インクルージョンとは?メリット・デメリットを解説

update更新日:2023.07.31 published公開日:2023.07.07
インクルージョンとは?メリット・デメリットを解説
目次

組織のメンバーがお互いの価値観や考え方を認め合い、一体感を持った状態を指す「インクルージョン」。 「ダイバーシティ」とともに注目されており、現在多くの企業がインクルージョンの実現に向けて取り組みを進めています。
本コラムでは、インクルージョンが求められる背景やメリット・デメリット、ダイバーシティとの違い、具体的な施策について解説します。

障がい者雇用で誰もが働きやすい会社へ~ダイバーシティ&インクルージョン実現まで~

インクルージョンとは‍‍

「インクルージョン」は一般的には「包括」「包含」「包摂」などを意味する言葉ですが、ビジネスシーンでは「全ての従業員が、互いにそれぞれの経験や能力、考え方などの個性を認め合い、仕事に参画・貢献する機会が与えられ、一体感を持って働いている状態」とされています。

企業におけるインクルージョンでは、性別や国籍、障害の有無などといった違いを受け入れたうえで、組織活動を行うことが大切だとされています。

インクルージョンが求められている背景とは

インクルージョンが求められている背景には、少子高齢化による労働人口の減少の深刻化などがあります。インクルージョンを実現している企業は、求職者にとって魅力的と映る可能性が高く、人材獲得に有利に働くと考えらます。

また、多くのプロダクトやサービスが溢れ差別化ポイントの打ち出しが難しい中、インクルージョンの実現によって多様な意見を得られることでプロダクトの差別化のアイデアも集まりやすくなるでしょう。結果、顧客のニーズを満たし、企業の成長が期待できるようになります。

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは‍‍

インクルージョンとともに注目される言葉に「ダイバーシティ」があります。2つを合わせた「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」とは、多様性を認めるだけではなく、多様な人材が活躍できる組織環境を整えることを表す言葉です。

そもそもダイバーシティとは

ダイバーシティとは「多様性」を意味する言葉です。ビジネスシーンでは、年齢や性別、人種、価値観などを指して使われます。近年は、女性活躍躍進や性的マイノリティであるLGBTQIA+、子育てと仕事の両立などに対する理解や配慮などでも注目されている概念です。

ダイバーシティとインクルージョンの違い

ダイバーシティとインクルージョンの共通点は、多様な人材が集まっているという点です。ダイバーシティは、多様性のある状態そのものを指しますが、それらが相互に関係しているかは加味されていません。インクルージョンは、そうした人々が互いに関係し、活躍できる状態を指しています。つまり、ダイバーシティはインクルージョンを実現するための前提条件といえるでしょう。

ダイバーシティ&インクルージョンのメリット‍‍

ダイバーシティとインクルージョンの実現は企業にとって大きなメリットがあります。

従業員の生産性向上が期待できる

多様性を認めて受け入れることは、従業員の生産性向上につながります。

生産性を高めるには、従業員が安心して働ける環境が必要です。企業が多様性を認める姿勢を見せることができれば、従業員が「自分もここで活躍できるんだ」と考えモチベーションアップにつながり、結果的に組織全体の生産性向上が期待できます。

企業イメージが良くなりブランディングにつながる

ダイバーシティ&インクルージョンの推進により多様性が認められていると、企業イメージが向上しブランディングにつながりやすくなるメリットがあります。

多様性を認める企業は求職者にとっても魅力的であり、優秀な人材の採用にもつながります。ブランディングの一環として、ダイバーシティ&インクルージョンの実現を目指すのもよいでしょう。

アイデアが出やすくなりイノベーションが起きやすくなる

新しいアイデアを生み出すには、さまざまな知識や経験、価値観を持つ人材が意見を出し合うことが欠かせません。ダイバーシティを実現して多様な人材を受け入れ、インクルージョンの推進により働きやすい環境が整っていれば、全ての人材が自由に発言しやすくなります。

異なるアプローチからの発想をもとに、活発な意見交換ができる組織に育て上げられれば、イノベーションを創出できる可能性が高まるでしょう。

ダイバーシティ&インクルージョンのデメリットと対策‍‍

ダイバーシティ&インクルージョンの推進には、メリットだけではなくデメリットも存在しています。自社で推進する際にはデメリットを把握したうえで、対策を立てることが重要です。

