人材育成の変革に挑む4社の取り組みをご紹介 オンラインイベント「HR×LEARNING CONFERENCE 2022 秋」開催しました!|イベントレポート|組織開発・人材育成
2022.10.24
当社は2022年9月7日、8日の2日間で、オンラインイベント「HR×LEARNING CONFERENCE 2022 秋」を開催しました。このイベントは、企業の人事・教育担当の方々に、人材育成を推進・変革するヒントをお届けすることを目的とした企画。この2日間で日本の各業界を代表する4社の人事・人材開発責任者より、人材育成の施策や株式会社ラーニングエージェンシーとの連携、人材育成への強い想いを共有いただきました。本レポートでは、2日間にわたって行われたイベントの様子をご紹介します。
人材育成・人材開発の課題解決に取り組む
2021年2月の当社設立15周年を記念して始まった、「HR×LEARNING CONFERENCE 2022」。 さらに多くの方に人材育成に関するヒントや気づきを得ていただきたく、第2弾となる「HR×LEARNING CONFERENCE 2022 秋」を開催することとなりました。
テーマは「人材育成で組織の未来を切り開く」
当日は、登壇者のお話と活発な質疑応答から、各社の人材育成に対する強い想いや、革新的な取り組みを感じる貴重な時間となりました。今回のイベントレポートでは、各社様の取り組み事例をまとめてご紹介します。参考にしていただければ幸いです。
社員の主体性や学びの意欲向上を図る施策を知れた1日目
株式会社メンバーズ
『事業戦略との一貫性を意識した新入社員の「オンボーディング」の強化
リモート環境で新入社員数百名の主体性を引き出すアプローチとは』
1日目の最初にご登壇いただいたのは、株式会社メンバーズ様。
タレント・エンパワーメント室 執行役員 兼 室長の池上斉弘氏とリーダーの西畑初梅氏がご登壇し、事業拡大に伴って毎年数百名規模の新卒採用と育成を行うメンバーズ様の「事業戦略との一貫性を重視したオンボーディングの取り組み」をご紹介いただきました。
メンバーズ様が特に意識したのは新卒社員を配属する事業部門との連携。事業方針や戦略のキャッチアップや現場と「同じ言葉」を使ったコミュニケーションのあり方、採用方針そのもののアップデートなど、新卒採用や新人育成の多くの場面で、現場との連携を強めていらっしゃいます。
例えば、現場との連携強化・信頼醸成に向けた『あたかも出向』という施策においては、人事担当者みずから事業部門側の営業会議に参加し、配属先の教育担当者と連携したオンボーディング企画・設計などを行っています。
また、新卒社員の情報を現場と共有する施策としては、『SHIGOTO DESIGN シート』の作成を通して新卒のパーソナリティを詳細に可視化し、内定期間でスキルアップに取り組む意欲の高い内定者の状況や、配属前までに習得したスキル等を把握できる体制を整え、現場での受け入れ準備を早期に実現した取り組みがありました。さらに、新卒社員の配属を決める際は、採用担当も参加する「配属決める合宿」を実施し、人事担当者全員で配属後の「稼働」に対する意識向上を図るなど、具体的な成功事例を数多くご紹介いただきました。
松竹株式会社
『創業127年目を迎えるエンタメ企業に訪れた、社員の意識の変化とは
学びの意欲向上とそれに応える能力開発支援施策』
2社目は、今年で創業127年目を迎える演劇・映像業界を代表する松竹株式会社様。管理本部人事部人材開発室の松尾健司氏にご登壇いただき、社員の意識の変化をもたらした育成施策についてお話しいただきました。
まずは、「キャリアプラン設計制度」です。毎年、経歴・将来像・現在の仕事内容・異動希望などを記載するキャリアプランシートを作成してもらい、キャリア面談を経て上司のコメントを記入したものを人事部で蓄積。その後の戦略的な人事配置に活用しているとのこと。この制度は、社員から「自分のキャリア・スキルの棚卸ができるようになった」「上司との認識の共有がしやすくなった」など肯定的な意見が寄せられ、人事評価制度の行動評価において主体性への意識変化も見られたそうです。
社員の学びやスキルアップの支援では、階層・世代別研修、テーマ別研修、eラーニングの3軸で能力開発支援も実施。グループ横断型研修『KAOMISE/KAOYOSE研修』は、研修後にグループ会社間でのコミュニケーションを生み、気軽に声をかけられる人が増える貴重な機会として機能しています。管理職対象の『選抜型研修』では、対象社員から「選抜してもらえたから学ぶ機会ができた」という感謝の声が寄せられたとのことでした。
