【組織・チームのあり方の変化に関する意識調査】79.8%の管理職が、この10年間で管理職に求められる役割が変わったと回答| ニュースリリース |人材育成・社員研修

【組織・チームのあり方の変化に関する意識調査】79.8%の管理職が、この10年間で管理職に求められる役割が変わったと回答

累計13,000社350万人以上に人材育成サービスを提供する株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞﨑大輔)は、2021年10月11日~12月13日の期間、ビジネスパーソン5,099人を対象に「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」を行いました。今回はその中から「求められる管理職像の変化」に関する結果を公表いたします。

背景

GAFAMに代表されるビッグテック企業の台頭、いまだ猛威を振るう新型コロナウイルス、声高に連呼されるDXというキーワード...。まさにVUCA時代と呼ぶにふさわしい予測できない環境変化が発生しているここ数年間で、企業が管理職に求めることは大きく変わったとされています。今や9割超の管理職が、プレイヤー業務とマネジメント業務のどちらも担うプレイングマネージャーの役割を求められているといわれていることもその変化の一つです。また働き方改革の推進やリモートワークの導入など、働き方が多様化する中で、一般社員(非管理職)が管理職に求めることも変わってきています。では企業で働く管理職、そして一緒に働く一般社員が日々の仕事を通じて実感する管理職像の変化と実態はどのようなものなのでしょうか。

当社は5,099名へのアンケート調査を行い、この10年間で管理職に求められる役割がどのように変化したのかを現場の管理職、そして一般社員の視点から解き明かすことに取り組みました。本調査結果が組織づくりや次世代の幹部社員・管理職育成に悩む経営層、人事担当の方のみならず、管理職層の方、管理職を目指す一般社員の方にとって有益な情報となれば幸いです。

*本調査は、ラーニングエージェンシー設立15周年を記念して行いました

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調査結果の概要

  • 1. 約80%の管理職が、管理職に求められることが10年前と比べて変化したと回答
  • 2. コンプライアンスやモラルを最重視。また正解を持つ管理職像から、自身もプレイヤーとしてスキルアップを続けながら、対話を通じ正解を一緒に考える管理職像へと変化
  • 3. 管理職像は、現状と期待に大きく乖離あり。ボトムアップが期待されるが、未だトップダウンが現状だった
  • 4. 従業員の働きがいを生み出すのは管理職の振る舞い
  • 5. 管理職自身が重視するのはマネジメント力とコーチング力
10年前、求められていた管理職像/現在、求められている管理職像

調査結果の詳細

1.   約80%の管理職が、管理職に求められることが10年前と比べて変化したと回答

10年前と現在を比較し、求められる管理職像が変わったと回答したビジネスパーソンは52.9%でした(図1)。そのうち、管理職の回答だけでみると「変わった」と回答した人は79.8%にも上りました。

図1

ここから先の設問は、求められる管理職像が10年前と比べて「変わった」と回答した方のみに尋ねました。

2.   コンプライアンスやモラルを最重視。また正解を持つ管理職像から、自身もプレイヤーとしてスキルアップを続けながら、対話を通じ正解を一緒に考える管理職像へと変化

現在求められている管理職像は「コンプライアンスやモラルを重視する(82.7%)」が最多でした。そして「時間内で効率的に終わらせる(75.9%)」「自ら何をすべきかを定義し、遂行する(70%)」「個人としてのスキルアップを志向する(68.4%)」「対話を重んじる(67.7%)」と続きました(図2)。数多くのコンプライアンス違反に関連する企業不祥事の報道やパワハラ防止法の施行、働き方改革、プレイングマネージャーが当たり前となったことなど、世の中の動きが反映された結果と推察されます。

また、10年前と現在の求められる管理職像で、最も減少した項目は「トップダウンで物事を進める(10年前:77.2% 現在:15.4%)」。続いて「部下に自分の模倣を求める(10年前:62.4% 現在:7.2%)」、「前例を踏襲する(10年前:58.8% 現在:15.1%)」でした。管理職とは正解を持っていること、それを部下が模倣し成果を出すことが10年前の管理職の姿だったのでしょう。しかし、これまでのやり方が通用しないほど、会社を取り巻く環境変化が大きくなった結果、管理職自身が正解を指し示すことが困難となり、対話・ボトムアップで正解を一緒に考え動くことが求められるようになったのだと推察されます。

図2

3.   管理職像は、現状と期待に大きく乖離あり。
ボトムアップが期待されるが、未だトップダウンが現状だった

管理職が実際に担っている役割で多かったのは「コンプライアンスやモラルを重視する(50.2%)」「トップダウンで物事を進める(44.5%)」「企業利益を重視する(43.4%)」「リスクヘッジを徹底する(42.1%)」「前例を踏襲する(41.3%)」でした(図3)。その傾向は、10年前に求められていた管理職像と合致する部分が多くみられます。

さらに現在求められている管理職像に対して、管理職が実際担っている役割とのズレを確認しました。スコアに大きく差があった項目は「自ら何をすべきかを定義し、遂行する(-40.9pt)」「ボトムアップで物事を進める(-40.2pt)」「時間内で効率的に終わらせる(-38.8pt)」「前例にないことを行う(-38.7pt)」「対話を重んじる(-35.3pt)」「部下に自分とは異なる強みの発揮を求める(-34.3pt)」でした。

