Webマーケティングとは?基礎知識から実践方法まで徹底解説



Webマーケティングは、企業がインターネットを活用して集客や販売促進を行うマーケティング活動です。スマートフォンの普及により、消費者の8割以上がインターネットを利用する現代では、効果的なWebマーケティングの実践が企業の成長に不可欠となっています。本コラムでは、SEO対策やWeb広告、コンテンツマーケティングなど、主要な施策の特徴や実践方法をわかりやすく解説します。
Webマーケティングとは
Webマーケティングとは、Web媒体で行うマーケティングやプロモーション活動のことです。Web媒体を活用し、自社のWebサイトへの集客や、商品やサービスの販売促進、ブランディングなどを目的としています。
従来のマーケティングと比べ、Webマーケティングには以下のような特徴があります。
- 地域的な制限がない
- ターゲット設定を詳細に分類できる
- 低コストで実施できる
- 効果測定が容易にできる
Webマーケティングの主な目的は、自社のWebサイトへの集客を増やし、会員登録や商品の購入、資料請求など、最終的な成果=コンバージョンに結びつけることです。
目的を達成するために、WebマーケターはWebマーケティングに関する様々な知識を身につける必要があります。SEO対策やリスティング広告、SNS活用など、それぞれの特性を理解したうえで、目的やゴールに合わせて適切な施策を講じることが重要です。
Webマーケティングが必要とされる理由
デジタル化が進む現代社会において、企業のマーケティング活動もインターネットを中心とした展開が不可欠となっています。ここでは、インターネット利用の現状と、企業活動におけるWebマーケティングの重要性について見ていきましょう。
インターネット利用の現状
デジタル技術の進歩とスマートフォンの普及に伴い、インターネットは私たちの生活に欠かせない存在となりました。総務省の通信利用動向調査によると、2023年の日本のインターネット利用率は86.2%に達し、スマートフォンでの利用が72.9%と、パソコンの47.4%を大きく上回っています。*
特に若年層ではスマートフォンを通じたSNSの利用や動画視聴が日常的な行為となっており、消費行動にも多大な影響を与えています。
*出典:「情報通信白書令和6年版 情報通信分野の現状と課題 インターネット利用状況」(総務省)
企業活動におけるWebマーケティングの重要性
このようなインターネット利用の拡大に伴い、デジタル化の進展は企業活動にも大きな変化をもたらしています。具体的には顧客接点の拡大やブランド認知度の向上、新規顧客の獲得など様々な効果が期待されており、企業の競争力強化につながっています。
こうした状況において、戦略的なWebマーケティングの実践が企業の成長を左右する重要な要素となっているのです。
Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い
Webマーケティングに似た用語として、デジタルマーケティングという言葉があります。一見似ているように思えますが、両者には明確な違いがあります。デジタルマーケティングは、Webマーケティングを包含するより広範なマーケティング活動を指します。
それぞれの定義と特徴、主な具体例を比較してみましょう。
【Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い】
項目 | Webマーケティング | デジタルマーケティング |
---|---|---|
定義 | インターネット上のWebを活用したマーケティング活動 | デジタル技術全般を活用したマーケティング活動 |
主な施策 |
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特徴 | インターネット上での展開に特化しているため、導入しやすく効果測定が比較的容易 | オンライン・オフライン両方で展開できるため、より包括的なアプローチが可能 |
活用媒体 |
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上記のように、Webマーケティングとデジタルマーケティングは、それぞれアプローチや活用範囲が異なります。企業の規模や目的に応じて、まずはWebマーケティングの基礎を固め、その後段階的にデジタルマーケティング全般へと展開していくという流れが一般的です。
Webマーケティングの種類と主な施策
Webマーケティングにはいくつかの種類や施策があります。単一の施策だけでは十分といえず、複数の施策を戦略的に組み合わせる必要があります。
ここでは、代表的なWebマーケティングの種類や施策について解説します。それぞれの特徴を理解し、自社の目的に合わせて活用しましょう。
(1)SEO(検索エンジン最適化)
