ブライド・トゥー・ビー様「『この会社で働き続けたい』そう思わせる会社づくりとは?」|事例

株式会社 ブライド・トゥー・ビー 様
株式会社 ブライド・トゥー・ビー 様
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従業員数
:60人(2018年4月時点)
主要業務
:結婚式、ならびにその付帯業務、レストラン
キーワード
:女性の定着、採用、育児中社員の働き方
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青木千加さんに話を伺いました
青木千加さんに
話を伺いました

名古屋を拠点にブライダル事業を展開するブライド・トゥ・ビー。「女性は結婚したら仕事を辞める」という業界の常識を覆すべく、様々な取り組みを実施し、結婚が理由の退職者ゼロ、育休からの復帰率100%を実現しています。2度の育休を取得し、企画開発広報部で活躍している青木千加さんは、「仕事を辞めることが隣り合わせではないのが当社の強み。パティシエだって、在宅勤務ができるんです」と語ります。

仕事も家庭も大切にできる体制を構築

Q. ブライダル業界は離職率が高い業界だと耳にします。御社の状況はいかがですか?
A. 当社に限らずブライダル業界では、土日にご来店されるお客様が大半です。そのため、お客様との打ち合わせがメイン業務であるプランナーは、必然的に土日出勤となります。しかし、結婚や妊娠・出産を機に、土日出勤が厳しくなるのはよくあることです。「自身の勤務状況でお客様にご迷惑をかけたくない」。そんな思いから、女性プランナーは結婚したら退職するのがこの業界では当たり前となっていますし、当社も数年前までは同じような状態でした。
Q. 御社では、青木さんのように育児をしながら働いている女性社員が他にもいらっしゃいます。どのような変化があったのですか?
A. 結婚式と言うと、花婿よりも花嫁が中心となってプランを立てることが多いですよね。花嫁の気持ちをより理解できる人はやはり同じ女性に多いですから、当社の仕事は女性に有利です。このように、せっかく女性が活躍できる場があるのに、キャリアもスキルもある優秀な女性が、労働環境を理由に仕事を継続できないのはとても残念なことです。組織にとっても大きな損失となってしまいます。当社の社長も「女性がライフイベントで退職するという業界の常識はこのままでいいのか」という不安を抱えていました。

そこで、2012年に初めて従業員満足度調査を行いました。その結果が想像以上に悪く、「このままでは会社の未来がない」と感じ、社長の号令で業界の常識を覆す改革に踏み切ったんです。その後、様々な仕組みができ、今では結婚による退職者はゼロ、育休からの復帰率は100%を実現しています。また、一般的にブライダル業界の早期離職率は3~4割と高いのですが、当社はその半分程度の離職率に抑えられています。
同社は様々な仕組みで離職率を業界の半分程度に抑えている
同社は様々な仕組みで離職率を業界の半分程度に抑えている
Q. 具体的にどのような取り組みを実施しているのですか?
A. “ホーミー社員制度”がその一つです。“ホーミー社員制度”とは、時短や在宅勤務、産休・育休中の社員のことを指し、育児や介護など、何かしらの事情を抱えていても働き続けられるようにとつくった制度です。結婚式や打ち合わせなど、対お客様の現場業務が多いブライダル業界では、一般的に時短勤務や在宅勤務は難しいと言われています。しかし、先ほども申し上げたように、ライフイベントや家庭の事情を理由に離職してほしくないという強い思いから、当社では時短勤務や在宅勤務で仕事を継続できる環境を整えました。ちなみに“ホーミー”とは、仕事はもちろん、家庭も大切にするという意味で、英語の“home”から取った造語なんですよ。
  ホーミー社員には、経験豊富で人生の先輩でもあるというホーミー社員の強みを生かした業務を任せています。例えば、結婚式当日の手伝いに入ってもらって花婿・花嫁の対応を任せたり、花嫁と一緒に結婚式でのサプライズの準備をしたり。ホーミー社員には安心してお客様を任せられます。

私自身、2度の産休・育休をいただき、今は時短勤務をしているホーミー社員です。産休に入る前は土日出勤が必須のプランナーの仕事をしていたのですが、保育所の関係で日曜休みがはずせなかったこともあり、上司と相談して企画開発広報部へ異動しました。今は、これまでの経験を生かして人材育成や採用の仕事などを担当しています。

また、配偶者の転勤などで通勤が困難になってしまう社員もいますから、在宅で勤務を継続してもらう体制も整えています。実は今、その制度を使っているのが女性のパティシエなんです。「パティシエが在宅勤務できるの?」と思われがちですが、彼女から「働き続けたいが、どうすればいいか」と上司に相談があり、自宅でもできるウェディングケーキのデザインを任せることにしました。まず第一に、「どうしたら勤務を継続できるのか」を会社も本人も真剣に考え、環境や体制を整えていけるのが当社の強みですね。
結婚式当日の手伝いに入るホーミー社員(手前の女性2人)
結婚式当日の手伝いに入る
ホーミー社員(手前の女性2人)

