激動の時代、変化に翻弄されない人材育成とは?
ヤマハ株式会社の新人・若手育成の全体像について、Webセミナーを開催しました|イベントレポート|組織開発・人材育成
2020.11.04
10月13日、ヤマハ株式会社の人材育成担当者をお招きし、同社の新人・若手育成の全体像に迫るWebセミナーを開催しました。当日は、「明確なゴール策定」「インプットとアウトプットの繰り返し」「成長実感の見える化」といったキーワードをもとに、環境の変化に左右されない人材育成のポイントを共有。約400人の参加者とともに、自社の人材育成を改善・加速させるためのヒントを探りました。
コロナ禍で変わった人材育成の手法とは?
新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが急速に普及した今、働き方の変化だけでなく、集合型研修からオンライン研修へのシフトなど、人材育成の面でも環境は激変しています。 特に、今年度の新入社員研修に目を向けてみると、これまで当たり前のように行われていた「入社時研修が中止になった」、また、実施したものの「大幅なオペレーション変更を余儀なくされた」「急な変更で思ったような効果が得られなかった」という企業も多かったのではないでしょうか。
10月13日に開催したWebセミナーでは、このような変化の時代において、新人・若手社員の育成を促進するにはどうしたらいいのか、環境の変化に左右されない新人・若手育成を実現しているヤマハの取り組みを共有しました。
セミナー冒頭、当社の片山牧彦は「まずは3年後、5年後にこうなってほしいというゴールを定め、そのゴールに向けてストーリー性のある教育を実施することが大切」と、求める人材像の明確化、ストーリー性・一貫性を持った育成の必要性について解説。そして、「実践と改善を繰り返し、"線"でつなげてあるべき姿を目指し、さらに本人だけでなく、OJT担当者や上長も含めた階層連動施策を取り入れた"面"の育成を行う」ことで、育成の効果を最大化していくことの重要性を力説しました。
3つのポイントを押さえ、"詰め込み型"教育から脱却
続いて、ヤマハの新人・若手育成の取り組みを紹介。人事部人材マネジメントグループの黒田泰広氏、ヤマハコーポレートサービスの亀川敬之氏、浮田千晶氏をパネリストに迎え、当社担当コンサルタントの中村友香理も加わり、教育体系構築のポイントや全社を巻き込んだ育成を推進するコツなどを共有しました。
社会環境や新人・若手の働くことに対する意識が変化する中、従来の「研修の中で知識を詰め込んで、あとは職場教育(OJT)に委ねる」というスタンスから脱却するために、「明確な育成ゴールを策定し、関係者と共通認識を図る」「インプット(研修)とアウトプット(職場での実践)の繰り返しで、態度・スキル・知識の完全定着を図る」「アセスメントを活用し、能力伸長度合いを定量分析する」の3つを意識して教育体系の見直しを進めた同社。 育成ゴールの設定方法のほか、態度・スキル・知識という能力要件を整理する際に使った理論やフレームワーク、全社で認識を共有するコツに至るまで、1つ1つ詳しく解説していただきました。
このうちアセスメント活用については、当社が提供するビジネススキル診断テスト『Biz SCORE Basic』と、当社がヤマハ向けに開発支援した、対象者の成長度合いを測るための『成長支援シート』の2つのツールを導入。 「外部の指標を使うことで客観性を担保する」だけでなく、「"頭の中にある知識"と"現場での行動"という性質の違うものを見ることで、達成状況をより正確に測る」という、2つのツールが必要な根拠やその効果、活用法についても明かしてくれました。
ゴールを明確にしておけば、どんな変化にも対応できる
新人・若手育成の抜本的な改革に踏み切り、様々な工夫を重ねることで、「関係者全員で新人を育てるという風土が会社に根付いてきた」という同社。 しかし、教育体系も風土も、「人事だけで変えていくのは難しい。研修でできることには限界があるので、部門を巻き込んで進めていくことが新人・若手育成の肝」としたうえで、その実現に向け「よく聞く言葉や理論を使って話すことで理解を得て、"協力者"を増やしていくことが必須」と、全社レベルで認識を共有・共通化するポイントも披露してくれました。
また、アセスメントの導入によって、「今年の新人、なんかよかったよね」という感覚的な測定で終わらない、"次"につながる育成も実現。コロナ禍で大幅な変更を余儀なくされた今年の新入社員研修においても、「ゴールが明確だったことで、研修実施の"How"の部分に重点を置き、スムーズにコンテンツを決めることができた」など、新しい教育体系の価値や様々な効果を共有していただきました。
詳細は近日公開。ご期待ください!
ヤマハの取り組みを受け当社の片山は、「何より人事のメンバーが思いを共有してゴール設定し、わかりやすい言葉や理論を使うことで周囲を巻き込んでいる。"面"の育成を実現できたのが、改革が成功したポイントではないか。ヤマハさんの事例を、ぜひ自社の新人・若手育成に役立ててほしい」と呼びかけ、セミナーを締めくくりました。
参加者からは、部門を巻き込み育てる風土を醸成するための具体的な方法や、新人・若手社員のモチベーション、メンタルをフォローするにはどうしたらよいかなど、一歩踏み込んだ質問が多く寄せられ、ヤマハの取り組みに対する関心の高さがうかがえました。
同社の新人・若手育成の詳しい中身や当社サービスの効果的な活用法は、当社ホームページ『導入事例』でご紹介します。ご期待ください。
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