5W1Hとは?簡単にわかる意味とフレームワークの使い方

published公開日:2023.10.30
5W2Hとは|ビジネスを円滑にするためのフレームワーク
目次

本コラムでは、5W2Hが持つそれぞれの意味や、実際の使用例について紹介しています。 ビジネスを円滑に進めるために注目されるフレームワークが「5W2H」です。5W2Hに沿ってロジカルに業務指示や報告書を作成することで、ポイントを絞って重要な点を相手に伝えられます。情報伝達やコミュニケーションでは、5W2Hを意識してみましょう。

5W1Hとは

「5W1H」は、多くのビジネスシーンで利用できる汎用性の高いフレームワークです。
「When:いつ」「Where:どこで」「Who:誰が」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」といった
6つの要素を意味しており、その頭文字をとって5W1H(ごだぶりゅー いち えいち)と呼ばれています。

5W1Hの最大のメリットは、上司への報告や企画、トラブルの分析といった状況でも、適切に情報を整理して進められること。 勘や感情的な反応で伝達・対処するのではなく、状況や原因の整理した上で必要な施策を考えることができます。

5W1Hの各要素の意味

5W1Hの6つの要素について、具体的にどのような内容を示すのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

When:いつ(日時・期間・期限・時期など)

Whenは、日時や期間、期限、時期などを示す要素。時間に関連する表現を用いて伝えます。これには、具体的な日付や時刻のほか、期間、納期、季節、イベント名(展示会や懇親会等)を入れるパターンが典型的。他に、「Aさんの資料ができあがったら」などのタイミングを示す場合もあります。
これらの時間に関連する要素を適切に入れることで、聞き手は「いつ」あるいは「いつまでに」やるべきか、具体的に把握しやすくなるでしょう。自分のスケジュールを調整する際にも不可欠な要素です。

Where:どこで(場所・位置・空間的な条件)

Whereは、場所などを表す要素です。特定の地名やエリア、空間的な条件を表す表現が入ります。

最も簡単な例は、会社であれば「会議室A」や「課長のデスク」、社外であれば「B社の受付」「展示会場C」といった物理的空間でしょう。展示会では、計画段階で「明るくて立ち寄りやすい雰囲気の場所」のような表現を用いて示すケースも考えられます。

デジタルであれば、「案件Aのフォルダ」「2023年第2期の請求書フォルダ」のように、特定のファイルが保存されている場所を指定することもあります。「TeamsのスレッドB」や「ZoomのルームID xxxxxxxxxx」といった指定方法もあるため、
文脈に応じてさまざまなパターンが考えられるでしょう。

いずれにせよ、これらの場所や位置に関する情報を、具体的な名称や条件を用いて的確に伝えることで、目的の場所までたどり着きやすくなったり、より具体的なイメージで構想を練ることができます。

Who:誰が(個人名・役職名・部署名・会社名など)

Whoは、個人名・役職名・部署名・会社名などを示す要素です。
マーケティングにおいては、ターゲットのペルソナ設定としても重要です。「誰が/どこの部署・会社が」を明確に指定することで、 実際に業務を進める際に必要なタスクを明確化できるでしょう。

最もシンプルな例は、「私が」です。自分のタスクやスケジュール管理を行う際に用います。次に多い例は、「上司が」や「顧客が」かもしれません。この場合、相手側の都合を考慮する必要があるため、自分と相手のスケジュールを両方確認する必要があります。Whoに誰を設定するかによって、具体的なWhenやWhereが変わることもあるでしょう。

What:何を(対象となる物事・議題・概念など)

Whatは、非常に大まかに言えば、対象となるモノや事柄を示す要素です。
「○○をする」の「○○」にあたる部分と考えるとわかりやすいでしょう。

例えば、商品名やサービス、議題、プロジェクト等のコンセプト、価値などをここに入れることができます。
「社長が言ったこと」「顧客の要望」「新技術の開発」「10月に起きたヒヤリハット」など、実に多様な表現を入れられるため、相手が理解しやすい表現を選ぶことがポイントです。

Why:なぜ(理由・原因・根拠など)

