キャリアデザインとは?社員にキャリアデザインの重要性を教えよう

published公開日:2021.10.27
社員にキャリアデザインの重要性を教えよう
目次

なぜ、社員にキャリアデザインを考えさせることが重要なのでしょうか。時代は変わり、キャリア形成を会社に委ねる時代ではなくなりました。そのため、現代を生きるビジネスパーソンにとっては、自身のキャリアデザインを意識することは非常に重要です。
本コラムでは、キャリアデザインとは何か、キャリアを戦略的に考える上で重要なWill-Can-Mustのフレームワークの解説と、理想とするキャリアの実現に向けた環境づくりについてご紹介します。

キャリアデザインとは

キャリアデザインとは、自分の人生において仕事の経歴(キャリア)を理想や夢、やりがいなどをもとに設計(デザイン)して実現させていくことです。

若手であれば、将来的にどんな仕事をしたいか、ポジションにつきたいかなどを決め、そのために必要になるキャリアが何かを洗い出し、積み上げていくことがキャリアデザインとなります。
ベテラン社員であれば、退職や老後も視野に入れつつキャリアを考えることといえるでしょう。

キャリアデザインの必要性とは

バブル崩壊に伴って終身雇用制度が崩壊し、会社もいつ無くなってしまうかわからない世の中になりました。「就職すれば、定年まで安泰」というわけにいかなくなったのです。そのため、ビジネスパーソンは自身でキャリアを積んで稼いでいく必要が出てきました。

キャリアデザインができないと、目標や目的を持たずに「ただ働く」状態になってしまいます。受け身になるため不満を溜めやすく、モチベーションも低いので生産性が上がりません。
そうした社員は会社も評価し辛いことから、昇給や昇進のチャンスを逃すことにもなるでしょう。

しかし、キャリアデザインの知識はただ会社に勤めていれば身につくものではありません。能動的に知識をつけようとしないと教わることもできないため、積極的に知る姿勢が大切です。

キャリアデザインのメリット・デメリット

キャリアデザインには、メリットが多いように見えますがデメリットも存在します。それぞれを見ていきましょう。

メリット

経営者側のメリットは、離職防止です。自社内で積極的にキャリアデザインを行うと、「この会社でなりたい自分になれる」「やりたい仕事ができる」と感じてもらえるため、離職率を下げる効果が期待できます。転職が当たり前の現代、特に若手を引き留めておくことは会社のためにも大切な要素です。キャリアデザインについて話す中で、双方のイメージをすり合わせ、ギャップを埋められるというメリットがあります。

また、キャリアアップには個々の社員のスキルアップも欠かせませんが、個人個人がキャリアデザインを考えることでスキルが底上げされ、業務効率や生産性の向上が期待できるのもメリットです。

また、キャリアデザインを設定することで目標や目的が明確になり、効率よくスキルが身につけられるメリットもあるでしょう。

デメリット

キャリアデザインを考える際に、自社で実現できない報酬やポジション、働き方を希望する社員も出てくるでしょう。
その場合、転職を後押ししてしまうリスクがあるのがデメリット。可能であれば、そうした社員の要望を取り入れて新たな
職場環境にしていくのも手です。

また、陥りがちなのが「昇進すること」が目的になってしまうパターン。部長やマネージャーといった役職に就くことが目標になり、何のために役職者になりたかったのかがすっぽり抜けてしまっている状態です。
役職が上がれば裁量できる範囲は増えますが、その分責任も増えます。目的と手段が入れ替わらないようにキャリアデザインを考えるようにしましょう。

社員には積極的にキャリアを考えさせよう

経営者や人事として、社員に幸せな人生を歩んでもらうためには何が必要なのでしょうか?それは社員に対し、自身のキャリアについて主体的に考えさせることです。

入社式で新入社員が顔を輝かせながら「私は社会に大きな影響を与える仕事を自ら生み出し、リーダーとなって仕事をしていきます。30代で必ず年収1,000万円以上を稼ぎます!」と宣言したかと思いきや、数ヶ月後には「手取りは思ったより低いし仕事が楽しくない、こんなはずじゃなかった…」と嘆いていることも少なくありません。

そうならないためにも「自分は何ができて、今後何をしていきたいのか」というキャリアについて考えさせることが重要です。

Will-Can-Mustの3つの軸でキャリアを考えさせる

キャリアを考える(キャリアデザインを行う)際におすすめのフレームワークがあります。
Will-Can-Mustという3つの軸で自身の強みや志向性を整理する方法です。

  • Will:自分は将来的に何をしたいのか
  • Can:自分の強みは何なのか
  • Must:自分は何を会社に求められているのか

Willで将来をイメージする

最初のWillは「自分は将来的に何をしたいのか、どうありたいのか」です。

例えば、法人営業の経験を活かして、営業マネージャーや営業部長を目指し、より会社に大きな影響を及ぼすポジションに就きたいというのも良いでしょう。 もしくは、全く経験のない商品開発部で顧客に喜ばれる商品を自ら開発したい、という新たなキャリアを考えることも1つです。

