Off-JTの特徴と具体例とは?OJTとはどう違う?

update更新日:2023.10.18 published公開日:2022.07.22
Off-JTの特徴と具体例とは?OJTとはどう違う?
目次
Off-JTとは職場や通常業務から離れた場所で行われるセミナーや研修のこと。業務だけでは吸収できない専門知識や働くマインドを育てるのに有効です。
詳しい内容やメリット・デメリット、OJTとの違いを把握して効果的な人材育成を目指しましょう。

Off-JTとは、業務とは違う特別な時間・場所を設けて行う教育・研修のこと

Off-JTはOff The job Trainingの略称。職場外研修ともいわれ、職場とは離れた場所でのセミナーや研修のことを指します。代表的なものとしては、新入社員研修や管理職研修、ビジネスマナーに関する研修など。大きな目的は日常業務から離れ、必要な知識やスキルを体系的に身につけることです。

人材開発の現場で広く支持され続けており、特に規模が大きい企業ほど実施率が高い傾向も。仕事の土台となる「型」の習得がメインになるため、そのまま実務に使えるわけではありませんが、あらゆる業務に通じる基本的な知識を体系的に身につけることができる点が魅力です。

一般的な企業では、人事部や人事開発部が中心となって計画を立て、講師や場所の手配を行います。

どのような種類があるのか

Off-JTの実施方法は、集合型研修とe-ラーニングの大きく2つに分けられます。

集合型研修

集合型研修は、複数人を対象にミーティングルームや会場を借りて、また近年ではWEB会議ツールなどを用いてライブ配信型で実施する研修です。研修の目的に合わせて受講する社員を選別でき、必要な時期に必要な層に対して研修が行えます。階層別や業務内容別、ビジネス全般のスキルに関する研修などが代表的です。

【階層別研修の例】

  • 新入社員研修
  • リーダー研修
  • 中堅社員向け研修
  • 管理職研修

【業務内容別研修の例】

  • 経理、財務、法務を学ぶ研修
  • クリエイティブ研修
  • 語学研修

【ビジネススキルに関する研修の例】

  • コーチング研修
  • コミュニケーションスキル研修
  • メンタルヘルス研修

e-ラーニング

社員の都合の良い時間・場所で受講できるタイプの研修です。スマートフォンやタブレットで移動時間にも学べるため、手軽なのが利点。近年は動画コンテンツが増えており、非対面でも臨場感のある研修を実施できるようになっています。

e-ラーニングで知識レベルを揃え、集合研修でより高いレベルの研修を実施するなど、異なる実施形式を組み合わせて効果を高めるケースも見られます。集合型研修と比べると、比較的低コストで実施できる点もe-ラーニングの魅力です。

なぜOff-JTが必要なのか

Off-JTで必要な知識やスキルを体系的に身につけることで、仕事の基礎を固めておくことが出来る点がOff-JTが重視される理由の1つです。

「現場で働きながらその都度必要な知識をつければ良い」という意見もあります。しかし、通常の業務を行いながらの指導では、人材育成に必要なサポートが不十分なケースも多いでしょう。

職場環境にもよりますが、忙しい時期とそうでない時期がある場合は、時期によって指導の厚みに差がでます。忙しくてフォローに手が回らないとき、Off-JTで考え方の基礎を教えておくことでトラブルを回避できるかもしれません。また、普段の指導時も基礎が備わっていることで、一から百まで教える必要がなく、現場の教育コストを軽減できるうえ、より効率的に現場で学びが得られます。

OJTとOff-JTの違いとは

Off-JTと同じく人材育成の場面でよく使われるOJTは、「On The Job Training」の略。現場で実際に仕事を進めながら助言・サポートする育成手法です。開催場所や内容、実施期間や教育方針で重視されるポイントなどで違いがあります。

場所の違い
Off-JTは職場外で実施される教育施策を指すのに対し、OJTは職場内で行われる育成手法のことを指します。実施場所の違いも、両者の大きな違いです。

内容の違い
Off-JTは新入社員研修や管理職研修など、個別のスキルを高める知識や、仕事を進めるうえでの基本的な知識をインプットする内容が一般的。対して、OJTは特定の業務に直結するノウハウを指導することがほとんどです。実際の業務を割り振り、対応してもらいながら助言やサポートをしていきます。

期間の違い
Off-JTは研修・セミナー形式で実施されるため、短期的な限られた期間で実施されることがほとんどです。対してOJTは、日常業務を通じて意図的・計画的・継続的に行う指導と定義していますので、業務を通して中長期的に継続されるケースもあります。