Whyは、理由や原因を示します。単純に物事の原因や根拠を示す場合もあれば、「○○を達成するため」のように、
達成すべき目的やゴール、目標を示す場合もあります。

大きなWhyをさらに分析して本質的なWhyを導くことで、より効果的な施策へつなげられるでしょう。目標未達や大小のミスが発生した場合は、特にWhyの分析が重要です。ビジネス環境の急激な変化に応じた柔軟な対応、問題解決、トラブルの再発防止にもWhyの明確化が不可欠となります。

How:どのように(手段・使用ツール・程度など)

Howは手段や目的達成のために使用するツールなどを表す要素です。「どのくらいやるか」という程度を示す場合もあります。

具体的なイメージとしてわかりやすいのは、製品の製作方法、課題の解決方法などでしょう。Whoで交渉が難しい相手が設定されている場合、このHowにおけるアプローチが成否を分ける可能性も十分考えられます。部下に新しい業務を任せるケースでは、Howを丁寧に伝え、必要に応じてお手本を示すことで、その後の手戻りを減らすこともできます。

Howに関して複数のアイデアがある場合は、さまざまなコストや効果を比較しながら、より目的に合ったものを選んでください。それが適切であるほど、物事を効率的に進められるでしょう。

ビジネスでの5W1Hの活用方法

ビジネスにおいて、5W1Hを意識したコミュニケーションや報告は、基本スキルと考えられています。
多くの場面で活用されるものですので、具体例とともに使い方を押さえておきましょう。

報連相の例

5W1Hは、円滑なコミュニケーションの実現に大いに役立ちます。
具体的な活用場面として、営業職が新規顧客の獲得状況を上司に報告する場面を考えてみましょう。

【具体例】

When 今日は
Where クライアントのオフィスで
Who 自分自身が
What 商談のプレゼンを行った
Why 新規契約を獲得するため
How 市場調査の結果とクライアントのニーズの分析結果を示し、合致する点を強調して自社の強みをアピールすることで

【例文】
「今日、私はクライアントのオフィスで、新規契約の獲得に向けて商談のプレゼンを行いました。市場調査の結果とクライアントのニーズ分析の結果を示し、合致する点を強調して、当社の強みをアピールしました」

報告がやや長くなる場合は、When・Where・Who・Whatをまず伝え、その後にWhyやHowを伝えると、
簡潔な伝え方が可能です。

上司にとっても即座に理解できる形式のため、「具体的に、合致していた点とは?」「アピールした自社の強みの内容は?」といった質問をしやすくなります。今後の動き方や注意点などのアドバイスを与えやすくなるでしょう。

マーケティング戦略における例

マーケティング戦略を練る際も、5W1Hを活用することでより明確な立案が可能となります。
ここでは、ソフトウェア販売におけるWebマーケティング戦略案の伝え方を考えてみましょう。

【具体例】

When ターゲット企業が次年度の戦略策定に向けた現状の見直しを行う時期~予算編成時期に
Where 自社の企業サイト、ランディングページ、B2B向け製品を掲載できるメディアおよびソーシャルメディアプラットフォームで
Who B2Bを行っている企業(当社)が
What クラウドベースのプロジェクト管理ソフトウェアのプロモーションを行う
Why クラウドベースのプロジェクト管理ソフトウェアの販売数を伸ばすためターゲットとなる中小企業は、効率的なプロジェクト管理を求めており、クラウド管理ツールに興味を持ち始めているため
How 製品のランディングページを作成するB2B向け製品を掲載できるメディアに商品情報を掲載する自社のブログ記事やホワイトペーパーなどを提供して、ターゲット層の関心を引きつける

【プレゼン等の例文】
「クラウドベースのプロジェクト管理ソフトウェアの販売数を増やすため、ターゲット企業が次年度の戦略策定に向けた現状の見直しを行う時期から予算編成時期にかけて、一連のプロモーションを行います。製品のターゲットなる中小企業は、実際に効率的なプロジェクト管理のためにクラウド管理ツールに興味を持ち始めているため、この好機を成果に結びつけたいと考えています。プロモーションは、当社の企業サイトやランディングページ、B2B向け製品を掲載できるメディア、ソーシャルメディアプラットフォームなどでの展開を想定しています。当社のサイトでは、ブログ記事やホワイトペーパーなどを提供し、ターゲットの層の関心をより引きつける施策を行います」

