eラーニングの効果的活用、そのポイントは?
進化するe-learningをどのように企業教育に活用するか
貴社ではe-learningを活用していらっしゃいますか。
2015年の株式会社日本能率協会マネジメントセンターの調査を見ると、80.0%の企業がe-learningを活用しており、この数字は2013年の62.3%から上昇しているということがわかります。2015年以降もこのトレンドが続いていると仮定すると2018年現在ではほとんどの企業でe-learningを実施していると考えられます。更に近年では、「スマートフォンやタブレットへの対応」をはじめ、「オリジナルコンテンツを容易に作成できる機能」、「学習者のモチベーションを高める仕掛け」など様々な特長を持ったサービスも増えてきており、e-learning活用の幅はますます広がっていく可能性があります。
しかし、「導入したものの、社員が積極的に利用しない」「利用はしているが、身についているのかわからない」など、e-learningの活用にお悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。
今回は、進展著しいe-learningをどのように企業教育に活用していけばよいかを改めて考えていきましょう。
e-learningのメリットとデメリット
まず、e-learningを活用した学習のメリットとデメリットのうち、代表的なものをいくつか見ていきましょう。
e-learningのメリット
(1) 場所や時間の制約を受けにくい
e-learningのメリットとしてよくあげられるものがこちらです。前述したようにスマートフォンやタブレットに対応したe-learningサービスも増えており、まさに「場所と時間を選ばずに学べる」という状態が実現されています。今後は、在宅勤務やリモートワークなどの多様な働き方が増えていくことが予想されるため、場所と時間を選ばずに学べるe-learningが活躍する場はますます増えていくでしょう。
(2) 何度も見直しができる
対面で行われる研修では実現できないメリットです。e-learningでは、理解しにくかった部分や改めて確認したい部分などを何度も見直しすることができるため、一つ一つしっかりと理解しながら学習を進められます。
(3) コストが抑えられる
集合研修と比べて金銭的コストを抑えられるという点もe-learningのメリットです。コストが抑えられるということは、それだけ多くの社員の方々に、様々なテーマを学ぶ場を、何度も提供できるということにつながります。
e-learningのデメリット
(1) Output型の学びに向かない
視聴がメインとなるe-learningの特性上、「ワークショップで体感する」「議論を通じて理解を深める」などの学びには向きません。画面の向こう側のチューターとテレビ電話の要領でやり取りを行うサービスもありますが、研修に比べるとできることは制限されてしまいます。
近年では、このようなe-learningの弱点を補う、「ブレンディッドラーニング」や「反転学習」といった学び方も登場しています。これらは、「e-learningで予習した上で、アウトプットを重視した集合型研修に参加する」「集合型研修で学んだ内容を、e-learningで復習する」など、e-learningの特長と集合型研修の特長を組み合わせた学び方です。こういった学び方の工夫でe-learningの可能性はさらに広がっていくかもしれません。
(2) 学習者のモチベーションを保ちづらい
e-learningは「いつでもどこでも学べる」という特徴を持っていますが、これは「いつどこで学ぶかを、学習者自身が決める」ということにもなります。忙しい社会人の場合は、ついつい「明日にしよう」「今日は忙しかったから」と先延ばしにしてしまいがちです。このような先延ばしを防ぐためには、人事部や上司からの進捗確認が必要になります。
よくある運用失敗事例から見る、e-learningを効果的に活用するポイントとは
では、どうすればe-learningを効果的に活用できるのでしょうか。当社でもいくつかのe-learningサービスを提供しておりますが、クライアント企業の活用サポートをしていく中で見えてきたことは、「e-learningの運用方法をしっかりと定めることが大切」だということです。今回は、効果的にe-learningを活用するポイントを「よくある3つの運用失敗例」とともにお伝えいたします。貴社の運用方法はこれらに該当しないでしょうか。確認しながら読み進めてみてください。
(1) 学習者の自由なタイミングで利用させる
このような運用をすると「興味を持った一部の社員のみが利用する」という状況になりがちです。もし企業として、「特定の対象者に、特定のスキルを身に付けてもらいたい」という明確な目的があるのであれば、「誰に、何を、いつまでに学んでもらうか」をきちんと設定し、周知していくと学習が進みやすくなるでしょう。
更に、学習目標を達成するための環境づくりも大切です。例えば、「学習者の業務時間などを把握した上で、無理のない期限設定をする」「期限から逆算した中間目標を定めてペースメイクをする」「学習者が集中できるよう、e-learning学習時間は部屋を移動させる」などの工夫をすることで、学習者自身も集中してe-learningに取り組むことができます。これらの工夫がなければ、e-learningは「タスク」と認識され、学習効果は大きく下がってしまうかもしれません。
(2) 豊富なラインナップを用意し、コンテンツを自由に選ばせる
このような運用では、ほとんどの学習者が「目を惹いたコンテンツを何個かつまみ食いし、業務と関係のないコンテンツを選ぶ」ことになりかねません。自己啓発のためにe-learningを活用する場合はこれでも良いのですが、もし企業として「誰に、どんなスキルを身に付けてもらいたいか」という明確な目的があるのならば、「推奨コンテンツ」あるいは「必須コンテンツ」を指定すると良いでしょう。理想は個人個人の課題に合わせた推奨コンテンツの提示ですが、現実的には職種ごと、あるいは職位ごとの推奨コンテンツ提示になるでしょう。「誰に、何を学んでほしいのか」のメッセージを明示することで、企業としての人材育成の方向性に沿った運用ができるようになります。
(3) 一人で学ばせる
先ほどの「e-learningのメリット、デメリット」でもお伝えしましたが、最近はe-learningを集合型研修と組み合わせる学び方が出てきています。とはいえ手の込んだ研修を組み立てる必要はなく、「みんなで同じe-learningを学んだうえで、感想を語り合う場をつくる」「みんなで同じe-learningを学んだうえで、学んだことを発表し合う」だけでも、e-learningでの学習効果は飛躍的に高まります。当社のクライアント企業でも「動画研修コンテンツをプロジェクターで写し、複数人で本当の研修と同じように受講する」という運用をしている企業もあります。「e-learningは画面の前で一人で学ぶものだ」という固定観念を捨てることで、新しい効果的な運用方法が思いつくかもしれません。
結局は運用体制の構築がポイント
以上、e-learningのメリットとデメリット、そして効果的な運用方法を見てきました。このように見ていくと、大切なポイントは「e-learning活用の目的を定めること」「e-learningの特徴を見極めたうえで運用方法を設計すること」の2点であることがわかります。残念ながら、誰もが自然と自発的に学ぶ魔法のようなe-learningサービスは存在しません。それぞれ特徴があるe-learningサービスを、自社の教育目的や運用方法に合わせて選ぶことが大切なのです。
当社では、「研修を受けているかのような動画コンテンツを、定額で利用できる」Biz CAMPUS Onlineというサービスをご提供しております。加えて、本コラム内でご説明したような活用支援実績も豊富に持っておりますので、e-learningの活用にお悩みを持っている、あるいはこれまで研修に参加させられなかった社員にも学びの機会を与えたいとお考えの企業の方々はぜひ当社までお声掛けください。貴社にぴったりの社員教育施策をご提案させていただきます。
◆eラーニングの関連サービスはこちら