ファシリテーターとは|会議のムダを無くす重要な役割
ファシリテーションの基本をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
ファシリテーターの役割とは
英語の「ファシリテーション」(facilitation)には「促進する・容易にする・支援する」といった意味があり、ファシリテーターは「支援する人」、つまり会議やミーティングなど議論の場が円滑に進むよう支援する役割の人を意味します。
ファシリテーターがなぜ必要か
ファシリテーターは意思決定者ではありません。中立の立場で参加者が平等に発言できるように促し、さまざまな意見やアイデアを引き出すことが求められます。
意思決定者が会議を進めてしまうと、決定権が無い人は意見が出しにくくなります。「発言しても取り入れてもらえない」というような会議が続けば、そもそも発言する気持ちも無くなり、形ばかりの会議になってしまうかもしれません。
ファシリテーターが話し合いを円滑に進め、参加者が意見を出しやすい場にすることで、新しいプロダクトにつながったり、業務改善のアイデアが生まれたりと、良い会議になっていくでしょう。
ファシリテーターと司会はどう違う?
ファシリテーターと似ている立場が司会者です。どちらも、準備をして会議を円滑に進める共通点がありますが、違いは「最終的な合意形成までを行うかどうか」です。
司会者は、会議の流れを円滑にし、最後まで滞りなく進めることに特化しています。
一方でファシリテーターは、会議の流れを円滑に進めることはもちろん、出た意見に対して参加者の認識を擦り合わせ、最終的に合意をとるところまで行います。
ファシリテーターがいるメリットとは
では、ファシリテーターがいることによって会議が円滑に進み、その先にどのようなメリットがあるのか、具体的に紹介します。自社の会議の進行に不満がある場合は、ファシリテーターを設けることで解決するかもしれません。
会議やミーティングのゴールが明確になる
ファシリテーターは、会議の目的やゴールを把握したうえで、事前に参加者に伝えます。そのため、話し合いの目的が明確になり、話が逸れてしまったり、まとまらずに長引いてしまったりすることが少なくなるでしょう。ゴールが明確になることで、参加者は何を求められているのか、何をすればよいのかがわかり、当事者意識が増すこともメリットです。
最終的な合意形成がしやすい
アイデアや意見について、ファシリテーターは合意をとることが役割です。どういった意見が出ているのか、それに対してどんなアクションをとることになったかなどを、最後にまとめて合意をとります。
意思決定者が決定を下した場合は、改めて経緯などを簡単にまとめて、認識にズレが無いか参加者に確認します。会議の結果、何が決まっていて何が決まっていないのかが曖昧になるリスクを減らせるでしょう。
参加者が話しやすい雰囲気になる
ファシリテーターは参加者の発言を引き出し、対話を促します。そのために、話しやすい雰囲気づくりもファシリテーターの役割の一つです。初対面の参加者が多いのであれば、最初にアイスブレイクでしっかりと緊張をほぐし、既知の仲であれば雑談や簡単なアイスブレイクを挟むとよいでしょう。
また、「役職に関係なく発言して良い場です」のように、会議中に発言しやすいルールを設定する場合もあります。話しやすい雰囲気になれば、それだけ意見やアイデアも出やすくなるでしょう。会話を通して、新しいアイデアが生まれることもあります。
会議が無駄に長引かない
時間管理もファシリテーターの役割です。ファシリテーターが事前に「説明に〇分、意見出しに〇分」としてアジェンダを共有することで、参加者自身も時間を意識できます。
会議の本筋から話が逸れてしまった際は、ファシリテーターが話を戻すよう促します。必要なことに絞って話し合いが進められるようになり、無駄に長い会議にならずに済むでしょう。
ファシリテーターに必要な準備とスキル
ファシリテーターの役割は会議を円滑に進めることだけではありません。ここではファシリテーターが行うべき事前の準備や、必要なスキルを紹介します。
会議やミーティングのゴール設定と共有
まずは何のために話し合うのか、目的とゴールを設定しましょう。会議を行う目的が新商品開発のためなのか、業務改善なのかなど、何のための会議なのかをはっきりさせます。
次に、開催する会議でのゴールを決めます。「意見を出してもらう」までなのか、「意見を出して、そこから1案に絞り込む」なのか、時間や参加者の数、プロジェクトの期間などによりゴールは異なります。
意思決定までを行う場合、検討する時間が必要になるため、会議時間が短い場合や参加者が多い場合は、時間配分に注意が必要です。
目的とゴールが決まったら、参加者にも共有して、各々が前もって用意できるようにしましょう。
