エンゲージメントとは?|企業と社員のつながりを深める3つのポイントを紹介
エンゲージメントとは
まずはエンゲージメントの基本を確認しましょう。企業と社員の関係についてよく言われる「ロイヤルティ」や「社員満足度」との違い、従業員エンゲージメントが持つ3つの観点を解説します。
エンゲージメントの意味は?ロイヤルティや社員満足度との違い
ビジネスにおけるエンゲージメントは「企業と社員の深いつながり」を意味します。それは「企業と社員の信頼関係」であり、企業理念・ビジョンへの共感、企業への帰属意識です。そして、「エンゲージメントが高い」とは、社員一人ひとりが組織に愛着を持ち、企業と社員がお互いに成長できている状態を指します。
エンゲージメントと似た言葉に、ロイヤルティや社員満足度があります。それぞれの意味は、以下のとおりです。
- ロイヤルティ:社員の企業に対する忠誠心
- 社員満足度:社員が職場環境・待遇・報酬などにどれだけ満足しているかを表す指標
ロイヤルティの特徴は、企業と社員の主従関係です。一方、社員満足度は働く企業に対する社員からの評価です。エンゲージメントは、ロイヤルティや社員満足度が高まった結果、「組織に対して愛着を持っている、組織もそれに応えている」という状態を指します。
エンゲージメントの3つの観点
法政大学大学院の石山恒貴氏によれば、エンゲージメントには以下の3つの視点があります。
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ワーク・エンゲージメント
活力・熱意・没頭の3要素からなり、仕事に対して充実した心理状態
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組織コミットメント
働いている企業に対して社員が持つ帰属意識や関係性を表す概念
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職務への満足感
職場における自分の役割や立場などにどれくらい満足できているかの指標
どの点から見て「エンゲージメントが高い」と判断するか、この3つうちどれをどのようなバランスで重視するかは、企業によって異なります。
社員のエンゲージメントを高めながら業績向上を目指すなら、自社に合う観点を検討し、それを反映した目標設定を行いましょう。
エンゲージメントが注目される理由
そもそも、なぜ企業経営における社員のエンゲージメントは注目されているのでしょうか。エンゲージメントが注目される3つの理由をご紹介します。
生産性の向上が期待できるため
1つめの理由は、会社全体の生産性向上につながることです。
エンゲージメントが高い企業は、一人ひとりの社員が意欲的に業務をこなしています。組織に愛着を持っているため、企業課題に積極的に取り組む姿勢も見られるでしょう。
人材コンサルティング会社と教育機関の共同研究で、エンゲージメントの高さは企業の営業利益率や労働生産性に良い影響を与えることが判明しました。組織の生産性向上を目指すのであれば、まずは社員のエンゲージメントを高めることが重要です。
有能な人材の確保が必要なため
2つめの理由は、人材不足という社会的課題が背景にあります。
VUCAと呼ばれる不安定な時代において、企業が存続していくためには有能な人材の確保が欠かせません。しかし、有能な人材は、より自分の力を発揮できる場所を求める傾向にあります。せっかく採用した有能な人材が流出してしまっては、自社の安定した存続や成長は困難でしょう。
人材の流出を防ぎ、有能な人材を確保し続けるには、自社への愛着心を高める必要があります。つまり、社員のエンゲージメントを高めることにより、人材の流出を防ごうとしているのです。
顧客やエンドクライアントの満足度を上げるため
3つめの理由は、顧客満足度を上げることです。
エンゲージメントの3つの視点である「ワーク・エンゲージメント」「組織コミットメント」「職務への満足感」が高まれば、社員の業務の質が向上していきます。自主的に課題に取り組み、改善し、よりよいものを提供しようと考えるためです。結果として、顧客やエンドクライアントに届く商品やサービスの質が向上し、それに比例して顧客満足度も上がっていくでしょう。自社のファンやリピーターが増えれば、それは企業の業績アップにつながります。
社員個人の成長が組織全体の成長につながるという点でも、エンゲージメントは注目されているのです。
エンゲージメントがもたらす3つのメリット
社員のエンゲージメントが高まることで、企業と社員の両方に大きなメリットをもたらします。そこで、あらためてエンゲージメントがもたらす主なメリット3つを確認していきましょう。
仕事へのモチベーションが上がる
1つめのメリットは、社員の仕事に対するモチベーションが上がることです。
所属する組織への愛着を持って働く社員は、仕事への貢献意欲もアップした状態。仕事に「やりがい」「働きがい」を見いだせれば、より熱意を持って業務にあたることができます。
