Z世代とは?育成のポイントや向き合い方
Z世代とは?
「Z世代」とは、一般的に1990年代の半ばから2010年代に生まれた世代のこと。2022年現在で言えば、26歳以下の若い世代を指し、アメリカにおける世代分類を表す言葉の一つである「ジェネレーションZ」が元になっています。Z世代の多くは、日本におけるバブル世代・団塊ジュニア世代の子どもにあたります。
Z世代と同じ年代を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 真のデジタルネイティブ世代
- スマホ世代(iジェネレーション、iGen)
- C世代
Z世代の社会進出は2010年代後半から始まりました。これから社会を担っていく存在として非常に注目されています。
生まれたときからデジタル化された社会で育った世代ですので、子ども時代からインターネットを使いこなしており、YouTuberやインフルエンサーが多いのも特徴です。
Z世代とミレニアル世代の違い
Z世代より上の世代に、「ミレニアル世代(Y世代)」があります。ミレニアム世代とは、1980年代から1990年代半ばに生まれた世代のことで、新千年紀(ミレニアム)を迎えた2000年以降に社会進出することに由来した名称です。インターネットが世界中に普及する前に生まれた最後の世代であることに加え、幼少期から青年期にかけてIT革命を目の当たりにしてきたという特徴を持ちます。
Z世代とミレニアル世代の違いは、Z世代が「真のデジタルネイティブ」であるのに対して、ミレニアル世代は「デジタルネイティブの先駆け」と言えることです。一方で、デジタルデバイスを使いこなしながら多様な価値観を受け入れる点などは、Z世代とミレニアル世代の共通点と言えます。
Z世代の5つの特徴
Z世代は2010年代後半から社会に進出しており、大きな存在感を示しています。これからの社会を担うZ世代には、どのような特徴があるのでしょうか。Z世代と円滑なコミュニケーションを行い、より良い関係を築くためにも、5つの特徴を押さえておきましょう。
デジタルネイティブでもPCスキルは低め
Z世代は真のデジタルネイティブであるため、インターネットを利用した情報収集能力に長けていると言えるでしょう。
具体的には、
- 非ネイティブ世代と比べて情報リテラシーが高い
- 情報の信憑性を慎重に判断する
- 検索する内容によって検索エンジンだけでなくSNSも活用する
などの特徴があり、必要な情報に効率良くアクセスするスキルを備えています。
ただ、Z世代はスマートフォンやタブレットには慣れているものの、パソコンの利用率はあまり高くありません。
社内のシステムや業務を覚えてもらうには、入社後にデジタルネイティブ世代を対象としたPCスキル研修が必要になるでしょう。
特にITスキルが必要な業務なら、効率的にスキルアップできる外部研修の利用もよいでしょう。ALL DIFFERENTでもIT系スキルやITエンジニア育成を支援するサービスをご提供していますので、ぜひご活用ください。
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コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスを重視する
Z世代の2つめの特徴は、ビジネスの場に限らず、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する特徴があることです。特に最近は、大学の授業や映画、動画を倍速で見る人が増え、タイムパフォーマンスが話題になりました。
とはいえ、全てのZ世代があらゆる動画を倍速で見ているわけではありません。重要ではないと思われる部分のみを倍速で聞く、重要だと思われる部分や興味のある部分は通常の速度で聴く、倍速であっても繰り返し聴くなど、さまざまな工夫をしているようです。
Z世代は、情報量の多いデジタル社会において、興味のあるコンテンツを取捨選択し、うまく活用しています。
仕事に対しても、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスの視点をもって、効率よく進める姿勢が見られるでしょう。
好きなことや自分らしさを優先する
好きなことや自分らしさを優先して行動するのもZ世代の特徴です。子ども時代や学生時代は個性の尊重や平等といった価値観を学んできました。その結果、たとえ自身が何かで優れていても強く主張せず、謙遜しやすい面があります。
Z世代は、仕事においてやりがいや充実感を求め、自身のスキル向上に意欲的です。特に、1つのスキルを磨いてスペシャリストを目指す傾向が強いと言われています。特性に合った仕事を与えれば、貪欲に成長してくれるでしょう。
一方で、やりがいが感じられない仕事に対しては大きくモチベーションを下げてしまうかもしれません。
Z世代の採用や育成では、こうしたさまざまな価値観を理解した上で施策を実行する必要があります。
多様性を理解し寛容である
個性の尊重や平等の重視と関連して、Z世代は他の世代よりも多様な価値観に触れる機会が多く、ダイバーシティーに対する意識が高い傾向にあります。