松竹株式会社様とは2020年3月からご縁をいただき、当社サービス「Biz CAMPUS Live」をご活用いただいております。「Biz CAMPUS Live」については、「自発的に受けたい社員のみならず、昇格・異動等のスキルアップが求められるステージで、知識確認・習得のために有効活用できています」と、お話しくださいました。
教育の仕組みはPDCAを回していくことが重要と気づかされる2日目
太陽ファルマテック株式会社
『太陽ファルマテックの「自立型人材」の育成について
階層別研修、リーダー研修、未来共創ミーティングなど具体事例をご紹介』
2日目の最初にご登壇いただいたのは、太陽ファルマテック株式会社様。人事企画部 人事採用・広報課 課長の小川正幸氏より、「自立型人材」の育成について階層別研修、リーダー研修、未来共創ミーティングなど具体事例をご紹介いただきました。
太陽ファルマテックでは、自律型人材を"自ら目標を設定し、その達成のためのプロセスを楽しむことができる人材"と定義。社長からのメッセージ、ホームページ、採用時のメッセージなど、多くの場面で繰り返し伝えながら、「自律型人材にあふれる組織」作りに取り組んできました。
具体的には、2020年度に「人材育成方針」を制定して教育体系の基盤構築を行い、それまで深く踏み込めなかった人材育成に取り組み始めました。まずは、『リーダー育成研修』をスタート。本研修は、当社もご支援させていただきました。2021年度はグループ全体で実施する『未来共創イニシアティブ』に太陽ファルマテック様も参加し、職場やチーム仲間との関係性構築を行いました。また、新しくマネジメント職に就く社員を対象とした『新任M職研修』では、リーダーシップ、コミュニケーション力、マインド教育を実施したうえで、マネジメント力を強化できるような研修内容にこだわりました。2022年度は、現場の資格取得状況や教育実績などを共有する『教育会議』を定期開催し始め、教育のPDCAサイクルを回す取り組みを実施。会議で出てきた課題は「教育検討会」で議論を深め、次年度教育につなげています。
ご講演の最後には、「自立型人材にあふれる組織」でありつづけるために、何かに依存するのではなく、組織も個人も力をつける必要がある。社会の変化に対応し、自ら考え、学び続ける組織に変容していく必要がある。」とお話しくださいました。
株式会社日立アカデミー
『日立におけるリスキリングの取り組み
デジタル対応力の強化と自律的な学びを促進する新たな挑戦』
最後は、日立グループの人材育成を一手に担う株式会社日立アカデミー様がご登壇。ビジネスパートナリング本部 担当本部長の松田欣浩氏より、様々な教育施策の中から、今回はDXを担う人材の育成や社員のリスキリング施策などをご紹介いただきました。
DX人材の育成では、レベルごとにeラーニングで教育を実施し、まずは現場のデジタルリテラシー向上を図っているとのこと。なかなかDXを自分事として考えてもらいにくい中堅層以上には、短時間で学習できる『ワンポイントコンテンツ』などのサイトも提供し、手軽に学習できる環境を整えていらっしゃいます。この『ワンポイントコンテンツ』は、学習者から「学びたいときに学べる」「分散している情報にアクセスしやすい」など、好評を得ているそうです。
リスキリング施策では、LXP(Learning Experience Platform)」を導入。学習者の経験・能力・ニーズに合わせて、AIが学習リソースをレコメンドするシステムで、学習活動の記録機能やソーシャルラーニング機能もあります。日立グループでは、社員それぞれが自分のジョブに応じて強化したいスキルを登録し、その登録スキルと学習活動の記録から、eラーニングのコンテンツや社内研修、Web記事などをレコメンドするシステムを採用しました。
今後は、より適した学習コンテンツのレコメンドが行えるようLXPの活用を進めながら、日立グループ全体で自律的な学びを活性化させたいとしています。
経営・事業を意識した人材育成を! 次の15年も「人と組織の未来創り」を全力でご支援します
622名もの申し込みがあった「HR×LEARNING CONFERENCE 2022 秋」は、会社の設立や外部環境の変化から新しい教育施策に取り組んだ4社の人事・教育担当の皆様より、人材育成・開発の課題や解決ポイントを共有いただきました。