戦略に関する5W1Hは、文章で表現すると長くなります。そのため、まずは目的と何をするかなどの概要を明示し、その後、他の要素を聞き手が理解しやすい順番で伝えるとよいでしょう。

企画書や提案書作成の例

企画書や提案書は、読み手をいかに納得させ、了解させられるかがポイントです。抽象的な表現に終始しないよう、
5W1Hを使って具体的に検討し、作成しましょう。
例えば、子ども向けイベントの企画書を作成する際は、次のような要素の具体化が可能です。

【具体例】

When 8月(夏休み期間)
Where 地域のコミュニティセンターや学校施設で
Who 当社の研究開発部門の社員が
What 地域の子どもたちや、そのご家族に対して、STEM教育に焦点を当てたワークショップやデモンストレーションを実施する
Why 将来的な人材確保を見据えて、子どもたちやご家族のSTEM分野への興味を高めるため 子どもたちに将来の職業選択に関する知識を得てもらうため
How 実験ワークショップで科学実験やプログラミング体験を提供する ロボティクスやエンジニアリングのデモンストレーションを行い、実際に小さな作品を作ってもらう

イベントでは、自社で行う目的とともに、参加を呼びかけるターゲットに合わせた要素の検討や表現の調整が必要となります。わかりやすく伝えるには、短い表現で大きくWhatを伝え、次にWhenとWhereを示すとよいでしょう。
有名企業の場合はWhoをアピールする方法も有効です。

Howは、ターゲットの興味関心を考慮して設定すると、イベントをより楽しんでもらえます。さまざまな制約から、Howの内容を大きく変更せざるを得ないケースもあるでしょう。しかし、Why(なぜ)を明確に意識することで、柔軟性のある対応につなげられます。

5W1Hを使う時の注意点と課題

5W1Hは非常に有用なツール。上手に活用するには、いくつかのポイントを押さえましょう。
具体的な注意点や課題について解説します。

5W1Hを意識しすぎると伝わりにくくなる

5W1Hは情報を正確に伝えるために有効な手段ですが、使いすぎると逆に伝わりにくくなってしまう場面もあります。

例えば、「Who:誰が」「What:何を」「How:どのように」といった2W1Hの3つの要素で済む報告にもかかわらず、WhenやWhereなど他の要素も加えてしまうと、逆に各要素の重要度がわかりにくくなり、「最も重要なWhoやWhatが頭に残らない」という事態が発生するかもしれません。

より具体的に考えてみましょう。
あなたが自分の予定を伝える際、次のAとBでは、どちらのほうが相手に伝わりやすいでしょうか。

A:「明日、私は、製品Aの販売数を伸ばすため、東京のイベント会場Bまで路線バスで向かい、会場Aのブースで製品Aの販売を行う予定です」
B:「明日、東京のイベント会場Bで自社製品Aを販売する予定です」

基本的には、AよりBのほうが、聞き手はあなたの予定を把握しやすいと考えられます。
もちろん、移動手段を聞かれている場合は、Howを省いてはいけませんし、会場へ誰が行くのかを聞かれている場合にWhoを省いてはいけません。どの要素を優先するかは、文脈によって異なります。

5W1Hを適切に活用するには、まず相手が求めている情報が何かを把握することが大切なのです。

5W1Hを使いこなすには練習が必要

5W1H活用の大きな課題は、状況に応じて適切な使い方ができるようになるまで時間がかかることです。

学んですぐに使い始めることはできても、それによって本当に聞き手・読み手が理解しやすい伝え方になっているかどうかは別問題。スムーズなコミュニケーションに向けて5W1Hを使いこなすには、日々の報連相やフィードバック、提案などで意識しながら練習しましょう。

練習では、いきなり口頭で使用するよりも、メモなどに各要素を書き出して整理してから使うとよいでしょう。その際、
各要素を伝える順番も検討してみてください。
次のように重要な情報を早めに出したり、長すぎる文章を一度区切ったりすると、伝わりやすい表現になります。

