若手社員の意識調査 社会人2~4年目の壁【特別編 離職意向別】
離職意向のある社会人2~4年目、意向のない人よりも壁を高く感じる結果に。離職防止の環境づくり、2年目は『実務で学べる機会の提供』、3年目は『仕事の意義の伝達』、4年目は『自立自走のサポート』が必要

2022年11月28日

調査・研究

当社では、2022年7月、社会人2年目~4年目の900人に対し、2022年7月に直面している壁に関する意識調査を行いました。本調査レポートでは、2年目、3年目、4年目と各年次のうち、離職意向がある社員と意向がない社員で、壁に対してどのような価値観の違いがあるか調査結果を公表いたします。

背景

当社ではこれまで、新入社員の意識調査や入社1年目のギャップに関する調査など、1年目社員の調査を様々な視点で行ってきました。人材育成、採用などの業界においても1年目社員に関する調査は数多く実施されていますが、2~4年目の社員に関しては1年目ほどフォーカスが当たっていないのが現状です。一般的に"若手"と一括りにされることが多い年次ですが、各年次における意識は多種多様ではないでしょうか。若手が思うように育たない、新人研修やOJTなど時間やコストを投資したがすぐに辞めてしまう、これからというタイミングで転職してしまうなど、若手に関する悩みは多くの企業が抱えており、当社にも日々相談が来ています。その解決の糸口をみつけるために、若手を紐解き、2年目、3年目、4年目と各年次がそれぞれどのような価値観を持ち、悩みを抱えているのか、また共通点や違いは何かを明らかにすべく、各年次に対して調査を実施しました。本調査はこのような点からも他に例をみない調査となりました。調査結果が新入社員・若手社員育成に悩む経営層、人事担当者、さらには現場の管理職の方にとって、有益な情報となれば幸いです。

調査結果の概要

  • ● 社会人2年目、離職意向ありの9割が「仕事を進める上での困難」に遭遇。「自分の知識・スキルへの不安」は離職意向ありがなしより31ポイント以上高く最大差

  • ● 社会人3年目、離職意向ありの約7割が「仕事の量が多い」、約6割が「キャリアへの不安」を実感。意向なしとそれぞれ28ポイント以上の差

  • ● 社会人4年目、離職意向ありの5割以上が「職場の文化が合わないことがある」と回答。意向なしより26ポイント以上高く、最大差

  • ● 離職意向のある2年目、意向なしよりも10ポイント以上高い割合が「仕事を進める上で相談相手がいない」。意向なしよりも、プレゼンテーション力・ビジネスライティング力のスキル不足も実感

  • ● 離職意向のある3年目、意向なしよりも11ポイント以上高い割合が「キャリアについて相談する相手がいない」。「やりたい業務ではない」状況に仕事の飽きも感じている

  • ● 離職意向のある4年目、意向なしよりも16ポイント以上高い割合が「自由度のある職場」を求める。また、「やりたい業務ではない、仕事の意義がわからない」状況に仕事の飽きも感じている
(図1)

1. 社会人2年目、離職意向ありの約9割が「仕事を進める上での困難」に遭遇。「自分の知識・スキルへの不安」は離職意向ありがなしより31ポイント以上高く最大差

本調査では、社会人2年目、3年目、4年目の若手社員に対し、現在どのようなことに困難を感じているか、不安を感じているか、仕事や上司、キャリアや自分の成長など、16の項目(以下、『16の壁』と記載)について質問しました。その結果を、離職意向がある若手社員とない若手社員でどのような違いがあるか、年次別に比較しました。

社会人2年目の結果を見ると、離職意向のある社員が16の項目全てにおいて、意向なしよりも壁を感じている結果となりました。その中でも離職意向ありが最も壁を感じた項目は「仕事を進める上で困難に感じることがある」となり、回答した割合は90.5%にのぼりました。次に「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が69.5%、「仕事の判断を任される場面がある」が66.6%と続く結果となりました。

離職意向ありとなしの割合の差を比較すると、大きく差が出た項目は「自分の知識・スキルに不安を感じることがある」「今後のキャリアが描けず、この会社で働き続けることに不安に感じることがある」で、それぞれ意向なしよりも、31.7ポイント、31.5ポイント高い結果となりました。(図1)

(図1)

2. 社会人3年目、離職意向ありの約7割が「仕事の量が多い」、約6割が「キャリアへの不安」を実感。意向なしとそれぞれ28ポイント以上の差

次に、社会人3年目の結果をみていきます。2年目同様に、3年目においても離職意向ありが意向なしよりも全項目で壁を感じる結果となりました。その中でも、「仕事を進める上で困難に感じることがある」が78.7%と、最も高い壁となりました。次に「仕事の量が多いと感じることがある」が69.9%、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」が60.2%と続きました。

離職意向ありとなしを比較すると、「仕事の量が多いと感じることがある」が意向なしよりも29.2ポイント高く、最も差が出る結果となりました。次に差が出た項目は「今後のキャリアが描けず、この会社で働き続けることに不安に感じることがある」で、意向ありが28.1ポイント高くなりました。(図2)

(図2)

3. 社会人4年目、離職意向ありの5割以上が「職場の文化が合わないことがある」と回答。意向なしより26ポイント以上高く、最大差

離職意向のある4年目社員においても、2、3年目同様に離職意向ありが意向なしよりも全項目で壁を感じる結果となり、「仕事を進める上で困難に感じることがある(75.5%)」、「仕事の量が多いと感じることがある(64.3%)」、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある(59.2%)」「仕事の判断を任されることがある(59.2%)」の順に困難を感じていることがわかりました。

離職意向ありとなしを比較すると、「職場の文化が合わないと感じることがある」に関して、離職意向ありが26.3ポイント高く、最も差の出る項目となりました。離職意向ありでは、年次が上がるにつれ項目の半数以上において壁が低くなる傾向がありましたが、「職場の文化が合わないと感じることがある」のみ、年次が上がるにつれて壁が高くなるという結果が見られました。(図3)

(図3)

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