問題解決とは?3ステップのプロセスと便利なフレームワーク・ツール
問題解決とは、「あるべき姿」と現状のギャップを解消すべく行動することを意味します。
活躍するビジネスパーソンにとって、問題解決能力は欠かせない要素。しかし、「具体的にどのようなプロセスで進めればよいかわからない」という声は少なくありません。
本コラムでは、「そもそも問題解決とは何か」や問題解決に必要な能力、問題解決プロセスを解説。役に立つフレームワークやツールもご紹介します。
問題解決とは?意味と必要な理由
まずは、問題解決とは何かを見ていきましょう。基本的な意味を簡単に確認し、問題解決がなぜ必要なのか、問題と課題の違い、そして問題の3つの種類を解説します。
問題解決の意味
ビジネス用語としての問題解決とは、「あるべき姿」と現状のギャップを解消するために何らかの施策を実行することを意味します。
例えば、年間売上が50億円の企業があるとしましょう。「50億円」という数字だけでは、これが問題なのか否かはわかりません。しかし、「年間の目標売上が100億円」という「あるべき姿」が設定されている場合、現状の売上50億円と大きなギャップがあります。
こうした解決すべき悪い状態が「問題」であり、それを解決することが「問題解決」ということです。
ビジネスでは、まず「この状況は問題といえるのか?」を適切に判断することが問題解決の出発点となります。
問題解決はなぜ必要なのか?
問題解決が求められる理由は、主に2つあります。ビジネスパーソンとしての成長と、外部環境の激しい変化への対応です。
ビジネスパーソンとしての成長
1つめは、ビジネスパーソンとしての成長につながることです。「仕事の多くは誰かの抱えている問題を解決すること」といわれるように、ビジネスにおいて問題解決は避けて通れません。自身の業務改善はもとより、部下が直面したトラブルや顧客が抱える困りごとなど、問題解決の対象や規模も様々です。
いずれにおいても、問題を放置していては同じ失敗やトラブルが再発し、組織や顧客に悪影響を与えてしまうでしょう。
組織に貢献するには、自らの仕事を確実にこなし、さらに主体的に学びながら質の高い仕事をしていくことが重要です。それには、職位を問わず、メンバーそれぞれが問題解決能力を身につけなければなりません。
外部環境の激しい変化への対応
2つめの理由は、外部環境の変化に対応することです。
直近の大きな変化でいえば、コロナ禍でのテレワーク導入、AIなどの新しい技術の登場と普及、労働力人口の減少、働き方における価値観の変化などがあるでしょう。国際情勢の変化や為替変動に大きな影響を受けている日本企業もあります。
外部環境の変化が激しい時代は「VUCAの時代」(VUCAは、Volatility 変動性・Uncertainty 不確実性・Complexity 複雑性・Ambiguity 曖昧性の略)とも呼ばれ、より迅速で柔軟な対応の必要性が叫ばれています。
企業の生き残りには、やみくもに施策を実行するのではなく、冷静な問題分析と原因の特定が欠かせません。予測困難で複雑な問題が発生しやすい今のビジネス環境で生き残るには、組織全体の問題解決能力を高めなければならないのです。
問題と課題の違いと、3種類の問題
次に、混同されやすい「問題と課題の違い」と3種類の問題を確認していきましょう。
問題と課題の違い
問題と課題の違いについて、先に辞書的な意味における違いを見ておきましょう。
【問題と課題の違い】
デジタル大辞泉 |
精選版 日本国語大辞典 |
|
---|---|---|
問題 |
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|
課題 |
|
|
『デジタル大辞泉』では、問題と課題の区別は必ずしも明確ではありません。他方、『精選版 日本国語大辞典』では、課題に「与えられた任務や問題」というニュアンスがあります。
ビジネス用語としての問題と課題の区別は、現在の状況を表現しただけのものか、その状況を改善するためのものかという点にあります。
単純に「あるべき姿」と現状のギャップを表現したものは「問題」、その問題を解消するために取り組むべき事項が「課題」ということです。
3種類の問題(発生型・潜在型・設定型)
問題解決には、発生型・潜在型・設定型の3種類があります。問題の種類を意識することでより適切な分析や解決策の立案が可能となります。
それぞれの特徴は下の表の通りです。
【発生型・潜在型・設定型の特徴】
問題の種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