教育方針の違い
Off-JTはインプットが主体。座学を通して、習得しておくべき知識を蓄えることが重視されています。一方、OJTはアウトプットが主体。実践しながらスキルを身につけることに重きが置かれています。
教育方針の違いから、Off-JTで基礎を学んだ後にOJTで実践するという、2段階で指導を行うケースも有効です。

Off-JTのメリット

座学スタイルが主流で仕事の基礎となる知識を学べるOff-JTには、以下のようなメリットがあります。

体型的な知識の習得

Off-JTの大きなメリットの一つに体系的な知識やノウハウの習得を促すことができる点があります。普段は目の前の業務に追われて後回しになっているインプットの機会を与えることで、仕事に必要な知識の土台の形成を促進。研修やセミナー形式でまとまった時間を設けるため、じっくりと理解・学習させられます。実務への理解をより深められることも魅力です。

育成効果の均一化

複数社員に対して一斉に実施できるため、育成の効果を均一化しやすいのもメリットです。必要な専門知識や考え方などを順序だてて学べます。
業務を進めながら助言やサポートをするOJTでは、1対1の教え方になる傾向が高いため、先輩社員の育成スキルによって後輩の成長度が変わります。しかしOff-JTでは、同じ内容を1人の講師が同時に教えるため、研修を受けた社員の習熟度に大きな差はあらわれません。

現場の負担軽減

基本的にOff-JTは、外部の講師に依頼してセミナーや研修を実施します。職場内での研修やサポートでは、社歴の長い社員や管理職員が、仕事をこなすのと同時に育成カリキュラムの作成や指導に時間を割く必要がありました。ですが、Off-JTによって基礎的な教育を外部に委託したり、配属前に基礎知識を固めたりしておくことで、現場社員の教育負担が軽減します。
また、特に社内に対応できる従業員が少ない専門分野の指導や教育は、外部のセミナーを利用することで学習度がより深まるでしょう。

横のつながりを広げられる

研修内ではワークショップやチーム作業をすることもあるため、参加者同士の交流機会にもなります。Off-JTでは新入社員向けのマナー研修や管理職向けの研修など、階層ごとのセミナーも多め。同じ階層の社員のつながりを広げることで、職場の安定感やチームワーク強化につながります。

Off-JTの課題

メリットが多く、重視されている一方でデメリットともいえる課題もいくつかあります。

実務とかけ離れて定着が見えない可能性

テーマによってはその時に対応している実務との関連イメージがわかず、短期的には効果が見えにくいケースがあります。場合によってはOff-JTの必要性を疑問視され、育成にかけられる時間や予算を減らされてしまうかもしれません。長い目で見た成長計画をしっかり示すか、実務と直結した内容のOff-JTをうまく組み合わせ、短期的にも長期的にも効果が感じられるような育成計画が必要です。

参加者の意識の醸成

座学形式のため、講師が参加者へ一方的に情報を発信するだけの場になってしまうケースも少なくありません。参加者が「聞いているだけ」「その場にいるだけ」になってしまうと実施効果が低く、無駄な時間になってしまいます。
参加者の興味・関心をひきつけるように内容を工夫する、ワークショップやチームでの作業を盛り込むなど、研修内容の組み立ても重要になるでしょう。

Off-JTをうまく活用するポイント

Off-JTでの学びをOJTで実践するサイクルをつくる

Off-JTでいくら知識を蓄えても、いくらアウトプットトレーニングをしても、実務で実践しなければ意味がありません。Off-JTで習得した知識や技術をOJTで実践し、不足した部分はまたOff-JTで補っていくサイクルをつくることが大切です。
その場その場での導入では、期待する効果がなかなか得られないため、各部署に任せきりにせず人事担当者が全体を管理するようにしましょう。長期的な視点でロードマップを敷き、進捗を追っていくことで成長の鈍化や研修の停滞を防げます。

SD(自己啓発)を促す仕組みをつくる

Off-JTもOJTも、教わるという意味では受け身になります。社員の成長を引き出すためには、自発的な学びを推進することも大切。教わりながらインプット・アウトプットする場と共に、自ら学ぶ場を与えることで、研修の効果が高まります。
SD(自己啓発)の促進の具体例としては、学習スペースの提供や資格取得の推進制度など。特に業務に関わる資格取得をサポートする制度を導入すると、相乗効果が見込めます。

幅広い業務で活きるOff-JT

Off-JTは仕事の土台を形成する、大切な人材育成方法です。会社の知識・技術ベースを底上げし、サービスや業務の質を担保することにもつながります。

ALL DIFFERENTでは、新入社員向けや管理職向けなど、階層・知識レベルに合わせた研修をご用意し、企業の人材育成促進を応援しています。社員に今後の働き方を考えさせ、計画的な成長戦略を形成していく考え方が学べるため、ぜひご活用ください。

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