この結果から、実際の管理職像は、10年前に求められていたものから現在求められているものへと変化の途上にあることがうかがえます。

図3

4.   従業員の働きがいを生み出すのは管理職の振る舞い

管理職像が変化した理由は、「働き方が多様化した(68.4%)」が最多、「市場環境が変化・複雑化した(52.2%)」と続きました(図4)。新型コロナウイルスをきっかけにリモートワークなどの働き方改革が加速し、また今まで通りのビジネスのやり方ではうまくいかないケースが多数発生しました。これらの変化が管理職像へ大きく影響を与えたと推察されます。

続いて「従業員満足度や従業員の働きがいを重視する世の中になった(42%)」も上位に挙がっています。管理職のふるまいが「従業員満足度や働きがい」へ影響を与えることを、管理職・一般社員どちらも自覚しているといえるのではないでしょうか。

図4

5.   管理職自身が重視するのはマネジメント力とコーチング力

管理職に求められるスキルや知識のうち、特に重視されるようになってきたものを尋ねる質問では、「マネジメント(60.4%)」が最多で6割超え。次いで「IT・デジタルに関するリテラシー(45.1%)」「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)(40.9%)」が続いております(図5)。

また、管理職の回答に着目すると「マネジメント(68.4%)」と「コーチング(50.1%)」の2項目は一般社員の回答を大きく上回りました。 人を動機づけ、動かし、成果を出すことが求められる一方で、それが十分にはできていないという管理職自身の課題感が反映されているのではないかと推察されます。

図5

まとめ


10年前に管理職に求められていた役割は、経営層の方針・指示を解釈し、所属部署の社員に確実に遂行させるトップダウン型や、過去のやり方を踏襲すること、そして部下に自らの模倣を求めることでした。これらの背景には、10年前には高い成果を出すための定められた手順が存在し、その手順通りに実行する経験を積み重ねることで仕事の品質・効率が増すという前提があったことが推察されます。そのため管理職には、定められた手順を一般社員が確実に遂行することを管理する役割が求められていたともいえるでしょう。

しかし、新型コロナウイルスに代表される大きな外部環境の変化により、働き方や働く場所、会社のビジネスそのものが大きく変わることを強いられました。またコンプライアンスやモラル遵守の高まりにより、成果が上がりさえすれば方法にはこだわらないというビジネスの慣習も変わりました。これらの結果、現在の管理職には様々な働き方をする部下・同僚と、これまでにないやり方を模索しながら成果を出すボトムアップ型へと変化することが求められています。そして環境変化のスピードに追い付くべく、品質よりもスピードを優先して実行することが管理職に期待されるようになりました。

更にこの期待に応えるために、管理職自身が自らの能力開発を怠らないことが必要であると感じています。この感情に対して会社は、どのような成長の機会を提供すべきか、もう一度見直すとよいでしょう。

具体的なスキルに焦点を当てると、マネジメント力を向上する必要性を感じています。ここでいうマネジメントとは先に述べた通り、手順通り遂行されているかを管理することよりも、数値やタスクの管理、加えて人を動機づけることなどが当てはまります。

また、部下が主体的に自ら考え行動することを促すコーチングのスキルを、多くの管理職が重要と感じています。これは管理職の役割が「自身の考えや指示通りに部下を動かすこと」ではなく、「一人ひとりの能力の可能性を見出し、活かすこと」であると管理職自身が認識していることのあらわれといえるでしょう。

求められる管理職像が大きく変化した一方で、実態は複数の項目で移行中であることが分かりました。そしてこの移行は管理職だけが変化すればよいものではありません。管理職像の移行に伴い、一緒に働く一般社員にも管理職との関わり方を変えていくことが求められるのではないでしょうか。本調査レポートが、皆様のチーム・組織運営のあり方を見直し、また管理職だけでなく一般社員も含めた役割の見直しの一助となれば幸いです。

調査概要

調査対象者 当社が提供する研修(会場型・オンライン型)、オンライン講演の受講者
調査時期 2021年10月11日~2021年12月13日
サンプル数 5,099人
属性 (1)年代
20代以下 1,491人(29.2%)
30代 1,338人(26.2%)
40代 1,297人(25.4%)
50代 769人(15.1%)
60代以上 90人(1.8%)
不明 114人(2.2%)
(2)役職
一般社員(非管理職) 4,185人(82.1%)
  └一般社員クラス 2,951人(57.9%)
  └係長・主任クラス 1,181人(23.2%)
  └その他(専門職・特別職など) 53人(1.0%)
管理職 861人(16.9%)
  └課長クラス 626人(12.3%)
  └部長クラス 202人(4.0%)
  └経営層・役員クラス 33人(0.6%)
不明 53人(1.0%)
(3)従業員数
100人以下 1,229人(24.1%)
101人~300人 2,216人(43.5%)
301人~500人 618人(12.1%)
501人~1,000人 419人(8.2%)
1,001人以上 441人(8.6%)
わからない 123人(2.4%)
不明 53人(1.0%)
(4)業種
情報通信業 1,319人(25.9%)
製造業 758人(14.9%)
卸売業,小売業 663人(13.0%)
サービス業(他に分類されないもの) 519人(10.2%)
学術研究,専門・技術サービス業 249人(4.9%)
建設業 243人(4.8%)
不動産業,物品賃貸業 201人(3.9%)
その他、不明 1,147人(22.5%)

*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「求められる管理職像の変化に関する調査」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

株式会社ラーニングエージェンシー

当社は、設立以来、定額制集合研修 「Biz CAMPUS Basic」、ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」、ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」など、人と組織の学びを支援するサービスを開発・提供することで、これまでに累計13,000社以上の企業を支援しています。

代表取締役社長 眞﨑 大輔
事業内容 人材育成・教育研修
本社所在地 東京都千代田区有楽町 2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー18F
URL www.all-different.co.jp

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