企業がコンスタントな業績アップを図るためにも、社員のエンゲージメントが高まる職場環境づくりに取り組みましょう。
自主性や主体性を高められる
2つめのメリットは、社員の自主性や主体性を高められることです。
エンゲージメントが向上し、社員の仕事に対するモチベーションや満足度が上がれば、「組織に貢献したい」「組織からもっと評価されたい」という気持ちが生まれます。これが、自主性や主体性につながるのです。
自主性・主体性は、困難な状況に立ち向かう原動力となります。難しい課題にも果敢にチャレンジするようになるでしょう。
社員の自主性・主体性を活かすためにも、管理職の方は部下の方を適材適所で配置することが大切です。それには、社員のモチベーションや満足度のレベルにアンテナを張りましょう。それぞれの社員に合った業務を任せられれば、主体性を発揮しやすくなるとともに、部下のエンゲージメントもさらに高められるでしょう。
離職率を下げることができる
3つめのメリットは、離職率を下げられることです。
エンゲージメントが高い社員は、総じて組織への定着率が高い傾向にあります。与えられた仕事にやりがいを感じており、組織に対しても愛着を持っているからです。仕事への意欲が認められているため、仕事のやり方をある程度任されていることも多いでしょう。
仕事における不満の1つに、「裁量権がない」ことがしばしばあげられます。言われたことをこなすだけで、せっかくアイデアが浮かんでも採用されず意見も出しにくい状況は、多くの人にとってストレスとなるもの。不満やストレスがたまりやすい環境では、長く勤めたいと思ってもらえないでしょう。
他の2つのメリットにあるように、エンゲージメントを高めれば、社員それぞれの能力を発揮しやすい環境づくりができます。それによってやりがいがアップしやすくなり、離職率低下につながるのです。
職場のエンゲージメントを高める3つのポイント
では、実際に社員のエンゲージメントを高めるには、どのようなポイントを意識する必要があるのでしょうか。今回は、3つのポイントに絞って見ていきましょう。
公平性・透明性のある評価制度を設ける
1つめのポイントは、公平で透明性のある評価制度を設けることです。
企業に対して信頼性が低い状態では、社員のエンゲージメントは高まらないでしょう。不信感を招く典型的な例は、一部の人だけが不当に評価されている・されているように見える状態です。「頑張っても評価されない」と思われてしまっては、社員の主体性やポテンシャルは引き出せません。
社員に信頼してもらえる企業を目指すなら、公平性・透明性のある評価制度が必要です。具体的には、個人単位で目標を設定するMBOや、高い業績を上げる社員を評価基準とするコンピテンシー評価などがよいでしょう。
組織や企業、チームのビジョンを共有する
2つめのポイントは、ビジョンを共有することです。
組織のビジョンが共有されていない状態は、行き先がわからない道をひたすら進むようなもの。目指す先がわからなければ社員は大きなストレスを抱えてしまいますし、目的意識が薄いまま仕事に取り組むことになります。そのような状態では、なかなか業績も向上しません。
もし全社員がビジョンを共有できていないなら、それは組織側の周知不足が原因です。社員が安心して同じ方向を目指しながら業務を進められるよう、ビジョンや目標値などは意識的に繰り返し周知しましょう。
コミュニケーションをとり一人ひとりの価値観を知って尊重する
同じ職場で働いていても、各社員が何を大切にしているかは異なります。よって、社員のエンゲージメントを高める3つめのポイントは、多様な価値観を尊重する職場づくりとなります。
VUCA時代では、組織にとらわれず個人が自分の力で生きていくことが重視されています。しかし、企業としては優秀な社員に長く勤めてもらいたいもの。これを両立させるには、社員を特定の価値観で一括りにして捉えるのではなく、それぞれの価値観や個性をもつ個人として捉えることが重要です。
上司や人事担当者にとっては大変なことですが、ツールやシステム、外部サービスなどを活用しつつ、個人を尊重する体制づくりを進めましょう。
エンゲージメントを高めることは組織力を高めることにつながる
従業員エンゲージメントは、ビジネスにおいて企業と社員の深いつながりを意味する言葉です。お互いの愛着や信頼関係が成り立っている状態は「エンゲージメントが高い」状態。現在の企業経営において非常に重視されています。
社員のエンゲージメントを高めることは、生産性向上や離職率低下、ひいては業績の向上やコストの削減などにつながります。しかし、エンゲージメントを高めるには、部下の個性を尊重し公平に評価し、適材適所を実現するという上司や管理職のスキルが必要です。
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