A. 社長が外資系コンサルティング会社出身ということもあって、設立当初から社内にはダイバーシティを受け入れる風土がありました。女性が育児休職から復職することは当然という共通認識から、復職後も継続して働くことができる土台はあったと思います。そのような中、女性が働きやすい環境づくりをさらに加速させるために、2012年に「くるみん」の取得に向けて動き始めました。
Q. 「くるみん」取得の効果はいかがですか?
A. 活動計画には、男性の育児休暇、時短勤務の延長、看護休職の有給化など、従来の制度を充実させることに加え、パンフレットやマニュアルを作成して制度を理解してもらい、活用しやすい文化を根付かせることを盛り込みました。
A. 特に独身者からの評判が良いですね。社員アンケートでは、以前から「育児を支援する制度ばかりが手厚いので、独身者にもメリットがある制度がほしい」という回答がありました。やはり、育児をしながら働く同僚のサポートに回ることが多い独身者には、多少なりとも思うところがあるのでしょう。育児休職や育児中の社員向けの制度はもちろん必要ですが、サポートしてくれているメンバーへの配慮も必要だと実感しています。例えば、管理職や周囲の人が、サポートしてくれた社員に対してねぎらいの言葉をかけるとか、カバーしてもらった人が、カバーしてくれた人に感謝の気持ちを伝えるとか、当たり前のことではありますが、必要なこととして心がけている人が多いと思います。
A. 他部署への業務依頼や外部からの問い合わせは17時までとし、18時までに退社するよう促しています。また、残業が発生する場合は必ず事前に申請させ、社員一人ひとりの業務負荷や勤怠、労働時間を常にモニターし、負担が多いと判断された社員には個別の面談を行い、対策を検討しています。このような取り組みを続けた結果、平均残業時間は月11時間ほどで落ち着いています。
A. 業務の効率化を求めるときには、効率ばかりを追求し、社内のコミュニケーションが少なくならないよう気をつけなければいけません。お互いを助け合う関係もコミュニケーションがあってこそ。仕事効率を優先させた殺伐とした職場環境にしないために、全社員が一堂に集まるイベントを開催したり、チャットによるコミュニケーションシステムを導入することで、オフィスにいないことが多い営業社員との交流も促進しています。
誰もが働きやすい職場づくりに向け、コミュニケーションを重視
経営陣による「残業はイレギュラー」という意識改革
Q. 御社での取り組みを推進させるアクセルになったものは何だったのでしょうか?
A. 経営陣の意識の高さかもしれません。トップが諦めたら何も進まないでしょうね。当社では2013年から1年半、経営者と管理職が当番制でフロアを回り、残業をしている社員に対して退社を促す声かけ運動を実施しました。その結果、今では「残業はイレギュラー」という意識が社員に根付いています。経営者や管理職の意識が、社員一人ひとりの意識改革に大きく貢献したと言えます。
Q. 最後に、今後の課題をお聞かせください。
A. 様々な施策を導入し、残業時間削減などの効果は現れてきましたが、まだまだ社員の満足度を上げていかなければならないというのが正直なところです。例えば在宅勤務制度では、対象者を以前は育児や介護で出社が難しい社員に限定していましたが、最近は作業に集中したいなどの理由でも認め始めました。今後も社員一人ひとりのワークライフバランスに合わせて、対象を広げていきたいと考えています。特に介護問題への取り組みは出遅れていますので、これから力を入れて、制度を整えていかなければなりません。介護に直面した社員がどうすれば仕事と介護を両立できるのか、まずは人事が情報を提供することから始め、地域とも連動しながらサポートできる枠組みを構築していきます。