管理職の悩みは今も昔も部下の育成、部下の成長にも不安?
1,070人への意識調査をもとに、効率的なチーム・部門運営を行うポイントを考察しました
2020年7月27日
チームとしての成果追求、経営理念の浸透、メンバーの育成など、様々な役割が求められる管理職。そんな管理職の皆さんは日ごろ、どのような課題を感じ、またどのような悩みを抱えながら業務に当たっているのでしょうか。2019年12月から2020年3月にかけて1,070人の管理職を対象に調査を行い、5年前の調査結果と比較・分析しました。
管理職の悩みは5年前と変わらず「部下の育成」がトップ
働き方改革の推進を背景に、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実践が求められる昨今。働き方や従業員の意識が大きく変化する中で、管理職に求められる役割も大きく変わってきました。特に、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークの導入が一気に進んだ今、上司部下間のコミュニケーションの在り方、さらには管理職のマネジメントの在り方にも急速な変化が求められています。
このような状況の中、当の管理職の皆さんは、チーム・部門の運営に当たってどのような悩みを抱えているのでしょうか。「管理職としてどのような悩みを持っているか」を尋ねたところ、図1のような結果となりました。
最も多かったのは「部下の育成」で50.5%。半数以上の管理職が部下の育成に悩んでいることがわかりました。5年前の調査でも今回と同様、1位は「部下の育成」という結果が出ており、部下の育成は時代を問わず、一番の課題であることが明らかになりました。
ただし、その回答割合を見てみると、5年前に「部下の育成」と答えた管理職は約40%。今回の調査では10%も増加していることから、部下の成長に手応えを感じずに育成に不安を抱えている...、そんな管理職が増えているという可能性もありそうです。
また、「部下の育成」に続く悩みとしては、2位「チーム・部門の運営(24.9%)」、3位「時間の不足(21.7%)」、4位「部門の成果達成(21.4%)」、5位「部下とのコミュニケーション(19.6%)」となりました。
「部下があまり成長していない」と感じている管理職は5年前の約3倍
では実際に、部下の成長度合いについてはどう感じているのでしょうか。最も多かった回答は、「成長している」で57.8%。半数以上の管理職が部下の成長を感じていることがわかりましたが、5年前の69.6%と比べると10%以上も減少しています。また、2番目に多い回答が、「あまり成長していない(27.9%)」となり、こちらは5年前(8.8%)の約3倍という結果になりました。
部下の成長を実感している管理職の割合が下降傾向にあり、また部下の育成に課題を抱えている管理職が増えている実態を踏まえると、「育成の方法」についても変化が求められているといえるのではないでしょうか。
部下の成長を感じている管理職はコミュニケーション時間が長い?
次に、部下の育成や成長に悩む管理職の皆さんが、普段どの程度コミュニケーションを取っているのかを尋ねました。月間のコミュニケーション時間で最も多かったのは、「2~5時間程度」で41.3%、次いで「1時間程度」が24.4%となり、1カ月のコミュニケーション時間が「5時間以下」が全体の6割を超えました (図3-1)。
また、「部下の成長度合い」別に部下とのコミュニケーション時間を見ると、「部下が非常に成長している」と回答した管理職は、他の回答者と比べてコミュニケーション時間が長い傾向にあり、45.8%が「月に6時間以上」をコミュニケーションに充てていることが明らかになりました(図3-2)。このことから、「部下の成長」に「コミュニケーション」が大きくかかわってくると考えることができます。
まとめ
今回の調査から、管理職にとって「部下の育成」が時代を問わず悩ましい課題であることが明らかになりました。また、「部下の成長を感じている管理職ほど部下とのコミュニケーション時間が長い」傾向があることも見えてきました。裏を返せば、「部下の成長を感じられない管理職はコミュニケーション時間が短い」ということもできるのではないでしょうか。
一方、「部下とのコミュニケーション」に悩んでいる管理職は19.6%とそれほど多くないのが実情です。対して「チーム・部門運営」への課題が2位に挙がっていることから、1対1のコミュニケーションはできるが、「チーム・部門」という1対Nのコミュニケーションに課題を感じている管理職が多いと捉えることもできます。苦手な1対Nのアプローチを避け、一人ひとりの説得や合意形成を図るという手段を選択してしまうことが、悩みの3位に入ってくるような「時間の不足」を生み出す要因の1つになっているのかもしれません。
今回、「部下の成長」と「コミュニケーション時間」の間に関連性が見えたことから、そこに課題解決のヒントがあることは明らか。今後は、1対1のコミュニケーション時間の確保、さらには1対Nで成果に向かってチームを率いるスキルを身につけることが、効率的なチーム・部門運営を行うために求められるといえそうです。
調査概要
調査対象者 | 当社が提供する管理職向け研修の受講者 |
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調査時期 | 2019年12月16日~2020年3月27日 |
サンプル数 | 1,070人 |
属性 |
(1)性別
①男性:83.6%(894人) ②女性:15.4%(165人) ③不明:1.0%(11人) (2)業種 ①建設業:4.4%(47人) ②製造業:19.0%(203人) ③電気・ガス・熱供給・水道業:1.0%(11人) ④情報通信業:20.7%(222人) ⑤運輸業、郵便業:2.5%(27人) ⑥卸売業、小売業:10.0%(107人) ⑦金融業、保険業:2.8%(30人) ⑧不動産業、物品賃貸業:2.2%(24人) ⑨学術研究、専門・技術サービス業:5.9%(63人) ⑩宿泊業、飲食サービス業:1.4%(15人) ⑪生活関連サービス業、娯楽業:1.6%(17人) ⑫教育、学習支援業:0.7%(7人) ⑬医療、福祉:4.8%(51人) ⑭複合サービス事業:1.5%(16人) ⑮サービス業(ほかに分類されないもの):12.5%(134人) ⑯その他:9.0%(96人) (2)所属企業の従業員数規模 ①1人~50人:7.6%(81人) ②51人~100人:18.3%(196人) ③101人~300人:43.9%(470人) ④301人以上:27.5%(294人) ⑤不明:2.7%(29人) |
*本調査を引用される際は【ALL DIFFERENT株式会社「管理職の意識調査」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
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