発生型 |
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|
潜在型 |
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設定型 |
|
|
ビジネスにおける問題解決は、問題自体の適切な設定が難しいという厄介な面があります。問題の種類を意識しながら、「なぜそれが問題なのか」を見定めていきましょう。
問題解決能力が高い人・低い人の特徴
問題解決能力の重要性を具体的に理解するには、問題解決能力が高い人と低い人の特徴をチェックするとよいでしょう。
問題解決能力が高い人の特徴
問題解決能力が高い人の特徴は、トラブルへの対応力や説得力のある説明、仕事の質の高さなどです。
想定外の失敗・トラブルでも慌てない
問題解決能力が高い人は、想定外の失敗やトラブルに直面しても、慌てず対応することができます。「どうしよう」と混乱して騒ぐよりも、手順を踏んで冷静な分析と判断を重ねることが、迅速な対応につながることを知っているからです。
例えば、過去のトラブル事例を探して対応方法を検討したり、問題解決に多く当たってきた人材に意見を求めたりします。「トラブルが知られれば自分の恥になる」という考えで問題を隠蔽・放置することはありません。
柔軟な見方ができる
問題解決能力が高い人は、物事に対する柔軟な見方も得意です。問題の要因分析において、多角的な視点で考察することが習慣になっているからです。
1つの見方や自分の経験にこだわらず、様々な可能性を考慮した分析・検討は、より効果的な解決策の立案につながります。
日頃から多様な情報に接し、疑問点を調べて理解する行動習慣がある人も多く見られます。
説明に筋が通っており、わかりやすい
また、説明がわかりやすい点も特徴の1つです。問題解決能力が高い人は、解決策の立案に当たって、その施策が有効と考えられる根拠を説明できるからです。
「なぜその施策なのか」をデータや理論、顧客の意見などに基づいて検討しているため、分析した各要因と解決策における各施策が対応していることが、わかりやすい説明の大きなポイント。前項で述べた「疑問点を調べて理解する」という日々の思考のクセも、こうした点に寄与しています。
仕事の質が高い
問題解決能力が高い人は、会社やチームで問題となっている事態に限らず、日々の大小様々な業務においても、問題の発見と解決を図ります。これが、4つめの特徴です。
組織目標や個人目標の未達成は目に見えやすい問題です。一方、日常の業務が少し遅れているといった小さな問題は、そこに問題があること自体に気づかない人が多いでしょう。問題解決能力が高い人は、このような「想定外のこと」も敏感に察知します。
日々の「ちょっとしたこと」に気づければ、大きな問題が発生する前に防止策を講じることも可能です。そのため、問題解決能力が高い人ほど、全体として仕事の質が高くなります。
問題解決能力が低い人の特徴
これに対して、問題解決能力が低い人の特徴には、問題の放置や解決策の根拠の乏しさ、同じようなトラブルの繰り返しなどがあげられます。
問題が発生したら諦める、同じ失敗を繰り返す
問題解決能力が低い人の1つめの特徴は、問題が発生した際に、その仕事や案件自体を諦めてしまうことです。心理的あるいは能力的に問題を解決することへのハードルが高く、問題の分析や解決策立案自体を行おうとしません。
言い換えれば、問題の放置です。
ミスやトラブルを放置し、次の成功のために学ぶことをしないため、同じようなミスや問題を繰り返す傾向が見られます。
過去の成功体験・知見のみを根拠に解決策を立案する
2つめの特徴は、自身の成功体験のみを根拠として解決策を立案する傾向にあることです。
社会の変化があまり大きくない時代であれば、過去の成功体験で得られた知見が有効に働くことも多いでしょう。しかし、現在は激しい変化の中でビジネスを展開しなければならないVUCAの時代。過去の経験が常に役立つわけではありません。
こうした時代の変化に対応せず、過去の経験・知見ばかりに固執すれば、問題解決どころか事態の悪化を招きかねないでしょう。
解決策の提案はできるが説得力がない
さらに問題解決から遠ざかってしまう特徴もあります。それは、問題解決策としての施策は提案できるものの、その理由に説得力がないことです。
説得力の欠如の原因は、主に主観的な判断にあります。具体的にいえば、「直感的にそう感じたから」「他の人がそう言っているから」というだけで良しとする考え方です。
