都商事様「女性管理職の生の声から考える女性活躍推進とは」|事例

株式会社都商事 様
株式会社都商事 様
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従業員数
:397名(2017年8月1日時点)
主要業務
:アミューズメントビジネス(タイヨー事業)、フランチャイジービジネス(TSUTAYA・CanDo事業)、アクセサリー事業、EC事業、教育事業、介護事業など
キーワード
:女性管理職を増やす
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永田明美総務部長に話を伺いました
永田明美総務部長に
話を伺いました

パチンコ事業を中心としたアミューズメント事業やTSUTAYAのフランチャイジー経営、アクセサリー事業、介護事業など、幅広い事業領域で躍進する都商事。永田明美総務部長は、圧倒的な男性社会に風穴を開け、同社の女性部長第1号に抜擢されました。「会社と従業員がお互いどこまで歩み寄れるか、見極めていくことが大切」と話す永田部長に、自身の経験と女性活躍推進の接点などを語っていただきました。

女性従業員にキャリアパスを描くヒントを

Q. 男性社会のイメージが強いパチンコ事業のある会社に入社され、初の女性部長として活躍されています。初ということで、苦労も多かったのではないですか?
A. 私が都商事に入社したのは12年前。人財戦略部が新設されたのをきっかけに人事担当者としてメンバーに加わりました。当時の都商事は、圧倒的な“男社会”で、疎外感を感じることは日常茶飯事でした。

そこで、「永田さんがいてくれてよかった」と言ってもらえるように、そして、今後増えていくであろう女性従業員が自身のキャリアを考える際の手本にしてほしいとの思いから、まずは信頼を勝ち取ることを目指し、様々な努力を重ねました。努力をすれば認めてもらえると感じたんです。各拠点を回ったり飲みニケーションをしたり、とにかく従業員の皆さんと話す機会をつくり、自分をわかってもらうことに注力しました。そうしているうちに、従業員の皆さんの悩みもわかってきて、「私の力で何とかしてあげたい!」とできる限りの対応をしました。そんな努力が実り、少しずつ社内で認めてもらえるようになっていきました。
Q. 認めてもらえると、次にできることも広がっていきますね。
A. その後、パチンコ事業部が人材育成に力を入れたいというタイミングで、そちらに関わることになりました。そこでは、部署をまたいだ会議に参加し部署間の垣根を壊したり、人財育成プロジェクトやアルバイト評価制度を構築したりしました。さらに、スタッフさんと仲良くなるために各店舗に通うなど、できることは何でもやりました。当時は、パチンコ事業部に女性従業員がいなかったため、リーダークラスの女性アルバイトを集めて、女性目線でサービスを考える、「女性プロジェクトチーム」を立ち上げたこともあるんですよ。
Q. 2014年に女性初の部長に昇進されたと聞きました。戸惑いはありませんでしたか?
A. 社長からストレートに「部長になってほしい」と言われ、また上司からは「次の部長になってほしい。そのつもりで成果を残してほしい」と言われ続けていたこともあり、昇進したことよりも、期待されている、認められていると確認できたことが何よりうれしかったのをよく覚えています。今思えば、男性ばかりの組織に、女性の視点が必要だったのではないでしょうか。よく、管理職への昇進を躊躇する女性が多いと聞きますが、私は"やってやるぞ!"という気持ちが強かったですね。

とは言っても、女性部長職は今でも私1人。男性ばかりの中で何か意見を言っても、受け入れてもらえないことも多々あるのが正直なところです。女性1人では組織はなかなか動かせないと実感していますし、女性のアイデアや考えも大事だと思っていますので、今後は女性管理職を増やしていくことが大きな課題です。
同社では女性が活躍中。大きな成果を上げている女性のみのチーム
同社では女性が活躍中。大きな成果を上げている女性のみのチーム

働き続けたいと思わせる
それが女性管理職を増やす第一歩

Q. 女性管理職を増やすにあたっての課題は何だとお考えですか?
A. 現在当社では、従業員の半数以上を女性が占めています。しかし、女性従業員の数が増える一方で、結婚後も働きたいと思っている女性ばかりではないことがわかってきました。また、以前から育児休暇を取得する女性従業員はいるものの、復帰後の定着率が低いことが課題でした。女性管理職を増やすには、まずは女性従業員に働き続けたいと思ってもらえる仕組みづくりから始める必要があります。

