せっかく立てた人材育成計画 - 「研修」の取り入れ方で達成までの道のりは変わる
まずはメリット、デメリットを正しく理解するところから
ひとえに「研修」と言っても、その受講方法は様々です。当社では主に、「講師派遣」、「公開型」、「社内講師」の3つに分けています。特徴は三者三様。自社の計画に合った適切な研修方法を選ぶために、まずはそれぞれのメリットとデメリットを見ていきたいと思います。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
講師派遣 | ・自社に合わせてカスタマイズできる ・他社を知るプロの知見を得ることができる |
・受講者が顔見知りのため、課題の本質に行きつかないことがある ・スポット的な研修で終わってしまいやすい |
公開型 | ・対象者が少なくても参加が可能 ・他者との交流によって普段とは異なる視点が得られる ・社員を選んで受講させられる |
・受講者に依存する領域が増える ・内容が一般的であるため、参加者の受講前の意識付けや概念化能力が低いと、職場での効果が発揮されにくい |
社内講師 | ・受講生の能力アップだけでなく、講師となる社員のプレゼンテーション力なども鍛えられる ・ノウハウが蓄積しやすい ・受講生にとっては講師の話す事例が自社のものであるため、イメージしやすい |
・講師となる社員の業務が増えるため、会社のサポートが必要になる ・講師がプロではないため伝わりにくさがある ・講師と受講者の人間関係が研修にいい意味でも悪い意味でも影響を及ぼす |
では、それぞれのメリットを享受し、策定した人材育成計画を効率的に遂行していくために、具体的にどのようなポイントを押さえたらよいのでしょうか。
「講師派遣」では講師の“質”を見極めて
「講師派遣」研修は、各社の要望に合わせて研修内容をカスタマイズすることができるため、多くの場合、自社の事例を用いたケーススタディを取り入れます。そのため、研修で得られた知識をすばやく実行に移しやすいというメリットがあります。一方、受講者が社員同士、つまり皆が顔見知りの可能性が高いので、どうしても「仲良し」になりがちです。これでは、他者から受ける刺激が少ない、グループワークが本質的に活発にならないなど、研修の本質に行きつかないことがあるのも事実です。そのためにいるのがプロの講師。しっかりとファシリテート、あるいは受講生に耳の痛い話ができる講師を選ぶことで、効果的な研修となりますので、講師選びは慎重に行うことを推奨します。
「公開型」では個人の課題と合致していることが前提
「公開型」研修は、受講者一人ひとりの課題や希望に合った研修を選択することができます。そのため、知識レベルや身に付けるべきスキルの優先順位が異なる社員を育成する場合に活用しやすい研修形式です。普段は接することのない異業種・異職種の方との交流もありますので、刺激を受け、視野を広げやすいといったメリットもあります。
この「公開型」研修を有意義なものとするためには、受講対象者個人の課題に紐づいた研修計画になっているか、受講対象者の課題認識の醸成はできているか、などの確認が欠かせません。これらの点に注意しながら研修を選ぶことで、「公開型」研修のメリットを最大限に享受できます。
受講者との人間関係も影響するのが「社内講師」
「社内講師」による研修は、知識を体系的にまとめる力や、ファシリテーション力、プレゼンテーション力など、講師となる社員自身もスキルアップできる点が特徴です。「プロの講師に引けを取らないように」と、一生懸命準備する社員も多くいらっしゃいます。ただ、講師がどれだけ準備を整えても、講師と受講者の関係によっては思うような効果が得られないことがあるため、講師選定では注意が必要です。研修では「何を伝えるか」はもちろん重要ですが、「誰が伝えるか」も効果を左右する大切な要素ですから、講師選定においては、受講者が敬意を払うことのできる人材かどうか、社内で知見や力量があると認められた存在か、などを考慮して人選しなければなりません。
ここまで、「講師派遣」、「公開型」、「社内講師」それぞれの特徴や取り入れる際のポイントを見てきましたが、当社では、「講師派遣」×「公開型」や「公開型」×「社内講師」など、各社の人材育成計画に沿ってうまく組み合わせ、継続して取り入れていくことをお薦めしています。継続的に研修を取り入れることで、一人ひとりの能力は確実にアップしていきます。また、研修を受けて終わりではなく、研修後の行動をあらかじめ決めておくことも大切です。研修で学んだことが実践できているか、定期的に確認する場を設けて、せっかくの研修が無駄にならない仕組みをつくることが、人材育成計画で掲げた目標を達成するための近道です。