マツダ株式会社 竹内都美子氏 一人ひとりが主役に!マツダが挑む「ひと中心」経営と組織風土変革 マツダ株式会社 竹内都美子氏 一人ひとりが主役に!マツダが挑む「ひと中心」経営と組織風土変革

「各業界で活躍されているあの人は何がすごいのか?」をコンセプトに、各業界の有識者から“成長の秘訣”や“仕事論”を赤裸々に語っていただくHR×LEARNING スペシャルセミナー。

2024年10月25日開催のセミナーでは、マツダ株式会社より執行役員兼CHRO(最高人事責任者)の竹内都美子氏にご登壇いただきました。

世界130以上の国・地域でビジネスを展開するマツダは、技術革新が急速に進む自動車業界でどのように新しい価値を創造し、どのような組織作りを行うのか。

「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というマツダのパーパス実現を目指した組織風土変革「BLUEPRINT」の取り組みを主軸に、全社員で挑む組織風土変革の具体的な施策内容や将来への展望について、丁寧に語っていただきました。

“時代の変化に対応できる
組織作り”とは

「広島に生まれ、広島で育てられた自動車メーカー」として、2020年に創立100周年を迎えたマツダ株式会社。創業者である松田重次郎氏の「工業で社会に貢献する」という信念と従業員の「飽くなき挑戦」のDNAを受け継ぎ、世界130の国・地域で約120万台を販売するグローバルカンパニーへと成長。現在は、技術革新が急速に進む“時代の変化”に対応できる組織作りを強化しています。

今回ご登壇いただいた竹内氏は、マツダ初の女性主査として量産EV車「MAZDA CX-30」の開発・指揮を執った人物です。そのご経験から、「人が持つ可能性」と「チームとなったときの真の力の大きさ」を学び、現在はCHROとして人材育成・組織戦略を牽引されています。

今回は、マツダが取り組む組織風土変革プログラム「BLUEPRINT」が生まれた背景や、それに込めるマツダの想いと具体的な施策、そして変革の重要性をお話いただきました。

もっとも重要な経営資本は
「人」である

環境ニーズの高まり、価値観の多様化、都市化の進展、AIを含むデジタル技術の進展や電動化……。自動車業界は、大きな変革期に直面しています。従来のやり方では通用しないビジネス環境の中、マツダは企業としてありたい姿を言語化すべく、「パーパス」「プロミス」「バリューズ」の3要素から構成される企業理念を全社共通の指針として定めました。

企業理念では、マツダに関わる全ての皆さまが心身ともにいきいきと過ごし、日々を前向きに過ごせている状態を理想としており、お客様を起点に人の感情を大切にする会社でありたいという想いを明らかにしました。

それと同時に、マツダのありたい姿(2030年ビジョン)に、「走る歓びで移動体験の感動を量産するクルマ好きの会社になる」を制定し、直近の具体的な取り組みを明確にしました。

社員が講師を務める組織風土変革
「BLUEPRINT」

特に重要な施策のひとつが、2024年春に労使で合意した「BLUEPRINT」による組織風土変革です。組織風土変革では、グローバル拠点であるドイツやアメリカで既に導入されているプログラム「BLUEPRINT」を日本でも実施することとしました。

「BLUEPRINT」とは、「BLUEPRINT(青写真)」の制定、「理解・体験プログラム」、そして「浸透・定着施策」の大きく3つの要素で構成されております。

「BLUEPRINT(青写真)」の制定では、「私たちは何者なのか」「お客様にどのような体験をお届けしたいのか」などの本質を言語化するために、役員、幹部社員、社員、様々な領域のメンバーが同じ質問に対して議論を行い、1つのBLUEPRINTにまとめました。特徴的なのは、「お客さまに接する最前線のスタッフを企業の主役と考え、幹部社員はそうしたスタッフの支援を行う」という“逆転のリーダーシップ”の考え方を軸に議論したことです。

プログラムの特徴としては、CEO、CFOがスポンサーシップをとり、社内外へ向けてBLUEPRINTに触れたメッセージを発信。また、ナビゲーターは立候補もしくは推薦制により、多種多様な社員が実施。これにより、トップの本気度や、前向きな社員のエネルギーを伝播することができました。