小さな頑張りも見える化すれば大きなやりがいにつながる

Q. 社員から「働き続けたい」と相談があったということですが、「この会社で働き続けたい」と思わせているものは何なのでしょうか?
A. 当社は「サービス業を愛する人達の為に存在し、No.1のチームワークを目指しながら、幸せな人が、幸せな人を創るを実現します」という経営理念を大切にしています。そのため、どんな状況でも、働く意志さえあれば働き続けるための方法を真剣に提案してくれますし、社員が自身の理想像に近づくために、何をどう身につけていくべきなのかを上司が一緒に考えてくれます。

例えば、産休・育休中の社員は必ず社長と個別面談を行い、どんな働き方をしたいのか、どんな働き方が理想なのかなど、復帰後の働き方をとことん話し合います。当然、状況や考えはその時々で変わりますから、最初に決めた内容にこだわるのではなく、随時修正しながらどう働くのがお互い一番いいのかを考える場となっています。

こういった面談はもちろん、普段のコミュニケーションから「自分は必要とされているんだ」と思わせてくれます。そして、一緒に働いてほしいと会社が思ってくれていることがうれしいんです。だからこそ、この会社のことが好きだという社員が増える。そして、大好きだから頑張り、その頑張りを評価されるからもっと会社を好きになる。そんなサイクルがうまく回っているのではないでしょうか。
Q. 社員の頑張りを評価する面白い制度があると聞きました。どのような制度ですか?
A. “ニコニコ貢献投票”のことですね。この評価制度は、社員一人ひとりが個人の価値観で3つの項目を設定し、その3項目に対して一番貢献したと思うメンバーに票を入れるというものです。得票数に応じた賞与も支給しています。この制度によって、評価者であるリーダーが気づかない、小さな頑張りも評価できるようになりました。

評価と言うと、一般的に自己プロデュースが上手な人ばかりが目立ってしまいますが、この制度があれば、上司や評価者が知らないところで頑張っているメンバーや、皆が働きやすい環境を整えてくれているメンバーを、きちんと評価することができます。「たとえ目立たなくても、ちゃんと見てくれている人がいる」「小さな頑張りでも評価してもらえる」、そう思ってもらうことで「また頑張ろう」と次の意欲にもつながっていきますし、会社のいい雰囲気をつくり出している気がします。
ニコニコ貢献投票はweb投票。投票時には必ずコメントもつける
ニコニコ貢献投票はweb投票。
投票時には必ずコメントもつける
Q. 公平・公正な評価がやりがいにつながっていくということですね。
A. そうです。“やりがい”という面を考えてみると、当社には「役職に就いていないという理由だけで仕事の裁量を狭めるのはもったいない」という考え方が浸透していて、例えば家庭の事情でリーダー職には就けないけれど、リーダーとしての能力が十分あるという社員には、予算権限も含めた大きなプロジェクトを任せることもあります。私自身、時短勤務でしかも子どもが2人いて、いつ休むかわからない状況なのに、採用関連の大きな仕事を任せていただいているんですよ。

ワーママの活躍の場をさらに広げたい
社員みんなの“夢”は保育所の開設

Q. 社員を大事にする会社の姿勢がよく伝わってきました。そういった会社の姿勢は、社員同士の関係性にもプラスに働いているのではないですか?
A. 改革に踏み切って以来、経営層にも管理職にもメンバーにも、お互いを大事に思う意識が浸透してきました。

また、改革の一環として始めた取り組みの一つに、「スタッフ全員人事部」活動があります。これは社員全員が採用の仕事に携わるという活動で、2015年にスタートしました。「いつ休むかわからないワーママはちょっと...」「時短勤務の人はいろいろ面倒だな...」などと思う社員がいたとしても、採用に携われば、社員一人ひとりがいかに貴重な財産であるかを実感するものです。今(2018年)では、人材確保の難しさや人材が大切な財産であることを皆が理解しています。だからこそ、ホーミー社員やニコニコ貢献投票が社員に受け入れられているのだと思います。
シェフも会社説明会に参加して学生と話す
シェフも会社説明会に参加して学生と話す
Q. 社員が働き続けられる職場を実現しましたが、女性活躍をさらに推進していくに当たって、今後はどのような取り組みを実施していきたいと考えていますか?
A. 当社は3年に1度、社員の夢をまとめた「社長とみんなの夢計画」をつくっています。いわゆる中期経営計画のようなもので、その中に、「社内保育所をつくる」という夢があります。土日出社の多いブライダル業界にとって、ピンポイントでもいいから子どもを預けられる場所があれば、活躍できる女性がもっともっと増えると思うんです。社内にこだわらず、周辺の企業とも協力して保育所がつくれれば、当社の社員はもちろん、お花屋さんや司会者といったブライダルに携わる女性の活躍の場はますます広がっていくはずです。この夢をかなえられるよう、社員みんなで知恵を絞っていきたいですね。

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