「中堅社員育成」 ―将来を支える中堅社員にこそ教育機会を!担うべき役割とは?
中堅社員の教育はなぜ必要?
責任者や管理者ではないとはいえ、組織の成果に大きな影響を与える中堅社員。「マネジメント領域に入る一歩前の段階として、マネジメント業務の一端を担うこと」、「プレイヤーとして自力をつけること」など、中堅社員は組織の中で大きな役割を求められています。実際に、現場の中核を担っていたり、後輩の指導を的確に行っていたりと、社内の重要人物として認識されることがほとんど。中堅社員は、企業の成長や競争力の強化に必要不可欠な階層と位置付けられています。
キーパーソンとして将来を期待されているからこそ教育の必要性が高く、教育の効果も期待できる中堅社員ですが、この階層向けの育成計画をしっかりと立てている企業はまだまだ少なく、当社では「教育の空白地帯」と呼んでいます。バリバリ働いているがゆえに多忙である、一人でも仕事をこなせるため、そもそも本人も企業も教育の必要性を感じていない、といった事情が背景にあるようです。また、求めるレベルや担当業務が人によって異なるため、新入社員のように研修を画一化できない、新入社員研修や管理職研修のように、「入社した」「昇格した」といった節目(=きっかけ)がないことも影響していると考えられます。
将来のリーダー候補である中堅社員が活躍すればするほど、企業にとっては心強いもの。しかし、自分の仕事に集中しすぎるあまり、組織という広い世界に目を向けないようでは、リーダーにふさわしいとは言えません。適切なタイミングで教育を行うことで、個人としての能力アップはもちろん、自己認識を促し、リーダーとしての心構えやスキルを育てていく必要があります。
“教育空白地帯”を埋めて、意識改革と能力開発を
ここまで、中堅社員教育の重要性と必要性を考えてきました。先ほど、中堅社員には教育を受ける"きっかけ"がないとお伝えしましたが、そのきっかけをつくり、適切な教育を行うには「対象」と「人材像」を明確にしておく必要があります。なぜなら、対象となる層も目指すべき人材像も曖昧では、教育の設計自体ができないからです。まずはこの2点を整理する。既に明確になっているのなら、その設定に合った教育の方法や内容を吟味する。中堅社員教育に限ったことではありませんが、人材の育成に当たってはこの2点を常にクリアにしておくことを忘れてはいけません。
では、「対象」と「人材像」がはっきりしたら、具体的にどのような教育を行うのが効果的でしょうか? 業務で忙しい中堅社員の育成には、もちろん業務から学べる仕組みをつくることも大切ですが、学ぶべきポイントが整理された研修を受けることも一手です。
一般的に中堅社員研修は、プレイヤーと管理職一歩手前の社員を対象として、個人としての能力を高める研修、管理職に求められる要素などを学ぶ研修に大別されています。個人の能力アップを図る研修には、職種別の専門スキルに特化した研修や、ロジカルシンキング、交渉術、プレゼンテーション術など、職種によらないベーシックなスキルを高める研修があります。また、6年目や8年目といった年次別の研修では、同期の成長を感じることができるはもちろん、スキルレベルが近い者同士が切磋琢磨するため、高い研修効果を生むことが期待できます。
管理職手前を対象とした研修には、フォロワーシップ研修や次期管理職研修などがあり、当社でも多数サービスを用意しています。職位が上がると同時に意識すべき一般職との違いや、現場と組織のパイプ役として担うべきポイントなど、基本的なことを学んでいただく研修のほか、パラダイムシフトに焦点を当て具体的な管理職のイメージをつかんでもらう研修などを提供しています。
繰り返しになりますが、「5年目だからこの研修、6年目だから次期管理職研修」などと決めつけるのではなく、プレイヤーとしてのさらなる能力アップを求めるのか、管理職としての視点を植え付けたいのか、対象を明確にし、個々の課題に合った研修を受けることが効果的です。また、研修を受ける社員が「自分は何を求められているのか」「何を変えないといけないのか」を理解していなければ、せっかくの研修も水の泡となってしまいます。教育を忘れがちな中堅社員の育成においては、主任クラス、係長クラスというように、あらかじめきっかけを設定しておくことも空白地帯の解消につながります。いま一度自社の現状を振り返り、中堅社員の育成について考えていただければ幸いです。
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