年間100~150社ほどの組織開発・人材育成を支援する傍ら、社内の育成責任者としても活動。大阪支社の立ち上げに参画し、営業リーダーとして年間目標達成に導いた後、本社にてコンテンツ開発業務に従事。中堅・大企業向けコンサルティング事業部門の責任者を歴任。日本経済新聞、NHKなどメディア出演多数。

ラーニングイノベーション総合研究所について

人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社について

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更
代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社 中部支社、関西支社
人員数 288名(2024年1月1日時点)
事業 組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス 定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」
ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」
IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」
管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」
人事制度構築支援サービス「Empower HR」/経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」
転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL www.all-different.co.jp
※記載されている社名、サービス名などの固有名詞は登録商標です。なお、本文および図表中において、必ずしも商標表示( (R)、TM )は付記していません。

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