Canで自分にできることを探す

Canは「過去の経験を通じた自分の強みは何か、どんなことができるのか」ということです。

例えば、法人営業経験者であれば、お客様に自社商品の魅力を伝えるプレゼンテーション力や、見やすい資料の作成能力などが考えられます。 つまり、Canとはビジネスの現場で評価される「自分の価値」が何なのかということです。

Mustで自分に求められていることを知る

最後のMustは「会社から求められる役割や仕事のこと」を指します。

法人営業であれば、前年比120%の売上を獲得することや新人営業スタッフに対するOJTなどが考えられます。

会社から給与をもらって仕事をしている以上は、自身の強みであるCanを活かして、会社から求められるMustを高い水準でクリアし、より会社に貢献することが重要です。

Will-Can-Mustで納得がいくキャリアを考えよう

キャリアを考える上で最も大切なことは「何をしたいのか、どうありたいのか」を自ら考えることですが、やりたいことの選び方や基準は人それぞれです。 例えば、成果に応じてインセンティブが支給される仕事に就き「より多くのお金を稼ぐこと」を重視する人がいる一方、お金なんて度外視して、人に喜ばれることをしたいという「やりがい」を重視する人もいます。

キャリアに正解、不正解はありませんし、人と比較をする必要もありません。
経営者や人事として一番大切なことは、「自分の人生はこんなはずじゃなかった」と社員が将来思わないで済むように、納得いくキャリアを自ら考えさせることです。

スペシャリストとゼネラリストどちらになりたいのか

マイクロソフト創業者のビルゲイツ氏が人を採用する際に大切にしているポイントがあるそうです。そのポイントとは何だと思いますか?

それは、特定分野に深い知識や技能がある「スペシャリスト」を採用することだそうです。日本企業も経営環境の変化に伴いスペシャリストを重用する傾向に変わりつつあります。

日本と海外の人材育成の違い

人材の育成方針において日本と海外とでは大きな違いがあります。 日本ではまず社員の弱みを克服させる方針を採る企業が多いですが、海外では短期的に成果を出すことが求められるため、強みを見いだし、強みを発揮できる場にアサインする方針が主流です。

例えば、営業職で「プレゼンテーションが得意だが事務作業が苦手な人」を育成する場合、日本ではまず苦手な事務作業から着手させますが、海外では最初から営業現場に出してプレゼンテーションを行わせます。苦手な事務は専任スタッフに任せ、ひたすら場数をこなさせることにより、「プレゼンテーションのスペシャリスト」を育成するのです。

スペシャリストを目指すのもキャリアアップの1つ

キャリアについて社員に考えさせる際に大切なことは、自身はスペシャリスト/ゼネラリストのどちらを目指したいのか、をしっかりと自己認識させることです。

特定の分野で他の人では身につけることができない能力を磨き、成果を上げるスペシャリストを目指すのか、それとも幅広いスキルを身につけて管理職になり、若手を育成していくことを目指すのかは、真逆の方向性です。

日本ではキャリアアップと聞くと昇格や役職をイメージすることが多いでしょうが、スペシャリストになることもキャリアアップの1つだということを社員に説明すれば、キャリアに対する考え方が少し変わるかもしれません。

理想のキャリアを実現できる環境を作る

これまで社員がキャリアを考えることの重要性や考え方についてお伝えしましたが、会社としては社員が理想のキャリアを実現できる環境を作ってあげる必要があります。どのように作っていけばよいのでしょうか?

ポイントは2つです。

ポイント1. 強みを見いだしてできることを増やす

1つ目は、Canをどんどん伸ばせるように、強みを見いだすことと、できる仕事を広げることです。

苦手な分野を克服させるだけでなく、強みを伸ばすためにこまめなフィードバックを行ったり、最適な部署に配置転換してあげたりすることが重要です。また、モチベーションを維持してもらえるように小目標を立てたり、フォローしたりするのも忘れないようにしましょう。

ポイント2. キャリアアップに必要なことが何かを明確にする

2つ目は、キャリアを実現するために必要な要素を明確にすることです。やりがいや昇進制度、待遇、職場環境などが社員のWillの土台として機能するかを考えます。

「キャリアデザインの研修を受けたけど、うちの会社では実現不可能だということがわかった」となってしまうと、
モチベーションが下がりパフォーマンスも落ちます。そのまま、離職につながってしまうケースもあるでしょう。

社員のWillを聞き、理想のキャリアを実現するための道筋を一緒に考えるところから始めましょう。そして必要なものが明確になれば、今の環境の過不足が分かり、改善もしやすくなります。「うちの会社でもキャリアアップができそうだ」となれば、社員のモチベーションも上がり、高いパフォーマンスを発揮してもらえるようになるはずです。

せっかく自社に入ってくれた社員に「自分の人生はこんなはずじゃなかった」と思わせないためにも、社員には戦略的にキャリアを考えさせ、会社としては理想のキャリアを実現するための支援を行うことが、キャリアデザインで一番大切なポイントといえるでしょう。

社員が自社を魅力的に感じるキャリアデザインを考えよう

やみくもにキャリアデザインについて部下と考えても、ロジックがしっかりしていないと転職を後押ししてしまいかねません。自社では本当に叶わないようなキャリアを望んでいるのであれば別ですが、そうではないのに離職されてしまうのは避けたいものです。

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