設立15周年を記念した特別調査として、「ビジネスパーソンの
キャリアや学びに関する意識調査」と「組織・チームのあり方
の変化に関する意識調査」を実施しました。

ビジネスパーソンのキャリアや学びに関する 意識調査

ビジネスパーソンのキャリアや学びに関する 意識調査
ミドルシニアのキャリアと学び

2021年12月23日

調査背景

2021年、ALL DIFFERENT株式会社は設立15周年を迎えました。この15年間の日本を振り返ると、"アベノミクス"と呼ばれる経済政策を背景として緩やかに経済が成長した一方、リーマン・ショックや東日本大震災など数々の危機的な状況を乗り越えてきました。ビジネスパーソンに目を向けると、周辺環境の著しい変化に絶えず対応することが求められてきたといえます。特に2020年には新型コロナウイルスによるパンデミックが発生。生活様式までもが大きく変化する中で、働き方にも急激な変化が訪れました。

ALL DIFFERENT株式会社では、これらの変化がビジネスパーソンに与えた影響を明らかにするため、15周年特別企画として「ビジネスパーソンのキャリアと学びに関する意識調査」と「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」を行いました。第2回の今回は「ミドルシニアのキャリアや学び」に関してレポートします。

サマリー

調査結果の詳細

1. 学びの手段、ミドルシニアは「オンライン」を積極活用?

今回の調査は、「20代以下」から「50代以上」まで、幅広い年代のビジネスパーソン5,995人を対象に、2021年8月23日から10月15日にかけて実施しました。40代以上の"ミドルシニア"世代からは、2,156人(40代:1,271人、50代以上: 885人)の皆さまにご協力いただきました。

まずは、ミドルシニアの傾向を見る前に、働く環境が大きく変化する中で、どのくらいのビジネスパーソンが学びの必要性を感じているのか、全体の傾向から確認していきます。


「今後働いていく中で、新しい知識・スキルの習得は必要か」を尋ねたところ、95.3%が「はい」と回答(図1)。ほとんどのビジネスパーソンが、自身の知識・スキルに対して"変化"の必要性を感じていることがわかりました。 図1

では実際に、新しい知識・スキルの習得のためにどんなことを行っているのでしょうか。最も多かったのが「書籍での自己学習(55.2%)」で、半数以上のビジネスパーソンが書籍による知識インプットに取り組んでいることがわかりました(図2)。次いで2位が「動画コンテンツの視聴(無料)(29.1%)」、3位が「勉強会やセミナー、コミュニティへの参加(無料)(21.9%)」という結果になりました。

また図2からわかるように、上位3つの項目において年代による順位の変動はありませんでしたが、「動画コンテンツの視聴(無料)」と「勉強会やセミナー、コミュニティへの参加(無料)」に取り組んでいるのは「50代以上」の割合が高く、ミドルシニアの多くが、書籍だけでなく、コロナ禍で一気に普及したオンラインセミナーや動画コンテンツを利用している実態が見えてきました。

一方で、「特に取り組んでいるものはない」と答えた割合もミドルシニアが比較的高い結果となり、50代以上では4人に1人が知識・スキルの習得に「取り組んでいない」ことも判明しました。 図3

2. ミドルシニアは1人で黙々と学びたい?

ここまで、ビジネスパーソンの学びへの意欲や実際に取り組んでいることを見てきましたが、学びを開始・継続するため、勤務先に対してどのようなサポートを期待しているのでしょうか。

勤務先で利用したい支援は、年代問わず「社外の研修を受ける機会(50.1%)」が最も多く、「書籍やeラーニングなどの教材(38.9%)」「資格取得支援の制度(38.2%)」「社内の研修を受ける機会(37.9%)」が上位を占めました(図3)。

年代別で見てみると、「資格取得支援の制度」は20代以下と30代の40%以上が選択しているのに対し、50代以上は26.1%にとどまる結果に。一方、「書籍やeラーニングなどの教材」を利用したいと回答した割合はミドルシニア世代が高く、40代が40.7%、50代以上が41.0%となり、年代が上がるほど割合も高い結果となりました。 図3