こうした考え方の問題点は、提案する内容が実際に原因に対応している施策かどうかを十分に検討していないことにあります。悪くすれば、「ただ謝罪するだけ」「ただ時間をかけるだけ」で自体の沈静化を図ろうとする提案も出てくるかもしれません。
本質的な問題を無視した施策は、組織や自身をより苦しい状況に置き、相手との信頼関係も大きく損なってしまうでしょう。
問題解決に必要な能力3選とトレーニング方法
では、問題解決力を高めるには、どのような能力が必要なのでしょうか。今回は、特に重要な3つの能力をご紹介します。
論理的思考(ロジカルシンキング)
問題を分析して解決策を検討するには、事実と意見を区別し、仮説を立てる論理的思考(ロジカルシンキング)が必要です。論理的思考による推論は、複数の要因を適切に関係づけ、より効果的な解決策の立案に寄与するでしょう。
2つの事象A・Bが連続して生じたり同じ場所で生じたりすると、「Aの原因はBだ」と断定したくなるかもしれません。しかし、グローバルに事業を展開している企業はもとより、ローカルビジネスのみを手がけている企業であっても、現在は思わぬ場所・時期の影響を受けやすい状況にあります。
論理的思考力を鍛えるには、複数のデータを比較したり組み合わせたりしながら、現状や近年の傾向を確認し、問題に関わる要因をていねいに分析していくことが重要です。
批判的思考(クリティカルシンキング)
論理的思考によって適切な推論を行うには、正しい情報を手に入れなければなりません。誤った情報をもとに解決策や行動プランを策定すれば、的外れな対応になりかねず、リソースの無駄遣いにもなってしまいます。ここで必要になるスキルが、批判的思考(クリティカルシンキング)です。
情報収集といえば、多くの人が当然のようにインターネット検索を活用します。しかし、今ではフェイクニュースへの注意喚起が頻繁に見られるようになりました。「皆が言っているから正しい」という見方は、必ずしも通用しません。今のビジネスパーソンには「どの情報が信頼に足る情報なのか」を判断する力が、より強く求められているということです。
批判的思考で情報をチェックする際は、
- 誰が発信している情報か
- 他の専門家やメディアはどのように言っているか
を常に意識しましょう。
発信者の信頼性を評価するには、
- 思考や価値観の傾向
- 社会的な影響力
- 専門性
- 主張の根拠の妥当性
- 推論の妥当性
を確認し、他の発信者と比較するとわかりやすくなります。
時事問題・市場動向への関心と観察力
今起きている問題にせよ、これから起こり得る問題にせよ、それらは社会や市場の変化と無関係ではありません。そのため、問題の原因分析に当たっては、自社やチームの中だけを見るのではなく、より広い視点で分析できるような能力が必要です。それが、時事問題や市場動向に関心をもつ姿勢と、観察力です。
時事問題や市場動向を捉えるには、競合他社の動き・専門誌・業界紙・有識者の見解などを参照する場合が多いでしょう。ほかにも、リアルタイムの反応を見るためにSNSやインターネット検索のトレンドにアンテナを張る場合もあります。
社会問題が深刻化すれば、業界でのガイドライン策定や国全体の法令の整備が進められるケースも珍しくありません。
観察力を養うには、こうした動きが現状の問題や今後の事業展開にどのような影響を与え得るのか、事象同士の関係性に目を向け、少し先を予測する思考習慣を身につけるとよいでしょう。
問題解決プロセスに必要な3ステップ
実際に問題解決を図る際は、その問題解決プロセスを3ステップで捉えると混乱しにくくなります。
(1)問題を発見・特定する
問題解決プロセスの第1ステップは、「あるべき姿」と現状にどのようなギャップがあるのかを把握することです。そのために、情報構造の整理と要素分解を行いましょう。
例えば、「年間売上が目標より50億円低い」という問題の解決を図る場合、「50億円」という数字だけを見るのではなく、より細かい要素に目を向けなければなりません。例えば、販売地域ごとの違い、商品ごとの違い、営業部署ごとの違い、広告宣伝費などがあるでしょう。
さらに、先述した問題の種類にも注目すると、見るべき点がより明確になります。発生型であれば、実際に問題に関わっているデータや業務プロセスなどの事実を確認する必要があり、潜在型では外部環境の状況や法規制、競合の動きに基づく予測が重要です。設定型の場合は、組織や自身のあるべき姿を明確化し、その実現に必要な要素を特定しなければなりません。
潜在型や設定型の問題については、後述する「As-Is/To-Be分析」の活用も効果的です。
(2)原因を特定する
