介護・障がい支援事業や医療・看護事業を手掛けるフルライフケア様。若手社員の離職という課題に対し、中長期的な成長支援に取り組むことで改善。そのポイントを人事労務部主任の大森衣里様にお聞きしました。
- 目的
介護業界共通の課題
「若手社員の定着率の低さ」を解消したい
- 解決策
成長を支援する3年間の教育計画を作成し若手のスキルアップをサポート
- 成果
若手社員定着率が50%から90%へ大幅改善
- 社名
- 株式会社フルライフケア 様
- 業種
- 医療・福祉
- 従業員数
- 101人~500人以下
- エリア
- 近畿
- 階層
- 若手社員
- 利用サービス
- Biz CAMPUS Live
- 課題
- 早期離職 教育体系の構築
成長実感のある学びの環境整備により、若手の定着率90%を実現
若手の早期離職の背景に「成長実感不足」の不安?
大森 介護業界全体で若手の早期離職は課題となっているのですが、当社でも2018年~2020年に入社した若手社員の定着率が50%と低く、改善したいと考えていました。
若手社員(入社1~3年目)が早期に離職してしまう背景として、成長実感を感じられる経験が乏しく、自社で成長していく姿が描けていないため、不安を感じているのではないかという仮説を立てました。
実際、若手社員の成長スピードが配属先の現場環境などに左右されてしまうケースが多かったからです。
社員の成長支援として、以前から定額制オンライン研修(ライブ配信)「Biz CAMPUS Live」は導入していましたが、自由受講のスタイルでした。
学べる環境はあったものの、配属先で成長実感を得られていないメンバーは、業務や学びに対して消極的になってしまいがちでした。
大森 まず、会社の求める人材像から必要なスキルを洗い出して、3年間の教育計画を作成しました。さらに、この3年間の教育計画に基づいて研修受講のルールを作り、研修で得た学びを実践につなげられるよう支援する仕組みを整えました。
研修受講ルールについては、人事と現場マネージャーと共に現場に即して策定しました。具体的には、受講者は研修受講後に人事と現場マネージャーに事後課題シートを提出し、それに対し人事とマネージャーの双方からコメントをするというものです。
事後課題シートには「どのような学びを得たか」「その内容をどのように業務に活かすか」の2点を書いてもらうことで、やるべきことを関係者間で共有・明確化し、学びの加速につなげています。
更にその1カ月後に、実践結果を記載した報告書を提出してもらい、人事と受講者で面談を行っています。
人事と現場マネージャーが育成で協働
大森 はい。研修受講だけでなく、若手社員の仕事への不安を払拭するためにも、現場マネージャーと人事で連携して対応しました。
例えば、本人と採用の時から関わっていた人事担当者が個別面談で気楽に話せる場を提供することにより、一人ひとりに合わせて業務・プライベート問わず不安を払拭するサポートができました。
さらに、この個別面談実施後に人事とマネージャーによる全体会議を開き、メンバーの成長状況の共有や今後の育成方法について対話しました。これらの取り組みによって、現場でどのような教育をする必要があるのかを明確にすることができました。
大森 人事とマネージャーが密な連携をとることにより、新卒社員が配属先の環境に左右されることがなく、成長スピードがアップし、早期戦力として活躍できるようになりました。
また研修や面談を通じて、若手社員が成長実感を感じられる経験が増えることで、新入社員が主体的に動けるようになりました。
現場マネージャーからは「研修で実務と結び付けて学んでいるので、若手の成長スピードが格段に上がっている」「研修後のフォローを行うことによって、若手とのコミュニケーション量が増えた」「新施設の立ち上げに貢献できる新卒社員が増えた」という声が届いています。
そして、2021~2023年の3年間に入社した若手社員の定着率が90%に向上しました。
推進ポイントは現場管理職の理解とサポート
今回の取り組みが実を結んだポイントは、どんなところにあったのでしょうか。
大森 若手社員の定着率が上がった大きな要因は、私たち人事が現場マネージャーとの連携を強化できたからだと思います。
強い連携を構築できたポイントは、一方的に伝えるだけでなく、根気強く、繰り返し関わってきたためだと思います。
人事には新卒採用、労務などの仕事もありますが、育成に時間を割いて関わることで「若手社員の重要性」「新卒社員への教育の大切さ」など人事の考えや思いを、現場マネージャーに理解してもらえたと思います。
人を採用することの難しさ、採用できた人材に働き続けてもらうことの大変さを日々感じますが、ご縁があった新卒・若手社員により良い仕事生活を送ってもらえるように、今後も新卒・若手社員、現場マネージャーとの連携強化に努め、双方をサポートしていきたいと思います。
事業内容: 訪問介護事業所/居宅介護支援事業所/有料老人ホーム運営/サービス付き高齢者向け住宅運営/障がい支援事業/福祉用具貸与・販売事業所/医療・看護事業/有料職業紹介事業/土地有効活用事業/社会奉仕事業
従業員数: 463名
本社: 大阪市中央区