従業員による反発や抵抗が起こる

社内に新しい考え方や制度を導入するときは、従業員による反発や抵抗の可能性を考慮しておきましょう。全ての従業員が快く変化を受け入れるとは考えず、変化に否定的な人達への理解や配慮も必要です。

従業員に多様性を理解してもらうには、丁寧な説明や導入するメリットを伝えることが大切です。また、自社におけるインクルージョンの実現を具体的に設定し、ゴールイメージを伝えて理解を促しましょう。

導入や推進に時間がかかる

ダイバーシティ&インクルージョンが根付くまでには、体制の整備や従業員の価値観の変容などに時間がかかります。まずはその期間を見越したうえで、ゴールを設定しましょう。また実施する前には、自社のインクルージョンの現状も把握しておいたうえで計画を立て、根気強く取り組みを続けましょう。

進捗を確認するには、インクルージョンに特化した面接やアンケート調査の定期的な実施が有効です。

数値でわかることに固執してしまう

ダイバーシティを推進する際には、女性役員比率や外国人比率など、数値に目が行きがちです。しかし、実際のインクルージョンでは従業員同士の関係性や働きやすさなど、数値化しにくい面もあります。

もちろん数値は重要ですが、数値だけに固執すると本来の目的が達成されない可能性があります。数値で追いやすいものとそうでないものを分け、それぞれの達成目標を決めておき、また数値化しにくいものはアンケート調査や面談を通して状況を把握するとよいでしょう。

ダイバーシティ&インクルージョンの具体的な施策‍‍

自社でダイバーシティ&インクルージョンを推進するための具体的な施策について解説します。

研修やセミナーを実施する

組織内で多様性を認める環境を整備するためには、研修やセミナーが効果的です。例えば、ダイバーシティ&インクルージョンの重要性やダイバーシティとインクルージョンの違い、性的マイノリティやジェンダーに関するセミナーも、従業員の意識改革に役立ちます。

研修やセミナーは一度実施して終わりではありません。テーマについて継続して考えられる環境づくりも大切です。

コミュニケーションを取るイベントを実施する

自社でダイバーシティ&インクルージョンを浸透させるのであれば、従業員同士がコミュニケーションを取れるイベントの実施がおすすめです。対話によって多様性への理解が進むケースが多いため、異なる価値観を持つ人とのコミュニケーションによって相互理解が促進されるでしょう。

イベントの内容は少人数でのランチ会やディスカッションなど、取り組みやすいものから実施するのがよいでしょう。

多様な価値観に合わせた働き方を整備する

インクルージョンを推進する際は、多様な価値観に合わせた働き方の整備も視野に入れましょう。従来のフルタイム・通勤型の勤務形態の見直しや、シニア層の雇用拡大、副業・兼業の解禁などもインクルージョンの浸透の一案です。働き方の選択肢が増えたことで、組織全体の生産性が向上したケースもあります。

多様な価値観に合わせた働き方を整備して、従業員が能力を発揮しやすい環境をつくりましょう。

適正や得意に合わせた人材を配置する

適正や強みを重視した人材配置もインクルージョンの浸透に寄与します。得意なことが活かせると、人はやりがいを感じます。仕事へのやりがいは、生産性の向上にもつながるでしょう。

あえて苦手な仕事をさせて成長を促す手法もあるため、どのようにインクルージョンを浸透させるかは企業の戦略によりますが、従業員の成長や生産性向上といった目的は同じです。強みと弱みのバランスを考えて人材を配置しましょう。

インクルージョンの実現を目指そう

多様性を受け入れて、誰もが活躍できる環境づくりを目指すインクルージョンは、生産性の向上やアイデアの創出など企業の活動を後押ししてくれる要素です。

従業員の理解を得て、組織に浸透するまでは多くの課題があります。インクルージョンを推進するには、経営幹部層から意識改革を実施し、トップダウンで進めていくことが重要です。自社でインクルージョンを推進するために、まず経営幹部研修からスタートしてみませんか?経営幹部の意識改革が、企業の持続的な成長につながるはずです。
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また当社で人材育成の支援を行っているプロアシスト様は、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組み、育休取得後の復職率100%を実現しています。育休期間を会社側でサポートしており、復職後は状況に適した業務に取り組める環境が整った状態です。従業員だけではなく、その家族にも配慮しており、状況に応じて意欲的に働けるような制度やプログラムの整備にも構想が練られています。
プロアシスト様 「『社員は家族』と思い接しています」の詳細はこちら