今の新人・若手世代はここが違う!
新人・若手社員の育て方をテーマに、特別研修を開催しました|イベントレポート|組織開発・人材育成

2020.02.21

新人・若手社員の育成において、「今までと同じような指導方法は通用しない」、そう感じている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。そうだとしたら、そこにはどんな背景があり、どんな育成が求められるのでしょうか。今回は、「今どきの新人・若手社員の育て方」についてお伝えした特別研修の様子をレポートします。

今の新人・若手世代はここが違う! 新人・若手社員の育て方をテーマに、特別研修を開催しました|イベントレポート_3

"まずはやり方を覚える"はもう通用しない!?

本研修は、経営層や人事責任者・担当者を対象に、昨今の新人・若手世代の傾向を知っていただき、効果的な人材育成の方法を学んでいただく大好評の研修です。今年は1月8日、17日、22日に開催。計197名の皆さまにご参加いただき、新人・若手社員を取り巻く環境の変化をお伝えしたほか、「習慣」「経験前学習」といったキーワードをもとに、育成を推進するヒントを探りました。

研修の冒頭、「今後はAIの台頭によって、よりクリエイティブな仕事が求められる時代になる。やり方を覚えていればできる仕事が減り、創造性が必要な仕事が増えていく」と、労働環境の変化を説明。その中で、「昔のような、"新人はまず仕事のやり方を覚える"というアプローチでいいのか」との問いを投げかけ、これからの時代の新人・若手社員の育成方法を改めて考える必要性を共有しました。

また、「新人・若手時代にどんな習慣を身につけるかが将来に影響する。良い習慣を身につけさせ、悪い習慣を身につけさせないことが大切」と、スタート段階における指導の重要性を再確認するとともに、「誰に指導役を任せるか、誰の隣に座らせるかも重要な要素となる」、つまり身近にいる上司・先輩の習慣が新人・若手社員の成長を左右する可能性も示唆しました。

フェイディングを意識した「経験前学習」の必要性

続いて、社会環境の変化がもたらした昨今の新人・若手世代の「習慣」について言及。「物心がついたときからインターネットに接続できる状況にあり、何事も先に調べる習慣が身についている」ことから、「仕事においても、心配事やわからないことがあれば先に情報をインプットして行動に移すのが当たり前になっている」実態を共有しました。そのため「今の新人・若手世代には、"やってみればわかるから、まずはやってみて"といった経験学習ではなく、先に何かしらインプットする経験"前"学習が適している」との見解を示しました。

さらに、「何もインプットせずに仕事を任せると、"何も教えてくれないのにやらせるのか"といった不満・不安にもつながるため、業務の目的や陥りやすい失敗例などをインプットしたうえで仕事に取り組んでもらうことが大切」と、経験前学習を実践するポイントを提示したところ、「自分は経験から学ぶことが多かったため経験学習を重視していたが、そうではないことがわかりスッキリした」など、深く納得する参加者の姿が見られました。

一方、経験前学習だけを続けることのリスクとして、「依存心が強くなり、教えてもらわないと業務を進められない状態になる。ゼロから考える仕事やAIに代わられないクリエイティブな仕事ができるようにならない」ことにも触れ、「徐々に補助輪を外す"フェイディング"を意識し、経験前学習から経験学習へとシフトしていくことが不可欠」と、成長に応じて育成方法を変えていくことの必要性を解説。「相談を受けたら何でも教えるのではなく、"どうしたらいいと思う?"など、まずは自分で考えさせる。これを繰り返すことで、自分で考える習慣を身につけさせる」といった、経験学習へのスムーズなシフトを実現する方法もお伝えしました。

成長に欠かせないリフレクション、その効果的な実践法とは?

研修の後半では、「考える習慣」以外にも、1つ1つの仕事をやり切る習慣や定常的に知識を獲得し続ける習慣の大切さを説明したほか、「経験を自分の成長につなげる習慣」のつけさせ方を共有。「経験を成長につなげるモノの見方(=仕事の捉え方)」「経験を成長につなげるリフレクション(=振り返り)」の2つを挙げ、「自分にとって必要かどうかを判断するのではなく、どうしたら今後に活かせるかというモノの捉え方をする必要がある」、また、「"やってもやっても何も変わらない"状況を防ぐため、経験を振り返り、概念化してその内容を実行するリフレクションを行うことが必要」との考えを示しました。

リフレクションを行う際は、「ざっくりと振り返っても"次から気をつけます!"で終わってしまうので、できるだけ詳細に思い出す必要がある。思い出せるということは、仕事の進め方を意識して取り組んでいるということ。意図的に仕事に取り組んでいないと、たとえその仕事がうまくいっても、次からの仕事で"うまくいく仕事の進め方"を再現できないため、新人・若手社員には細かく思い出す習慣をつけてもらうことが大切。そのためにも、新人・若手のうちは上司は部下に対してなるべく細かく質問し、うまくいった理由やつまずいた理由などを考えさせるリフレクションを高頻度で行うべき」とのポイントを提示。そして、「(新人・若手社員が)自分一人できちんと振り返りを行えるようになれば、それはもう手放してもいいということ」という1つの指標を伝え、研修を締めくくりました。

研修後にご協力いただいたアンケートでは、「社内の現状を当てはめると、好ましくない習慣が蔓延していることに気づいた」「自分が実践している教育方法と照らし合わせ、新たな気づきがあった。今の教育を継続しつつ、一部やり方を変えてみようと思う」「内容そのものは既知のものが多かったが、その情報・状況を現場のマネージャーにどのように伝えれば理解してもらえるのか、という悩みを抱えていた。この悩みに対する1つのアプローチを示してもらえた」などのコメントが寄せられ、自社の現状を振り返るきっかけや改善に向けた気づきを持ち帰っていただけたようです。

新人・若手世代の育成については、3回シリーズの『今どきの新人・若手社員の育て方』でも取り上げていますので、本レポートと併せてお読みいただき、効果的な育成を推進するヒントをつかんでいただければ幸いです。

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