SEOとは、Googleなどの検索エンジンにおいて、特定の検索キーワードで自社のWebサイトを上位に表示させるための施策です。
上位表示されることにより、広告費用をかけずに多くの訪問者を獲得できます。企業の信頼性のアピールにもつながるため、ブランディング効果も高められるでしょう。さらに、一度上位表示を獲得すれば、継続的な集客が期待でき、長期的な費用対効果も高いという利点があります。
一方で、SEOの効果が表れるまでにある程度時間がかかる点はデメリットといえます。また、検索エンジンのアルゴリズムに依存しているため、アルゴリズムの頻繁なアップデートに常に対応が求められる点にも注意が必要です。
検索エンジンは、ユーザーの検索キーワードに対して、最も有益と考えられるサイトを上位に表示する傾向があります。SEOで成果を出すためには、適切な検索キーワードを選定し、ユーザーにとって有益なコンテンツを作成することが重要です。
検索エンジンのアルゴリズムは、様々なシグナル(ランキングシグナル)を評価して検索順位を決定します。具体的には以下のような対策が効果的とされています。
- 検索されやすい言葉を自然な形で盛り込む
- サイト内の関連ページ同士をつなぐ
- 他のサイトから評価されるコンテンツを作る
- ページの表示が速く使いやすい設計にする
- スマートフォンでも見やすい画面作りをする
(2)Web広告
Web広告とは、インターネット上の様々なプラットフォームを活用して、商品やサービスの認知・販売を促進する施策です。代表的なものとして、検索エンジンの検索結果に表示されるリスティング広告や、Webサイトの広告枠に表示されるディスプレイ広告などがあります。
Web広告の主な種類について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
リスティング広告
リスティング広告は、Yahoo! JAPANやGoogleなどの検索結果画面に表示される広告です。ユーザーの検索意図に沿った広告を表示できるため、顕在層へのアプローチに適しており、購買や申し込みにつながりやすいという特徴があります。費用はクリック課金型で、広告がクリックされた時点で発生します。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告です。画像や動画を活用して商品の特徴や魅力を効果的に伝えることができます。まだ商品を知らない潜在顧客層への認知拡大に適しています。
SNS広告
SNS広告は、Instagram、X(旧Twitter)、TikTok、LINEなどのSNS上に表示される広告です。各プラットフォームの特性を活かした広告配信が可能です。ユーザーの年齢、性別、興味関心などの詳細な属性情報に基づいてターゲティングができ、自然な形で広告を届けられます。プラットフォームごとに最適な広告フォーマットや運用方法が異なるため、それぞれの特徴を理解した運用が重要です。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、過去にWebサイトを訪問したユーザーに対して表示する広告です。一度興味を持ってサイトを訪れたユーザーに再度アプローチできるため、高い成約率が期待できます。ユーザーの行動履歴に基づいて、最適なタイミングで広告を表示できる点が特徴です。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、ブログやSNS、メルマガなどのメディアを運営するアフィリエイターに広告掲載を依頼し、商品購入や資料請求などの成果が発生した際に報酬を支払う広告手法です。ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を介して広告主とアフィリエイターをマッチングすることで、複数のメディアからの集客が可能になります。
(3)コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、自社のWebサイトやオウンドメディアを通じて、ユーザーにとって価値のある情報を継続的に発信するマーケティング手法です。商品の紹介だけでなく、ユーザーの悩みを解決する情報を提供することでユーザーの信頼を得やすくなり、ファンの獲得につながります。
コンテンツは、ブログやノウハウ記事などの記事コンテンツ、動画コンテンツ、セミナーやウェビナー、ホワイトペーパー、事例紹介など多岐にわたります。なお、セミナーやウェビナーなどオフラインでの展開も、Webマーケティングと組み合わせることで相乗効果が期待できるでしょう。
魅力的なコンテンツ制作には時間と労力を要しますが、長期的な視点で見ると効果が大きいのが特徴です。オーガニック検索からの継続的な集客が実現でき、企業ブランディングの強化にもつながります。
(4)SNSマーケティング