参加メンバーの決定と連絡、アジェンダの作成
会議の開催と併せて、目的やゴールに沿っている参加メンバーなのかも確認しましょう。意思決定が必要なのに決定権を持っている人が不参加になっているような事態は避けます。また、むやみに参加者を集めていないかも気をつけましょう。会議の招集は相手の時間を奪うことであることを忘れてはいけません。
参加者や目的が決まったら、スケジュールやアジェンダを作成して共有します。その際、日程変更の打診などがあれば、調整が必要です。あらかじめ複数案を用意しておく、直前の開催連絡は避けるなどの対策をしましょう。
資料作成や場所の用意
資料が紙であれば、原本に誤りが無いか確認したうえで人数分+2枚ほどを印刷しておきます。予備があると、紙が破れてしまったり、急きょ参加者が増えたりした場合に対応できます。
データも同様に誤りが無いか確認して、メールやコミュニケーションツールなどを通して参加者に渡しておきます。データの場合、オンラインで共有ができるものだと、急な内容変更でも反映できるため便利です。
また、会議の場所を押さえることもファシリテーターの役割です。自社以外の人と社外で集まるような際は、会議にふさわしい環境かを確認しましょう。
メンバーのアイデアや発言を引き出すスキル
会議の場で発言を引き出すために、いきなり本題に入るのではなく雑談やアイスブレイクから始めると、緊張がほぐれて話しやすくなります。そのための準備もしておきましょう。会議が進む中で、緊張が高まる場面が出てくることも。その際は、話し手の目を見る、頷きながら聞くなど傾聴することで相手は安心して発言できるようになります。
また、アジェンダを共有する際に、あらかじめ意見を聞いておき、「○○さんから××といったアイデアをもらっていますが、もう少し詳しく教えていただけますか?」のように、説明を求める形にするのもよいでしょう。自発的に発言しにくい場面でも、ファシリテーターの質問に答える形なら発言しやすい人もいます。
また、その場で考えてもらうのではなく、事前に考えてきてもらえるようにしておくのもファシリテーターの役割です。アジェンダの共有時に、最低限考えてきてほしいことも伝えておきます。
合意形成に向けて意見をまとめるスキル
参加者から出た意見は、最終的に合意形成を行うためにまとめなくてはいけません。ブレインストーミングのようにたくさんの意見を出す場であれば、「KJ法」を用いてグルーピングするところまで想定しておくとよいでしょう。また、「ペイオフマトリクス」を使って、効果や実現性の点で取捨選択する手もあります。
意見をうまくまとめる自信が無い時は、書籍や研修などで学んでおくことをおすすめします。ファシリテーションスキルを身につけるため、資格取得を目指してみるのも1つの選択肢です。
ミーティング時間の管理
会議の中での時間配分を考えることもファシリテーターの役割です。アジェンダに沿って事前に時間配分を決めておきます。決められた時間をオーバーするような状況では、話の筋を戻したり、次回に持ち越したりするなどの判断も必要です。
ファシリテーションに使えるフレームワーク
話し合いを進めるうえで知っておくと便利なフレームワークを紹介します。
アイデア出しに使えるフレームワーク
質より量でアイデアや意見を求める場合は「ブレインストーミング」がおすすめです。ブレインストーミングでは出た意見に対して批判しないルールがあります。メモ帳や付箋を用意し、思いつく限りアイデアを書いてもらいます。。「マンダラート」や「マインドマップ」を用いて、関連する事柄をどんどん書き出すこともおすすめです。
会議を開催するためのフレームワーク
「OARR(オール)」は、「Outcome」(目標・ゴール)、「Agenda」(議題・スケジュール)、「Role」(役割)、「Rule」(ルール)の頭文字をとったフレームワークです。それぞれの項目に抜けが無いように設定して参加者に共有することで、スムーズに会議を進行できます。
自身で決定できない項目があれば、意思決定者に事前に相談して決めましょう。
ファシリテーターのスキルを身につけるには
ファシリテーターのスキルは、日常のシーンからでは学ぶことが難しい場合があります。自社にファシリテーションが行える人材が不足しているのであれば、スキルが身につく研修を受けることがおすすめです。独学で書籍や動画などから学ぶのもよいですが、研修の場合は講師からその場でフィードバックがもらえるため、正しいスキルを効率的に身につけられます。
会議時間が長い、無駄な会議が多いと感じている場合は、ファシリテーターを育成することで課題を解決しましょう。
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