医療用X線撮影台のトップメーカー、大林製作所様。更なる成長を目指し、全社でビジネススキル強化に取り組まれました。そのポイントについて、社長の飯島秀幸様、推進リーダーの逸見明弘様にお聞きしました。
- 目的
社員のビジネススキルを底上げしたい
育成の属人化・ばらつきを解消したい
- 解決策
育成推進委員会を立ち上げ、現場を巻き込む
現場での実践目指し、グループで動画視聴
- 成果
研修内容に基づき、ビジネススキルが向上
学びの意欲高まり、自主的に勉強会を開催
「生産第一」の現場で研修受講率100%達成
委員会形式で全社を巻き込む
「良い製品を世に送るため、いい人を育てる」という想いで会社として育成に取り組んでいましたが、現場では「生産第一」という考えが強く、人への教育が置き去りにされがちでした。その結果、現場では報連相やあいさつなどの基本的なビジネスマナーができていない社員が多い状況でした。
またOJTは実施しているものの、Off-JTは少なく、新卒・中途入社者の指導や育成が属人化している上、指導する人によって
指導内容の基準にばらつきがあるなどの課題がありました。
育成推進委員会を立ち上げ、社長のほか、各部門の部長級の社員が委員(推進リーダー)として活動に取り組みました。
具体的には、まず社会人として当たり前のこと(ビジネスマナー、報連相)についての社内の共通言語を作りたいと考え、各階層に即した研修テーマを選定しました。
テーマ選定については委員会内の意見だけでなく、現場の状況や社員の声を踏まえて、現場の
ニーズに合わせることを心がけています。また、部門別の研修テーマを決める際には、業務の特徴だけでなく異動者の発生など様々な状況を考慮に入れています。
さらに推進委員会とALL DIFFERENTさんのコンサルタントが3カ月に1回、対面の会議を開き、各部門の現状報告と施策の検討を進めています。現状報告では研修の受講状況だけでなく、実際に現場で見られた研修後の行動変容などが報告されています。今後の施策を検討する際には社員の受講時の悩みごとなども共有もしています。
現場での実践につながる受講方法を模索
「生産第一」で頑張ってくれている現場を大切にしているからこそ、学びを現場での実践につなげなければならないと考え、研修受講方法も工夫しています。具体的には、複数名が集まって一緒に同じテーマの動画研修を受講する集団受講の導入です。集団受講の際は、推進リーダーである部門長がファシリテーターとして研修に参加し、現場での活用についてアドバイスを行っています。
そのため、学んだ内容を現場での実践に繋げやすくなっています。
また複数人で研修を受けて、学んだ内容から「今後実行しよう」と思ったことをお互いに共有するため、現場での実行状況をそれぞれ確認することができています。
現場管理職から、「ビジネスリーダー研修を受けましたが非常に勉強になり、自身の行動を改善できました」という声が寄せられた他、メンバーについても「新人に積極性が出てきた」という変化を聞いています。
さらに、「やすり掛けは何のためにやるのでしょうかなど、仕事の目的を聴いてくれるようになった」「タイムマネジメント研修を受講した社員が、Todoリストを積極的に使うようになった」など研修内容に基づいた行動変容が生まれているようです。
現場の運用に配慮し、研修受講率100%を達成
研修受講によって全社の共通言語が生まれ、社会人としての基本的なビジネススキルなどを指導する土壌が整ったと感じています。 また、研修を受講することにより、全社の学びへの意欲が高まり、会社主導の育成だけではなく自発的な勉強会も開催されるようになりました。
受講者の現場の事情や気持ちを理解して計画することが大切だと思います。私たちは内容や時間帯など、社員が受けやすい体制を整えることで、研修受講率100%(全社員・年1回の受講)を達成できました。
何より、まずは取り組みを始めることが重要です。そして、育成施策自体や社員に対して短期的な結果ばかりを求めず、長期的な
視点で考えていくことも大切だと思います。