SNSマーケティングは、Instagram、X(旧Twitter)、TikTok、LINEなどのSNSプラットフォーム上に、自社アカウントを開設して情報発信を行う手法です。有料広告とは異なり、基本的な運用に媒体費用はかかりません。SMM(ソーシャルメディアマーケティング)と呼ばれることもあります。
企業アカウントでは、商品情報の発信やキャンペーンの告知はもちろん、ユーザーと直接やり取りができる点が特徴です。商品に関する質問に答えたり、カスタマーサポートを行ったり、ユーザーの声を集めたりすることで、顧客との絆を深めることができます。
さらに、魅力的な投稿内容であれば、フォロワーが自発的にシェアやリポストをしてくれます。このような口コミの広がりによって、自然と企業の知名度が上がり、ブランドイメージの向上も期待できるでしょう。
(5)メールマーケティング
メールマーケティングはメールを配信することにより、集客や販売促進などつなげる手法です。顧客のニーズに合わせた情報を提供することで、信頼が高まり、最終的な成果を獲得しやすくなります。
また、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用することで、効率的にメールを配信できます。MAツールは顧客獲得おけるマーケティング活動を自動化するソフトウェアです。顧客の行動履歴に基づき、タイムリーな情報や興味関心を持ちやすい情報を送ることで、コンバージョン率(成約率)の向上が期待できます。
Webマーケティングの進め方とステップ
ここでは、Webマーケティングの進め方とステップについて解説します。Webマーケティングを成功に導くためには、以下のステップが重要です。
- (1)目標設定
- (2)施策の選定
- (3)効果測定と分析
- (4)改善とPDCAサイクル
それでは、1つずつ見ていきましょう。
(1)目標設定
まず、Webマーケティングにおける目標を具体的に設定します。次に、ターゲットとなる顧客像を明確にします。性別や年齢、居住地といった属性だけでなく、ターゲットの悩みや課題、趣味嗜好なども可能な限り具体的に定めましょう。
そして、最終ゴールの達成に向けたKPI(重要業績評価指標)を設定します。サイト流入数や商品ページの閲覧数、問い合わせ数など、施策ごとに達成すべき数値目標を細分化していきます。
(2)施策の選定
目標やターゲットを設定したら、目標達成に向けてどのようなWebマーケティングの手法や施策を実行するかを検討します。ターゲットの特性や予算なども踏まえ、いくつか組み合わせて実行することが大切です。
(3)効果測定と分析
Webマーケティングの取り組みについて、関連するデータを収集し、定期的に効果測定を行います。サイトへのアクセス数やコンバージョン数など定量データだけでなく、問い合わせ情報やアンケート内容などの定性データについても分析し、検証します。
(4)改善とPDCAサイクル
検証の結果、改善の必要がある場合は、施策を修正しPDCAサイクルを回していきます。
例えば、サイトへの流入数が一定数あるにもかかわらず、コンバージョン率が低ければ、LPO(ランディングページ最適化)を行います。また、サイトを訪問したものの、問い合わせにつながらなければEFO(入力フォーム最適化)に力を入れる必要があります。
継続的な改善が、Webマーケティング成功への近道といえるでしょう。
LPO(Landing Page Optimization、ランディングページ最適化)
LP(ランディングページ)とは、商品やサービスの購入など、特定の目的を持ったユーザーを誘導するためのWebページです。主に1ページのシンプルな構造と、明確に行動喚起できる点が特徴です。
LPO(ランディングページ最適化)とは、訪問者が途中離脱せず、スムーズにコンバージョンへ導くためにLPを改善することです。コンバージョンへのわかりやすい導線やユーザーに好まれるサイトデザインが求められます。
EFO(Entry Form Optimization、エントリーフォーム最適化)
EFO(エントリーフォーム最適化)は、ユーザーの離脱を防ぐため、問い合わせフォームや申し込みフォームを改善することです。入力の負担を減らすため、シンプルで入力しやすい設計が求められます。
項目を最小限に絞り、必要な情報だけを聞くことで、ユーザーの離脱を防ぐことがポイントです。
Webマーケティングに役立つデジタルツール
Webマーケティングを効率よく実施するには、デジタルツールの活用が不可欠です。ここでは、マーケティングオートメーション(MA)・CMS・アクセス解析ツール・ABテストツールの代表的な4つのツールを詳しくご紹介しましょう。
マーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーション(MA)は、メール配信から顧客の行動分析まで、マーケティング活動を一元的に自動化できるシステムです。このツールを効果的に活用することで、見込み客の購買意欲を段階的に高められます。