問題を特定したら、第2ステップである問題の原因の分析・特定に進みましょう。「あるべき姿」とのギャップの原因が何かを具体的に分析するのです。
これには、「Why なぜ?」を3回ほど繰り返してください。Whyを問うことに慣れていない場合は、思いつく限りの要因を書き出す形でも構いません。一気に書き出したあと、改めて3つ程度に絞り込みましょう。
こうした要因分析には、フィッシュボーン(魚の骨)やマインドマップという手法が役立ちます(使い方は後述)。
(3)解決策を立案・実行する
問題の原因を特定したら、いよいよ第3ステップです。ここでは、「あるべき姿」と現状のギャップを埋めるための具体的な取り組みを考えます。
解決策立案のポイントは、「So How どのように?」を具体的に考えることです。具体的なやり方・時期・担当者に施策を落とし込まなければ、「方針だけで実行せず」という事態になりかねません。そして、施策が実行されなければ問題解決は進みません。
問題の原因に対してやるべきことの方向性は、大きく分けて2つあります。1つは問題の原因の除去、もう1つは新しい方法の導入です。両者を組み合わせた“折衷案”も可能です。
具体例として、テレワークにおけるコミュニケーション不全を解消したい場合の施策例を下表にまとめました。
【例】テレワークにおけるコミュニケーション不全の解決策
解決の方向性 | 施策例 |
---|---|
原因の除去 |
|
新しい方法の導入 |
|
折衷案 |
|
ただし、問題解決策に100点満点の正解は存在しません。「この方法で正しいのだろうか?」と不安になることがあるかもしれませんが、根拠に基づいた施策を「まずは実行する」ことを大切にしてください。
問題解決に使えるフレームワークとツール
ビジネスシーンでよく見られるフレームワークやツールは、いずれも何らかの問題解決につながるものばかりです。それらの中には、問題発見に役立つものもあれば、要因分析に役立つものもあります。
今回は、汎用性が高い4つのフレームワークやツールをご紹介します。
As-Is/To-Be分析
「As-Is/To-Be分析」は、現状と「あるべき姿」のギャップから問題を特定する際に役立つフレームワークです。「As-Is」は現在の状況を、「To-Be」は「あるべき姿」を意味しています。
具体的な分析は、
- 1. To-Beとして「あるべき姿」を作成する
- 2. As-Isとして自社の現状を書き出す
- 3. As-IsとTo-Beのギャップが大きな項目に注目し、問題を特定する
という方法で進めます。
ポイントは、To-Beの作成で現状の数字に縛られないことと、As-Isではデータなどを誤魔化さずに正直に書き出すことです。To-Beで複数の項目について作成した場合は、As-Isもそれに対応する形で書き出しましょう。
両者のギャップが大きな項目は、理想からかけ離れた現状にあることを示唆しています。取り組むべき問題に優先順位を付け、要因の分析へ進みましょう。
ロジックツリー
「ロジックツリー」とは、階層構造をつけて情報を整理する際に使う図のことです。問題や原因を細分化していく際に有用です。
具体的な書き方は、以下のようになります。
- 1. 一番上(または左)に、最初に気づいた問題を書き出す
- 2. その下(または右)に、第1階層の問題を分解して出てきた具体的な問題・要素を書き出す
- 3. 以下、細分化を繰り返す
問題や要素を系統・階層ごとに把握しやすい点が、ロジックツリーの特徴です。要素ごとの関係性も見えやすくなるため、「誰が・何をするか」を整理する際にも役立つでしょう。
フィッシュボーン(魚の骨)
「フィッシュボーン(魚の骨)」は、「特性要因図」とも呼ばれるチャートです。結果が生じる過程で、どのような要因が関係するのかを図示するもので、魚の骨のように上下に突き出る形で要因を書き足していきます。
作成方法は、以下の4ステップです。
- 1. 横に一本線(背骨)を描き、解決したい問題を右端に書く
- 2. 問題の主な要因(大骨)を背骨に向かって書き足す
- 3. 主な要因について、さらにその要因と考えられること(小骨)を大骨に書き足す
- 4. 大骨・小骨を確認し、問題解決で取り組むべき要素を絞り込む
大骨・小骨を書き足す過程は発散的な思考となるため、ついたくさん書いてしまうかもしれません。しかし、具体的な解決策では全ての要因に対して解決策を講じることは困難です。図の作成における最終段階として、より重要な骨に絞り込んでいく過程を忘れないようにしましょう。
マインドマップ
「マインドマップ」は、フィッシュボーンと同様に、考えられる要因や関連する事項を上下左右に次々に書き出していくものです。
