自己肯定感とは?|自信を持って仕事に取り組むためのマインドセット
仕事に対する自信がなくなる理由のひとつは「自己肯定感の低さ」です。自己肯定感の高い・低いが仕事のパフォーマンスを左右するといっても過言ではありません。自己肯定感を高めることは私生活だけでなく、仕事へのポジティブな効果も期待できます。
自己肯定感の高い人は何事にも前向きに取り組み、好循環を生み出してくれる存在です。社員に自信を持って仕事をしてもらうには、自己肯定感の向上が欠かせません。
本コラムでは、自己肯定感が仕事にもたらす影響や自己肯定感を高めるポイントについて紹介します。
自己肯定感とは
自己肯定感とは今の自分を受け入れて、自分の価値や存在意義を肯定することです。同じような意味の言葉には「自己尊重感」や「自尊心」などがあります。あくまでも今の自分を肯定しているかが重要であり、他人からの評価ではありません。
自己肯定感が高いと、今の自分は良い状態であると認識し、好循環を生み出すことができます。物事を前向きに進めるために必要な原動力となります。
一方、自己肯定感が低いと今の自分をなかなか認められません。「自分はだめだ」「周りの人より能力が劣っている」と自分を責めてしまうのです。しかし、自己肯定感が低い人はずっと低いままではありません。考え方や気持ちを少し切り替えるだけでも、自己肯定感は高められます。
そもそも自己肯定感は誰が言いだしたこと?
自己肯定感という概念は1994年に高垣忠一郎氏により提唱された言葉です。
日本の子どもの自己評価がアメリカや中国と比べて低いことで、教育現場において自己肯定感が注目されました。
自己効力感という似た言葉もありますが、自己効力感は「自分はできると信じている」点で自己肯定感と異なります。また、ニュアンスが似た言葉としてあげられる自尊心は、「自分は優れている」と思っている状態です。
言葉は違っても、自分を信じることは仕事や人生において大切な要素であることに間違いはありません。
自己肯定感が高い人・低い人の特徴
自己肯定感の高い人・低い人によって、物事に取り組んだ際のパフォーマンスが異なります。自己肯定感が高い人・低い人の特徴をそれぞれ紹介するので、あなたや部下はどちらに当てはまっているのかを確認してみてください。
自己肯定感が高い人の特徴
自己肯定感が高い人は自分自身だけでなく、自分の周りで起きていることに対しても肯定的です。自分の得意・不得意を客観的に理解し、ありのままの自分を受け入れているため、自分の短所でさえもプラスに変えられるエネルギーを持っています。不得意なことがあるからと言って自分を卑下せず受け入れられ、何に対しても前向きに取り組むモチベーションにつながります。
主体性を持った行動をする傾向にある
自己肯定感が高い人は主体性が高い傾向にあり、どんなことにも積極的に取り組みます。「自分はこうしたい」という意見を述べられるため、仕事やプライベートを問わず、リーダーに抜擢される方も多くいます。
また、主体性が高いからこそ、どんな時でも失敗を恐れずにチャレンジするマインドを持っています。「他人から見た自分」について深く悩まないので、周りの目を気にせず自分らしく物事に取り組むのも特徴です。
失敗しても「何度も諦めずにチャレンジすれば良い」と思えるため、失敗を乗り越えて最終的には成功に辿り着く方も多いでしょう。失敗に対してフィードバックをもらった際には、自分の糧になるとアドバイスを素直に受け入れることもできます。
円滑で気持ちのいいコミュニケーションがとれる
他人の行いや言動も肯定的に捉えるため、相手の粗探しをするようなことはありません。
相手の良いところを見つけるのが上手く、チームや仲間から慕われている場合が多いでしょう。基本的に周囲の人間と衝突するようなことがなく、円滑なコミュニケーションを得意しているのも自己肯定感が高い人の特徴です。
自己肯定感が低い人の特徴
自己肯定感が低い人は、自分自身のことをあまり信頼していません。「何をやっても失敗してしまう」「自分なんかにはできっこない」など、否定的なことばかり考えがちです。また、ありのままの自分を認められず自信がないため、チャレンジ精神も湧き上がりません。「何をしても失敗するのが恐い」という気持ちが先行し、新しいことに取り組む気力もなくなってしまいます。
他人と比較して落ち込みやすい
周囲の人と自分を過剰に比べてしまう癖があるため、自己嫌悪に陥りやすいのも特徴です。他人への嫉妬や劣等感で苦しみ始めると、不安定な精神状態が続きます。
これは自己肯定感が低いために自分の長所に気付かず、ネガティブな思考に至っているのが原因です。自己肯定感が高ければ他人との比較も成長材料になりますが、自己肯定感が低い人にとっては苦しみにつながります。
自己肯定感が低い人には過去にトラウマを抱えている方も多くいます。例えば、優秀な兄弟と比較されて育ってきた、過去に大きな失敗を経験したことがある場合、自己肯定感が低くなります。
主体性が低くなりがち
自己肯定感が低い人は自分自身を肯定できないが故に、他人から認められることを求めます。自分の価値を自分で判断できず、他人基準で物事を見てしまうのです。そんな承認欲求を満たしたいがために、他人が望むように動くのが正しいと認識して、主体性がなくなってしまうのも自己肯定感が低い人の特徴です。 そのため、断ることが苦手な傾向にあります。こなせない量の仕事を受けてしまったり、クオリティを保てなかったりして、さらに自己嫌悪に陥ってしまうというループにハマりがちです。
自己肯定感が仕事にもたらす影響
自己肯定感が低いと何に取り組んでも自信を持てなくなるため、仕事のパフォーマンスも低下しやすくなります。自己肯定感が低いと仕事にどのような影響が出るのかをまとめました。