例えば、資料請求をしたユーザーに対して、以下のような段階的なアプローチを実施できます。
- 製品・サービスの基本情報の提供
- 商品の詳細情報や活用事例の配信
- セミナーへの招待
さらに、閲覧履歴に応じて関連コンテンツを表示したり、商談化の可能性が高い見込み客を自動で判別して営業部門へ引き継いだりすることも可能です。人手不足の企業でも効率的なマーケティング活動を実現できる点がメリットです。
CMS
CMSは、HTMLやプログラミングの専門知識がなくてもWebサイトの作成や更新が可能なシステムです。管理画面から文章や画像を入力するだけで、新商品情報やキャンペーン告知など、タイムリーな情報発信ができます。
また、問い合わせフォームの管理やアクセス解析との連携など、Webサイト運営に必要な機能も備えているのが特徴です。導入時の初期費用は必要ですが、更新作業の効率化や運用コストの削減が期待できます。
アクセス解析ツール
Google AnalyticsなどのWeb解析ツールは、サイトの訪問者数や滞在時間、ページの閲覧動向など、ユーザーの行動などを詳細に把握できるシステムです。例えば、どのページで離脱が多いのか、どの導線でコンバージョンが発生しやすいのかといった具体的な改善ポイントを特定できます。さらに、流入元の分析やコンバージョンまでの動線分析によって、マーケティング施策の立案にも活用されます。
ABテストツール
ABテストツールは、Webサイトの改善に特化したツールです。キャッチコピーやボタンの配置、画像のサイズなど、ページの要素を変えた複数のバージョンを用意し、どの組み合わせがより効果的かを科学的に検証することができます。
具体的には、
- 申し込みボタンの色を「緑」と「赤」で比較
- CTAボタンの文言を「今すぐ申し込む」と「無料で始める」で比較
- 商品画像のサイズを「大」と「小」で比較
- ヘッダー画像の「動画」と「静止画」で比較
といった要素を検証し、コンバージョン率の違いを測定します。これにより、最適なデザインや導線を見つけ出すことができます。
Webマーケターに求められるスキル
Webマーケターには、Webマーケティングに関する様々なスキルが求められます。ここでは特に重要と考えられる3つのスキルをご紹介します。
デジタルに関する知識
Webマーケターには、マーケティング知識だけでなく、デジタル全般に関する理解が必要です。エンジニアのような専門的な知識や技術は不要ですが、デジタル媒体の基礎的な知識が求められます。
データ分析力
Webマーケティングの特徴の1つは、結果が数値で明確にわかることです。ユーザーの行動をデータとして収集し、分析することで、次のマーケティング戦略に活かせます。
Webサイトの訪問者データを解析し、訪問者の行動パターンを把握することで、的確な改善策を講じられるでしょう。
コミュニケーション能力と柔軟性
Webマーケティングには非常に多くの工程があるため、チームでの連携が不可欠です。Webディレクターやデザイナー、ライター、営業担当者など、多くの関係者と協力し、円滑に業務を進めるためには、コミュニケーション能力が重要です。
また、プロジェクトで発生する様々な問題に対して、柔軟に対応する力も求められます。
Webマーケティングに役立つ資格
Webマーケティングの仕事の多くは未経験から可能です。必ずしも資格が必要というわけではありませんが、資格を取得することでキャリアアップや転職に有利に働きます。最後に、Webマーケティングに役立つ資格を3つご紹介します。
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、マーケティング実務の知識とスキルを評価する資格です。マーケティング理論に加え、実際の仕事で役立つ総合的な知識を習得できます。
試験はA級、B級、C級の3つのレベルに分かれています。C級は基礎レベル、B級は応用レベル、A級はマネジメントレベルです。国際実務マーケティング協会が主催し、年に4回実施されています。
参考:国際実務マーケティング協会「マーケティング・ビジネス実務検定」
Webアナリスト検定
Webアナリスト検定は、Googleアナリティクスの活用方法を体系的に学ぶための資格です。5時間のオンライン講座で理解を深めてから受験できます。合格率は約8割と比較的、取得しやすい資格といえます。
参考:日本Web協会「Webアナリスト検定」
Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)は、Googleアナリティクスの習熟度をGoogleが公式に証明するものです。試験は無料で、在宅で受験できます。資格の有効期間は12カ月となり、期間が過ぎると失効します。
参考:Google「Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)」