  • 目的・経緯などを理解してほしい場合…Why(なぜ)から始める
  • 人物が重要になる場合…Who(誰が)から始める
  • 行動等の内容を伝える場合…What(何を)から始める
  • 原因と対策を伝える場合…What(対策)を伝えてから、Why(原因・理由)を伝える

5W1Hを用いて報告しているのに「分かりにくい」と言われる場合は、上記のように情報の重要度を分析し、順番を入れ替えて伝え直してみる方法がおすすめです。

5W1Hの応用形

5W1Hには、さまざまな応用形があります。いずれも5W1Hから派生したもので、足りない要素を補ったり、逆に省いたりしているものです。5W1Hに慣れてきたら、ぜひ応用形も使ってみてください。

5W2H・5W3H

5W2Hや5W3Hは、基本となる5W1Hに加えて「How much:いくら」や「How many:どのくらい(規模)」が含まれるフレームワークです。

基本の5W1Hでは、Howが1つしかなく、「手段」を伝えるとコストや規模を伝え忘れてしまう恐れがあります。
これを明示した形が、5W2Hや5W3Hとなります。

具体的な活用場面は、売り上げ・利益・販売価格などの金額が重要なケースでしょう。キャンペーン企画を行う際に5W3Hを用いれば、人数や配布するノベルティ数などの情報も含められます。

5W1H1R

5W1H1Rは、5W1Hに「Result:どうなった」を追加したフレームワークです。
実施内容である5W1Hに結果を伝える要素がプラスされている点に特徴があります。

5W1H1Rは、例えば商談や課題解決など、結果が重要なケースで役立つでしょう。キャンペーン企画を実施したあとや、人材育成施策を実施したあとに、どのくらいの効果があったかを検証する場合にも有効です。

6W1H

6W1Hは、5W1Hに「Whom:誰に/誰を」を追加したものです。

5W1Hの「Who」では「誰が」という主体を示すケースが多く、必ずしも「誰に/誰を」を入れる必要はありませんでした。しかし、報告する内容によっては、「誰が」やるのか、「誰に」やるのかという視点が欠かせない場合があります。
そこで、6W1Hでは、明確に「誰が」と「誰に」実施するのかを区別する形となりました。

具体的な活用場面としては、重要な顧客やターゲットの指定、育成対象者と指導者の指定、書類の提出先の指定などがあります。人と人、会社と会社の関係性、手続きの明確化などに活用できます。

7W1H・7W2H・7W3H

7W1H は、5W1Hに「Whom:誰に」「Which:どちらが」を追加したものです。あるいは、「Whom:誰に」「With Whom:誰と」を追加したものとする考え方もあります。7W1Hは、特に人物に焦点を当てた形となっており、主体以外の関係者をより明確に示すことができます。

7W1Hにはさらに派生形があり、「How much:いくら」を足した7W2Hや、「How many:どのくらい(規模)」も追加した7W3Hもあります。

7W2Hや7W3Hの使い方は、5W2Hや5W3Hの場合と基本的には同じと考えてよいでしょう。異なるのは、7W2Hや7W3Hのほうが関係者にフォーカスしたい場合に便利である点です。

2W1H

ここまでは、5W1Hに追加要素を入れた派生形をご紹介してきました。こうした情報量が増える派生形がある一方で、2W1Hという簡素な派生形もあります。

2W1Hは、「Who:誰が」「What:何を」「How:どのように」という要素に絞り込んだシンプルなフレームワークです。あえて情報を絞り込むことで簡潔な情報伝達が可能となり、受け手が必要な情報を素早く把握できるという利点があります。

5W1Hを使って「わかりにくい」と言われた場合、あえて2W1Hを使うことで相手の理解を促すことができるでしょう。
キャッチコピーや企画書・報告書の見出しを作成する場合や、すでに共有している事項を省いてスピード重視の情報共有をする場合に役立ちます。

また、5W1Hに取り組む前段階として、2W1Hでの伝達を実践するという方法も有効です。