挑戦しようと思えなくなる
自己肯定感が低い人はネガティブな感情に振り回されます。「失敗したらどうしよう」「できなければ周りから批判される」という恐怖から、新しいことに挑戦しようと思えなくなるのです。
少しミスしただけでも、本来は関係ない自分の人間性まで否定してしまいます。悪い想像ばかりが浮かんでしまい、自分がやり慣れた仕事しか選びません。自信をつけてもらうために新しいことに挑戦させても、小さいミスさえ影響するため、取り組み方を工夫していく必要があります。
自分の能力を適切に把握できない
自己肯定感が低い人は自分の能力を適切に把握しておらず、何事も「自分にはできない」と決めつけてしまいがちです。
「できない」という気持ちが先行しているため、失敗する前から自信を失っています。そのように、自分の能力を過小評価してしまうと、本来の能力を発揮すればできるはずの仕事でも良い結果を出せなくなってしまいます。また、自分の能力を適切に把握できないことには、失敗して自分が傷つかないように保守的になっている側面もあります。
コミュニケーションロスが生じる
仕事を円滑に進めるには従業員同士のコミュニケーションが欠かせません。しかし、自己肯定感が低い人は他者とのコミュニケーションが不足しています。これは、コミュニケーションをとることで、自分と周りの人を比較して劣等感を抱いてしまうのを避けていると考えられます。また、ミスを報告して怒られたり幻滅されたりしたくない、という気持ちもあります。
仕事で必要な情報伝達がスムーズにいかないことで、悪い影響が出てしまうのです。
納期までに仕事が終わらない
自己肯定感が低い人は、頼まれたことを断る=相手を否定すると捉えてしまい、頼まれごとを断れない傾向にあります。他者からの頼みを断れないが故に、仕事がどんどん増えて納期までに終わらなくなり、結果的に周りに迷惑をかけてしまうのです。また、自分のせいで仕事が遅れてしまっていると考えて、他者に助けを求めずに一人で仕事を進めようとするあまり、納期に間に合わなくなるケースもあります。
頑張りすぎて折れてしまう
自己肯定感が低い人は「今の頑張りではまだまだ足りない」と感じてしまいがちです。頑張りすぎるのは完璧主義で責任感が強いことや、自分の仕事を上手く人に頼めないのが原因でしょう。責任感が強いのは良いことですが、仕事に対するエネルギー量が多くなって無理をしすぎてしまいます。また、完璧主義であるが故に、根を詰めすぎて折れてしまうかもしれません。人に頼れない・完璧主義という自覚がある方は、自己肯定感の低さが原因になっている可能性があります。
自己肯定感を高めるポイント
このように、自己肯定感の高い・低い人の特徴を解説しました。もし、自分が自己肯定感の低い特徴が当てはまると考えている方も、問題ありません。今は自己肯定感が低くても、気持ちの切り替え方や考え方を改善して習慣化できれば、自己肯定感の向上が可能です。
自己肯定感は、どのように高めていけばよいのでしょうか。自己肯定感を高めるポイントは対象が自分自身であるか部下であるかによって異なります。
自分自身の自己肯定感を高めるには
自分自身の自己肯定感を高めるには、自分の現状を客観的に把握することが重要です。その際には、自己肯定感が低いことも含めて受け入れましょう。
自分の現状を把握するためにも、ネガティブな気持ちをノートやメモなどに書き出してみるのがおすすめです。自己肯定感が低い人は頭の中に不安やマイナスなことなどのモヤモヤを抱えています。自分の思考の整理もかねて、思いつくままに書き出しましょう。誰に見せるわけでもないので、素直に書くのがポイントです。
書き出した思考の中には否定的な言葉が含まれているはずです。その言葉をポジティブな言葉に書き換えていきましょう。
自分の受け取り方のクセを知って、少しずつ矯正していくイメージで行います。習慣化すると、ネガティブな考えや気持ちをすぐにポジティブに変換できるようになり、自己肯定感が高まります。
部下に自己肯定感を高めてもらうには
部下に自己肯定感を高めてもらうには部下の良いところを認めて、言葉として相手に伝えることが重要です。自己肯定感の低い部下は、他人基準で自己評価を行っています。上司や同僚などから肯定的な評価をもらえれば、自分を受け入れて自己評価が上がる機会を増やせます。
部下を褒めるには、褒めるための材料が必要です。そこで、今取り組んでいる仕事よりも、ほんの少しレベルの高い仕事を与えて、取り組ませるのが良いでしょう。上手くいくようにサポートし、良いポイントを見つけて都度褒めましょう。小さな成功体験の積み重ねが大切です。
そして、部下が目標をクリアできた際には、少し大げさなくらい褒めてあげてください。失敗した時は、必要以上に落ち込ませず、次に目を向けてもらえるよう対策について話し合うと良いでしょう。成功しても失敗しても得られるものがあると知ってもらうことで、チャレンジ精神も育ちます。
コツコツと自己肯定感を積み上げよう
自己肯定感は私生活だけでなく、仕事でのパフォーマンスも左右する要素です。自己肯定感が高い人は職場で好循環を生み出す存在になる可能性があります。一方、自己肯定感が低いと自分に自信が持てず、周りとのコミュニケーションも上手くいきません。職場のコミュニケーションを円滑にするためには、従業員それぞれが自己肯定感を高める必要があります。
自己肯定感を高めるには成功体験を積んで、自分の成長を受け入れることを習慣化するのがおすすめです。ALL DIFFERENTでは、自己成長のための習慣化を目的とした研修を提供しています。従業員の自己肯定感を高めたいとお考えでしたら、ぜひご活用ください。
また、自分自身について考えてから習慣化にのぞみたいといった際は、下記研修をおすすめしています。