人種・国籍・性別をはじめとした多様性に理解があることで、他の世代よりも柔軟な考え方を持ち、新しい価値観や発想を生み出す力を秘めています。
近年、企業においても、ハラスメント防止や子育て世代に対する取り組みの強化が求められてきました。ジェンダーにも強い関心を持つZ世代は、性別や従来の固定観念で一方的に決めつけるのではない社会を求めています。自分らしさを肯定し、他の人の「その人らしさ」も許容するのがZ世代の人間関係の築き方と言えるでしょう。
社会問題や環境問題に関心がある
他の世代と比べて、Z世代は社会問題や環境問題に強い関心を持っています。
10代の多感な時期に、長い経済の低迷 や東日本大震災を経験し、近年は「サスティナブル」に社会的注目が集まっている時代でもあります。特に2015年9月に開催された国連サミットでは「SDGs」が採択され、学校教育や経済活動など、さまざまな場面で見聞きする機会が増えました。
SDGsに象徴されるような社会問題や環境問題に関心を持つZ世代は多く、それらの課題を自分に関係があるものと捉える傾向が他の世代よりも強く見られます。
Z世代を育成するうえで重要な4つのポイント
Z世代をしっかり育成するには、従来の育成方針自体をアップデートしなければなりません。
Z世代を育成するうえで重要な4つのポイントを見ていきましょう。
1.個性や人格を認めた対応をする
Z世代は、仕事において自分らしく働けることを重視しています。言い換えれば、個性を発揮して働きたいと考えているのです。属性や所属、世代などで一括りにされることに拒否感を持つZ世代は少なくありません。
Z世代を指導する際は、ぜひ一人ひとりに合わせたカリキュラムやスピードを意識してください。Z世代はまだ社会人としての経験が浅く、挫折した経験も少ないはずです。上司や育成担当者が細やかにフォローし、働く中で挫折をしても乗り越えられる方法を身に付けてもらいましょう。
2. デジタルネイティブならではの考え方を活かす
業務を進めたりフィードバックを行ったりする場面では、アナログな手法にこだわりすぎず、Z世代が使いこなすデジタルツールや柔軟な考え方を取り入れるようにしましょう。
コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスといった言葉を聞くと、「苦労は買ってでもしろ」と言われた世代は「楽をしているのでは?」と感じるかもしれません。しかし、生産性の向上は1つの企業だけの問題ではなく、日本全体の課題となっています。この社会的課題を解決するには、便利なものはどんどんと取り入れるべきでしょう。デジタルネイティブの考え方を取り入れることは、組織全体の生産性を高めるという大きなメリットにつながるのです。
3.目的や意義は最初に伝える
Z世代は、「目的や意義が感じられないことには、コストや時間をかけたくない」と考える世代です。
そのため、仕事を任せる前に目的や意義を伝えることが大切です。研修や練習なども同様です。
目的や意義をあらかじめ知っておけば、その仕事に対する認識が深まります。この重要性は、Z世代に限ったものではなく、どの世代においても当てはまります。スムーズに仕事を進めるためにも、新人教育とともに、全社で「目的や意義を最初に伝える」ことを進めていきましょう。
4.心理的安全性を高めるコミュニケーションを意識する
心理的安全性とは、簡単に言えば「異なる意見や新しいアイデアを発信しやすい関係性」です。言い換えれば、質問しやすい雰囲気とも言えるでしょう。
心理的安全性を高めるために大切なのは、実は「雑談」です。仕事の合間やランチなどで他愛のない話を重ねることが、心理的安全性を高め、質問しやすい関係性を築くのです。
ただ、育ってきた背景が異なると価値観も異なりますので、ただ雑談をすればいいというものではありません。一方的に決めつける、あり得ないと一蹴する、といったことをしてしまうと、相手は心を閉ざしてしまうでしょう。互いの価値観を尊重し、共感できなくても「そういったこともある」と理解を示すことが大切です。
Z世代と一括りにせず個を大切にしよう
今回、Z世代の特徴や価値観について紹介してきました。「自分たちとは違う」と感じた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、こうした特徴はあくまでも「そういった傾向が見られる」というもので、Z世代全員に当てはまるわけではありません。大切なのは、「Z世代だからこうだ」と一括りに考えるのではなく、目の前にいるそれぞれの人に対して、その個性に合ったアプローチすることです。
たとえば、デジタルネイティブのZ世代がなじみやすいよう、新人研修にもデジタルを取り入れてみるのも一つの方法でしょう。ALL DIFFERENTでも「内定者・新入社員向け ビジネススキル学習アプリ」というデジタルデバイスで活用できるサービスをご提供しています。1項目あたりわずか3分で学べる200のコンテンツが用意されており、タイムパフォーマンスも魅力。入社1年目に必要な知識・スキルの学習に、ぜひお役立てください。