3. 全世代の共通課題は「専門領域」の強化
ミドルシニアは「ITスキル」も身につけたい

次に、どのようなスキルを新しく身につける必要があると思っているのかを調査しました。

全体の割合で見ると、「自身の専門領域と関連する領域(60.2%)」「自身の専門領域(59.6%)」に多くの回答が集まりました(図4)。「今持っているスキルとは全く別の領域のスキル」と回答した人は25%程度にとどまり、自身が今取り組んでいる専門領域でのスキルアップを重視する傾向が見られます。

一方で、「思考力、コミュニケーション力など基本的なビジネススキル」「IT・デジタル関連のスキル」といった、職種・業種を問わず共通して必要とされるスキルについて、全体の割合では約半数が必要と回答。ミドルシニア世代においても4割前後が必要と回答し、40代、50代以上のベテラン社員であっても、専門力の土台となる基本スキルを積極的に学ぼうとしている姿勢がうかがえました。 図4

4. 30%超のミドルシニアが「今の働き方」の継続を望んでいる

最後に、キャリアに対する意向について、年代別の傾向を分析しました。その結果、年代が上がるにつれ「今の働き方を継続したい」割合が増加。20代以下が19.7%だったのに対し、50代以上では2倍近い37.8%がその意向を示しました(図5)。

一方、「全く違う仕事にチャレンジしたい」と回答した割合は、20代以下が10%を超えたのに対し、40代、50代以上は6%程度にとどまりました。新しいことへのチャレンジよりも、「今の働き方を継続したい」ミドルシニアにとって、今の職場・業務領域で働き続けるためにも、新しい知識・スキルを学ぶ必要性が高まっていると言えるのではないでしょうか。 図5

考察

今回の調査から、ミドルシニア世代の多くが、新たな知識・スキルの習得に前向きに取り組み、その方法として「自身での学習を重視する」傾向があることが見えてきました。

実際、書籍や動画などを通じて個人で学習に取り組んでいるミドルシニアは大勢いらっしゃいます。一方、見方によっては、1人で学ぶだけでなく、「他者から学ぶ」機会も積極的につくるべき、と言えるのではないでしょうか。ミドルシニアである40代、50代になると、周囲からの指摘を受けることが少なくなり、自身と異なる見解や価値観に触れる機会が減るためです。

社外の人をはじめ普段接する機会のない人から学ぶことで、新しい知識・スキルの習得にとどまらず、社内にいると気づくことができない自身の課題や強みも見つかるはず。一つの会社で成果を出すために真摯に業務に取り組んできたミドルシニア世代にこそ、他者との交流を通じて学ぶ機会を提供する必要がある、そう考えることができそうです。

調査概要

調査対象者 当社が提供する研修(会場型・オンライン型)、オンライン講演の受講者
調査時期 2021年8月23日~2021年10月15日
サンプル数 5,995人
属性 (1)年代
20代 2,166人(36.1%)
30代 1,616人(27.0%)
40代 1,271人(21.2%)
50代以上 885人(14.8%)
不明 57人(1.0%)
(2)役職
一般社員クラス 4,166人(69.5%)
係長・主任クラス 1,328人(22.2%)
課長クラス 284人(4.7%)
部長クラス 96人(1.6%)
経営層・役員クラス 18人(0.3%)
その他(専門職・特別職など) 77人(1.3%)
不明 26人(0.4%)
(3)従業員数
100人以下 1,381人(23.0%)
101人~300人 2,452人(40.9%)
301人~500人 795人(13.3%)
501人~1,000人 673人(11.2%)
1,001人以上 484人(8.1%)
わからない 170人(2.8%)
不明 40人(0.7%)
(4)業種
情報通信業 1,577人(26.3%)
製造業 785人(13.1%)
卸売業,小売業 594人(9.9%)
サービス業(他に分類されないもの) 675人(11.3%)
建設業 364人(6.1%)
学術研究,専門・技術サービス業 319人(5.3%)
不動産業,物品賃貸業 256人(4.3%)
その他、不明 1,425人(23.8%)

PDFのダウンロードはこちら