また笑い合ったり悔しがったりする“感情”を重視した記憶に残すプログラムにより、参加者の90%以上が内容に理解と満足を示し、その後の自主的な行動につながる変化も現れました。

組織風土の要は人事領域の変革

しかし、課題も残っています。セッションで“逆転のリーダーシップ”を学んだ管理職が、現場に戻ると“従来の管理型リーダーシップ”に戻ってしまうのです。失敗への恐れや、周囲の顔色をうかがいながらのコミュニケーションなどが発生する要因には、「人事制度・規則やその運用にもある」と竹内氏は語りました。

ここで、マツダは人事変革にも着手します。
人事領域変革のスローガンは「管理から解放、自律へ」。例えば、出張の承認は人事から部門リーダーによる承認に変更し、人事メンバーも主要な各部門へ転籍・異動することで、現場での問題解決につながる柔軟な人事制度の運用を始めました。人事本部自体も組織変革を行い、「BLUEPRINT」を意識した組織に再編しています。

さらに、マネジメント層の意識・行動を変えるために「BLUEPRINT」を日々意識・実践できるよう、社員意識調査・360度評価・社員の評定制度などに「BLUEPRINT」の観点を織り込んでいくと竹内氏は語りました。

2024年度は役員との1on1を行い、「理想のリーダーシップを意識しているか」「実践で難しい点は何か」といった課題や悩みをヒアリングし、「今後のフォローセッションにつなげていきたい」としています。

組織風土変革のポイントに
切り込んだ質疑応答

CEOやCFOがスポンサーとなり、社員自らが組織風土変革を進める「BLUEPRINT」。マツダの挑戦を伝える内容に、竹内氏のご講演が終わる前から多くの質問が寄せられました。

変革のゴールや全体像を描く際のポイントとして竹内氏が伝えたのは、「パーパスという最も重要なものを議論によって定める」ことと「決して否定しない」こと。各メンバーが語る言葉の根底にある想いに注目し、本質的に何を伝えたいのかしっかり耳を傾け理解する大切さを語りました。

セミナー後のアンケートでは、「どのように組織を変えてきたのか、よくわかり勉強になりました」「良いことばかりではなく、悲喜こもごもお話いただき、大変実感のわくお話しでした」「従業員規模の大きい会社で全社的に様々な立場の人を巻き込んだ改革を行っていることに感心させられました」といった感想が寄せられ、視聴された方々にとって大きなヒントがあったことがうかがえます。

今回の「一人ひとりが主役に~マツダの組織風土変革で挑む「ひと中心」の経営とは~」は、見逃し配信をご覧いただけます。マツダの取り組みの詳細をぜひご確認ください。
<見逃し配信>の視聴申し込みはこちら

今後もさまざまな業界から有識者の方をお招きし、皆様のビジネスのヒントをお届けします。詳細は、HR×LEARNINGスペシャルセミナーの特設サイトにてご案内しておりますので、ぜひご覧ください。また、ご興味のあるテーマやご要望、どんな小さなお悩みでも、どんどんお寄せください。
<特設サイト>はこちら

竹内氏のSPECIAL Words Be a Driver!自分の人生の主役に 竹内氏のSPECIAL Words Be a Driver!自分の人生の主役に

Be a Driver! 自分の人生の主役に
仕事の時間も、プライベートの時間も、すべては自分の人生の一部です。そんな自分の人生の中で、少しでも前向きに、小さな幸せを見つけながら過ごしていきたいと考えています。どんなときに前向きになれるかを考えると、それは自身で意思をもって選択し、苦労しながらでもやり遂げたとき。そしてその達成感を家族や周りにいる仲間の分かち合えたなら、小さな幸せはより大きくなります。

旅先では自分自身で行きたい場所を見つけ、道を選んで進むように、仕事においても将来なりたい姿を描き、できる限り自分でキャリアや学びを選択してみませんか?困難な課題に直面しても、やらされ感で取り組むのでは辛いですし、結果も思うように伴いません。この挑戦から何かを得ようと、自分の意志で選択することによって辛さも和らぎ、より前向きに取り組むことができます。自分自身の心持ちや意志は自分でコントロールできます。自分の人生の主役であれ、Be a Driver!を傍らに、挑戦の毎日です。
(竹内氏)

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