A. 当社の組織は、研究部門や品質管理部門、営業部門など11の部門で構成され、そのうち3部門のトップを女性社員が務めています。一般的に、管理職になることを躊躇してしまう女性が多いと聞きますが、実は当社にはまったく当てはまらず、自ら手を上げる女性が多いんです。つい最近も、子育て中の女性社員が昇進しました。
A. 化粧品を扱っていることもあり、当社はもともと女性社員の割合が65%と高く、社員の活躍と女性の活躍はイコールです。そのため、“女性活躍”を意識して何かに取り組んできたと言うよりは、自然と女性が活躍できる環境が整っていったと言った方が適切かもしれません。ただ、"女性"という視点で考えてみると、ワーキングマザーだからこそ実行できた取り組みもあります。
A. ワーキングマザーたちの取り組みに加え、女性上長が自ら定時で帰り、その状況でも責任のある仕事をこなして成果を上げる姿を見せたことも奏功し、今ではどうしたら早く帰れるだろうか、どうしたら皆が楽に仕事ができるだろうかと、社員一人ひとりが考えるようになりました。実行してから、研究部門では約30%の残業時間削減に成功し、品質管理部門に至っては半減という大きな効果が表れています。目に見える手法ではありませんが、経営者による残業削減の宣言やノー残業デーの実施では達成できなかったことが、ワーキングマザーたちのおかげで改善されました。
ワーキングマザーが中心となって残業削減に取り組んだ。 左から井上さん、渡邉さん、長谷さん
意見を “言える” “聞く” 風土が生む働きやすさ
Q. お話を聞いていると、社員が率先して行動する風土が根付いていると感じます。
A. 当社は250人ほどの小さな会社ですが、埼玉に工場を構える他、都内でも本社と工場が離れているため、対面でコミュニケーションを取ることが難しいのが実情です。従業員がどんな不満を抱えていて、どんなアイデアを持っているのか、社員の思いを拾うため、2013年に各拠点に意見箱を設置しました。1カ月に5通ほどの投書がありますが、私たちが絶対に守っているのが、毎週意見を回収し、翌週までに回答を全社に周知すること。「投書しても仕方ない...」と思われては、意見なんてあがってこないし、行動に結びつきませんよね。また全社に周知することで、「あんなことを言ってもいいんだ」「ちゃんと考えてもらえるんだ」と全社員に認識してもらうこともできます。現場からの意見や提案にきちんと耳を傾け、改善すべきことは改善する。意見を言いやすい環境と積極的に聴く環境が、社員が自ら動く源泉になっているのではと考えています。
A. 風通しのよい職場、コミュニケーションの取りやすい職場が何より大切だと思っています。先ほどもお伝えしたように、拠点が広がるに連れ、コミュニケーションは取りづらくなるものです。意見箱の設置だけでなく、同時期に社内報を創刊し、活躍する女性社員をクローズアップしたり、部署紹介の特集を組んだりと、社員が社員を取材し、編集に協力してもらうことでコミュニケーションの活性化や組織力の向上へつなげています。
A. ここ数年で中途社員の採用も始め、最近は近隣の主婦層からの応募が増えています。今後は、時短勤務や週3~4日勤務など、フルタイムでなくても正社員として働ける体制構築が必要になると考えています。今後訪れるであろう人材不足に対応するためにも、フレキシブルに働くことができる環境づくりに努めていかなければなりません。