錦城護謨様 トップインタビュー 「組織づくりも人材育成も想いが一番大事」|事例
代表取締役社長 太田 泰造 様
会社設立 :昭和27年(1952年)11月法人設立
事業内容 :工業品関係、土木関係
本社工場 :〒581-0068
大阪府八尾市跡部北の町1丁目4番25号
TEL :072-992-2321(代表)
FAX :072-993-7706
企業サイト :www.kinjogomu.jp
錦城護謨が80周年を迎えるにあたって、この先90年、100年を目指すには第3の柱が必要と考え、「ゴム」と「土木」を活かした新事業を創ろうとして約7年前、太田社長が就任したタイミングで新規事業推進本部がスタートしました。こうして立ち上がった新規事業は、環境・健康・防災・福祉をテーマにしており、その中の一つとして視覚障がい者歩行誘導ソフトマット『HODOHKUN Guideway』が誕生。社員が一致団結して商品化させ、国際的に権威ある『iF デザインアワード』の最優秀賞を受賞しました。
ピンチによって人が団結する 想いによって人は成長する
ある企業の店舗に採用されるなど幸先の良いスタートを切ったように見えましたが...。忘れもしません、ある年の12月25日に電話がかかってきて、その店舗に導入した製品を全て撤去してほしい、と言われました。理由を伺うと、実際に使われることで見つかる課題点が多々ありました。しかしお客様は、商品を改良するので1年間だけ時間を下さい。という弊社の切望を受け入れてくれました。
それからが大変でしたが、まさに社員全員が一致団結して、外部の方のご協力もあり、改良された新しい『HODOHKUN Guideway』が誕生しました。
経営者として、やはりピンチはないに越したことはないと思いますが、人はピンチになってこそ動き、そして団結する。特に弊社のような業種は、専門性は高くなりますが、新しい発見や多角的な視点は持ちにくくなりやすい。組織にセクショナリズムみたいなものがあって、結局話せる人としか話さないようでは、新しいビジネスも付加価値の高い商品も生まれません。信じてくれたお客様の気持ちに何としても応えたい、人とのつながりを大事にしたい、そんな想いがあって社員が団結する強さを、身を以て経験したといえます。
ファンになってもらえるよう 先ずは気持ちの良いあいさつを
太田社長が経営者となってから、新たに取り組んだことは新規事業だけではありません。 会社としての組織作りも1からスタートしたと語ります。
10年後の会社を思い描き、会社に必要なものは何だろうと考えたときに、やはり"人"というキーワードが大きかったと思います。私が思い描いたのは、良い組織というのは"想いがパッと響く集団"であること。そしてお客様が自社のファンになってもらえるような魅力ある組織づくりが重要だと考えました。ただし、漠然としたイメージにハードルの高い課題を課したわけではありません。例えば、ゴム製品の工場というとどうしても扱っている素材の関係でゴミは出やすいし、ほこりが溜まる。清潔とは言いきれないイメージがありました。だからこそ常に清潔を保つことを心がけたり、来客時に気持ちの良いあいさつができるようにと"あいさつ部会"というものを立上げました。
言葉にすると簡単なことでも、それらが定着するまでには労力がかかります。さらに仕組みにして習慣化することで、はじめて結果として現れます。中小企業はスピードが大事なので、時には細かく説明するより「やって試して結果を出す」ことに力を注ぐべきだと思います。全員が納得する方針も大事ですが、本当に全員が納得した方針で良い結果を出せるのか、常に自問自答しながら前に進まないといけません。
こうした土台作りを1からスタートする一方、新卒採用や人材育成も根本的に見直しました。それまでは職種として男性をメインに考えがちでしたが、能力という切り口から、女性の採用に積極的に取り組んできました。今は、ほぼ全ての部署に総合職の女性社員がいます。そうして思うのは"おもてなし"の感性は女性の方が高いということ。商品やサービスも改善され、会社の雰囲気もやわらかくなったと感じています。
また社内の改善提案を進めるため、1カ月に1つアイディアを出すことを評価項目としました。先ずはアイディアを出すこと、それによって変わること。自分の想いが採用されると人は楽しくなり、より自信をもって働くことになります。この仕組みによって、積極的な社員が増え、現在では年間約700件の提案があります。
想いなくして成功なし
社長就任時に未来に向け10年計画を立て実行できてきたことは、先代が築き上げてきた揺るぎない組織があったからこそと語ります。
そうした組織を受け継ぐことができたのは幸運なことであると思う一方、新しいことをしていくには変化し続けなければいけません。しかしながら変化というものに人はどうしても抵抗する側面があります。その抵抗を理解しつつも、変化し続けるためには仕組み化しなければ定着しません。
ただ仕組みを作れば良いのではなく、そこに想いがなければ効果は発揮されません。そのためにも『ビズキャンパス』の研修や社内交流を深めるためのグループワークに取り組むなど、人材育成に力を入れています。しかし、これはあくまでインプットする仕組みであり、さらにアウトプットさせる仕組みも社員やALL DIFFERENT株式会社と一緒につくっています。そのアウトプットをより効果的に実践し、結果を出すことが、代表である私の仕事のひとつだと思います。
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2017.04.01 錦城護謨様 トップインタビュー 「組織づくりも人材育成も想いが一番大事」