同じ会社で働き続けてもらうためには、働きやすい職場が不可欠であることは言うまでもありません。当然、全社的な協力が欠かせませんが、例えばワーキングマザーの要望を全て満たす制度を作るのは、私たちのような規模の会社では難しいのが現状です。会社と従業員の歩み寄りが大切で、私たち総務、人事の担当者が先導して、双方にとって良い施策を練っていく必要があると考えています。
Q. 永田さん自身もワーキングマザー経験者です。男性社会の中で子育てをしながら働いてきた経験も活かせそうですね。
A. 何よりもまず、会社や周囲のサポートの重要性を痛感しています。私が子育てをしていた頃は、例えば娘が熱を出しても迎えに行きづらい雰囲気があり、すごく肩身の狭い思いをしました。幸いにも私は母親のサポートがあったので、何とか乗り切ることができましたが、現在子育て中の女性やこれから子どもを持つであろう女性たちに同じ思いはしてほしくありません。

当社の社長も同じ考えを持っていて、もちろん今後もワーキングマザーをサポートする制度や仕組みづくりを積極的に進めていきます。ただ、ワーキングマザーには組織や周囲に甘えるばかりでなく、自律する意識を持ってもらい、周りの従業員には困ったときはお互い様という意識を持ってもらう必要があります。私は日ごろから、ワーキングマザーには子どもの都合で休むことの影響を自覚するように、また、周りの従業員にはしっかりフォローするように伝え、意識改革を促しています。

私は都商事に入社する前、友人と会社を経営していた時期がありました。ワーキングマザーとマネジメントの両方を経験した私だからこそわかることもありますので、自身の経験を今後の施策につなげていきたいと考えています。
社内報に女性活躍推進の記事を載せるなど、全社への周知を欠かさない
社内報に女性活躍推進の記事を載せるなど、全社への周知を欠かさない

“子育てマーク”で仕事の調整がスムーズに
全従業員向けの取り組みにも派生

Q. 意識改革の一環として新たに始めた取り組みもあると伺いました。
A. 本社内で試験的に“子育てマーク”の運用を始めました。これは、デスクにワーキングマザーであることがわかるマークを付けさせ、早く帰ることをアピールさせるというものです。この制度の導入以前は、子育て中の従業員だとは気づかずに、時間に関係なく仕事を依頼してしまう従業員がいたのですが、今では両者が子育てマークをうまく活用して、仕事の期日を決めているようです。

今後は、子育てマークだけでなく、働き方改革という視点からデートマークや飲み会マークを導入する予定です。ワーキングマザー以外の従業員への配慮も忘れず、楽しく改革を進めていきたいですね。
Q. 女性に限らず皆さんがより働きやすい職場となることを期待しています。
A. 私たちの業界に限らず、人材不足が懸念される中、優秀な人材の確保という新たな課題が出てきました。当社には、育児に専念するために退職した従業員も少なからずいますので、その方たちに再び当社でチャレンジしてもらう制度を作ることも一案です。知恵を絞って、様々なバックグラウンドを持つ“人財”の活用と活躍を推進していきます。
Q. 最後に、男性社会で女性活躍の場を模索してきた永田さんから、働く女性へのメッセージをお願いします。
A. 仕事を進める上で気づいたことや思ったことは、必ず誰かに伝えることが重要だと考えています。「こう思うんだけどなぁ」「自分が言ってもなぁ...」と感じているものの、それを言葉にしない人は周りに大勢いるはずですから、自身の考えを発信することで、賛同してくれる人を見つけることが大切なのではないでしょうか。キャリアにおいて男女の差はありませんが、周りが男性ばかりだと賛同を得にくいこともありますので、謙虚さを忘れずに、かつ戦略的に伝えることで、1人でも多くの賛同者をつくって成果につなげてほしいですね。もちろん私自身も成果につなげられるような働きかけをしていきます。
“子育てマーク”には退社時間を明記している
“子育てマーク”には退社時間を明記している

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