「人事の課題」実態調査(人事の取り組み編)
今後取り組みたいテーマに「人材育成・組織開発」と回答した人事が9割超!人事の人手不足が続く中、長期的視点で計画的に取り組むことが必要
2023年1月11日
当社では、2022年10月26日~11月30日の期間で、企業の人事責任者・人事担当者277名に実態調査を行いました。人的資本経営へ注目が高まる昨今、人事部はどのような課題を抱えているか、今後取り組みたいことは何かなど、人事の課題にフォーカスした調査結果を公表いたします。
背景
2020年経済産業省が発表した人材版伊藤レポートを皮切りに、「ヒト」の持つ能力を「資源」ではなく「資本」と捉え、最大限活用するために投資をしていく『人的資本経営』へ注目が高まりました。その背景には、企業が永続的に成長し続けるために求められるESG投資への関心の高まりや、働く人の価値観やキャリア志向の多様化、またコロナ禍の影響から一気に加速した働き方の変化など、企業が変化せざるをえない状況に直面したことが挙げられます。2023年の有価証券報告書からは、人的資本に関する一部の情報を開示することが義務づけられ、「人的資本」は経営課題としてますます重要視されていくことは間違いありません。そこで、当社では、人事が抱える課題に焦点をあて、どのようなことに課題を感じているか、また今後どのような取り組みをしていきたいと考えているかなど、企業の人事責任者・人事担当者277名に実態調査を行いました。調査結果が、今後の人的資本経営に取り組む経営層、人事担当者、さらには現場の管理職の方にとって、有益な情報となれば幸いです。
調査結果の概要
- ● 人事部として取り組みたいテーマ、従業員規模に関わらず9割の人事が「人材育成・組織開発」と回答
- ● 人材育成・組織開発を進める上での課題、6割超の人事が「推進メンバーの人手・時間不足」と回答。301名以上の企業では、「部署による育成への意識の差」がさらなる課題に
- ● 半数以上の企業が「人材要件・教育体系の整備」に課題を実感。301名以上の企業では「キャリア開発の仕組みづくり」は6割以上が課題感
- ● 95%以上の企業がOJTを実施する中、OJT担当者による「やり方や精度のバラつき」が課題に。300名以下の企業はOJTの仕組みが整っていない可能性も
- ● 8割以上の企業がリスキリングに取り組めていない。「デジタルリテラシー」「DX知識」に加え、301名以上の企業では「汎用的なビジネススキル」のリスキルを求めている
- ● 人事部が興味のあるテーマ、300名以下は「採用」「離職防止」「教育研修体系構築」、301名以上は「離職防止」「従業員エンゲージメント向上」「キャリア開発」と違いが出る結果に
1. 人事部として取り組みたいテーマ、従業員規模に関わらず9割の人事が「人材育成・組織開発」と回答
本調査では、企業の人事責任者・人事担当者277名に、人事部として抱えている課題や、今後取り組みたいことなどの実態調査を行いました。その結果を、従業員数が300名以下の企業(以下、『300名以下』と記載)と、301名以上の企業(以下、『301名以上』と記載)に分けて分析した結果をご紹介します。
まずは、人事部として取り組みたいテーマ(課題)について質問しました。結果、「人材育成・組織開発」と回答した人事が9割を超える結果となりました。次が「採用」で、300名以下は67%、301名以上は58.9%と、6割前後でした。「経営との連動性の向上」については、順位は高くないものの、301名以上では4割が取り組みたいと回答しており、300名以下と20ポイント近い差となりました。(図1)
2. 人材育成・組織開発を進める上での課題、6割超の人事が「推進メンバーの人手・時間不足」と回答。301名以上の企業では、「部署による育成への意識の差」がさらなる課題に
9割以上の人事が「人材育成・組織開発」を今後取り組みたいテーマ(課題)に考えていることがわかりましたが、人材育成・組織開発を推進する上でどのような課題があるのでしょうか。
300名以下では「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している」と回答した人事が63.7%、次に「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない」が62.1%、「部署によって育成への意識に差がある」が56.6%の割合となりました。
301名以上では「部署によって育成への意識に差がある」が最も高く67.4%の割合となりました。次に、「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している」が64.2%、「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない」が56.8%と続きました。
さらに従業員規模に関わらず、「人材育成・組織開発を推進するメンバーの知識が不足している」ことに半数以上の人事が課題を感じていることも明らかとなりました。(図2)
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