1日目の2講演を終え、当社のマネジャー根本は2社の共通点として「すべての人材開発施策には明確な目的・課題設定が重要である。また、目的を実現するためには人材開発の設計を担う役割の方々が原因自分主義で考えることや、現場を巻き込む、制度にも踏み込むことが大切である」と総括。また、各社の取り組みである「自社ならではのネーミングを付けること」や「採用と入社後教育に一貫性を持たせること」も、施策を浸透させるために重要な取り組みで、内発的動機付けの重要性を熱く語りました。人材開発・組織開発は取り組んですぐに成果は出にくいかもしれないが、一歩一歩施策を前に進めていくことで、人や組織の未来を創ることができるのではないか、と締めくくりました。
2日目は、当社の取締役田中より総括を行いました。人材育成は取り組みのきっかけをつかまないと進みにくいからこそ、まずは経営上の必要性やビジョンからアプローチをしてスタートを切ること、また、小さく始めて大きく拡げることが重要である。さらに、やって終わりではなく、教育の仕組みに対するPDCAサイクルを回していくことの重要性を総括。また、人材は一律で見るのではなくひとりひとりの社員の状況を見ること、さらにスキルだけではなくマインド面も考えることなど、目指す姿の設定と現実との対峙を考えて進めていくことが大切だと語りました。人材育成の取り組みは、会社の将来、また社員のより良い将来につながる活動であると、イベントを締めくくりました。
ハイレベルな取り組みをされている企業様の事例を共有いただいた2日間。本イベントに参加された皆様からは、
「まだまだ社員に対してやるべき事があると再認識し貢献したいと思った」
「悩んでいた内容の解決の糸口が見つかった」
「事例をもとに講義していただき、イメージがわきやすかった」
など、嬉しいお言葉を多くいただきました。
当社は、各種サービスの拡充、イベントやセミナーの開催などを通じて、皆様の人材育成・組織開発に伴走してきました。今後も「人と組織の未来創り」に共に取り組んでまいります。次の15年、さらにその先の活動にもご期待ください。
ご登壇いただいた皆さまからこのようなコメントもいただきました!
本イベントでは、登壇者の皆様から参加者の皆様に向けてメッセージをいただくとともに、質疑応答でも重要なヒントをいただきました。多くの学びや気づきが生まれたご講演・質疑応答から、いくつかピックアップしてご紹介します。
株式会社メンバーズ・池上氏・西畑氏
いわゆる採用や育成といったオーソドックスな人材領域だけで本質的な成果を出しきることは難しく、事業戦略との結びつきが重要であると考えております。育成やオンボーディングは地味だと思われがちですが、真摯に取り組むほど成果が出るという手応えもあります。コロナ禍で若手の主体性を引き出すには、独自の工夫や時に失敗することも許容できる機会を提供すること、一緒に研修を運営する「仲間」として彼らを巻き込み、信頼感を伝えることが重要だと感じています。
松竹株式会社・松尾氏
育成施策は、「とりあえずやってみよう」「ダメならやめればいい」の精神で進めています。選抜型研修では人事部が課題を感じて受講者を指名することもありますが、事前に期待感を伝えているため、ある程度の納得感をもって参加いただいています。研修内容について辛辣なコメントがあることもありますが、きちんと向き合ってもらったからこそ出るものですので、マイナスではありません。現場の声を聴きながら、一方的にやらないことが重要だと思います。
太陽ファルマテック株式会社・小川氏
自律型人材の育成で大切なのは、会社として求めている自律型人材が具体的にどのような人なのかをしっかり定義して、そのために施策を行っているのだというストーリーを伝えることです。人事企画が独断で行うのではなく、現場のスケジュールを考慮しながら年間計画の中で教育施策を進めること、時間がかかりそうな会議では事前に目的やアジェンダ、資料を共有することも効果的です。
株式会社日立アカデミー・松田氏
リスキリングは目的ではなく手段ですので、リスキリングによって何をしたいのか、会社として事業の転換・拡大等の変化の中でどのようなスキルが求められるのかといった視点が求められます。同時に、従業員一人ひとりにも自分のやりたいことがあります。会社の視点と個人の視点の両方から目的を設定することが、成果を出すポイントだと思います。自律的な人材は、自律的には育ちません。当社も、人材教育を担う部門がどのように支援していくのか、いかに個人に寄り添うかという意識で取り組んでいきたいと思います。
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