新型コロナ、新卒採用への影響は? 来年はどうしたらいいの?
人事・教育担当者395人を対象に調査を実施しました

2020年8月31日

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、今年は新卒採用計画の変更を余儀なくされた企業が多かったのではないでしょうか。今回は、企業の人事・教育担当者395人へのアンケート調査をもとに、新型コロナが新卒採用に与えた具体的な影響を明らかにしつつ、今後どのような課題に対処していく必要があるのかを考察しました。

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8割の企業が新卒採用に「影響あり」

新型コロナウイルスの感染拡大が、事業運営や働き方に対しさまざまな影響を与えています。当社が8月3日から7日にかけて企業の人事・教育担当者395人を対象に行った調査によると、「やり方の変更」あるいは「新たな対応が必要」となった人事業務として、「採用(69.1%)」と答えた企業が最も多く(図1-1)、7割近くが採用に関して何らかの"変化"を求められていることが明らかになりました。

(図1-1)

採用の中でも、新卒採用に影響があった企業は約8割(図1-2)。具体的には、「採用スケジュールの変更(68.2%)」、「合同説明会、外部イベントの中止(56.9%)」、さらに「選考方法の変更(40.0%)」という影響が出ているようです(図1-3)。一方、「新卒採用の中止」を余儀なくされた企業は6.7%にとどまったほか、「説明会参加者の減少(18.0%)」や「エントリー数の減少(14.9%)」と回答した企業は10%台で、採用母集団形成に関するネガティブな影響は少ないことも判明しました。

(図1-2)
(図1-3)

新卒採用、達成度80%以上の企業が半数以上

では、新卒採用において、スケジュールの変更や説明会の中止など様々な影響が出ている中、採用予定人数に対してどの程度の人数を確保できているのでしょうか。達成度を0~100%まで10%きざみで尋ねたところ、「100%、100%以上(31.3%)」が最多となり、「80~90%(20.3%)」と合わせると、全体の半数以上(51.6%)が達成度80%以上という結果になりました(図2)。対して達成度が「0%」の企業の割合は10.7%となり、多くの企業が一定の成果を得ていることがわかりました。

(図2)

採用活動のオンライン化、そのノウハウ取得が今後の課題か

次に、新卒採用活動における課題について尋ねたところ、「応募者との接点を持つ場の確保(51.6%)」が最も多く、次いで「説明会の実施方法(Web/対面など)(45.6%)」、「内定後のフォロー(41.3%)」という結果になりました(図3)。

また、「Web説明会のノウハウ(33.1%)」「Web面接のノウハウ(31.9%)」など、3社に1社がオンライン対応に伴うノウハウの必要性を感じていることもわかりました。どちらも30%台にとどまったものの、コロナ禍前に説明会・面接フェーズを終え、今年度はオンライン化の必要がなかった企業も多いことから、今後はWeb説明会/面接のノウハウ取得に課題を感じる企業が増えそうです。

(図3)

内定式の実施有無、8月時点で約6割が「未定」

今年の内定式の実施については、「実施する」と回答した企業が35.3%、「中止する」と回答した企業が5.9%となった中で、「検討中(43.1%)」が最多となり、「わからない(15.7%)」と合わせて全体の約6割(58.8%)の企業が、実施有無を悩んでいることが明らかになりました(図4)。

(図4)

まとめ

今回の調査を通じ、新型コロナ対応により様々な影響を受けながらも、多くの企業が未来への投資である新卒採用を止めることなく、また企業規模によらず一定の成果を得ていることがわかりました。また、現状の課題として「応募者との接点確保」を挙げる企業が多かったものの、オンラインによる採用活動の継続が見込まれることから、今後はWeb説明会/Web面接のノウハウ取得が大きな課題となりそうな実態も見えてきました。特に、今年度、採用活動を早く終えた企業は、オンライン対応の経験値不足を補うため、来年度に向け早めの準備と業務フローの見直しが必要になるでしょう。

例年多くの企業で10月1日に実施される内定式については、本調査を行った8月初旬時点で約6割の企業が実施するか否かを決定しておらず、ここからも人事の苦悩が見て取れました。人材開発という観点で考えると、内定式は学生の意識を切り替え、スムーズな組織社会化*1を促す場でもあります。新たな生活様式に則った事業運営、働き方が求められる中、今後は「内定式の在り方」を考えていく必要もあるかもしれません。

*1 組織社会化:新入社員が入社して「新しい組織に適応していくプロセス」のこと

調査概要 コロナ禍の新卒採用に関する調査

調査対象者 人事・教育担当者
調査時期 2020年8月3日~2020年8月7日
調査方法 Webでのアンケート調査
サンプル数 395人
属性 (1)業種
①IT・インターネット:19.7%(78人)
②製造:18.7%(74人)
③流通・小売・サービス:15.9%(63人)
④建設・不動産:10.1%(40人)
⑤商社:9.4%(37人)
⑥金融:3.3%(13人)
⑦マスコミ・広告:3.3%(13人)
⑧医療・福祉:2.5%(10人)
⑨その他:16.9%(67人)

(2)所属企業の従業員数規模
①1~50人:11.4%(45人)
②51~100人:23.5%(93人)
③101~300人:37.2%(147人)
④301~500人:10.4%(41人)
⑤501人以上:17.5%(69人)


*本調査を引用される際は【ALL DIFFERENT株式会社「コロナ禍の新卒採用に関する調査」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
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