【HRDレポート】女性活躍推進法施行~女性管理職はロールモデルか
2016年4月1日の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)施行を目前に控え、女性活躍の実態と周囲の評価、またこれから活躍が期待される若手社員の意識についてアンケートを実施しました。アンケートは当社の研修サービスBiz CAMPUS Basic のうち、管理職および若手社員を対象とした研修の受講者1,461名を対象に2016年3月11日~30日に実施しました。
アンケートから浮かび上がったのは、仕事に向き合い部下からの信頼も得て意欲的に働く女性管理職と、保守的な一面も覗かせつつも、男性社員以上に仕事に対して主体的な若手女性社員の姿です。
【調査結果のサマリ】
- 女性管理職は「このままもっと成長したい」、より高度な仕事に対しても意欲的
- 仕事に真摯に向き合い成長し続ける上司は若手社員にとってのロールモデル
- 女性若手社員は上司に憧れつつも、現状に満足する保守的な一面も
- 管理職だけでなく若手社員も、女性は男性よりも総じて仕事に対して前向き
女性管理職の実態
研修受講者の性別を見てみると、若手社員(係長以下)ではおよそ男:女=6:4ですが、管理職(課長以上)ではおよそ9:1となりました(図1)。男性管理職に比べて女性管理職は圧倒的に少数派と言えます。一方で女性管理職と男性管理職の社会人歴構成に大きな差は見られず(図2)、若くして管理職に登用されている女性も一定の割合でいることが分かります。
自身を取り巻く仕事の環境および成長意欲について女性管理職に聞いたところ(図3および4)、「環境が自分の成長に適している」と感じている人が多く(78.1%、男性管理職は70.9%)、また「もっと高度な仕事に取り組みたい」という人が9割を超える結果となりました(93.9%、男性管理職は78.6%)。男性と渡り合い1割の管理職となった "選ばれた女性"にとっては、現在の仕事環境が心地よく、「この調子でもっと成長したい」といったポジティブでアグレッシブな様子がうかがえます。
一方で、女性管理職は自分が頑張っている分部下に対する期待も高いためか、部下の評価が辛い傾向が見られました。部下のことを「プライベートを優先」(43.8%)して「成長をし続けていない」(46.9%)と評価する女性管理職が、男性管理職(それぞれ26.5%、35.4%)より多い結果となりました(図5および6)。
女性管理職を見る部下の目
若手社員に上司の仕事の仕方(「変化・成長し続けているか」「より高度な仕事に取り組んでいるか」)について聞いたところ、女性管理職(上司が女性である場合)の評価は男性管理職(上司が男性である場合)と同程度かむしろ高い傾向があり、それぞれ「とてもそう思う」「そう思う」を足すと8割程度(80.4%、76.5%)となっています(図7左・中)。
上司のワーク・ライフ・バランス(WLB)については、女性管理職を上司に持つ人の80.4%が「上司はプライベートよりも仕事を優先している」と感じています(上司が男性の場合は78.6%、図7右)。
これらの結果から、男性管理職と肩を並べ、あるいは、より意欲的・挑戦的に働き、部下からも認められ輝いている女性管理職の姿がイメージされます。
「将来、上司のようになりたいか」という問いに対して、上司が女性の場合は58.8%でした(上司が男性の場合は52.4%)が、若手社員が「上司の仕事の仕方」を評価しているほど高くなる(「上司のようになりたい」と思う若手が多くなる)傾向がありました(図8および9、10)。現状よりも高度な仕事に取り組み、成長し続ける女性管理職が女性若手社員のロールモデルとして機能していることをうかがわせます。
「上司の仕事の仕方」を評価する人ほど(図では左ほど)、性別によらず「上司のようになりたい」という回答が高い
若手女性の意識
若手社員に自身の仕事の仕方について聞いたところ、「仕事に対して主体的に取り組んでいる」という女性は79.6%と男性(74.7%)と比べてやや多く、またワーク・ライフ・バランスについては「仕事よりもプライベートを優先している」という女性は39.4%と男性(44.2%)と比べてやや少ない結果となりました(図11および12)。管理職同様に若手においても、きちんと仕事に向き合う女性社員の様子がうかがえます。
一方で、「取り巻く環境が自身の成長に適しているか」という問いについて、女性若手社員(64.6%)は女性管理職(78.1%)に比べて10ポイント以上低い結果となりました(図13)。また「もっと高度な仕事に取組みたい」という項目において女性の若手社員(64.9%)は男性の若手社員(78.1%)と比べて低く、保守的な一面を垣間見ることができます(図14)。仕事を通した自身の成長について、若手女性社員の認識、価値観が従来のものとは変わってきていることが示唆されます。
まとめ
現在会社で管理職となっている女性は、男性に負けじとワーク・ライフ・バランスも気にせずに働き、成長し続けるためにより高度な仕事にチャレンジしていることが分かりました。仕事に取り組むその姿に対して部下からの評価は高く、部下にとって女性管理職は憧れの存在=ロールモデルでもあります。
一方で若手の女性社員において、現在の管理職世代の「自分にも周囲にも厳しく、もっと成長を」というスタンスに対して違和感を持っている人が多いことも示唆されました。若手女性社員は従来の管理職世代とは異なる働き方、成長の仕方を求めていると考えられ、女性活用のさらなる推進においては、若手女性社員の仕事観を加味した人材戦略・人材育成が必要と言えます。
【調査概要】
調査対象 | Biz CAMPUS Basicの研修*1を受講する管理職(課長以上) および若手・中堅社員(係長以下) *1 東京会場で開催の管理職向け研修および若手・中堅社員向け研修 |
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調査時期 | 2016年3月11日~3月30日 |
調査方法 | 自記式のアンケート調査 |
サンプル数 | 1,461名(管理職:329名、若手・中堅社員:1,132名) |
Biz CAMPUS Basicについて
Biz CAMPUS Basicは業界初*2定額制集合研修です。研修テーマは若手・中堅社員から管理職、幹部社員、経営層まで広く対応、これまで10,000社以上にご利用いただき、研修の受講者は延べ260万人以上となっています。2016年からはBiz CAMPUS Basicで提供している研修を動画教材として撮り下ろした「Biz CAMPUS Online」も提供を開始、「地方拠点の社員にも本社と同じ体系の教育を受けさせたい」「育児休暇からの復職に向けた準備をしてもらいたい」といった企業のニーズに応ていえます。
*2 東京商工リサーチほか調べ