フィッシュボーンとの違いは、
- どの場所にも自由に書き加えられること
- イラストや写真なども積極的に活用していくこと
- 脳神経のように枝を伸ばして広がっていくこと
などです。
作成方法は、1つの問題について複数のロジックツリーを四方八方に書き出していくイメージが近いでしょう。さらに、関連すると思われる要素であれば、どんどん書き足して構いません。
マインドマップが威力を発揮するのは、複雑な問題を解きほぐしていくケースです。まだ方向性や傾向が見えない中で、とにかく書き出していくこと、関連する項目を線でつないでいくことで、問題の本質を探ることができます。「何から手をつければよいか、わからない」というケースに効果的です。
注意点は、マインドマップはブレインストーミングとして活用されることが多く、フィッシュボーンよりも多くの枝が描かれやすいことです。「無限に発散していくのではないか」と感じられるほど巨大な図になりやすく、要素の絞り込みに苦労するかもしれません。
要素を絞り込んで解決策に落とし込むには、作成したマインドマップをもとに、フィッシュボーンやロジックツリーなどを用いて、まとめ直す方法がおすすめです。
問題解決における3つのポイント
最後に、問題解決において意識するとよい3つのポイントを見ていきましょう。いずれも、より効果的な解決策立案に重要な観点です。
WhyよりもWhatを重視する
今回、フレームワークではご紹介しませんでしたが、よく使われる観点として「5W1H」や「6W2H」があります。英語の疑問詞をヒントにしたもので、具体的には下表の組み合わせとなっています。
【5W1H/6W2Hとは】
5W1H |
When いつ Where どこで Who 誰が What 何を/何に Why なぜ How どのように |
---|---|
6W2H |
When いつ Where どこで Who 誰が Whom 誰に What 何を/何に Why なぜ How どのように How much いくらで |
6W2Hに「How many どのくらい」を追加した「6W3H」を見たことがある人もいるでしょう。
こうした疑問詞をヒントに考える場合、よくいわれるのは「問題解決にはWhyの深掘りが重要」ということ。しかし、実際にはWhatのほうが、より重要です。より効果的な分析には、問題自体の細分化が必要だからです。
例えば「残業が多い」という問題について考える場合、Whatを重視すると以下のような分析ができます。
【Whatを重視した分析の例】
大きな問題 | Whatによる分析 |
---|---|
従業員の残業が多い | 全社員に共通して多いのか? |
一部の職位や部署にのみ多いのか? | |
季節によって多いのか? |
このように、問題の状況を細分化することが、より本質的な問題の明確化に役立つのです。
具体的な問題を特定し、Whyを自責で考える
Whatによって具体的な問題を特定したら、次にWhyの分析に進みます。このとき、「原因はこれだ」と独りよがりな判断をせず、様々な人の知恵を借りながら、幅広く原因を探りましょう。
ここで注意すべきポイントが、他責の理由で終わらせないことです。Whyの洗い出しでは、例えば「A社がやってくれないから」というように、自分自身あるいは自社で解決できない理由が挙がることがあります。しかし、それだけでは結局何もできず、問題解決は進みません。
たとえ「A社の対応が問題の原因だ」という観点が出ても、それを自責の観点に置き直すことが重要です。具体的には、「A社への働きかけが不足しているからだ」と言い直すことができるでしょう。
このように、自責の形に落とし込むことで、「では、どのような働きかけをすればよいのか」という視点が生まれ、より具体的な問題解決行動につながります。
解決策・行動プランはWho・When・Whatを明確に
解決策立案の段階では、施策におけるWho・When・Whatの定義を忘れないでください。具体的な行動プランを立案し、実行することが「問題解決を行う」ことだからです。
実行できる解決策立案に必要な観点は、「自分たちができる行動、イメージできる行動」です。そのためには、「Who 誰が?」「When いつ?」「What 何を/何に?」を具体的に定義することが欠かせません。
なお、問題解決における分析・検討や解決立案に当たっては、「問題解決に必要な能力3選」でご紹介した論理的思考力が不可欠です。とはいえ、論理的思考力は一朝一夕には伸ばせません。
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